2015年12月26日土曜日

マイナンバー制


今年も早1年が過ぎようとしているが、遅ればせながら我が家にも12月初旬に、マイナンバーの書かれた通知カードが届いたが、そのまま手続きは保留にしてある。いわゆる日本に住民票を有する全ての人を対象に、1人に対し1つのマイナンバー(個人番号)が割り振られる制度で、同じ番号が別の人に割り振られることのない国民総背番号制とも呼ばれるものである。

懇意にしている証券会社の営業マンとの世間話のなかでこの話がでて、登録ナンバーを控えていればカード申請は、する必要もないとのことであった。
色々資料を集めてみると、国は事務処理の簡素化と縦割り行政を是正し、各官庁との横の情報の共有化が図れること、すなわち個人情報の共有化が可能になるので行政の効率化を促進する流れが見て取れる。

今回導入されるマイナンバー制は国や地方公共団体が税や社会保障、災害対策などの為のみに使用し、一人一人の番号を管理することによって、国や地方公共団体が個人情報を迅速かつ正確に共有することができ、年金の不正受給や税負担を不等に免れることを阻止することができる。
さらに公平な社会を円滑に構築することが可能であると同時に、マイナンバー制度の導入により、本人照合や確認作業、入力作業が軽減され、取り間違えなどのヒューマンエラーも減少することが期待でき、行政の効率化が図れ、国民の側も書類提出が楽になるという寸法である。

ところが、これにはデメリットもある。個人情報の漏えいなどの問題、たとえば今後「マイナポータル」というウェブサイトで、マイナンバーと紐付けられた「自分自身の情報」の閲覧が可能になり、 閲覧にあたってはマイナンバーカード(ICカード)とパスワードが必要で、その二つさえあれば誰でも閲覧可能になることや、今後の動きとして、改正マイナンバー法によりマイナンバーと銀行口座の紐付けがスタートすることにより銀行口座を政府が把握することが可能になり、貯蓄額も漏えいの危険性が高くなる。すなわち国民のフトコロ具合を国がつかむことになる。我々貧乏人には関係ないが、大金持ちは簡単に脱税できなくなることもあって戦々恐々だ。現在日本で法人の七割以上が赤字に陥り、税金を納めていなことなども、この制度導入の動機にありそうだ。

また個人のみならず事業者も対象に入っているので導入費用が膨大になり、民間企業の事務処理増加、特に中小零細企業は負担がのしかかるため、全国中小業者団体連絡会(全中連)が10月に行った省庁交渉ではマイナンバー(共通番号)制度実施の延期・中止を求めるとともに 「共通番号の記載がなくても提出書類を受け取り、不利益を与えないこと」などを政府に要望したようだ。
全商連の資料によると、その回答は次の通りになる。

【内閣府】
  「個人番号カード」の取得は申請によるもので強制ではない。カードを取得しないことで不利益はない。「扶養控除等申告書」「源泉徴収票」などの法定資料や雇用保険、健康保険、厚生年金保険など書類に番号が記載されていなくても書類は受け取る。記載されていないことで従業員、事業者にも不利益はない。従業員から番号の提出を拒否されたときは、その経過を記録する。しかし、記録がないことによる罰則はない。
【国税庁】
  確定申告書などに番号未記載でも受理し、罰則・不利益はない。事業者が従業員などの番号を扱わないことに対して国税上の罰則や不利益はない。窓口で番号通知・本人確認ができなくても申告書は受理する。これらのことは個人でも法人でも同じ。
【厚生労働省】
  労働保険に関して共通番号の提示が拒否され、雇用保険取得の届け出で番号の記載がない場合でも、事務組合の過度な負担が生じないよう、ハローワークは届け出を従来通り受理する。罰則や不利益はない。労働保険事務組合が番号を扱わないことによる罰則や不利益な扱いはない。番号を記載した書類を提出するとき、提出者本人の番号が確認できない場合でも書類は受理する。


以上のように役所に出す書類に個人番号が記載されていなくても受け付けるし、罰則がないのはもちろん、何の不利益も受けない。公式の席で、各省庁が確認したのだ。
当面、事の成り行きを静観することになりそうだ。


2015年12月18日金曜日

中国の宿命



2007年に日本に帰化して以来評論活動をしているお馴染みの石平氏が、今年書き下ろした著書「死に体」 中国の宿命 歴史が示す習政権の末路 を読んだ。題名からしてえぐいタイトルであるが、今の中国の国の成り立ちと、中国の本質が見て取れる一冊である。

