2010年12月23日木曜日
アートな話「日々是漆器」
我が家で日常使っている漆器類
漆の語源は「うるわし」と言われている。2,3の辞書によるとその言葉の持つ意味は広く奥深い。漢字で書くと「麗しい」
1.うつくしく、みごとである。壮麗である。
2.形・色・容姿などが、目に快く映るさま。うつくしい
3.精神的に豊かで気高く、人に感銘を与えるさま。心あたたまり、うつくしい
4.端正で形が整っている
5.乱れたところが無く整っている
日々漆を扱っている者としては、これほど気難しい塗料は無い。漆は塗料としては堅牢で優れているが、ちょっと厚く塗れば流て縮み、ほこりを嫌う、乾かすにも一定の条件が必要である。
この自然状態では乾きにくい漆の特性を生かして、蒔絵のような加飾の技法が2000年もの歴史として連綿と続き、後に続く鎌倉彫も時代をさかのぼること約800年の歴史を培ってきた。いずれも漆は生乾きのアートである。
ウルシはウルシ科、ウルシ属の落葉高木で、樹高10~15mになり秋には葉が真っ赤に色付く。樹齢10年前後の木から採れる漆は200g程度である。右の写真は樹齢12年程度の漆の木から漆の樹液を採取しているところ。
また太古の時代から使用されてきた木製の食器類も出土されており、漆文化は、特にアジア全域に広がるきわめて古い歴史を持つ特有の文化で、最古の漆塗りの食器として現存するものは、中国長江河口にある河姆渡(かぼと)遺跡から発掘された約7000年前の朱塗りのお椀である。(下の写真)一方日本では約6000年前の朱塗りの櫛が福井県鳥浜遺跡から発掘されている。また縄文時代には土器の壺に朱や弁柄の漆を塗って装飾したものもある。そのようなことから漆は最古の塗料とも言われている。
現代の漆文化圏は、日本をはじめ中国、韓国、ミャンマー、タイ、ベトナム、ラオス、カンボジア、ブータンなどほぼアジア全域に渡っている。特に漆の原液はわが国の漆需要の95%以上を中国からの輸入に頼っている現状がある。残りの数パーセントを国産の上質の漆を産地(岩手県と茨城県)からの供給でまかなわれている。中国産を多く使用するのは、もちろん量産がきく事と価格が安いことである。(詳しくは私のHP中の鎌倉彫四方山話参照)
農林水産省の古い資料によれば、2005年の生漆(樹液の状態の漆)の国内生産量は約1.3トン、これに対し輸入量は73トンに達する。輸入漆のほとんどは中国産である。現在ではこの輸入量も減少しているようだ。
日本の漆と中国の漆は分子構造は同じであるが、日本産は漆の主成分のウルシオールの含有量が多いので漆のハリとか硬さ、それに漆が完全に硬化するのが中国産より早く、透明度も高く優れている。小唄の文句に「花は桜よ、塗料は漆、桜漆は国の華」とある。英和辞典に(japan/漆、漆器)と記されているとおり、うるしはジャパンと称され日本の漆器は世界で評価されている。鎌倉彫で使用する彫刻材料の木は桂(カツラ)であるがアデランスとは言わない。(笑)
漆の精製業者は対中国貿易では、中国人をあまり信用しておらず油断できない商売相手と認識しており、現地買い付けで原液の品質を吟味した上で、通関が終わるまで現地に残り、品質のチェックを怠らない。油断をすると質の悪いものをつかまされる恐れがあるためだ。昨今の国際情勢を鑑みてもどうも好きになれない品格の無い国民性である。
現在 日本で作られている漆器の98%が中国産の漆で塗っていて、漆に関しては今、中国から輸入がストップしたらやがて日本の漆器関係の製造会社は生産がストップしてしまうだろう.その価格差は多い時で10分の1で現在では5~6分の1ぐらいになっている。しかし中国元が大幅に上がればそれも縮むだろう。中国産以外の漆は日本の漆器には向いていないので、中国に頼るしか道は無い。経済規模は小さいがまさにレアーアースと同じ状況である。
わが国では漆器産地が各地にあり、それぞれの特色を生かした地場産業として、国に伝統工芸品の指定を受け各地で製造販売されている。神奈川県の鎌倉彫は製造はもとより、アマチアの愛好家を育んできた歴史があり。手軽に自分の作品を造ることが出来るためお稽古産業としても発展してきた。そこには彫りは自分でやり、漆塗りは塗師屋にお任せするという分業が成り立っている。
長い経験と熟練を必要とする漆器の製造は典型的な世襲の家内工業で、現代では後継者不足から、木地屋にしろ塗師屋にしろ維持するのが困難な産業の一つである。筆者にも息子と娘がいるが、それぞれが好きな道を進んでおり、鎌倉彫は私の代で終わりである。しかし箸、碗、盆、重箱など漆塗りの製品は日本人の日常生活に深く入り込んでおり、合成塗料で仕上げた製品とは別格な美しさがある。上の写真は我が家で日常よく使う鎌倉彫であり、食卓を賑わしている道具たちである。
2010年12月10日金曜日
ネット社会の脅威
今、内部告発サイトの「ウィキリークス」が世界中で話題になっている。一番これに神経をとがらしているのがアメリカである。イラクにおける米兵の民間人殺傷現場の映像から始まって、、40万点にも及ぶ米軍のイラク戦争にまつわる機密文書が流出するなど、国家統制の根幹を揺るがしつつある。またアメリカの外交文書の大量に暴露など、その中に在日アメリカ大使館発の公電が5697通もあり、3番目に多いというから日米関係に大いに影響する可能性もある。
政治はある意味では情報戦であるから、権力側は情報操作に力を入れる。真実を隠し、もっともらしい嘘を流して大衆を操作し、世の中を都合良く動かそうとする。その手先となるのがメディアだが、反面メディアは情報操作の裏を暴いて真実を明るみに出す事もある。
政治は敵対する権力が争い合う世界であるから、真実を隠し続けるのも難しく、いつかは必ず明るみに出るものだ。権力が定期的に交代する民主主義社会ではそれが可能になる。ところが我が国のように単独政権が長期に及び、百年以上も官僚が支配してきた国家では「秘密は墓場まで持っていく」のが習わしである。
その点、アメリカでは保管されている公文書は、秘密がつきものの政治と外交の機密事項がのちに時期が来れば国民に公開されることになっている。それが民主主義の根本であるという思想が示されている。国民の税金を使って集めた情報や政治の記録は、最後は国民に還元される。民主主義は「真相を墓場まで持っていく」事を許さない。その情報開示の解禁がおおむね30年後とされている。そのアメリカが、アップデートの機密事項を暴露するウィキリークスに手を焼いている。そこには国益もプライバシーも眼中にない過激なネット社会の縮図がある。
わが国では沖縄返還交渉の「密約問題」で分かるように、アメリカ政府が明らかにした事を日本政府が否定し続けるというおかしな事が続いてきた。その際、日本のメディアは日本政府が否定するのを糾弾せず、日本政府が認めるまでは断定的に書かない立場を取ってきた。権力側が認めない事は書かないのが日本のメディアの伝統でもある。
you-tubeで公開された尖閣事件のビデオ流出問題では、流出させた海上保安庁の保安官が名乗り出るまでは、国も報道機関も犯人捜しに明け暮れた。
あのビデオに秘密性があったと言うのは日本政府の詭弁で、関係者はすべて情報を共有可能な状況にあったからだ。しかし海上保安官は国土交通大臣がビデオを外部に漏らしてはならないと指示
した後で漏洩させたことで、公務員として責任が問われているのだが、それよりも保安官を英雄視する声が圧倒している。これは国民の理性を超えた国民感情の強さが現れた結果であろう。
これまで国家権力は、すべての情報を独占し、恣意的に情報を操作することで成り立ってきた。江戸時代の昔から、権力側は常に「よらしむべし、知らしむべからず」の精神で、民衆を為政者に従わせてきた。真の情報には一切触れさせないことが国家統制の肝で、それをできる人物だけが権力を握ってきた。
警視庁が長年かけて集めた国際テロの捜査情報が一瞬にしてネットに流出・拡散した事件も同じことで、極秘情報の蓄積という警察組織の威厳は見事に崩れた。ネット社会の異様な発達で国家権力そのものの意味が薄れてしまった。
今のネット社会は、動画投稿サイトやファイル交換ソフトがめまぐるしく発展し、誰もが匿名で国家機密すら漏洩できてしまう時代になった。一度漏れた情報はすさまじい勢いで拡散し、国家権力側も手の施しようがない。あの中国も例外ではない。
今回の衝突映像流出を引き金に、日本でもネット情報に一国の政府が揺さぶられ今やその対策に大わらわである。
もはや、ネット社会の前では、情報の独占も権力も形無しで、この国は為政者が存在しているようで存在しない無政府状態に陥っている。
このようにネット社会が広く急速に浸透していく現在、インターネットが世界のありようを大きく変えようとしている。軍事に限らず、個人情報、生命、財産すべからくネットに依存していくであろうこの社会は、情報支配をめぐって、国と国、国と個人、個人と個人の闘いが顕在化する予兆をはらんでいる。
政治はある意味では情報戦であるから、権力側は情報操作に力を入れる。真実を隠し、もっともらしい嘘を流して大衆を操作し、世の中を都合良く動かそうとする。その手先となるのがメディアだが、反面メディアは情報操作の裏を暴いて真実を明るみに出す事もある。
政治は敵対する権力が争い合う世界であるから、真実を隠し続けるのも難しく、いつかは必ず明るみに出るものだ。権力が定期的に交代する民主主義社会ではそれが可能になる。ところが我が国のように単独政権が長期に及び、百年以上も官僚が支配してきた国家では「秘密は墓場まで持っていく」のが習わしである。
その点、アメリカでは保管されている公文書は、秘密がつきものの政治と外交の機密事項がのちに時期が来れば国民に公開されることになっている。それが民主主義の根本であるという思想が示されている。国民の税金を使って集めた情報や政治の記録は、最後は国民に還元される。民主主義は「真相を墓場まで持っていく」事を許さない。その情報開示の解禁がおおむね30年後とされている。そのアメリカが、アップデートの機密事項を暴露するウィキリークスに手を焼いている。そこには国益もプライバシーも眼中にない過激なネット社会の縮図がある。
わが国では沖縄返還交渉の「密約問題」で分かるように、アメリカ政府が明らかにした事を日本政府が否定し続けるというおかしな事が続いてきた。その際、日本のメディアは日本政府が否定するのを糾弾せず、日本政府が認めるまでは断定的に書かない立場を取ってきた。権力側が認めない事は書かないのが日本のメディアの伝統でもある。
you-tubeで公開された尖閣事件のビデオ流出問題では、流出させた海上保安庁の保安官が名乗り出るまでは、国も報道機関も犯人捜しに明け暮れた。
あのビデオに秘密性があったと言うのは日本政府の詭弁で、関係者はすべて情報を共有可能な状況にあったからだ。しかし海上保安官は国土交通大臣がビデオを外部に漏らしてはならないと指示
した後で漏洩させたことで、公務員として責任が問われているのだが、それよりも保安官を英雄視する声が圧倒している。これは国民の理性を超えた国民感情の強さが現れた結果であろう。
これまで国家権力は、すべての情報を独占し、恣意的に情報を操作することで成り立ってきた。江戸時代の昔から、権力側は常に「よらしむべし、知らしむべからず」の精神で、民衆を為政者に従わせてきた。真の情報には一切触れさせないことが国家統制の肝で、それをできる人物だけが権力を握ってきた。
警視庁が長年かけて集めた国際テロの捜査情報が一瞬にしてネットに流出・拡散した事件も同じことで、極秘情報の蓄積という警察組織の威厳は見事に崩れた。ネット社会の異様な発達で国家権力そのものの意味が薄れてしまった。
今のネット社会は、動画投稿サイトやファイル交換ソフトがめまぐるしく発展し、誰もが匿名で国家機密すら漏洩できてしまう時代になった。一度漏れた情報はすさまじい勢いで拡散し、国家権力側も手の施しようがない。あの中国も例外ではない。
今回の衝突映像流出を引き金に、日本でもネット情報に一国の政府が揺さぶられ今やその対策に大わらわである。
もはや、ネット社会の前では、情報の独占も権力も形無しで、この国は為政者が存在しているようで存在しない無政府状態に陥っている。
このようにネット社会が広く急速に浸透していく現在、インターネットが世界のありようを大きく変えようとしている。軍事に限らず、個人情報、生命、財産すべからくネットに依存していくであろうこの社会は、情報支配をめぐって、国と国、国と個人、個人と個人の闘いが顕在化する予兆をはらんでいる。
2010年12月7日火曜日
見果てぬ夢
今年は猛暑のせいか海水温がまだ高い。11月末南房総白間津で1.2kgのシマアジを釣り、翌日は10号ハリスを切られるオオカミ(シマアジの10kgオーバーの老成魚)に遭遇し、悔しい思いを残したまま、今月に入り定宿の金沢八景野毛屋でフグをやることにした。
