2011年11月26日土曜日

地球温暖化問題

地球温暖化対策を協議する国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)が28日から南アフリカのダーバンで始まる。最大の焦点は、温室効果ガス削減のための国際的な枠組みだ。現行の京都議定書は2012年で期限切れとなるが、その後にどうするかという「ポスト京都議定書」で各国は激しく対立。13年以降の枠組みも不透明だ。各国による交渉の行方は、日本経済にも大きな影響を与える。
 2013年以降の枠組みに関する日本の立場は終始一貫している。中国などの新興国が求める京都議定書の延長には絶対反対。議定書は新興国が対象外で、米国も批准していない不平等な内容のため、13年以降は、すべての国に削減を義務づける新たな枠組みを作るべきというのが日本の立場である。
 2005年に発効した京都議定書は08~12年を「第1約束期間」とし、各国に温室効果ガス排出量削減目標の達成を義務化した。現在は13年以降に「第2約束期間」を設け、削減義務を延長することが議論されている。新興国からは法的拘束力がある議定書の延長を求める声が強いが、批准していない米国や新興国扱いの中国など主要排出国には削減を義務づけられない。
欧州では順調に削減が進み、目標達成の目処が立っている。しかし主要排出国の米国が参加しておらず、また先進国のカナダが目標達成をあきらめたり、日本が削減義務達成に失敗しそうな情勢になっている。途上国の排出量を抑制する道程も定まっていない。

上図のようにCO2排出シェアは、 日本4% 米国19% 中国22% で、全体の73%が削減義務のない国である。温室効果ガス排出量に関して、義務を負う国と負わない国が偏在している。 日本は目標達成の義務を負うが、排出量が2008年世界第1位(シェア22%)の中国は目標達成に義務を負わない。各国の削減目標が、公平な削減目標になっていない上に、義務を負う国にのみ負担が発生する。世界で最も省エネの進んだ日本が、削減目標達成のためには大量のクレジット(排出枠)を海外から購入する必要がある上に、達成できなければ、クレジット(排出枠)の購入もできない上に、より多くの削減目標を設定される。
日本はオイルショック以降、技術開発、省エネ投資等の先行努力を他国よりもしてきたので、日本の限界コスト(中心値)は、他の先進国の1.6~1.9倍と高い。後先も考えずに削減目標を25%と大ボラを吹いた首相もいたが、噴飯物である。

新興国側の主張の根幹には、先進国が歴史的に温室効果ガスを排出して経済成長を遂げたという認識があり、「これから経済成長する新興国には当然、排出の権利がある」とする中国側は、すでに世界2位の経済大国となっているにもかかわらずこの認識を保持しようとしている。これに対し、米国のオバマ大統領は「中国やインドのような新興国の役割は重要。彼らは自らの責任を真剣に理解しなければならない」と指摘。新たな枠組みづくりよりも新興国が足並みをそろえるかどうかに関心を寄せる。しかし議定書の枠組みから抜けた米国がもっともらしいことを言う前に、削減義務を果たさずに中国に意見を言っても効果はない。議定書延長問題への対応も微妙で、賛否の積極的な意見表明もみられない。責任の押し付け合いが際立つ構図だ。

洪水と干ばつ
 さて問題の地球温暖化の原因は、二酸化炭素を主とした温室効果ガスの濃度増加が主因だとされているが、これら学術的知見に対して、炭酸ガスによる温室効果を過大評価しすぎとして、太陽活動の影響、宇宙線の影響、地球内部の活動、磁気圏の活動などを原因とする異論がある。一方で、
「現在、0.6℃/100年という上昇率で、地球温暖化は確かに起きている。しかしそれは、氷河期と間氷河期の繰り返しの中で起きているもの。現在進行中の温暖化の大部分は、地球の自然変動であり、人類活動により放出された炭酸ガスの温室効果によるのは、わずかである可能性が高い。」と言っている学者(  赤祖父 俊一氏)もいる。
対立する両者の論点を見ていると、正直まだ研究途上の温暖化議論で、そう単純に結論の出ないのが現状ではなかろうか?。

いずれにせよ地球全体で地上気温が高くなると、人間生活に重大な影響を及ぼすおそれがあることは間違いない。考えられることは地球温暖化によって生じてくる気候変化が起こすものとして、乾燥・半乾燥地域での砂漠化の進行 、集中的な降水の増加 、海水の熱膨張による海水面の上昇 、積雪域・凍土の縮小などが進行し 、その結果生じてくる現象として、森林の衰退(特に半乾燥地域)  気候帯が数100km極方向に移動  環境の変化に適応しきれなかった種の絶滅  海岸線の変化 などである。