本書によると、中国4000年の歴史と言われているが、その歴史は秦の始皇帝から始まる崩壊と再建の歴史に刻まれている。その始皇帝が戦国時代に並立した6カ国をことごとく滅ぼして中国初の統一王朝、秦を作ったのは紀元前221年のことである。
建国後自身が初めての皇帝と名付けて、国を統治したが、死後わずか15年足らずで崩壊の憂き目にあう。以後歴史は繰り返し、近代清に至るまで一番栄えた唐の時代も含め、崩壊と再建を十数回繰り返し、どの時代も皇帝独裁支配体制のもと、時の権力者はもとより、そこに群がる官僚達の私利私欲に走った構造は、現代の中国の一党独裁政権の腐敗ぶりに連綿とつながっていく。

その構造は、民衆(農民)から絞りとるだけ搾り取り、最後は搾取され収奪されたた農民達が立ち上がり、膨大な数の不満分子の力によって政権が崩壊していく過程が繰り返されていくのである。
通常国家というものは、時代が進むにつれ民主化が進み、政治経済が進展しそれに付随した文化も発展していき、近代国家が形成されていくものであるが、中国は国として体を成した秦からこの方約2200年たった現代でも、王朝が崩壊するたびに国の体制、文化などがリセットされ、前時代の遺物も文化も破壊されるラジカルな国である。それは歴史の進化継続と蓄積とは無縁の断絶の国でもある。

過去において、土地や生活基盤を失った農民がやがて多くの流民(難民)となって時の政権に反乱をおこし、その反乱が大規模に膨れ上がった時に、王朝は崩壊を繰り返す。
近代に入ると、中国初の民主主義革命(辛亥革命)によって中国最後の王朝清朝が崩壊した後、中国初の近代的共和国として中華民国が出来たが、その後、日中戦争のどさくさに旧ソ連の共産党から支援を受けた中国共産党が勢力の拡大を図り、時の政府に反乱をおこし毛沢東のもと中華人民共和国が誕生した。ここでも伝統の独裁専制政治は続き、権力闘争の末、文化大革命なる蛮行を行い自滅の道を歩むことになる。当然そこに展開するのは大規模な粛清と政敵の暗殺である。その犠牲者は1000万人以上とも言われている。




中国元
毛沢東の死後反毛沢東派の鄧小平が復活し、改革開放路線を打ち出し、資本主義を取り入れた結果、今日の繁栄につながったのだが、しかし市場経済の成長が進むにつれ、市場の自立的に働く法則は政治的権力によっては変えられない内部矛盾が露呈し、今日の習政権の株価操作の失敗による経済的苦境を現出させている。また昨今のIMFによる中国元の国際通貨格上げによって、いよいよ国際経済の縛りから逃れなくなり、常態化していた共産党の中国元の為替操作は困難になるだろう。


さて共産党政権存立の基盤となる国家経済が今危機に瀕している背景には、政府による過剰な公共事業や民間の異常な不動産投資によるバブル崩壊と、そのために土地を取り上げられた農民や、賃金上昇のため世界の工場としての地位が揺らいだ結果、景気後退で製造業に従事していた農民工たちの失業者が潜在化している。そして本書では、これら流民が2012年の時点で実に2億6千万人の数で表記されている。これら寄る辺ない民衆が、各地で年間20万件以上という暴動を起こしており、今後もその数は増加の一途たどることになる。また都市と農村、富裕層と貧困層の格差が拡大し都市部の潜在的な失業者も1000万人を超え共産党に対する不満は臨界点に達している。

その公安(治安維持費)のための予算があの膨張する軍事予算を上回っている事実は、いかに政権が過去の政権転覆の起爆剤としての民衆を恐れているかが解るというものだ、そしてその導火線となる知識人の弾圧も体制維持のため激しさを増す。また共産党は、国民の不満の目をそらすために対外的な拡張主義に傾き、東シナ海や南シナ海に象徴されるように、世界と摩擦を起こしている。そして国内では、欲の皮の突っ張った拝金主義の民衆が群がった高金利理財商品への出資からなる膨大なシャドーバンクの崩壊も始まっており、これらの不安定要素が増幅され中国の粉飾経済が失速した時、その世界経済に与える影響は多きい。

そのような情勢の中、特権階級の共産党幹部は相変わらず賄賂によって私腹を肥やし、取り締まる側も賄賂にまみれ、腐臭を放ち腐敗が進む死に体になり、収拾がつかない状態が今の中国であり、政権末期を予感している共産党幹部は、我先に海外に莫大な資産を移し、安住の地を求めその視線は、はるか遠くをさまよっている。
政敵をターゲットにした汚職取り締まりも拡大する中、天津で起きた巨大な爆発事件は習近平暗殺を企てた一件と取り沙汰されていることも明らかになっている。人心は離れ、国家への不満が臨界点に達した今、崩壊へのカウントダウンはすでに始まっている!
著者は現在の習近平体制を赤い王朝と呼んでいるがこの王朝も崩壊する宿命を負っており、それはそう遠くない時期にやってくると結論付けている。運命は変えられるが宿命は変えられないものである。