通常なら10月ごろに東京湾内房の大貫沖に海苔棚が設置され、この海苔を食べに回遊してくる多くのショウサイフグでにぎわうのであるが、どういうわけか今年はこのよりフグが少なく、船宿も気をもんでいるところに、11月半ばころから、港のすぐ沖で、トラフグと並んで味の上位にランクされる、アカメフグ(正式には彼岸フグ)が大量に釣れているというので、最近作った自作のフグ竿の調子を見るために半年ぶりに、混雑を避け、平日の月曜に来てみたら結構釣り客が来ていた。
さてその釣果はキロオーバーのアカメが4匹、それ以下が2匹にショウサイフグが2匹、船上でさばき、2~3日冷蔵庫に寝かせて、居酒屋に持っていく手はずになっている。
アカメ ショウサイ
フグを食す文化は古く、江戸時代からあり、フグにまつわる俳句も多くある。
ふぐ食わぬ奴にはみせな 富士の山 一茶
河豚くうて 尚生きてゐる 汝かな 虚子
河豚汁や 鯛もあるのに 無分別 芭蕉
湾フグ釣りの歴史は今から 30~40年前にさかのぼる。八景野毛屋の今は無き先代の親父が、神奈川県で最初に始めたそうである。
やがてそれが東京湾エリアから湾奥エリアに広がったそうだ。湾奥エリアでは浦安吉野屋あたりが、神奈川の船宿に釣り方のノウハウを聞きに行ったそうで、これが約30年前のことで、最近では相模湾の船宿沖右衛門の船頭が教えを乞いにきたらしい。そんなわけで釣り自体の歴史は新しい部類であろう。野毛屋は先代の時から通っており、店には私の鯛の彫刻が今でもある。
最近ではフグの釣り人口も増え、それに付随してタックルは驚くほどの進化を遂げでおり、その殆ど全ては熱心な釣り人が、船宿の船長の助言を受けながらコツコツ開発した跡がうかがえる。最近では船宿特注の竿も多く出回っている。また仕掛けについても甘エビを2匹付けて釣っているが、餌の状態が悪いと見向きもしないグルメな魚でもある。
釣りの中でもカワハギとならんで難易度が非常に高いこの釣りは、神経質で繊細なこの魚の特質に由来しており、その当たりはよほど注意して穂先を見ていないと分からないほど、非常に小さい当たりをキャッチする竿が要求される。
写真の竿は最近作った2.07mの自作の和竿であるが、20本近く作ったフグ竿の集大成のもので、穂先の感度と大物を釣り上げた時のしなり具合と強度が申し分ない結果を得た。仕上げは緑の色漆で、中央部に蒔絵を施した。そこで一句、
覚めやらぬ 夢を水面に 糸を垂れ 創雲
見果てぬ夢
2010年11月27日土曜日
岡目八目
岡目八目と言う言葉がある。
事の当事者よりも、第三者のほうが情勢や利害得失などを正しく判断できること。囲碁から出た語で、碁をわきから見ていると、実際に打っている人よりも、八目も先まで手を見越すという意から。▽「岡目」は他人がしていることをわきで見ていること。「目」は碁盤の目の意。「岡」は「傍」とも書く。
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亡命中国人が対他的に中国並びに日本の状況を的確に述べているのは、まさに岡目八目である。
今年7月に出版された邦訳の『暴かれた中国の極秘戦略』(中国語『台湾大劫難』)のプローモーションのために来日した亡命中国人作家で法学者の袁紅冰(ユァン・ホンビン)氏が日本での講演会で、まもなく日本が直面する危機について警告した。その中で氏は「日本よ、魂ある国を立て直そう」とメッセージを残している。
大紀元日本にその記事が載っているので御紹介しよう。
【大紀元日本10月29日】「桜は咲き続けているが、日本の武士道精神はすでに凋落してしまった。第二世界大戦後、日本は魂のない国、経済的な機能だけの存在に堕落してしまったのだ。物欲だけにコントロールされる道をそのまま進めていくと、日本はいつの日か行き詰まり、滅びるだろう」
80年代に北京大学の法学部で教鞭を執っていた同氏は、89年の天安門学生運動を支持したため、北京から地方に放出された。2004年、貴州師範大学法学部の学部長を務めていた時、訪問中のオーストラリアで政治亡命。現在シドニーに在住し、政治や文学などの創作活動と中国の民主活動を行っている。
昨年台湾で出版された『台湾大劫難』を通して同氏は、自由が脅かされている台湾の危機を警告している。「市場一体」を経て「政治統一」を図ることで中共は戦わずして台湾に勝ち、2012年には民主体制の台湾を共産党中国の統治下に納めるという。また、中共のこの野心、台湾だけには留まらないという。日本での今回の講演の中、同氏は、近くに出版する新書『台湾大国策』の内容として、中共が画策する日本を含む世界支配の野心についても紹介した。
◆アジアへの野心:標的は台湾、インド、そして日本
講演によると、2008年、胡錦濤主席は「21世紀における中国の使命と国際地位」と題する談話を発表し、共産党中国が今世紀のうちに世界をリードし、米国に代わって国際的な行動基準を作り上げるとする国策を述べたという。この詳細については、新書『台湾大国策』で紹介しているとのこと。
同氏によると、世界支配を目指す中共の野心を実現するため、中共の軍部内では「超限戦」という新しい「戦争」の概念と戦略が呈示されているという。それは通常の武力戦のほかに、グローバリゼーション時代に特徴的な「戦争」である外交戦、諜報戦、金融戦、ネットワーク戦、文化戦、心理戦、メディア戦など様々な方法が含まれたもので、それらの新しい戦いは、軍人と非軍人を明確に区別しないとする考え方に基いている。また単に戦争手段の多様化だけではなく、それに対応する安全保障政策や戦略の研究の必要を主張しているという。
その文化戦とメディア戦の一例として同氏は、中共が世界各地に孔子学院を設立していること、中国問題の専門家や漢学者を次々に買収していることなどを紹介した。また、各国の中国語新聞のほとんどを中共がコントロールしているほか、各国の自国メディアに対しても中共の意向が浸透していると指摘する。
その拡張戦争において中共は、台湾、インドおよび日本を最優先のターゲットにしているという。同氏によると、中共政権は台湾問題とチベット問題を国家利益の重点としており、そのために必要不可欠である台湾、インド、日本との外交上の戦略を優先的に立てているとする。
しかし、その目的は領土上の利益ばかりではない。中国人は西洋の民主自由体制に適合しないという主張を常に唱えてきた中共政権は、同じ中国人でありながら民主体制を取っている台湾を、中共の独裁統治に最大の脅威として見ていると袁氏はいう。その上で同氏は、2012年秋の18期共産党大会を控えている中共政権が、台湾の自由民主制度を潰すという目標を国家戦略の最優先にしていると述べる。
◆対日戦略:日米同盟を分裂させ、尖閣諸島は譲らぬ
それに関連して、アジアの民主勢力のなかで最大の存在である日本には、台湾問題に干渉させないことを第一として対日戦略を立てているという。その主な内容は、日米関係を分裂させること、日本にとって「有利」である戦略的互恵関係を結ぶことの2点。
北京大学で勤めた際、陳昊蘇氏(60年代に中国の外相を勤めた陳毅将軍の息子)と会談したことがあり、その際に陳氏から直接聞いた話として、鄧小平氏の対日外交戦略の目的は日米同盟を分裂させることであったと述べた。それを実現するカードは、広島と長崎への原子爆弾投下の歴史を使って米国に対する日本国民の恨みを煽ること、および中国大陸の資源とマーケットに依存する日本の経済状況を利用することであるという。
さらに、日本と戦略的互恵関係を結び、北方領土問題において中国が日露間の仲介役を果たし日本に味方する立場を取る、東シナ海ガス田問題に関して日本に譲歩する姿勢を見せる、日本の国連安保理入りを支持する、という3点について日本支持のスタンスを見せかける。
一方、尖閣諸島問題は、決して譲らない姿勢を取る。その真の目的は、国家の領土への関心ではなく、尖閣諸島の領有権を主張する台湾に対して外交上の連帯感をアピールし、台湾の国民党政権を丸呑みすることにあると袁氏は主張する。先日起きた尖閣諸島沖の漁船衝突問題について、中共内部における闘争が外交上の不一致を起こさせたものとする見方もあるが、同氏の見解によれば、台湾の馬英九政権に見せかけるための戦略の一環であるという。
◆中共に対抗し、日本精神を立て直せ
民主自由の台湾を潰し、中国本土での独裁政権を固めながら、世界支配を実現していく。そうした中共の野望の前に、台湾の自由が奪われる危機を傍観するだけの日本と世界には、遠からず自分自身に危機が迫ると袁紅冰氏は警告する。
哲学者の洞察力と法学者の理智をもつ同氏は、作家で詩人でもある独特な語りのスタイルで、日本の武士道精神に対する憧れについても触れた。
「日本国の精神である武士道から、私は孔子の教え、孟子の英雄の気概、墨子の天下衆生を普く愛する侠気を思い出す」
しかし、このような「豊富な精神内包がある日本国の魂」は、第二次世界大戦では間違った方向へ利用されてしまったと袁氏はため息をつく。「人々を苦難から救うのではなく、他国への侵略で多くの人に苦難を与えてしまった」
「第二次世界大戦後、日本は魂のない国に化してしまった。歴代の日本の首相や政治家はすでに、中国を含めた各国に、先の大戦で犯した罪について謝罪と懺悔(ざんげ)を幾たびも行って来た。中国共産党の強権主義と膨張的野心が世界に災難をもたらそうとしている今こそ、日本は自由民主と人権を守る人々を支持し、自国の武士道精神を立て直すことが本当に意味のある懺悔になると私は思う。しかし、今の日本は、明確かつ堅実な国家の意思と政策に欠けているように見える。日本は自国の前途、世界の前途に対して全貌的な認知に欠けていると思う。今のまま目先の経済的利益に振り回され、中共にコントロールされてしまうとすれば、日本はますます恥を重ねる道に陥ってしまうからだ」
中国人として自国を愛し祖国の文化を立て直したいとの本音を語りながら、袁氏は日本に、中共の強権政権と対抗する中で、自国の伝統的精神を立て直していくことを願うという。「日本は武士道精神を立て直し、自由と真理の味方になるよう切に願う」と、詩人の熱い口調で同氏は語った。
以上大紀元より
さてわが国は、どこに進むのか?共産党一党独裁の中国の属国になり下がるのか、
それとも戦後骨抜きにされた米国との同盟関係をあらゆる意味で立て直し、将来脅威になる中国と対峙するのか、この国のかじ取りはまさに綱渡りである。
2010年11月20日土曜日
薬の効用
漢方は体全体のバランス療法で西洋医学は対症療法という認識が私にはある。
最近カミさんと娘が韓国済州島へ行ってきて、私のお土産に2万円以上もする冬虫夏草なるものをもらった。大きな容器に入っており、1日10粒飲んで半年分だそうだ。かねがね噂は聞いていたが、まさかこのような高価な物を買ってくるとは思いもしなかった。
効能を読むと、冬虫夏草は、18種類のアミノ酸をはじめ、ビタミン、ミネラル類多糖体、ステロール類、マンニトールなどの有効成分が含まれており、滋養強壮や免疫力の向上、エネルギーの代謝を高め、生活習慣病の改善や,前立腺機能の向上、癌予防など色々書いてある。俺の前立腺を向上させてどうするんだあ~。(笑い)
お言葉に甘えて健康のために1日10粒寝る前に飲むことにしている。冬虫夏草の効果については、中国では清の時代から生薬として珍重されてきて、高価な漢方薬として古来生産されてきて、韓国では国を挙げてこの生産地である済州島の民俗村を保護している。
左の写真は済州島にある民俗村の1民家。この屋根は茅葺きで、この茅は毎年重ねていくそうだ。7年経ったら全とっかえ。
この茅の中から冬虫夏草が取れる。
冬虫夏草は、昆虫に寄生して生育したキノコであるが、厳密には、コウモリガの幼虫に寄生したキノコを指す。人工栽培も行われているが、なかなか難しいようだ。自然の冬虫夏草は、四川省、青海省、雲南省、チベットなど海抜3000~5000mの地帯で採取され、価格ももちろん高く、とくにSARS(新型肺炎)が流行して以来、値上がりが続き、安いものでも1kg=60万以上、高価なものは1kg=1000万以上もするらしい。。
過去に1993年の8月、ドイツのシュッツガルトで開催された世界陸上選手権で、馬俊仁コーチの率いる中国選手たちが世界の強豪を相手に1500メートルで金メダル、3000メートルで金銀銅を独占、1万メートルでも金銀を獲得した。また、同年のスペインで開かれた第5回ワールドカップ大会の女子マラソン競技では、トップから4位まではすべて馬コーチが指導した中国選手が独占した。
当時、「馬軍団」として有名になった中国選手たちの強いパワーは秘密のスタミナ・ドリンクにあることが世界にも報じられ、そのドリンクのなかには冬虫夏草が入っていて、それで冬虫夏草も馬軍団という呼び名とともに一挙に世間で脚光を浴びて有名となってきた。
そんな快挙に夢馳せて、飲んで半年後の結果は、乞うご期待となるか.....?