2011年11月9日水曜日

経済の潮流が変わった


アメリカは基軸通貨ドルに支えられ繁栄を謳歌してきたが、1970年代以降第3次産業という脱工業化社会を築いていった。これはサービス業・金融産業・知的所有権関連などだが、その後IT産業の台頭から、一段と加速されていった。そして金融資本が支配する金融産業に傾倒してゆき、製造品は外国(日本や中国)の安いものを購入し、金融産業を基軸に国家の経済政策を進めてきた。

その間アメリカ相手に高度成長を遂げた国が日本であり、最近の中国である。しかしアメリカが自ら作り上げた虚構の金融商品はサブプライムローンの破綻によって引き起こされた甚大な傷口が癒されぬまま、国内の失業率の悪化や、米国債のディフォルトが取り沙汰されるようなった。
そのため、再選に望むオバマは雇用の創出のため、貿易輸入国から輸出国へと変換を図った。その結果輸出に有利なドル安を容認、今日の円高の大きな障壁になっている。リーマンショック後、米国民は借金できなくなり、米国は世界から大量に輸入できる体質でなくなった。

オバマがTPP環太平洋戦略的経済連携協定に力を入れるのは、米国製品を日本市場で売りやすくして、米国の輸出産業を復活させ、自国のあらゆる産業分野の利益と雇用を、協定を結んだ国から吸い上げる方程式で仕掛けている。再選に向けた自らの政治的得点を得るためオバマは、日本などアジア諸国に対し、対米輸出で経済発展を続けることにブレーキと警告を発している。衰退に向かっている米国は、日本を含む世界にとって、従来のように旺盛に消費してくれる経済覇権国でなく、逆に、政治と軍事の力で世界から利益をむしりとる存在になってきた。

問題のTPPは表向きは関税の自由化と標榜しているが、そんなものは氷山の一角で、秘密裏にされている非公開の縛り、すなわち米国にとって国益になる制度をクモの巣のように張り巡らしている 。
その政策の柱は、農畜産物の輸出に限らずありとあらゆる産業を条約を締結した国に送り込み、自国に有利な制度をすべて適用させることに尽きる。

相手国との紛争解決ではアメリカ側の第三者機関の調停により、多大な国家賠償金を米国企業に支払っているのがカナダをはじめメキシコなどので、提訴した米国企業の都合のいいように再審無しの判決が下される。これが条項の中の(ISD=投資家対国家間の紛争)という投資家保護条約の代物である。このような不平等協定に臨んでわが国政府に果たして勝算があり、国益が守れるのだろうか?

韓国との二国間協定(FTA)も韓国にとって得るものがなくアメリカにとって非常に都合のいい条約を締結させられたと、韓国民も今になって地団駄を踏んでいる。TPPも同じようなもので、手練手管を駆使し標的となった国にアメリカンスタンダードを押し付け、市場をこじ開けようというもので、ノウと言えない我が国の現政権がテーブルについて交渉しても結果は見えてくる。

何より政府がTPPについて国民に仔細な情報を流さずに、交渉を始めることや、闇雲に対米盲従を国民に強要する姿勢は国家主権を失った国の姿でもある。政府や外務省、マスコミなどがTPP参加のプロパガンダを流し続けているが、今やTPPは国を二分する論争に広がっている。

世界的にはブロック化による経済圏の対立が激化し、第二次大戦前のような様相だ。通貨切り下げ競争が激化して保護主義が台頭し、最終的に世界的規模の植民地再分割、市場争奪戦を繰り広げたのが第二次大戦だった。アメリカを中心とする日米の環太平洋、すなわち日米枢軸同盟、それと中露、EUの対立があらわれている。

ユーロ体制の崩壊の予兆

リーマン・ショックから3年がたったなかで、ギリシャを中心にした「欧州ソブリン(国家財政)危機」が深刻な様相を見せている。今年8月にはアメリカが債務上限をめぐってデフォルト(債務不履行)騒ぎをやるなど、いまや資本主義各国がどこも国家破綻の危機に瀕し、あるいは道連れになるまいと必死な姿を露呈している。サブプライムローン破綻から翌年のリーマン・ショックを経て、その後は公的資金注入によって、金融システムの破局をごまかしてきた。ところがアメリカを中心とする金融機関が息を吹き返したかわりに、今度はツケを肩代わりした各国の国家財政がパンク。国債を引き受けている金融機関も危機になっている。そして米日欧に中国、ロシアなどの争奪が激化し、世界各国で共通して緊縮財政など人民に犠牲を強いて矛盾が先鋭化している。
もともとギリシャはユーロー加盟の基準から大きく外れているにもかかわらず、ゴールドマンサックス(アメリカの金融グループであり、世界最大級の投資銀行)などによる悪知恵で財政の粉飾とごまかしによって同盟に入ったわけだが,裏を返せばアメリカがドルからの自由を求めて作られたユーロに時限爆弾を仕掛けたようなものかもしれない。
今起きているギリシャ危機はギリシャ国債の信用力低下の現象が、スペインやイタリアに波及する可能性が高い。特にイタリアは日本、米国に次ぐ世界第三の国債発行国であり、仮にイタリア国債の価格が一段と下落するようだと、その影響は大きい。