2015年12月5日土曜日

日本の深い闇

 

戦後70年が経った今、日本を揺るがす大震災による福島第一原子力発電所の崩壊が始まった2011年から今日に至るまで、国のエネルギー政策や国の防衛問題など、釈然としない日本の闇が、1冊の本で霞が晴れてきた。タイトルは「日本はなぜ、基地と原発を止められないのか」矢部 宏治著。
国民も薄々感じているアメリカの影は、戦後GHQから続いている巧みな日本統治による仕組みを明らかにすることで全貌が明らかになってきた。著者はアメリカの公文書の調査をもとに執筆していて、アメリカの機密文書は、国立公文書記録管理局(NARA)で管理されており、25年たてばすべて公文書として発表されされるため、これを引用している。人類の英知と進歩のため、世界の潮流は30年で封印された機密文書は公開されることになっている。

著者によると、憲法を法体系の上位とした「オモテの世界」ではない、「密約法体系」や「安保法体系」といった、「アメリカ」を最上位とした異なる法体系を上位として権力が動いている「ウラの世界」があるようだ。そしてこの日本の権力というのは、結局はそうした「ウラの世界」の権力により、現実には動かされていることが分かってきた。

絶対的な存在「アメリカ」と、その「アメリカ」の作ったシステムの中軸たる法体系、「密約法体系」、「安保法体系」に忠誠を誓う「官僚」という一大権力機構システム。それが「原子力村」ならぬ、それすら含むここ日本という「安保村」の駆動源であると。
「政治」とは、即ち近代憲法に基づく、近代民主主義国家としての議院内閣制による政治形態のことであり、本書で呼んでいる「オモテの世界」のことである。そしてそうした「政治」ではない統治権力が、確かにこの国には根強くはびこっている。「日米地位協定」などアメリカとの条約は、日本国憲法よりも上位にあること、明文化された条約のほかに数多くの「アメリカとの密約」があり、それも憲法より優先されることなどなど。


日米合同委員会
 
ここで決められたことが、日本国憲法を超えてしまう。在日米軍との委員会なので、外務省や防衛省の官僚が入っているが、特筆するのは、法務省、財務省、農林水産省などの官僚も入っており、米側の代表は、基本的に軍人である。現在でも月に2回、米国担当者と官僚との会合がおこなわれ、密接な意思疎通がはかられていること、そしてそのような状況を形作るにあたり昭和天皇およびその側近が、大きな役割を果たしていることなどなど、驚くべき事実が明らかになっている。

つまりはまともな主権を持った独立国としての体を成してないこと、敗戦後に作られたこの国のあらゆる法体系や社会システムが、所詮はアメリカの意向に従うために設計されていることを知らされる。米軍と官僚組織、さらには司法やメディアまでがすべてつながっていることを。
さらに著者曰く、日米合同委員会は基本的に占領以来続く在日米軍の特権、つまり「米軍は日本の国土全体を自由に使える」という権利を行使するための協議機関なのだが、この組織が60年間続いていくうちに、そこで決まったことには、もう誰も口出しできないという状況になってしまった。
なかでも一番の問題は、日米合同委員会のメンバーである法務官僚が、法務省のトップである事務次官に占める割合は過去17人中12人、そのうち9人が検事総長にまで上り詰めている。つまり、米軍と日本の高級官僚をメンバーとするこの共同体が、検察権力を事実上握っているということだ。

日本の歴代政権を見てみると、親米派と反米派に分かれる。ここで親方アメリカの意に沿った政権と、意に反した気概のある政治家を擁する政権の末路を見てみよう。
対米従属派である清和会の政治家と違い、国益を重視して米国と一線を画して、近隣アジア諸国などと独自の繋がりを模索しようとした経世会の政治家は、失脚もしくは殺害の末路を迎えている。途中で政権交代した小沢鳩山政権は、年次改革要望書を撤廃させたが、1年たらずで、鳩山首相に至ってはアホ呼ばわれされた末にアメリカにつぶされ、その結果後の菅政権はアメリカ寄りになったが続く野田政権も短命に終わった。驚いたことに、当時の首相だった鳩山由紀夫は、この組織の存在さえ知らなかったと2014年の著者とのインタビューで述べている。