2010年11月9日火曜日
弱り目に祟り目
最近の報道によると、中国に続いてロシアも不穏な動きを現わしてきた。中国の尖閣諸島への領海侵犯に対する日本の情けない対応ぶりを見て、期に乗じて、おれたちも北方4島の実効支配をアピールする時とばかり、メドベージェフ大統領がわが国の反対を押し切って国後島を視察した。
思えば9月末に、メドベージェフ大統領が中国を訪問し、胡錦濤国家主席との間で終戦65年に関する共同声明に署名。対日戦で共闘したとの歴史認識を中国は尖閣諸島、ロシアは北方領土の領有権主張につなげる伏線があった。
大東亜戦争末期、日本の敗戦が色濃くなった時、両国間で有効であった日ソ中立条約を一方的に破棄してソ連は参戦してきた。
そして日本は8月14日に中立国を通して降伏を声明したが、その降伏後に日本の領土である北方4島を力ずくでソ連は占領した。
またソ連は武装解除した日本兵の帰還を保証したポツダム宣言に背いて、65万人に上る将兵を極寒のシベリアへ抑留した。そのような極悪非道な国が当時のソ連でありその末裔が今、自国領土だと言い張って臆面もなく国後へやってきた。
北方四島は戦争で失った領土ではなく、裏切り者が火事場泥棒で力ずくで奪った我が国の領土であることは明確である。
そのような過去の経緯をみると、ハイエナのように虎視眈眈とわが国の弱体化した政治と米国とのギクシャクした関係を見てとってロシアが行動を起こしてきたことは想像するに難くない。
過去に日本が北方領土の一部(具体的には歯舞・色丹)を取り戻すことは、可能だった。1956年日ソ共同宣言の最重要内容は、「日ソ両国は引き続き平和条約締結交渉を行い、条約締結後にソ連は日本へ歯舞群島と色丹島を引き渡す」という部分であり、プーチン前大統領(現首相)もこの宣言の有効性を認めているので、「2島」を取り戻すことはできた。しかし、対立点は「残りの大きな2島(択捉島・国後島)」はどうするの?」ということ。ロシア側は、「2島返還で決着する」(つまり残りの2島は返さない)としている。
これは日本にとって受け入れがたく、交渉は一向に進展しないままその後、日本は日ロ平和条約の締結条件として一貫して北方四島の返還を求めてきた。
2000年に就任したプーチン大統領は04年、平和条約の締結を条件にして歯舞諸島と色丹諸島の返還意向を示したが、日本側に拒否されたのが過去の経緯である。
9月の中国漁船と日本海上保安庁の巡視船の衝突事故騒ぎがあったタイミングで国後島を視察したことはロシア側には、日本政府の対応を見て、北方領土を訪問しても、日本政府は何もできないだろうという目論見があったが、そのとおりになった。せいぜい駐露大使を4~5日帰還させただけである。
西に中国、北にロシア、東に米国に取り囲まれたわが国の地政学上の位置は非常にきわどいところにある。
2010年11月4日木曜日
アートな話「芸術探訪」
東京都現代美術館
久しぶりに東京に出た。首都圏の片田舎に住んでいるものとしては、娘に会いに行くか、特別な用がない限りめったに東京には出かけない。
今、気になる展覧会とイベントを見に行ったので、ここで2つほど紹介してみよう。
◆東京都現代美術館 「東京アートミーティング トラスフォーメーション」
『対称性人類学』などで知られる人類学者 中沢新一とキュレーター長谷川裕子の共同企画で始まった内外のアーチスト、映像作家による企画展が来年の1月30日までの日程で開催されている。場所は地下鉄半蔵門線白河清澄駅から徒歩8分。
展覧会の概要は次のように述べられている。
「生きることは変わること。細胞や知識の更新、時代、環境との出会い、また想像力によって、日々私たちは変わっていきます。
この展覧会は、「変身-変容」をテーマに人間とそうでないものとの境界を探るものです。古今東西、変身をテーマにしたイメージや芸術は多くつくられてきました。
特に日本においては、昔話から現代の漫画やアニメのキャラクターに至るまで、豊かなイメージが溢れています。では今、なぜ「変身-変容」なのか?インターネットやグローバル経済、テクノロジーの発達によって、従来の社会に属する「人間」という形がぶれはじめ、その存在には、かつてないほどの多様性が生まれつつあります。本展では、動物や機械、想像上の生き物、異なる遺伝子組成をもつ体など、人とそうでないものの間を横断する多様なイメージが、絵画、彫刻、映像、アーカイヴ、
シンポジウムなどを通して展開されます。そこで表現される「変身-変容」する形は、私たちの夢や希望、おそれをひとつの予兆として映し出します。1980年代から現在にわたり15カ国21組のアーティストたちによってつくられた作品を通して、今、変わることの可能性と意味を伝えます。」
東京アートミーティングとは
現代アートを中心に、デザイン、建築などの異なる表現ジャンル、およびその他の専門領域が出会うことで、新しいアートの可能性を提示します。第一回目は、「トランスフォーメーション」のテーマのもと、アートと人類学が出会います。東京藝術大学とも連携し、「東京藝大トランスWEEKS」として、将来世代の育成を図るための展示、パフォーマンス、シンポジウムなどを開催します。
アクリル絵画もさることながら、展示の半数以上を占める映像作品は、プレゼンの方法が多種多様で、CG,アニメ、音響、造形のイリュージョンありで、特にAES+Fというロシアのグループ制作で<最後の暴動2>という作品は、部屋いっぱいに屏風のように置かれた3つの巨大スクリーンから迫ってくる映像は圧巻だった.
またスイスの映像作家のピピロッティーリストの作品は天井と床に映し出された映像を寝ころんでみたり、床下をのぞき込んだりして見せる空間のイリュージョンも印象に残った。
各会場ともカーテンの入り口で仕切られ、一つのアートな世界を繰り広げている。
一部日本の浮世絵に見られる歌川国芳のだまし絵の様なアニメーション シャジアシカンダーの<ネメシス>なども印象に残った作品である。また立体彫刻も数は無かったが、変容をテーマにした興味深いものが見られた。
一方、常設展では戦後の美術会を引っ張ってきた読売アンデパンダンの過去に見覚えのある作品が多く出品されていた。合わせて見ると現代アートは、今やタブローから抜け出た映像と音響の総合アートに変容していく様を目の当たりにし、隔世の感があった。
◆東京芸大 アートプロジェクト
次に回ったのは、東京下町の下谷神社会館で行われた、東京芸大企画のギャラリートーク「噺家と彫刻家のトーク」と題して、現役の芸大生が、寄席発祥の地、下谷を舞台に若手落語家をモデルにいろいろな素材でその人を彫刻してもらおうという企画で、会場では彫刻作品を前にモデルの噺家と像を造った作者との制作談義が繰り広げられた。この企画、彫刻アートプロジェクトは、台東区と東京芸大の彫刻科が連携を組んで大学から町に飛び出して、大学授業と地域交流を主眼とする試みであり今年で4回目を迎えるそうだ。
現代アートがタブローから映像に変容していくように、彫刻も密室の制作から街に出て制作するのも、ある種変容ではなかろうか?
久しぶりに東京に出た。首都圏の片田舎に住んでいるものとしては、娘に会いに行くか、特別な用がない限りめったに東京には出かけない。
今、気になる展覧会とイベントを見に行ったので、ここで2つほど紹介してみよう。
◆東京都現代美術館 「東京アートミーティング トラスフォーメーション」
『対称性人類学』などで知られる人類学者 中沢新一とキュレーター長谷川裕子の共同企画で始まった内外のアーチスト、映像作家による企画展が来年の1月30日までの日程で開催されている。場所は地下鉄半蔵門線白河清澄駅から徒歩8分。
展覧会の概要は次のように述べられている。
「生きることは変わること。細胞や知識の更新、時代、環境との出会い、また想像力によって、日々私たちは変わっていきます。
この展覧会は、「変身-変容」をテーマに人間とそうでないものとの境界を探るものです。古今東西、変身をテーマにしたイメージや芸術は多くつくられてきました。
特に日本においては、昔話から現代の漫画やアニメのキャラクターに至るまで、豊かなイメージが溢れています。では今、なぜ「変身-変容」なのか?インターネットやグローバル経済、テクノロジーの発達によって、従来の社会に属する「人間」という形がぶれはじめ、その存在には、かつてないほどの多様性が生まれつつあります。本展では、動物や機械、想像上の生き物、異なる遺伝子組成をもつ体など、人とそうでないものの間を横断する多様なイメージが、絵画、彫刻、映像、アーカイヴ、
シンポジウムなどを通して展開されます。そこで表現される「変身-変容」する形は、私たちの夢や希望、おそれをひとつの予兆として映し出します。1980年代から現在にわたり15カ国21組のアーティストたちによってつくられた作品を通して、今、変わることの可能性と意味を伝えます。」
東京アートミーティングとは
現代アートを中心に、デザイン、建築などの異なる表現ジャンル、およびその他の専門領域が出会うことで、新しいアートの可能性を提示します。第一回目は、「トランスフォーメーション」のテーマのもと、アートと人類学が出会います。東京藝術大学とも連携し、「東京藝大トランスWEEKS」として、将来世代の育成を図るための展示、パフォーマンス、シンポジウムなどを開催します。
アクリル絵画もさることながら、展示の半数以上を占める映像作品は、プレゼンの方法が多種多様で、CG,アニメ、音響、造形のイリュージョンありで、特にAES+Fというロシアのグループ制作で<最後の暴動2>という作品は、部屋いっぱいに屏風のように置かれた3つの巨大スクリーンから迫ってくる映像は圧巻だった.
またスイスの映像作家のピピロッティーリストの作品は天井と床に映し出された映像を寝ころんでみたり、床下をのぞき込んだりして見せる空間のイリュージョンも印象に残った。
各会場ともカーテンの入り口で仕切られ、一つのアートな世界を繰り広げている。
一部日本の浮世絵に見られる歌川国芳のだまし絵の様なアニメーション シャジアシカンダーの<ネメシス>なども印象に残った作品である。また立体彫刻も数は無かったが、変容をテーマにした興味深いものが見られた。
一方、常設展では戦後の美術会を引っ張ってきた読売アンデパンダンの過去に見覚えのある作品が多く出品されていた。合わせて見ると現代アートは、今やタブローから抜け出た映像と音響の総合アートに変容していく様を目の当たりにし、隔世の感があった。
◆東京芸大 アートプロジェクト
次に回ったのは、東京下町の下谷神社会館で行われた、東京芸大企画のギャラリートーク「噺家と彫刻家のトーク」と題して、現役の芸大生が、寄席発祥の地、下谷を舞台に若手落語家をモデルにいろいろな素材でその人を彫刻してもらおうという企画で、会場では彫刻作品を前にモデルの噺家と像を造った作者との制作談義が繰り広げられた。この企画、彫刻アートプロジェクトは、台東区と東京芸大の彫刻科が連携を組んで大学から町に飛び出して、大学授業と地域交流を主眼とする試みであり今年で4回目を迎えるそうだ。
現代アートがタブローから映像に変容していくように、彫刻も密室の制作から街に出て制作するのも、ある種変容ではなかろうか?
2010年10月30日土曜日
親子三代身を持ち崩す
日本には親子三代身を持ち崩すという言葉があるが、北朝鮮もいよいよ最後のステージに入ったようだ。【ソウル時事】によると韓国大統領の諮問機関、民主平和統一諮問会議の李基沢首席副委員長はベルリンで25日に講演し、北朝鮮の金正日労働党総書記の長男正男氏が北朝鮮の体制崩壊の可能性を念頭に置いているとの話を聞いたことを明らかにした。
李氏は先月マカオを訪問した際、正男氏と親密な関係者から、金総書記から三男正恩氏への権力世襲に対する正男氏の考えを聞いた。
この関係者が「父親の体が悪いのになぜ平壌に行かないのか。バトンタッチしに行く必要があるのでは」と問うと、正男氏は「バトンタッチするのは嫌だ。(北朝鮮は)滅びるのに。長続きすると思うか」と答えたという。 時事通信 10月26日(火)14時20分配信
北朝鮮は今月、平壌で朝鮮労働党創建65周年を記念して軍事パレードを行い、金正日総書記と、後継者に事実上決定した三男の金正恩(キム・ジョンウン)がパレードを観閲した映像が記憶に新しい。
北朝鮮の今回の一連の権力人事は、金正日総書記の後継者として3男の金ジョンウン氏を公式に登場させ、金総書記の妹の金敬姫・張成沢夫妻を権力中枢に配置したことなど、あらためて政権の“家族支配”を世界に見せしめた。
日本の戦国の世にもよくあったことだが、この体制を見れば北朝鮮がいかに内紛の危機にさらされているかが想像できる。
北朝鮮は「金日成誕生100年」と「金正日誕生70年」が重なる12年を「強盛大国の大門を開く年」としてきた。北朝鮮にとって12年は“3代の権力”を祝う一大祝賀イベントの年となる。
12年は韓国、米国、中国、ロシアも大統領選などで政権交代期を迎える。世襲永久独裁の北朝鮮に政権交代はないが、影響力を持つ周辺国の政権や政策には変化があるだろう。
核開発問題、ミサイル発射実験等で国際社会から非難を受けながら、注目を集めている北朝鮮、それにより経済制裁などを受けながら国際社会からますます孤立化して行く北朝鮮、今の北朝鮮は通貨暴落で超インフレ、食糧難と飢餓は極限に達している。正に経済崩壊寸前である。