ギリシャ情勢悪化による支援打ち切り、ユーロ離脱などの事態に至ると、株価大幅下落、金融機関の資金調達困難化など、各国金融市場の機能が低下する第2のリーマンショックのような深刻な金融危機に一気に進行する可能性が否定できない。EU発の金融危機が深刻化すると、日本にも大きな影響を与える可能性がある。日本の銀行や生損保の大手金融九社もギリシャやポルトガルなど南欧の重債務五カ国向けの投融資残高が約2兆8700億円に達することが明らかになっている。

世界市場では投資信託やREIT(不動産投資信託)も収縮し、金や石油といった商品市場からもマネーが引き始め、ファンドも業績悪化の一途をたどっている。世界の投資マネーはヘッジファンドからも資金を引きあげ始める様相となった。そして向かった先が円買いで、超円高現象が起きている。世界的に見て通貨が上昇しているのは日本だけで、1000兆円近い債務を抱えていながら、しかも財政支出をともなう東日本大震災に見舞われているなかでも、「他よりはリスクが少ない」「安全資産」などといって投機マネーが張り付いている。
この最大の要因はアメリカで、FRB(米連邦準備制度理事会)が途方もなくドルを刷り散らして市場に注入し、公定歩合を段階的に引き下げてきたこと、供給量が増えるおかげでドルの価値が下がり、ドル不信、あるいはユーロ不信とあいまって日本の円高につながっている。日本も金融緩和して円を刷れば為替介入などの小手先の政策を労しなくても円高は止まり、景気浮揚になるのに、日銀の白川総裁はかたくなにそれをしない。

世界各国は輸出産業などにテコ入れして経済のカンフル剤にしたい、内需を喚起したい願望から意図的に自国通貨の切り下げ合戦をしてきた。ヨーロッパ各国では第一次大戦後の通貨切下げ競争が結局は第二次大戦を導いたという歴史認識の共有がEU統合の出発点であった。
リーマン・ショック後は、天文学的な財政出動によってしのいだが、今度はより深刻な国家破産、破局の影がちらついてきた。金融独占資本が引き起こした大恐慌・大不況で経済は回らず、犠牲転嫁された人民はどの国でも生きていくのが困難である。

2011年11月3日木曜日

アートな話 「鎌倉彫のある暮らし」


私が所属している鎌倉彫協同組合は今年で設立60周年を迎える。鎌倉彫資料館並びに組合直営の店<慶>で暮らしの中で生かされる鎌倉彫をテーマとして、この2会場で11月1日から12月27日まで記念展が行われている。鎌倉の地場産業として発展してきた鎌倉彫であるが、他府県の漆器産業とは違ってお稽古産業として鎌倉彫の普及に努めた先達の指向性により、製造販売よりアマチュアに鎌倉彫を教えることに重点を置いたことによる鎌倉彫の普及を図った結果、製造販売部門のシェアーが小さい。
ましてや鎌倉彫風という廉価で粗悪な品が出回っている一般市場並びにネット市場を見るに付け、今一度本物の鎌倉彫を多くの人々に知って欲しいと思っているのは私だけではない。こういった品物は他府県で製造され一部中国産ともいわれている機械彫やウレタンの吹付仕上げなど、漆とは似つかぬもので、一般の人でこれが鎌倉彫と思っている人も意外と多い。このことは登録商標の問題にも関わってくるはずである。

TVでおなじみのお宝鑑定団と言うものがあるが、本物偽物を専門家が鑑定するわけであるが、そこに出てくる作品はキワモノが多く真贋の判定が素人では難しいモノが対象となる。
素人でもわかる臭い鎌倉彫が市場に氾濫している現況を苦々しく思っている関係者は多い。
本物は使い込むほど味がでてくるが、偽物にはそれがない。



初日のオープニングパティーには鎌倉市長、県会議員、業界関係者など多くの来場があり、鎌倉彫資料館は大いに賑わっていた。