  自民党2大派閥『清和会と経世会』
  
 (田中派)田中角栄 逮捕 ロッキード事件(東京地検特捜部)脳梗塞
 (経世会)竹下登 失脚 リクルート事件(東京地検特捜部)雲隠れ病死
   金丸信  失脚逮捕佐川急便献金・脱税(東京地検特捜部&国税) 
   中村喜四郎 逮捕 ゼネコン汚職 (東京地検特捜部)
   小渕恵三 (急死)脳梗塞と報道されているが自殺とも言われている。
   鈴木宗男 逮捕 斡旋収賄 (東京地検特捜部)
   橋本龍太郎 議員辞職 日歯連贈賄事件 (東京地検特捜部)
   小沢一郎  西松不正献金事件 (東京地検特捜部)
   二階俊博  西松不正献金事件 (東京地検特捜部)
   
 ●その他政治家の不審死の裏にアメリカの影あり。
   梶山静六 橋本龍太郎 松岡利勝 中川一郎 中川昭一
 いずれも経世会政治家と反米的政治家の場合、不慮の突然死・事故死・自殺 が偏って多いのが特徴で、いまだ真相は解明されておらず、深い闇のままで ある。

一方(清和会)では 岸信介 福田赳夫 安倍晋太郎  森 喜朗 三塚 博    塩川正十郎  小泉純一郎  尾身幸次 安部晋三  福田康夫    麻生太郎    中川秀直    町村 信孝 などなどで これらはいずれも御 安泰である。

、自民党とCIA(ユダヤ権力)には、癒着の歴史が関係している。清和会は米国に有利な政策を遂行し、その報酬としてCIAからカネをもらい、勢力を伸ばしてきた。大手マスコミは一切報道しないが、岸信介がCIAに雇われたエージェントだったことは、後年になって情報公開された米国務省、米国立公文書記録管理局(NARA)の資料から明らかになっている。

原子力の問題

英米金融資本の頂点に立つロスチャイルドが一元支配しているのが原子力事業の根源ウラン燃料であり、原子力発電を稼働させるために我が国はアメリカからウランを輸入している。だから分かっちゃいるけどやめられない。日米原子力協定があるからだ。

日米原子力協定で決められたことは、原子力発電で出た使用済み燃料(プルトニューム)の再利用を促進するといったプログラム(プルサーマル計画)推進のための協定であるが、使用済み燃料を再処理すれば燃えかすウラン(96%)、高レベル放射性廃棄物(3%)となり、残る、プルトニウムは1%にしかならない。問題は、燃え残りウランは本来高速増殖炉で使われ、プルトニウムに転換して利用されるはずのものであるが、未だ高速増殖炉は実用化されず破綻している。

日本以外の先進国はすべて核燃料サイクルから撤退している。積極的であったフランスもコスト高、各国もトラブル続きで止めている。よって、プルサーマルをやらない国は、使用済み燃料については貯蔵して廃棄物処分している。人類史上稀有の大事故が起きた後も原発の安全性が確保されないまま稼働に踏み切る日本。いつまで日本はウランを買わされるのであろうか?
未だ戦後を引きずっている国、それが日本である。


参考文献 「図解」 世界闇の支配者 ベンジャミン.フルフォード

追記
昭和館


地下鉄九段下駅前にある昭和館(厚労省所管の博物館)を訪ねてみた。 昭和館は、九段下の地下鉄の駅からすぐ、武道館に向かう途中にある。戦中戦後の日本人の暮らしぶりが垣間見れるところである。私の生まれた昭和22年前後は、実際どうなっていたのだろうと思って常設展を見に行ってきた。6階7階は常設展示室で戦前戦中戦後と別れており、当時の日本人の暮らしぶりや、社会の動向が数多くの展示品からうかがえる。まるで骨董品の世界である。



戦中戦後の暮らしに関する展示品
当館では、死を推測させ、直接戦争にかかわるものは陳列してはならないマニュアルがあり、 陳列していいものは、防空ずきん、慰問袋、衣・食・住にかかわるもの、そして悪いものとしては、武器、軍用品、赤紙、戦死公報、原爆投下・爆撃行為にかかわるものなどがあるようだ。
戦争を知らない私は、母から当時神戸で空襲にあって、逃げまどい多くの死者たちを無感動のまま見てきたことや、戦後の食糧事情が悪い時、赤ん坊の私に、ミルクがないので小麦粉を溶いて飲ませた話などを聞いたことを思い出す。
そして5階の映像音響室では20台以上あるPC映像機器を閲覧者が、それぞれ戦中戦後の人々の暮らしぶりを主とした画像や映像音声などが膨大に流れていく機器を操作することができる。戦争を境にした昭和という時間の流れと、戦後日本の焼け野原から立ち上がった日本人の逞しさと、戦後GHQによって、国の体制がリセットされ、やがて我が国の復興が始まり経済発展へとつながる経緯が、走馬灯のように短い時間の中で体感できた。