さらに近年携帯電話の普及とヤミ・ビデオで韓国の実情が広く知れ渡り始め、個人あたりの韓国とのGDP(国内総生産)比は、韓国$28,000.00に対して北朝鮮は$1,900.00、15分の1であることなどから、経済崩壊が刻々と迫る中で、もはや人民としてではなく、動物として自由と食糧を求めて韓国と中国の国境を越えて何十万、何百万がなだれ込む可能性は日一日と高まっている。このことは中国も韓国も一番恐れていることで、少なからず援助の手は差し伸べてきた。そうなるとわが国も対岸の火事では済まなくなる。
そんな中、衝撃的な報告書が、最近発表された。約2400万人の北朝鮮の人々のうち2割、500万人前後が、すでに飢餓によって死亡した可能性がある、というものだ。これは、韓国の仏教系NGOが、昨年10月から4ヶ月かけて、北朝鮮から延辺に逃げてきた難民500人弱に聞き取り調査をした結果である。難民たちに「あなたの家族で、1995年以後に餓死したり、病死したりした人は何人いますか」といった質問をしたところ、対象者の家族のうち、30%近い人々が死んでいたことが分かった。この比率を北朝鮮全体に広げると、500万人という数字が推定できる、としている。
1、デノミの失敗
2009年11月末に北朝鮮国内で行われたデノミ、旧通貨と新通貨の交換比率は100:1で、交換できる上限額は、各世帯の月々の生活水準とほぼ同じ10万ウォンであり、それ以上のお金を保有している場合、紙幣は紙くずとなった。
今回のデノミは、国が物資の流通をより厳格に管理する狙いに加え、金正日総書記の後継体制の構築に向けて、貧富の格差に対する不満解消や、特権層の不正蓄財のあぶり出しなど、政治的な狙いも指摘されている。しかしこのデノミがうまく行かず失敗になったという報道もあり、デノミ実施の責任者である某幹部が銃殺されたという。
デノミの目的としてはインフレ抑制や計画経済への回帰を狙ったとみられるが、逆に物価暴騰や流通の停滞を招いてしまった。
2、年々増えている脱北者
脱北者は、政治的な理由で亡命した者から、生活苦で国外へ逃れた者へと変質している。2004年には韓国に亡命した脱北者が累計6,000人を超え,そして、2007年2月16日に遂に1万人を超えたと韓国統一部当局者が明らかにした。
将軍様と2日後に死亡した脱北者
人間飯が食えない状況下では将軍様もクソもない。
現在、韓国と北朝鮮との経済格差はおおよそ12:1と換算されており、民族統一の念願は無理難題であるし、韓国経済そのものが持ちこたえられないだろう。
そんななかで韓国の対北朝鮮支援団体「良い友達」は今月、北朝鮮の朝鮮労働党が住民への食糧配給や企業所 (生産組織)への物質供給を中断すると宣言し、各企業所単位で「自給自足」するよう指示したと明らかにした。
ヤミ市場の取引規制を撤廃し、個人による対中国貿易も認めたという。「食糧や原料・資材不足に伴う当面の措置」としているが、事実ならば政府の市場統制を放棄したともいえる。
「良い友達」によると、現状について「困難な食糧事情により国家はこれ以上どんな措置も取れなくなった」と指摘している。 いよいよどん底に直面してきた。
いずれの場合も崩壊は内部から進んでくる、3代目の北朝鮮崩壊の足音が近付いてくるようだ。
2010年10月27日水曜日
地獄の釜
中国 武漢市
最近、欧米の主要各紙が、中国資産のバブル化についての分析記事を相次いで発表している。その中で、2010年には中国経済の成長ペースが急減し、経済破たん へと進む恐れがあると述べ、その根拠として、「4兆元(52兆円)景気刺激政策による2009年の驚異的な中国景気の回復は、資産バブルの上に立つ蜃気楼に過ぎないからだ」と、述べている。
また、このところ中国各地の地方都市で住民とテナントのいない新しい町、ゴーストタウン出現の話などが大紀元日本社で取りざたされ始めている 。
大紀元(だいきげん、)は、ニューヨークの中国語 新聞,で華僑が作った新聞で、。日本では東京都台東区に事務所を置き、中国語版を2001年、日本語版を2005年から発行。東京都の秋葉原駅周辺の路上で紙面の無料配布などの宣伝活動をしている。
同紙は中国政府のいかなる検閲をも受けていないことを強みとしており、中国共産党政府による中国国民や気功集団「法輪功」やチベット、ウイグル等の少数民族の人権弾圧に関する問題、中国国民の中国共産党からの脱党支援活動、中国共産党のスパイ活動、中国の民主化について盛んに報じるなど、反中国共産党政府の報道姿勢に立っている。
それによると、人のいないゴーストタウンが全国で数万に達するのではないかという情報もあるが、これもまた、何が何でも8%成長を続けるのだという中国政府の焦りの気持ちがもたらした結果ではないかと思われる。現在の中国の国民総生産(GDP)の50~60%を占めているのは建設業で、中国政府は、これからも高層マンションや巨大なタワービルの建設計画を進めようとしてい
るようなので、まだしばらくは、作り物の好景気は続き、バブルはさらに膨張することになるのかもしれないが、遠からず破綻がやって来ることは歴史を見ての通り。
【大紀元日本3月5日】 今年に入ってから、著名投資家が相次いで中国不動産のバブルが崩壊すると警告している。1月に「逆張り」で有名な投資家のジェームス・チャノス氏が、「中国の不動産バブルの危険度はドバイ信用危機の1000倍」と発言。2月には、米国の不良債権化した不動産ローンの処理を専門とするジャック・ロッドマン(Jack Rodman)氏が、北京の商業用不動産ビルの空室
率は50%に達しており、中国不動産市場のバブル崩壊が近づいていることを指摘。不動産バブルは対外輸出と並んで中国の成長エンジンであり、忍び寄るバブル崩壊に、成長失速から共産党政権崩壊へという恐怖のシナリオが垣間見える。
最近の記事では、元共産党高級幹部の退役高官23名がネット上で公開状を出し、言論や出版の自由を訴えた、ことの発端は、最近中国の温華宝首相がCNNのインタビューに答え、「憲法で保障された言論の自由はいかなる国にとっても不可欠で民主自由を望む人々の心は拒めない。」と発言したことを中国のメディアに削除された点を非難している。最近ではノーベル平和賞を貰った反体制作家、劉暁波氏のニュース報道の各国の映像が一時的に遮断され真黒の画面が印象的だった。
公開状にはメディアの独立 記者への締め付けの禁止 ネット内容の勝手な削除の禁止、ネット閲覧の制限の解除などが述べられている。また最近の中国共産党内の軍部の発言力は強大になり、戦時中のわが国の軍部主導の政治体制に似た危険性をはらんでいる。今回の尖閣諸島の一件も軍部の突き上げが想像されるところだ。
今や中国軍は、情報戦争の専任部隊を設置し、敵のコンピューターシステムを攻撃するためにウイルスや、自らのネットワークの防御策の開発を担う。『戦闘活動の実施に不可欠な情報に敵がアクセスできないようにする』ことを目的とし、サイバー攻撃能力の確保に日々勤しんでいる。「米国など軍事力が上回る敵に対して、相手の弱みをついた非対称戦争で対抗するという中国の大局的な目標に沿ったものだ」ということも述べられている。
◆ 危うい中国の経済成長
世界同時不況で対外輸出が大きく落ち込むと(2009年通年でマイナス19%)、中国政府は世紀の大ばくちに打って出た。世に言う「金融緩和策」を打ち出したのだ。その結果、2009年通年の国内新規融資額は前年比96%増の9兆6千億元(約126兆円)に膨らんだ。
この新規融資の多くが不動産投機に流れて、今度は史上最大幅の不動産価格の暴騰を招いた一方、実態経済とかけ離れた大量の貨幣発行はインフレを招き、ギリギリの線で生活をしている膨大な貧困層を追い詰めている。暴動の嵐はその時を待っている。
中国のバブルは2007年秋から崩壊の兆しが見えていたのに、その後の中国政府の「世紀の大ばくち」によってさらに人為的に膨らまされたわけである。バブルとはもともと「泡」の意味であるが、大きく膨らむほど、破裂した時の衝撃が大きい。中国経済はより大きなバブル崩壊への道を走り続けている。かつて我々が経験したバブル崩壊から20年、未だその尾を引きずっている日本。
我々日本人は、バブルは必ず崩壊することを知っている。上海万博での国費による入場者数「底上げ」のようなバブルの「底上げ」は経済世界では通用しない。見たくはないが地獄の釜はフタを開けて待っている。
最近、欧米の主要各紙が、中国資産のバブル化についての分析記事を相次いで発表している。その中で、2010年には中国経済の成長ペースが急減し、経済破たん へと進む恐れがあると述べ、その根拠として、「4兆元(52兆円)景気刺激政策による2009年の驚異的な中国景気の回復は、資産バブルの上に立つ蜃気楼に過ぎないからだ」と、述べている。
また、このところ中国各地の地方都市で住民とテナントのいない新しい町、ゴーストタウン出現の話などが大紀元日本社で取りざたされ始めている 。
大紀元(だいきげん、)は、ニューヨークの中国語 新聞,で華僑が作った新聞で、。日本では東京都台東区に事務所を置き、中国語版を2001年、日本語版を2005年から発行。東京都の秋葉原駅周辺の路上で紙面の無料配布などの宣伝活動をしている。
同紙は中国政府のいかなる検閲をも受けていないことを強みとしており、中国共産党政府による中国国民や気功集団「法輪功」やチベット、ウイグル等の少数民族の人権弾圧に関する問題、中国国民の中国共産党からの脱党支援活動、中国共産党のスパイ活動、中国の民主化について盛んに報じるなど、反中国共産党政府の報道姿勢に立っている。
それによると、人のいないゴーストタウンが全国で数万に達するのではないかという情報もあるが、これもまた、何が何でも8%成長を続けるのだという中国政府の焦りの気持ちがもたらした結果ではないかと思われる。現在の中国の国民総生産(GDP)の50~60%を占めているのは建設業で、中国政府は、これからも高層マンションや巨大なタワービルの建設計画を進めようとしてい
るようなので、まだしばらくは、作り物の好景気は続き、バブルはさらに膨張することになるのかもしれないが、遠からず破綻がやって来ることは歴史を見ての通り。
【大紀元日本3月5日】 今年に入ってから、著名投資家が相次いで中国不動産のバブルが崩壊すると警告している。1月に「逆張り」で有名な投資家のジェームス・チャノス氏が、「中国の不動産バブルの危険度はドバイ信用危機の1000倍」と発言。2月には、米国の不良債権化した不動産ローンの処理を専門とするジャック・ロッドマン(Jack Rodman)氏が、北京の商業用不動産ビルの空室
率は50%に達しており、中国不動産市場のバブル崩壊が近づいていることを指摘。不動産バブルは対外輸出と並んで中国の成長エンジンであり、忍び寄るバブル崩壊に、成長失速から共産党政権崩壊へという恐怖のシナリオが垣間見える。
最近の記事では、元共産党高級幹部の退役高官23名がネット上で公開状を出し、言論や出版の自由を訴えた、ことの発端は、最近中国の温華宝首相がCNNのインタビューに答え、「憲法で保障された言論の自由はいかなる国にとっても不可欠で民主自由を望む人々の心は拒めない。」と発言したことを中国のメディアに削除された点を非難している。最近ではノーベル平和賞を貰った反体制作家、劉暁波氏のニュース報道の各国の映像が一時的に遮断され真黒の画面が印象的だった。
公開状にはメディアの独立 記者への締め付けの禁止 ネット内容の勝手な削除の禁止、ネット閲覧の制限の解除などが述べられている。また最近の中国共産党内の軍部の発言力は強大になり、戦時中のわが国の軍部主導の政治体制に似た危険性をはらんでいる。今回の尖閣諸島の一件も軍部の突き上げが想像されるところだ。
今や中国軍は、情報戦争の専任部隊を設置し、敵のコンピューターシステムを攻撃するためにウイルスや、自らのネットワークの防御策の開発を担う。『戦闘活動の実施に不可欠な情報に敵がアクセスできないようにする』ことを目的とし、サイバー攻撃能力の確保に日々勤しんでいる。「米国など軍事力が上回る敵に対して、相手の弱みをついた非対称戦争で対抗するという中国の大局的な目標に沿ったものだ」ということも述べられている。
◆ 危うい中国の経済成長
世界同時不況で対外輸出が大きく落ち込むと(2009年通年でマイナス19%)、中国政府は世紀の大ばくちに打って出た。世に言う「金融緩和策」を打ち出したのだ。その結果、2009年通年の国内新規融資額は前年比96%増の9兆6千億元(約126兆円)に膨らんだ。
この新規融資の多くが不動産投機に流れて、今度は史上最大幅の不動産価格の暴騰を招いた一方、実態経済とかけ離れた大量の貨幣発行はインフレを招き、ギリギリの線で生活をしている膨大な貧困層を追い詰めている。暴動の嵐はその時を待っている。
中国のバブルは2007年秋から崩壊の兆しが見えていたのに、その後の中国政府の「世紀の大ばくち」によってさらに人為的に膨らまされたわけである。バブルとはもともと「泡」の意味であるが、大きく膨らむほど、破裂した時の衝撃が大きい。中国経済はより大きなバブル崩壊への道を走り続けている。かつて我々が経験したバブル崩壊から20年、未だその尾を引きずっている日本。
我々日本人は、バブルは必ず崩壊することを知っている。上海万博での国費による入場者数「底上げ」のようなバブルの「底上げ」は経済世界では通用しない。見たくはないが地獄の釜はフタを開けて待っている。
2010年10月17日日曜日
通貨安戦争の裏側
円高が止まらない。記録を更新しそうな勢いである。これは円やドルだけの問題でなく、中国元が絡んだ話である。
輸出依存度という指標があって、輸出額が対GDP比で何パーセントになるかを表した数字であるが、 日本の高度経済成長期、この輸出依存度は、10%前後で、いまだかつて18%を超えたことがない。その経済発展の形態は国民が少しずつ豊かになる形で、「内需」の成長に合わせてGDPを増やしてきたことにある。したがって日本は外需依存型の経済ではないことはあきらかである。
これに対して中国は、36.6%。日本の高度成長期の3倍以上の輸出依存度である。 日本が国民の富を増やす形で豊かになったのに対し、中国は国民の賃金を抑えることで輸出を増やすというモデルであって、そこには中国政府による中国元の安い為替レート維持政策によって成り立っている姿が浮かび上がる。
実際、中国の平均月収は過去5年間、2万円から上がっていない。 低価格で勝負している手前、従業員の給料を上げられず、結果的に内需も大して成長していない。GDPの5割が投資という成長モデルが中国の8%の経済成長率のカラクリである。中国はいまや日本を追い越して、世界第二の経済大国となった。また世界一の外貨保有高を背景に中国は異様なほどの軍拡を続けている。中国の軍拡の主要部分である海軍の拡大は日本に明らかに脅威を与えている。
◆中国に貢ぎ続ける日本
こんな状況の下で、日本政府はなお中国に経済援助ODAを与え続けている。さらには日本国民の資金は日本の財務官僚によってアジア開発銀行という奇怪な組織を通じ、中国への湯水のように支援資金となっている不思議。
最近の中国への援助はODAとか援助という用語を使わず、「日中省エネ環境基金」「日中21世紀交流」「新日中友好21世紀委員会」などという公的機関のプロジェクトの形で「基金」や「協力」という呼称で出されるようになってきた。さらに日本の対中援助は2国間は減っても、アジア開発銀行経由ではむしろ拡大している。アジアの貧しい国の経済開発が目的のこの国際機関では日本は最大の出資国であり、昨年末までに100億ドル以上を提供してきた。
その一方、アジア開銀は中国への支援を重点政策とし総額230億ドルを供与してきた。この供与は有償だが普通の融資より条件のよい「公的援助」である。平たくいえば、日本の納税者の支出がアジア開銀を通じて中国への支援となっている。
とくに問題なのは、中国への巨額の資金が鉄道、高速道路、空港など大型インフラ建設に投入されることである。この種のインフラ建設こそまさに日本政府が軍事的寄与への懸念から援助を停止した対象なのだ。日本はもう中国への援助は一切、やめるべきである。中国自身が多数の諸国に援助を与えている現状をみても、結論は明白だろう。
大紀元日本によると人民元の為替レートが過小評価されているとの国際社会からの批判に対して、中国の温家宝首相は先週、ベルギーで開催された欧州連合(EU)首脳とのビジネス会合において、「人民元変動相場制を採れば、中国経済だけではなく、世界経済にも災難をもたらす」と述べた。また、温首相は「多くの中国輸出企業の収益率は2%~3%しかないため、高くても5%に止まる。もし、人民元が一気に20%~40%切り上げられると、中国輸出企業の多くが倒産し、労働者が失業し、社会も安定し難くなる」と指摘した。
◆ 中国の人民元政策、世界通貨安戦争の災いのもと
10月8日~9日に、米国ワシントンで開催された世界銀行及び国際通貨基金(IMF)の年次総会や先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)において、中国の人民元問題が主要議題となり、各国金融当局の首脳は今後引き続き中国に対して人民元切り上げを促すことで一致した。しかし、今なお中国政府は依然として大幅な切り上げを拒んでいる。
現在、世界各国は通貨安を通じて輸出を拡大させることで自国の経済景気を回復させようとしている。9月、日本政府および日本銀行は急激な円高の進行を阻止するため、為替市場で円売り・ドル買いの為替介入を行った。また、ブラジルや韓国はそれぞれ自国通貨の引き下げ政策を発表した。
米国サウスカロライナ大学の謝田教授は「人民元の過小評価が世界貿易に不均衡をもたらした。現在、世界各国の間でまもなく世界的な通貨安戦争がぼっ発することに気付き始めている。しかしその原因は中国政府が極端に人民元を押し下げていることにある。
各国は中国を倣って自国通貨を操作するようになった」と述べた。10月8日付ロイター通信によると、IMFのストロスカーン専務理事はフランスのルモンド紙で、「人民元の過小評価は世界経済における緊張の源となっており、脅威になりつつある。新たな危機的状況を避けるため、中国が人民元上昇のプロセスを加速させる必要がある」と語っている。
中国の人民元政策はこれまで主に固定相場制、通貨バスケット制(※)を採ってきた。2005年7月から現在までは、管理フロート制(管理変動相場制※)および通貨バスケット制を採用してきた。また、人民元は国際為替市場で自由に売買されておらず、中国人民銀行および国家外貨管理局の傘下の上海外国為替市場で、ドル/元、香港ドル/元、日本円/元、ユーロ/元の4種ペアで取引されている。もし人民元が変動相場制度に移ることになると、元が国際外国為替市場で需要と供給に応じて自由にレートを決められることを意味する。
※通貨バスケット制とは、自国通貨を複数の外貨に連動したレートにする固定相場制度のこと。
中国は米国や欧州から膨大な貿易黒字と元安を批判されている昨今、米国は20%以上の大幅切り上げを要求している。現在の中国にとって最も必要なことは、米国や欧州を納得させるような10%以上の通貨切り上げを行うことである。
2010年10月7日木曜日
政局探訪
「賢者は歴史から学び愚者は経験からしか学ばない」
オットー・フォン・ビスマルク(ドイツ帝国初代首相)
それにしても、国会答弁で、中国漁船が海保巡視船に体当たりするビデオを菅首相が「見ていない」と言うのには唖然とした。一国の一大事の局面で本当に見ていないのならあらゆる状況を踏まえて国家の方針を決定すべき立場にある国家指導者の資格を欠いている。「ウソ」だったのなら、これまたあまりに姑息で浅知恵の言い逃れとしか言いようがない。
菅民主党政権の特徴は、弁護士の国会議員が多いせいかも知れないが政権運営でも国会運営でも、司法手続きの発想で動かしている。司法の役割と政治=立法の役割とは異質である。
中国船長の「処分保留で釈放」の決定理由は、誰が考えても検察権の権限外の問題で、超法規行為である。これを断行するなら、菅内閣総理大臣の「政治決断」で行われるべきであり、菅首相自身の言葉でその理由を国民に説明する責任がある。政府がこの問題に一切介入せず、官僚任せに責任逃れをしてしまったことに一国民として危険性を感じる。
国民に真実を隠し、「政治介入」を否定し続けている菅首相は、嘘を重ねて政治を行っているといえる。国民に嘘を言い続ける政治の結末はどうなるか。国民と国家の悲劇でしかない。
国民新党の亀井静香代表は時々気になることを言う。4日夜、BS11の番組で、小沢一郎民主党元幹事長に対する検察審査会の議決が同党代表選の投票日に行われながら、20日後の公表となったことについて「ふに落ちない。何か事情があったのか」と疑問を呈した。小沢氏の対応については、「一貫して潔白だと主張してきたわけだから、そういう立場で行動していくと思う」と語った。また、「証拠判断の訓練も受けず、法律判断をしたことのない人の判断は情緒的に流れやすくなる。制度論として検討の余地がある」と述べ、強制起訴制度の見直しが必要とした。また亀井代表は最近、米議会に乗り込んで「日本国民の財産である郵貯をお前らの勝手にはさせないぞ」と啖呵を切ったらしい。こういう侍が民主党にはいない。
◇ 検察審査会とは?
1948年(昭和23年)にGHQの指示によって成立した検察審査会法によって始まった制度であり、全国の地方裁判所と地方裁判所支部がある場所に149か所165会設置置されている。
検察審査会法第2条により「検察官の公訴を提起しない処分の当否の審査に関する事項」や「検察事務の改善に関する建議又は勧告に関する事項」を扱う機関とされている。
日本においては、事件について裁判所へ公訴を提起(起訴)する権限は、原則として検察官が独占している(起訴独占主義)。したがって、犯罪被害者等が特定の事件について、告訴を行うなど裁判がなされることを希望しても、検察官の判断により、不起訴・起訴猶予処分等になり公訴が提起されないことがある。このような場合に、検察官の不起訴判断を不服とする者の求めに応じ、判断の妥当性を審査するのが、検察審査会の役割である。これは、アメリカの大陪審制度を参考にしたものである。
司法に一般国民の常識を反映させるという目的で、検察審査会法第4条により、各検察審査会管轄地域の衆議院議員の選挙権を有する国民の中から、くじで無作為に選ばれた11名で構成される。任期は6か月で、そのうち半数が3か月ごとに改選される。審査員が欠けた場合に備えて、補充員がいる。(ウイキペディアより)
今回検察審査会が国会議員を強制起訴とするのは初めてのケースで、「検察審査会の人選のやり方や議事進行のやり方が不透明で審査のありようが分からないため、国会などの場で公にする手だてはないものか」と検察審査会制度の見直しを求める声があっちこっちで上がっている。
抽選で選ばれた、たった11人の「善良な市民」が完全な密室のなかで審査を行う。そこで行われていることは誰も知ることができない。憲法で保障されているはずの不利益処分に対する当事者への「告知と聴聞」も行われることは無い。
この審査は全くの密室で行われる。ここが裁判員制度と違うところで、憲法違反の可能性が高い制度であることも誰も問題にしてこなかった。そして、どんな議決がされているのかも一般市民は知る由も無い。有名事件の議決要旨を報道で知ることができるだけだ。このままでいいのかいささか疑問である。
◇ 民主党は溶解していくのか?
民主党元幹事長小沢一郎が問題の検察審査会によって強制起訴された。いうまでもなく西松事件の時に大久保氏を取り調べたのが前田検事で、検察はこれを立件できずに政治資金規正法によって記載漏れと言った微罪で追及したが、これも
不起訴になり、その後この審査会は問題の前田主任検事の作成した調書をもとに起訴相当の審判を下した。当然過去に扱った疑惑の前田検事取扱いの数々の事件の洗い直しをしてから審査に入るべきところ、民主党代表選の最中に審判は下っていた。
民主主義の名のもとこの検察審査会という制度が政争の具に使われる危険性は高い。審査会が取り扱った一般の案件とは格段に違う、政局を動かす審判が、今回平均年齢30.2歳の抽選で選ばれた連中によって密室で決められたこと自体異常な事である。
小沢一郎は以前、市民団体が小沢氏を起訴するよう検察審査会に申し立てたことについて、「検察審査会で議論してもらえばいい。ただ、政治とカネをめぐり、与野党でいろいろな問題が出たが、強制捜査によって不正なことをしていないことが明らかになったのは、私だけだ」と述べた。
しかし裁判決着に至るまでの道のりは遠いし、国政にとっても時間の浪費が続く。判決が出るまでは被告人とはいえ推定無罪の人間に離党勧告や議員辞職などを口走るのは早計というものだろう。小沢の動向次第では民主党は分裂解散の危機に瀕する。
今の執行部の、国民に見透かされたご両人ではこの先の政治運営が思いやられる。今回の温家宝首相との偶然を装った会談もわざとらしく、小賢しさだけが目につく。政局は早い時期に賢者が知恵を出し合って大連立に進むのか、日本沈没に進むのか予断を許さない局面に来ている。
2010年10月1日金曜日
アートな話「喜彫会展」
現在私の主宰する会、喜彫会展が9月27日から10月7日まで鎌倉彫会館1F2Fにて開かれています。
鎌倉にお越しの際はぜひお立ち寄りください。詳しくは喜彫会ホームページもしくは教授会ホームページを参照してください。
http://www.h4.dion.ne.jp/~maruyosi
http://www.kamakuraborikaikan.jp/index0.html
この会館は現在鎌倉彫資料館として多くの作品を展示しており、鎌倉彫教授会の本部として多くの鎌倉彫愛好家が伝統の技術を学びに各地から来ております。秋には鎌倉芸術祭の一環として「集まれ!鎌倉彫の動物たち」の特別展が11月1日から12月27日までの開催予定。
会場 風景
最後の画像は2Fで展示中の「木地作り道場」で指物の作例を展示しています。
左から書状差し、ペンケース、楊枝入れ&箸箱 テープカッター、メガネ入れ。
第5回鎌倉芸術祭イベントのご案内
9月18日~12月27日
鎌倉彫23人展のご案内
2010年9月26日日曜日
国家主権が試される時
日本の領海を中国漁船が侵犯した9月7日以降の対中関係は、その後の中国政府の理不尽な、ヤクザまがいの恫喝によって、逮捕された中国人船長の拘留期間を待たずに釈放となり、一時的な手打ちに終わった。その発表は一検察官の口から我が国国民に与える影響を考慮しての判断と言わしめた菅・仙谷外交の事なかれ主義的気概のなさを国民に見せつけた。
その結果、中国のたたみ掛ける様な恫喝に屈したわが国の隷属的な外交姿勢を世界に曝け出し、尖閣を領有する日本と、それを不法に要求する中国の立場を大逆転させ、中国の領有権主張は今後もエスカレートし、東シナ海は南シナ海同様の中国の実効支配の様相を呈してきた。
ここは早急に国際世論を日本側に引き付けるために、中国漁船(=スパイ船)の犯罪現場のビデオを、日本政府は早く公開するべきだが、管政権は何を躊躇しているのだろうか?
事件当日、中国漁船「閩晋漁(ミンシンリョウ)5179」が尖閣諸島の日本領海を侵犯し、3時間にわたり逃走を試みた。日本政府は直ちに領海侵犯事件として逮捕に踏み切るべきだったが、仙谷長官らが中国との摩擦を恐れて判断が半日以上も遅れた。
その後中国外務省は「(日本の措置は)荒唐無稽で国際法、常識違反で無効」「日本が暴挙を続ければ、自ら報いを受けることになる」と激しく警告を発した。また時同じくして尖閣諸島北東の日本の排他的経済水域(EEZ)内で調査中の海上保安庁の測量船に、中国国家海洋局の海洋調査・監視船が接近、調査中止を要求し、丸2日半にわたって追跡した。
この間、中国政府は東シナ海ガス田共同開発に関する条約締結交渉開催や全国人民代表大会副委員長李建国氏の訪日を延期して圧力をかけ続けた。日本政府は圧力に屈して13日、中国船員14名の帰国と船の返還に応じ、仙谷長官は「漁船の違法操業との関係でガス田協議を中止するといわれても困る。私の予測では、14人と船がお帰りになれば、また違った状況が開かれてくる」と中国
に足元をすくわれるようなことを言っている。
尖閣諸島が日本固有の領土という確たる信念が無いから、中国の違法性を糾弾で出来ないのだろう、領海侵犯に対峙すべき国家の主権と気概はどこへ行ってしまったのか。
中国の対日強硬姿勢は、菅政権が国内問題で手一杯で外交、安保に有効な手が打てないこと、普天間問題で日米安保体制が揺らいでいることを見抜いている
中国4000年、中共60年の歴史は謀略の歴史である。背景にある中華思想は中国が世界の中心であるというしたたかな精神構造でもある。嘘をつくことなんてこれっぽっちも悪いと思っていない。騙されたほうがアホだという発想である。白を黒というのだ。南京大虐殺のように無から有を捏造する国なのである。この謀略の独裁国家は2020年頃には経済力、軍事力とも世界最大規模になろうとしている。日本が平和呆けのままに拱手傍観すれば、いずれは中国の隷属国家になり下がるであろう。
ここで社団法人「国民文化研究会」理事の 伊勢 雅臣氏のレポート「今日の南沙は明日の尖閣」を参考までに要約引用させていただく。
◇尖閣諸島の歴史
国際法上、無人の土地は、ある国家がその領有の意思を持って、他国に先んじて領有することで、その国の領土と認められる。これを「無主地先占」という。尖閣諸島は沖縄とシナ大陸間の航路の標識として古くから知られていたが、無人島であった。「中国は15世紀の地図に尖閣が領土として記されていることをもって、領有権を主張しているが、地図に線を引いても領有権は与えられない」(Asian Wall Street Journal, 96.10.05) 。
明治18(1885)年、尖閣諸島を沖縄県の管轄とし、国標を建設したいとする申請が沖縄県知事から出され、政府は明治20年と25年に軍艦を派遣して調査を行い、同諸島にいかなる国の支配も及んでいないことを確認した上で、28年1月に沖縄県知事の上申通り閣議決定した。明治17年以来、尖閣の島々で漁業を営んでいた古賀辰四郎氏に対し、尖閣領有の閣議決定後、30年間の無償寄与が認可された。
明治42年には99戸248人の移民が定住して開拓事業に従事している。昭和7年には、古賀氏に対して、政府は4島を有償で払下げした。これらの住居跡や船着場は今も遺されている。
これに対して、尖閣諸島に今まで中国人が住んだ事実はなく、また昭和45年以前に尖閣領有を主張したこともない。これらの事実から、国際法上、尖閣諸島が我が国領土であることはあきらかである。
◇中国が尖閣領有を主張し始めた背景
昭和45年以前、中国が尖閣諸島を自国領土として主張したことは一度もなかった。昭和43年秋に尖閣付近の大陸棚に膨大な海底油田が埋蔵している可能性が判明し、米国の統治下にあった沖縄が本土復帰する直前の昭和46年12月に尖閣諸島の領有権を主張し始めたのである。
実は尖閣諸島の一部は、昭和31年から昭和54年まで米軍の射撃練習場として使用されていた。尖閣が中国領土なら、米軍の射撃練習は中国領土内で行われたことになる。なぜそれを国際問題にしなかったのか?これも自分より強い相手には、いっさい手も口も出さない、という中国流外交術なのである。
射撃練習の事実に関わらず、米国はこれまで「尖閣諸島の主権はどの国にも認めない」という立場をとってきたが、このあいまいさが中国の侵入を招いた。
米軍が退き、日本政府の弱腰を見透かして、冒頭のように調査船の侵入を繰り返し、ついには軍艦まで現れたのである。
◇東シナ海 石油資源の宝庫
東シナ海には一説にはペルシア湾に匹敵するほどの豊富な石油資源が眠っていると考えられている。そして日中中間線を挟んだ海域がもっとも資源量が豊富であり、特に日本側海域の方が有望視されている。
中国は本年2月に、中間線の数キロ中国寄りの海域で試掘に成功し、天然ガス日量143万立方m、原油88万立方mが確認されている。これだけで九州、沖縄地方の家庭用燃料を十分に賄える量である。すでに95年12月には中間線の日本側海域に520m入った地点で、わが国政府の中止勧告を無視して試掘を行い、翌年2月中旬、石油・ガスの自噴を確認している。中国政府は尖閣列島を自国領土とする立場から、この日中中間線を認めていないので、この日本側海域でいつ正規の採掘施設の建造に着手しても不思議ではない。
わが国政府は中国との面倒な政治問題に関わりたくない、石油は中東で十分との考えのようで、日本の4企業が鉱区を設定し、先願権を持っているが、日本政府が許可を与えていないので、日本側海域での試掘はもとより探査すら行われていない。
さらに尖閣は、台湾と沖縄の中間地点にある。万一、ここに軍事基地を作られたら、台湾は東西から中国の軍事基地に挟まれた形となる。また我が国へのエネルギー、物資輸送の大動脈がここでも中国に牛耳られることになる。
◇南シナ海 世界で最重要のシーレーン
中国は1992年2月に領海法を制定し、南沙諸島海域は同国の領海であり、軍に「(同諸島周辺の)領海侵犯者を実力で退去させる権限」を与え、外国艦船が同海域を通過するさいに中国の許可を必要とすると一方的に宣言している。
マラッカ海峡から南シナ海の南沙諸島海域にかけては世界で最も重要なシーレーンといわれ、世界の貿易の15%がこの海域を通過している。
特に日本の場合、全貿易量の5割が同航路に頼っている。中近東からの石油タンカーはこの海域を通過するので、それが中国の内海となれば、我が国のエネルギー供給は中国に首根っこを押さえつけられた格好となる。
アメリカとしても、同海域での中国の膨張を傍観していられない、という意思を持ち始めたようだ。米海軍戦略センターは米国船の通過も多く、「海峡の自由航行は米国にとっても戦略上、最重要である」と指摘している。
中国最南端、海南島の南南東に、計34の小島や岩礁などからなるパラセル(西沙)諸島がある。73年にベトナムからアメリカ軍が引き揚げた後をついて、翌年、中国は駐留していたベトナム軍を武力で排除して実効支配した。
現在は、旧式戦闘機が離着陸できる約2600mの滑走路に、衛星通信ステーションなどの通信施設まで備え、部隊が常駐する軍事基地となっている。
南シナ海の中ほどに浮かぶスプラトリー(南沙)諸島は、中国、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾が領有権を主張している。そのうちのジョンソン(赤瓜)環礁など6カ所を中国は1987年から88年にかけて占拠し、軍事施設を構築した。
米国がフィリピンのスービック海軍、クラーク空軍の両基地から撤退した92年以降、進出に拍車がかかる。93年には、ペンシルベニア・ノース(陽明)環礁など6カ所に中国の建造物があることが判明した。95年2月には、ミスチーフ環礁で中国が高床式の兵舎を建てて占拠態勢に入っていることをフィリピン政府が確認して抗議をしたが、無視された。以上のことから、スプラトリー諸島に中国が半永久的な軍事施設を設けた結果、海域のほぼ全体が中国監視網内に入ることになった。
今年2月には、フィリピン軍と米軍約5千人が参加する合同軍事演習が約4年ぶりに再開された。演習はクラーク旧米軍基地などルソン島を中心に行われるが、南沙諸島に近いパラワン島も含まれている。中国への警告メッセージが含まれていることは明らかである。 (以上)
まとめ
東シナ海で、これから何が起きるかは、南シナ海を見れば予想出来る。そこでは中国が全てを自国の領土領海だと宣言し、軍事力を行使して実効支配を続けている現状がある。
日本もアメリカもこのまま中国の横暴を見過ごすわけにはいかないだろう。今回の件で図に乗った中国はわが国に謝罪と損害賠償を求めて来たが、外務省の拒絶の対応は一応評価できるし当然の話である。
我々は人間社会の常として、脅し、たかりに屈すれば相手は益々要求をエスカレートさせ、揺さ振りを掛けてくることを知っている。国の弱腰外交は先島諸島(与那国島、西表島、石垣島、宮古島)などの領有権さえも主張しかねない事態を招きかねないことを念頭に入れなければならない。努々事なかれ主義が通じる世界でないことを菅、仙石コンビは肝に銘じてもらいたい。
その結果、中国のたたみ掛ける様な恫喝に屈したわが国の隷属的な外交姿勢を世界に曝け出し、尖閣を領有する日本と、それを不法に要求する中国の立場を大逆転させ、中国の領有権主張は今後もエスカレートし、東シナ海は南シナ海同様の中国の実効支配の様相を呈してきた。
ここは早急に国際世論を日本側に引き付けるために、中国漁船(=スパイ船)の犯罪現場のビデオを、日本政府は早く公開するべきだが、管政権は何を躊躇しているのだろうか?
事件当日、中国漁船「閩晋漁(ミンシンリョウ)5179」が尖閣諸島の日本領海を侵犯し、3時間にわたり逃走を試みた。日本政府は直ちに領海侵犯事件として逮捕に踏み切るべきだったが、仙谷長官らが中国との摩擦を恐れて判断が半日以上も遅れた。
その後中国外務省は「(日本の措置は)荒唐無稽で国際法、常識違反で無効」「日本が暴挙を続ければ、自ら報いを受けることになる」と激しく警告を発した。また時同じくして尖閣諸島北東の日本の排他的経済水域(EEZ)内で調査中の海上保安庁の測量船に、中国国家海洋局の海洋調査・監視船が接近、調査中止を要求し、丸2日半にわたって追跡した。
この間、中国政府は東シナ海ガス田共同開発に関する条約締結交渉開催や全国人民代表大会副委員長李建国氏の訪日を延期して圧力をかけ続けた。日本政府は圧力に屈して13日、中国船員14名の帰国と船の返還に応じ、仙谷長官は「漁船の違法操業との関係でガス田協議を中止するといわれても困る。私の予測では、14人と船がお帰りになれば、また違った状況が開かれてくる」と中国
に足元をすくわれるようなことを言っている。
尖閣諸島が日本固有の領土という確たる信念が無いから、中国の違法性を糾弾で出来ないのだろう、領海侵犯に対峙すべき国家の主権と気概はどこへ行ってしまったのか。
中国の対日強硬姿勢は、菅政権が国内問題で手一杯で外交、安保に有効な手が打てないこと、普天間問題で日米安保体制が揺らいでいることを見抜いている
中国4000年、中共60年の歴史は謀略の歴史である。背景にある中華思想は中国が世界の中心であるというしたたかな精神構造でもある。嘘をつくことなんてこれっぽっちも悪いと思っていない。騙されたほうがアホだという発想である。白を黒というのだ。南京大虐殺のように無から有を捏造する国なのである。この謀略の独裁国家は2020年頃には経済力、軍事力とも世界最大規模になろうとしている。日本が平和呆けのままに拱手傍観すれば、いずれは中国の隷属国家になり下がるであろう。
ここで社団法人「国民文化研究会」理事の 伊勢 雅臣氏のレポート「今日の南沙は明日の尖閣」を参考までに要約引用させていただく。
◇尖閣諸島の歴史
国際法上、無人の土地は、ある国家がその領有の意思を持って、他国に先んじて領有することで、その国の領土と認められる。これを「無主地先占」という。尖閣諸島は沖縄とシナ大陸間の航路の標識として古くから知られていたが、無人島であった。「中国は15世紀の地図に尖閣が領土として記されていることをもって、領有権を主張しているが、地図に線を引いても領有権は与えられない」(Asian Wall Street Journal, 96.10.05) 。
明治18(1885)年、尖閣諸島を沖縄県の管轄とし、国標を建設したいとする申請が沖縄県知事から出され、政府は明治20年と25年に軍艦を派遣して調査を行い、同諸島にいかなる国の支配も及んでいないことを確認した上で、28年1月に沖縄県知事の上申通り閣議決定した。明治17年以来、尖閣の島々で漁業を営んでいた古賀辰四郎氏に対し、尖閣領有の閣議決定後、30年間の無償寄与が認可された。
明治42年には99戸248人の移民が定住して開拓事業に従事している。昭和7年には、古賀氏に対して、政府は4島を有償で払下げした。これらの住居跡や船着場は今も遺されている。
これに対して、尖閣諸島に今まで中国人が住んだ事実はなく、また昭和45年以前に尖閣領有を主張したこともない。これらの事実から、国際法上、尖閣諸島が我が国領土であることはあきらかである。
◇中国が尖閣領有を主張し始めた背景
昭和45年以前、中国が尖閣諸島を自国領土として主張したことは一度もなかった。昭和43年秋に尖閣付近の大陸棚に膨大な海底油田が埋蔵している可能性が判明し、米国の統治下にあった沖縄が本土復帰する直前の昭和46年12月に尖閣諸島の領有権を主張し始めたのである。
実は尖閣諸島の一部は、昭和31年から昭和54年まで米軍の射撃練習場として使用されていた。尖閣が中国領土なら、米軍の射撃練習は中国領土内で行われたことになる。なぜそれを国際問題にしなかったのか?これも自分より強い相手には、いっさい手も口も出さない、という中国流外交術なのである。
射撃練習の事実に関わらず、米国はこれまで「尖閣諸島の主権はどの国にも認めない」という立場をとってきたが、このあいまいさが中国の侵入を招いた。
米軍が退き、日本政府の弱腰を見透かして、冒頭のように調査船の侵入を繰り返し、ついには軍艦まで現れたのである。
◇東シナ海 石油資源の宝庫
東シナ海には一説にはペルシア湾に匹敵するほどの豊富な石油資源が眠っていると考えられている。そして日中中間線を挟んだ海域がもっとも資源量が豊富であり、特に日本側海域の方が有望視されている。
中国は本年2月に、中間線の数キロ中国寄りの海域で試掘に成功し、天然ガス日量143万立方m、原油88万立方mが確認されている。これだけで九州、沖縄地方の家庭用燃料を十分に賄える量である。すでに95年12月には中間線の日本側海域に520m入った地点で、わが国政府の中止勧告を無視して試掘を行い、翌年2月中旬、石油・ガスの自噴を確認している。中国政府は尖閣列島を自国領土とする立場から、この日中中間線を認めていないので、この日本側海域でいつ正規の採掘施設の建造に着手しても不思議ではない。
わが国政府は中国との面倒な政治問題に関わりたくない、石油は中東で十分との考えのようで、日本の4企業が鉱区を設定し、先願権を持っているが、日本政府が許可を与えていないので、日本側海域での試掘はもとより探査すら行われていない。
さらに尖閣は、台湾と沖縄の中間地点にある。万一、ここに軍事基地を作られたら、台湾は東西から中国の軍事基地に挟まれた形となる。また我が国へのエネルギー、物資輸送の大動脈がここでも中国に牛耳られることになる。
◇南シナ海 世界で最重要のシーレーン
中国は1992年2月に領海法を制定し、南沙諸島海域は同国の領海であり、軍に「(同諸島周辺の)領海侵犯者を実力で退去させる権限」を与え、外国艦船が同海域を通過するさいに中国の許可を必要とすると一方的に宣言している。
マラッカ海峡から南シナ海の南沙諸島海域にかけては世界で最も重要なシーレーンといわれ、世界の貿易の15%がこの海域を通過している。
特に日本の場合、全貿易量の5割が同航路に頼っている。中近東からの石油タンカーはこの海域を通過するので、それが中国の内海となれば、我が国のエネルギー供給は中国に首根っこを押さえつけられた格好となる。
アメリカとしても、同海域での中国の膨張を傍観していられない、という意思を持ち始めたようだ。米海軍戦略センターは米国船の通過も多く、「海峡の自由航行は米国にとっても戦略上、最重要である」と指摘している。
中国最南端、海南島の南南東に、計34の小島や岩礁などからなるパラセル(西沙)諸島がある。73年にベトナムからアメリカ軍が引き揚げた後をついて、翌年、中国は駐留していたベトナム軍を武力で排除して実効支配した。
現在は、旧式戦闘機が離着陸できる約2600mの滑走路に、衛星通信ステーションなどの通信施設まで備え、部隊が常駐する軍事基地となっている。
南シナ海の中ほどに浮かぶスプラトリー(南沙)諸島は、中国、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾が領有権を主張している。そのうちのジョンソン(赤瓜)環礁など6カ所を中国は1987年から88年にかけて占拠し、軍事施設を構築した。
米国がフィリピンのスービック海軍、クラーク空軍の両基地から撤退した92年以降、進出に拍車がかかる。93年には、ペンシルベニア・ノース(陽明)環礁など6カ所に中国の建造物があることが判明した。95年2月には、ミスチーフ環礁で中国が高床式の兵舎を建てて占拠態勢に入っていることをフィリピン政府が確認して抗議をしたが、無視された。以上のことから、スプラトリー諸島に中国が半永久的な軍事施設を設けた結果、海域のほぼ全体が中国監視網内に入ることになった。
今年2月には、フィリピン軍と米軍約5千人が参加する合同軍事演習が約4年ぶりに再開された。演習はクラーク旧米軍基地などルソン島を中心に行われるが、南沙諸島に近いパラワン島も含まれている。中国への警告メッセージが含まれていることは明らかである。 (以上)
まとめ
東シナ海で、これから何が起きるかは、南シナ海を見れば予想出来る。そこでは中国が全てを自国の領土領海だと宣言し、軍事力を行使して実効支配を続けている現状がある。
日本もアメリカもこのまま中国の横暴を見過ごすわけにはいかないだろう。今回の件で図に乗った中国はわが国に謝罪と損害賠償を求めて来たが、外務省の拒絶の対応は一応評価できるし当然の話である。
我々は人間社会の常として、脅し、たかりに屈すれば相手は益々要求をエスカレートさせ、揺さ振りを掛けてくることを知っている。国の弱腰外交は先島諸島(与那国島、西表島、石垣島、宮古島)などの領有権さえも主張しかねない事態を招きかねないことを念頭に入れなければならない。努々事なかれ主義が通じる世界でないことを菅、仙石コンビは肝に銘じてもらいたい。
2010年9月16日木曜日
アートな話「東京JAZZ2010」
<JAZZ STREAM>>過去から未来へ続くジャズの大潮流と銘打って今年で9回目を迎える、現在日本最大級のジャズ・フェスティバル「東京JAZZ」が9月に始まった。娘のいる放送局の主催の関係で、娘から招待券を受け取りカミサンと夜の部に出かけた。場所は有楽町の国際フォーラムのホールAで6時開演でぎりぎりに着いたが、広い会場はほとんど満席状態で人気のすごさが感じられた。席は放送用モニター機器類の並ぶ前の席でプレーヤーの顔がよく見えた。
最初に出て来たのが①Special Opening : Han Bennink
正直、全く知らなかったのだがいきなり1人で変なオッサンが出てきたなと思ったら、いきなりスティックで床を叩きまくったり、スネア一つでいろんな音を出したり20分叩きまくり。寝そべって演奏したりその意外性には驚いた。パーカッション奏者らしいパフォーマンスだ。
次のメンバーは②ジョシュア・レッドマン・トリオ
ジョシュア・レッドマンは、1969年2月1日カリフォルニア州バークレー生まれ。父親はフリー・ジャズ界で名をはせたサックス奏者の故デューイ・レッドマン。幼い頃からクラリネットなどを始め、10歳でテナー・サックスをプレイまだ41歳だが、頭はスキンヘッドである。すでにトップサックス奏者として名
を馳せている。その演奏はエネルギッシュで、マックザナイフから演奏が始まり、ベースとドラムの掛け合いがすばらしかった。
3番目はギタリスト渡辺香津美TOCHIKA渡辺は今年デビュー40周年を迎え、名盤"TOCHIKA”30周年を記念してのこの再集合。ギター小僧"という言葉があるが他のメンバーが大きいせいか、やけに小男に見えるが演奏はダイナミックで、30年前に銀座のJANKで見た時より白髪交じりでパワーアップしていた。現在52才と言うから月日のたつのは早いものだ。何よりメンバーがすごい、ベース界のカリスマプレイヤーのマーカスミラー、シンセヴィブラホーンの第一人者のマイク・マイニエリなど、そのサウンドはすざましい。
4番目はジャズフュージョンの大御所ピアノのジョー サンプル率いるJAZZ CRUSADERSだったが時間も遅くなっていたので、急いで帰路に着いた。久しぶりのライブ観賞に浸った一日だった。
今回の演奏は10月にNHKBSで放送されるらしいので、あらためてジャズクルセイダーズを見たいと思っている。
最初に出て来たのが①Special Opening : Han Bennink
正直、全く知らなかったのだがいきなり1人で変なオッサンが出てきたなと思ったら、いきなりスティックで床を叩きまくったり、スネア一つでいろんな音を出したり20分叩きまくり。寝そべって演奏したりその意外性には驚いた。パーカッション奏者らしいパフォーマンスだ。
次のメンバーは②ジョシュア・レッドマン・トリオ
ジョシュア・レッドマンは、1969年2月1日カリフォルニア州バークレー生まれ。父親はフリー・ジャズ界で名をはせたサックス奏者の故デューイ・レッドマン。幼い頃からクラリネットなどを始め、10歳でテナー・サックスをプレイまだ41歳だが、頭はスキンヘッドである。すでにトップサックス奏者として名
を馳せている。その演奏はエネルギッシュで、マックザナイフから演奏が始まり、ベースとドラムの掛け合いがすばらしかった。
3番目はギタリスト渡辺香津美TOCHIKA渡辺は今年デビュー40周年を迎え、名盤"TOCHIKA”30周年を記念してのこの再集合。ギター小僧"という言葉があるが他のメンバーが大きいせいか、やけに小男に見えるが演奏はダイナミックで、30年前に銀座のJANKで見た時より白髪交じりでパワーアップしていた。現在52才と言うから月日のたつのは早いものだ。何よりメンバーがすごい、ベース界のカリスマプレイヤーのマーカスミラー、シンセヴィブラホーンの第一人者のマイク・マイニエリなど、そのサウンドはすざましい。
4番目はジャズフュージョンの大御所ピアノのジョー サンプル率いるJAZZ CRUSADERSだったが時間も遅くなっていたので、急いで帰路に着いた。久しぶりのライブ観賞に浸った一日だった。
今回の演奏は10月にNHKBSで放送されるらしいので、あらためてジャズクルセイダーズを見たいと思っている。
2010年9月15日水曜日
前途多難な民主党
国民はなぜ、民主党に政権交代させたのか。官僚主導国家を変えてもらいたいからである。役人が勝手なことをやる“役害”政治を一掃して欲しい。それは我々が望むところであった。
政治とカネの問題についても、国民は検察があれだけ調べて起訴できなかった事実の重みを知るべきで、厚労省の村木元局長の事件を見てもわかるように、検察はムチャクチャをやる。事件を平気でデッチ上げてしまう。小沢一郎の秘書を逮捕し、事務所をガサ入れし、小沢本人も何度も呼んだ。しかし、事件にできなかった。いずれの案件も検察の民主党つぶしのどす黒い目論見が不発に終わり、天に唾を吐いて手前の面に唾を振りかける結果となった。
今回の民主党の代表選は管直人が大方の予想通り当選したが、現職総理としてはけして楽勝とは言えなかった。
管首相のこれまでの言動から見てリーダーシップは期待できない。夢遊病者の様な前首相の口から出まかせの政治の続きがこれだ。政権発足後3カ月間、菅政権への評価は市場が雄弁に物語っている。政治主導はガタガタになり、役人の高笑いが聞こえてくる。これでは国が滅びてしまう、と小沢が立候補を決めたのである。その小沢はこう決意表明した。
「政治主導、国民主導の政治をつくらなければならない。政権交代以来の主張と実態が少し違う。そこに国民の期待が薄れている原因がある」
これに対して、菅は「自分はまだ3カ月じゃないか」とばかりに居直った。カネカネと批判を続ける政治文化はいつまでたっても政治とカネの呪縛から抜けられず、官僚の政治家つぶしの格好のネタになリ、政治の停滞を招く。その急先鋒を担っているのがマスメディアである。どの新聞も世論誘導の同じような論調に終始している。皮肉にも政治の表舞台に立つことを極力避けてきた小沢一郎は、ここにきて代表選に立たざるを得なくなったが、結果はNOである。思えば今回の代表選は新政権3人目の総理の選出であった。鳩山も菅も出来ないことを出来ると幻影を抱かせてきたが、小沢は出来ることはやるが出来ないことは出来ないと明快に言っている点で、二人の総理と違ったいさぎ良さを感じる。
無駄を削減すれば財源は出る。これは小沢の一貫した主張で、消費税増税の前にムダの削減が必要と訴えている。衆院選マニフェストには、公務員の人件費を20%削減するとあり、その実現を目指せば、大変な反発を受けるのは目に見えて血の雨が降るかもしれない。しかし、公務員や独立行政法人の職員の給与を、中小企業まで含めた“民間並み”に引き下げれば消費税を10%に引き上げるのと同じくらいの財源は生み出せると試算されている。
米国に服従し、経済対策で二の足を踏み、公務員との軋轢(あつれき)を恐れて増税路線を選択する菅首相には、期待できない。
この3カ月間に菅政権は参院選で惨敗し、円高を放置し、財務省主導で歳出1割カットという政治主導とは程遠い予算編成方針を決めた。国家戦略室も棚上げし、民主党らしさは完全に失われた。これから政治主導を本格化させると言われても、口からデマカセにしか聞こえない。菅が財務官僚に籠絡されていることは、国民だって知っている。唐突な消費税増税発言からも明らかだ。こうした批判を意識してか、会見で菅は「財務省こそが野放図な財政を放置してきた張本人」とか力んでいたが、こういう発言も空々しい。だったら、どうやって政治主導を確立するのかお手並み拝見と行きたいところだ。
2010年9月8日水曜日
覇権国家の盛衰
オバマ米大統領は8月31日夜、ホワイトハウスの大統領執務室から国民向けにテレビ演説し、「イラクでの米国の戦闘任務が終了した」と宣言した。
大統領は2011年末の米軍のイラク完全撤退に改めて言及した上で、米国の緊急課題は「景気の回復と雇用」と強調。今後はアフガニスタンでの対テロ戦争に加え、米国経済の再生と雇用創出に全力を注ぐ姿勢を示した。
03年3月の開戦から約7年5カ月を経て、米国のイラクでの戦闘任務は正式に終結。米兵の死者は約4400人、戦費の総額は7000億ドル(約58兆円)に達した。<産経ニュース>
米国とその同盟国は中東から血にまみれた独裁者を排除したかもしれないが、サダム・フセイン自慢の大量破壊兵器の存在は幻想だったことが分かり、代償として多くの米国人の命や、そしてそれ以上にイラクの人々の命が失われてきた。イラクは、確かに、もはや独裁政権ではなくなった。2007年にブッシュ大統領が孤立しながらも撤退要求を拒否したこともあって、侵攻後の内紛の流血は抑えられた。だが、イラクの新しい民主政治はなお慢性的に不安定であり、そのことが、約5万人の米軍「維持」部隊がイラク支援のために居残る理由の1つとなっている。
イラク戦争の発端は、フランスの後ろ盾もあってフセインが石油代金の決済にドルを止めユーローに決定したことから始まった。
国際的に金の保有率の最も高い米国によって基軸通貨のドルは支えられていたが、その後フランスがドルと金との兌換を実際に求めたことから、米国の金保有率が半減したため、歴史上のエポックとなったあのドルショック(ニクソンショック)が始まり金本位制度が崩れ、ドルはただの紙切れになった経緯がある。時1971年のことであった。
そこでドルと言う通貨の裏づけとするための新たな価値が必要となったことから、石油が担っていたエネルギー資源としての価値を以て、金を代替するように変更したのだった。そのため金のもつ量的な制約から離れてドル市場全体が急拡大したことから、米政府は爾来潤沢な資金を手に入れることに成功してきたのである。そしてこのシステムに楔を打ったのがフセインだった。ドルの崩壊は米国の死活問題であるゆえ、あらゆる手段を使ってでもフセインを倒すことが米政府(ブッシュ)の主要命題であったため、国連安保理の承認を得ないままロシア、フランス、中国の拒否権発動をもろともせずイラク戦争に突入していった。その狙いはドルの防衛とイラク石油の利権のために戦争を仕掛けたものだった。
時代は過ぎ、オバマはブッシュ以来のアフガン戦争(テロとの闘争)をやめるどころか、造兵をしている。その背景にはアフガニスタンの地下に眠る1兆ドル近くの鉱物資源の収奪の目論見があり、覇権国家は覇権を維持するためには戦争を画策する。
さてドルの乱発で今や米国は最大の対外債務国であり、双子の赤字国(財政赤字、貿易赤字)その額は年々膨らんでいってる。このように一人勝ちのアメリカに忍び寄っている3つの負の影は、やがてドルの崩壊につながる道へと続き、それは歴史上繰り返してきた覇権国家の凋落の道をたどることになる。
すなわち、16世紀のスペインの黄金時代から17世紀オランダの台頭、そして18~19世紀に産業革命を起こした英国から覇権を手にしたのは、第2次世界大戦後の米国である。いずれもそれぞれの国の繁栄と覇権は200年は持たず160年前後と言われている。覇権の転換点には必ず大きな戦争があった。米国も没落に突き進むたびに戦争を起こして覇権を維持しているが、計算ではあと100年は米国の時代が続くことになるが、その時期も早まるだろう。
ロシアをはじめ、中国、EUなどは米国の一極覇権を望んでいない。米国の様な超大国がじわじわと崩壊するのを見ているこれらの国の選択肢は、多極化をめざすことである。現在のところ米国の次の覇権が言われている中国もまだまだ覇権をとるレベルではない。
かつてブッシュの時代の2007年代にCNNが流したニュースで、ユーロにならって米国とカナダ、それにメキシコが一体となって北米経済圏をつくる構想があり、2010年までに実現すると「AMERO」アメロと呼ばれる新基軸通貨というものがあったが、今年はその年であるが、まだそのような気配はない。米国はドル安を志向しその返り討ちにあっているのが現在の円高でもある。わが国が為替介入して円売りドル買いが進めば買ったドルの行先は米国債という米国にとって願ってもない構図が見えてくる。またユーロも不安定な状況下で円だけが買われている。
今後大きな経済変動、例えば世界大恐慌や、米国のデフォルト(国家破産)に直面した時に米国の考えていることは、現在のドル(グリーンパック)を国内では流通不可にし、すでに準備してある新ドル(ブルーノート)を発行。新ドル発行とともに、旧ドルは大暴落する。旧ドルを大量に抱えた中国や日本は、デフォルト(国家破産)状態となり米国の膨大な債務はチャラになり、通貨制度は新ドルでリセットされる。
つまり恐慌の発生によって自らドルを暴落させ、この機に乗じて現在のドルの使用を禁止して廃止、そして、新たなドルを発行する計画が進められているようだ。今使われているドルはグリーンのトーンで印刷されているため「グリーンバック」と呼ばれているが、新たに青いトーンで印刷されたブルーノートと称するニュードルを発行する。(すでに発行済みのものがFRB(米国中央銀行)に眠っているという話である。)これが第2のドルショックというシナリオである。
2010年8月24日火曜日
安楽死
お盆になるとうちの寺から慣例のお施餓鬼法要の案内があり、墓参り方々塔婆を貰いに行った。今年も半ば過ぎの行事である。
万物の霊長たる人類は、自然界のあらゆる生物の命を頂いて日々生きている。仏教ではこれを殺生と呼んでいるが、原始仏教では肉食(にくじき)は殺生戒めに触れることから忌み嫌われて、今日我が国では精進料理というものが発展してきた
私の殺生は魚類である。釣りを始めて25年、釣った魚は150種類は超えているが、その中でもお世話になった魚たちの供養のために彫ったのが私の作品 飾り皿「鎮魂歌」である。
釣った魚を美味しくいただくには、魚をいつまでもバタバタ苦しめてはならず、ナイフでコメカミ当たりの急所を刺して安楽死させる。口を開けてすぐ動きが止まったら成功である。そのあと必ず血を抜く、死後硬直に入る時間を遅らせ身を活かす処置でもあるが、魚の臭みの大元である血も流すのである。この血抜きは島周りの釣り場では、サメが寄ってきて釣った魚を横取りされるので禁止されている。遠洋の職漁船で捕るマグロにおいて、長時間バタバタ暴れ過ぎたマグロは、体温が上昇し身が焼け、肉に細かい斑点が出てまずくなるので、ズボ抜きと言ってエラを内臓ごと引き抜く作業をする。ちなみにフグ類はポンプで生かしていても狭い所でのストレスから皮から毒を分泌するようだ。
ところで、釈迦は80歳まで生きたが、亡くなった原因はキノコ料理の食中毒であると言われているが、一部の学者からは豚肉料理であったと主張する者もいる。釈迦がその料理を食べる前に、他の者に食べさせないように語った言葉が残っているとも言っている。仏教では釈迦が没した(入滅)日を仏滅、あるいは涅槃(ねはん)と呼ぶ。さて話は変わるが、豚肉は周知のようにユダヤ教に端を発するキリスト教やイスラム教では程度の差はあれ、豚を食べることを制限している。ユダヤ教徒にとっては、特に豚の肉は悪魔と同等にして忌むべきものである。 砂漠 や周辺の乾燥した気候では、寄生虫 を持つ豚の肉を十分に加熱するための薪や燃料の調達が困難であり、調理の不十分なまま豚肉を食べたことで健康を害し、あるいは死に至るなどした経験がその原点に存在するとも言われる。
ユダヤ教にルーツをもつキリスト教 徒もその多くは、豚を食べる事を制限する傾向があったようだ。新約聖書でも、イエスが悪魔に憑かれた人間から悪魔を追い払い豚に乗り移らせ、湖に走り込ませて溺死させた事が書かれている。
イスラム教 はキリスト教と同様にユダヤ教をルーツとし、キリスト教も内包するイスラム教 徒の制限は、ハラームとは禁止されたと言う意味であり、食べることを許されない食物の事をさす。イスラムの正式な屠殺方法で殺された肉以外はハラームに該当し食べてはならない。豚や肉食動物などは無条件でハラームとされている。イスラム教徒の中では豚は特に忌み嫌われており、ユダヤ教徒と同様に悪魔の化身に等しく扱われているが、他国にいる連中には食する不心得者もいるという。
またイスラム教では飲酒を禁じており、これは酩酊を楽しむ文化・手段としてもっぱら麻(大麻 )が用いられてきたという歴史的経緯に拠っている。世界の酩酊文化は大別して酒(アルコール)と麻に二分されており、どちらかが主流の社会では他方を禁忌とする例が多く、イスラム圏ではこの例に漏れず、麻が主流であり酒を禁忌としているということである。これに反した者には鞭打ちの刑が待っている
ヒンドゥー教 では牛を聖別するため、牛肉食に関する制限があるのみならず、多くが菜食主義者である。 また、菜食主義 の例として、マハトマ・ガンディー は、菜食主義者のカースト出身であった。しかしもちろん建前と本音の乖離は、他の社会同様小さくなく、歴史上王侯貴族は肉食を楽しんでいる。
命あるもの誰もが苦しんで死にたくはないはずである。それにしても最近の世の中来るところまで来たかという衝撃的な事件が大阪で起きている。母親による幼児殺害であるが、幼いわが子2人を猛暑の続く部屋で、食料も与えず目張りまでして長期間放置した揚句死なせた事件であるが、自分の欲望のために殺意を持って行った行動は、すざましいばかりの母性崩壊である。悪魔の仕業であろうか寒気を覚える事件であると同時に、助けを求めて泣き続けた子供たちに為すすべもない周辺住民の無関心さと、行政の不備は否めないだろう。
命の重さが軽んじられている昨今ではあるが、我々夫婦は最後の時は、延命措置をしてまで生きることは止めようとお互い言っている。人間泣いて生まれて来たのだから、死ぬ時は笑って死にたいものである。人間いつ死んでもおかしくはないのだから、のっぴきならないこの生を謳歌し悔いのない人生を送りたいものだ。
2010年8月18日水曜日
大人のおもちゃ
パソコンの重ったるさとは一線を画した、早くて実に快適なネットサーフィンが出来る。外に持ち歩かないからもっぱら家庭内の無線ランで、居間や工房、作業場などで見ている。コンテンツも豊富で、電子書籍も買える、音楽もダウンロード出来るし、保存していた写真や、デザインも即座に出てきて、図案を考えるときには便利である。唯一難点は、タッチパネルでキーボードをたたくと指先の少しのずれで誤字が出るのと、スクリーンがガラスのため指の跡がベタベタ付き、こまめに拭かなければならないことであろうか。
居間でねそべって、テレビを見ながらタッチパネルの液晶端末であるipodで番組表を見たり、調べ物をしたりで、退屈はしないおもちゃである。
アマゾンのキンドルを意識して電子書籍をめくるように読めるが、今のところ電子書籍は英文のものが多い。やがて日本語の書籍も今後増えていき、将来は重い本を持ち歩かなくてもこれで見れるわけだが、アマゾンなどは本はもとより日用品やあらゆるアイテムもネットで購入でき重宝している。書籍に関しては日本はまだアメリカにほど遠いが、いずれ紙の文化が電子文化に移行する日もそう遠くはなさそうだ。
いまのところiPadで読める日本語の電子書籍はアプリとして売られているが、アプリの「ブック」のカテゴリには現在すでに1686点もある。検索もできるが、検索するには目的の本の著者名か書名だけでもわかっていなければならない。漠然とミステリが読みたいとかSFが読みたいといったことになると、ひたすら探し回るしかなさそうだ。日本語の本と英語の本が分かれているわけでもなく、現状では英語の本が多いから、日本語の電子書籍をまともに探して読もうとすると、そうとう厄介だ。
ibookstoreのほうも現状では、ジャンルが「伝記・回想録」「フィクション&文学」「歴史」「宗教&スピリチュアル」「旅行」の5つだけ。英語の本ばかりである。今のところ本の購入はアマゾンですべて賄っているので、ipad で読むものとしては、所蔵本をPDF化したり、スキャナーでコピーしたものを読んだり見たりすることが増えるだろう。
この先、IT文化の広がりと可能性はどこまで進むのだろうか?
同時に社会構造や産業構造の変革も速度を速めて行くことになるだろう。世界はテクノロジーの面では刻一刻と進化しているが、それを使う人間がセキュリティーのもとを握っている。ipad自体セキュリティに問題はないとアップルでは言っているが、すでにアプリの脆弱性も指摘されている。
原爆の父アインシュタインの言葉、「20世紀は核兵器が武器になり、21世紀は石が武器になる。」といった強烈なメッセージは人類の明日を予見したアイロニーとして心に刻まれる言葉である。
2010年8月11日水曜日
核無き世界は幻影か?
原爆被爆から65年たち、広島では8月6日に平和記念式典がおこなわれ、ルース駐日大使や潘基文国連事務総長をはじめ米英仏から初めて代表が出席することになった。
その背景にはオバマ大統領の核無き世界の構築の過程で、核戦争当事国として世界に向けての最大のプロパガンダになる今回の式典に臨む意図が見える。
オバマ大統領の「核なき世界」とは何か。今後アメリカはみずからと国連による政治圧力で小国に核廃絶を強行し次に寡占国にまで廃絶を求めながら、アメリカが最後の核廃絶国になることを目指す。これがアメリカの新たな世界核支配構想であるが、核に代わる強力な国家間の緩衝材がない以上、縮小はあっても廃絶、ゼロにはならないだろう。それが人間のどうしようもない業(カルマ)と言うものだ。
安保理の核廃絶決議も核不拡散条約も対象としているのは北朝鮮、イラン等核寡占国(米、ソ、英、仏、中:安保理常任理事国)以外の国々であり、目的としているのは核寡占国の寡占維持に他ならない。このことは最近の核技術の簡素化で今や核兵器がアルカイダ等テロリストの手に渡る可能性
が出てきたことを示唆するものだ。核兵器がテロリストの手にまで拡散されるようになればアメリカを
筆頭に核寡占国の核抑止力が効かなくなる。ならばむしろ世界から核をなくしてしまえばいいではないかという理論が出るのも当然のことである。まさに最近のアメリカ映画を地で行っているような状況である。
広島長崎に原爆が落ちた年は年末までに、両市合わせて民間人20万人以上が犠牲になった。戦争はどの時代でも国家の違法性がつきものであるが、米国の犯した違法性は結果の甚大さからみると特出している。すなわち国際法(ハーグ陸戦協定)では非戦闘員(民間人)の殺戮禁止が謳ってあるにもかかわらずである。
イラクや、アフガンでの間違って攻撃された民間人のレベルではない。恐ろしいことに米国の右派をはじめ多くの米国民が原爆投下は正しかったと認識していることである。右派の突き上げが激しい米国議会の圧力もあって、駐日大使はどうやら長崎までは足を運べないらしい。
戦後、中華人民共和国を意識した核抑止力として日本返還前の沖縄に配備されていたものに、国立アメリカ空軍博物館に展示されているCGM-13B戦術地対地巡航ミサイルがある。もちろんこれに核弾頭装着は可能である。(右写真)
沖縄本土復帰36年の今年、「核抜き・本土並み」での返還の約束の下、返還前に沖縄に貯蔵・配備された核兵器はすべて撤去され、返還後に米国政府が沖縄に核兵器を持ち込む場合には日本政府と事前に協議することが必要となった。しかし、今日ではよく知られた話であるが、この「核抜き・本土並み」返還には裏があった。
「密約は返還のための代償だ」として佐藤首相を説得し、密約の草案を作成したのが、首相の密使、若泉敬・京都産業大学教授だった。若泉は、1994年に著作『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』でその秘密交渉を暴露し、2年後に亡くなった。
沖縄返還交渉に佐藤の密使として関与した若泉によれば、有事の際に事前協議なしに米国が沖縄に核兵器を再び持ち込むことに日本政府が同意する旨、佐藤とニクソンが密約を交わしていたという。
しかしその後、さらに時代が進むと、戦術核の必要性も低下し、わざわざ戦術的な目的のために小さい核兵器を使わなくても、効果的に敵軍を止められる戦法や兵器が開発された。さらに冷戦が終わり、核でないと止められないような大軍が攻めてくる恐れが劇的に減ったことで、この流れは強まり、かつて韓国に配備されていた戦術核は、韓国政府の反対にも関わらず撤去され、またヨーロッパに配備された戦術核も次々に撤去・削減が進んでいる。
戦略核として陸上では大陸間弾道ミサイル(ICBM)は、その命中精度がぐっと上がり潜水艦に搭載して海中深くに隠しておける潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)も同じレベルにあると言われている。そのような最新兵器(戦略核)が存在する中で、戦術核を前方配備する必要性も低下したこともあって上記のような状況になっている。
オバマも佐藤首相もノーベル平和賞を授与された国家元首である。佐藤は非核三原則やアジアの平和への貢献を理由として、オバマは核兵器無き世界の構築を目指していることを評価され、道半ばにして受賞している。(まだ始まったばかりであるが、世界の期待が大きいことを物語っている。)
今一度矛盾を秘めた平和の意味を考えてみたい。
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