2010年7月20日火曜日

遠征釣り

18,19日の連休、釣友とシマアジを釣りに新島に行った。今回船は網代港のゆたか丸で、港から3時間弱の航程であったが、大型船のキャビンはエアコン付きのベットルームになっており、エンジンの騒音を気にしなければ快適に眠れるスペースであった。
        フエフキダイ

出船は港3時30分出船まで駐車している車の中で仮眠をとるわけであるが、車中睡眠はなれないせいか熟睡は出来ない。3時ごろに船長が13人の釣り人各人の車まで起こしに来たが、12時前に着いたこともあって2時間半は寝たであろうか、眠い目をこすりながら、出船までの30分間で道具の支度をして、キャビンでふたたび眠りに着いた。

6時過ぎに新島に着くと遠くに利島を見て釣りを始めるが、今日の潮は複雑で2枚潮と潮が速いせいで、ポイントに当たってもすぐに離れていくため船の移動が多い。1回一流しでイサキはかかるが、他の高級魚はなかなか食ってくれない。結果はシマアジは船中1枚、他にマダイ、イシガキダイを釣っていたが、私は沖メバル、クロムツ、アジなどが釣れたが、外道に1.5kgのフエフキダイを釣った。この魚はうろこが大きく調理しづらいが、味はよかった。

2時間ぐらいで新島を諦め。30分ほど走り利島で釣りを開始するがほとんどイサキが多く、お土産を16匹キープし、あれこれ仕掛けを変えたり餌を変えて見たがなかなか狙い通りにはいかない。
船長の話だと、島の地磯に近いところでは良い魚が多いが漁業権の問題もあり、地元以外の船はいいポイントに入る事が出来ないと行っていた。過去に大島に赤イカを釣りに行ったことがあるが伊豆七島も一つ一つが味わいのある形をしていた。


新島(にいじま)は、伊豆諸島を構成する島の一つであり、東京から南に約160km、の位置にあり正式名称は東京都新島村と呼ぶ。 サーファーや海水浴客などに主眼を置いた観光業、漁業などが盛んである。 大きさは、周囲28キロ、面積は23平方キロある。



一方の利島(としま)は、伊豆諸島にある人口300人ほどの小さな島で 、
直径約2.5kmの火山島で、海面下の部分を含めると直径約5km、
標高約600mの規模のこれもまた正式名称が利島村と呼び。
椿の栽培が盛んなところでもある



12時少し前に納竿となり港に着いたのは2時15分頃だったろうか、今回はシマアジは幻の魚に終わった。港を出てすぐ行楽客の帰り車で海岸線は渋滞していたので、網代から松伏峠の山道を登り、伊豆スカイラインに入り、箱根ターンパイクを下って西湘バイパスに出て帰宅するまで3時間弱かかり、熱い中のしんどい釣行だった。

2010年7月15日木曜日

悩ましいこの国

政治は一寸先は闇と言われているが,参議院選は予想された結果に終わった。民主党の票が自民党やみんなの党に流れ、民主党への国民の期待が大きかっただけに、選挙結果は国民の民主党10か月の評価として現れた。管総理には期待はしないが、国民にとってどこに入れたらいいか迷いの多い選挙であった。国民は少なくても3年は安定政権を維持して、民主党を育てるぐらいの気概が薄れたようで、昨年8月に熱く政権交代を支持してから一年足らずで、民主党は参議院選挙で大敗した。国民にもあらゆる面で余裕がない、待ったなしの結果ともいえる。



今回の選挙を振り返ってみると、財務省の言う通りの10%をそのまんま、自民党と同じ調子で喋り、さらに消費税の還付基準まで議論を尽くさないまま、思いつきで軽くしゃべった管総理。どうも民主党総裁は2代そろって軽い印象がぬぐえない。そのため今回の選挙は消費税が争点になり、疲弊した地方から民主党離れが進んでいった。国民の多くは消費税やむなしと認識しているが、発言の仕方が悪かった。


行政改革を第一の争点にすべきところを、消費税と言うピンポイントに国民の目が向いてしまった。平成になってから今日まで16人の総理大臣が出たが、その誰もが行政改革を提唱したが、それにもかかわらず改革の成果は未だ十分には上がっていない。政治主導は官僚の抵抗から短期間に出来るものではないが、既得権益に固まった官僚から平成の大政奉還を成し遂げるのはまだ先のことだ。毎年毎年、年変わりの総理は世界から見て異様に見られ、日本の信用度はがた落ちである。


小沢一郎は「明治以来100年余りの官僚主導体制を打破する革命的改革」と言い、鳩山由紀夫は昨年10月の初の所信表明では「平成維新」「官から民への大政奉還」と述べ、菅直人は今年6月の初の所信表明で「市民自治の思想に基づいて真の国民主権を実現する」「官僚内閣制から国会内閣制へ」と語った。表現の違いはあっても、3人とも目指しているところは同じで、彼らを筆頭に民主党にこれをやらせる以外にこの国は突破口を切り拓けるのか?それとも同じ志を持ったものが大連合を組むのか?9月の民主党の首班指名選挙後に国のかたちが決まるだろう。今は革命前の混乱混迷期であるが、民主党内部のゴタゴタは国の利益にはならない。挙党一致で改革の手を休めないでほしい。


今の日本、消費税うんぬんよりもいかに財政の無駄を省くのかが先行されなければ、国民は納得しない。消費税を導入している国は現在、145カ国。財務省のホームページを見ると、日本と主要国の消費税を比較する資料があり、(日本の5%に対して、フランス19.6%、ドイツ19%、イギリス17.5%、スウェーデン25%)などとなっている。数値を見れば、日本の税率が低く見えるが、そんな単純な話ではない。主要国の多くは、食料品など生活必需品の税率を軽くしている。イギリスでは食料品、国内旅客輸送、医薬品などの税率はゼロ。フランスも新聞、医薬品の税率は2.1%。アイルランド、オーストラリアも食料品の税率がゼロ。日本のようにすべての国民を対象に、日用品も贅沢品も関係なく一律に分捕る制度ではない。

 一概に比較できない数値を“喧伝”して「増税やむなし」の雰囲気をつくろうとする財務官僚の口車には乗らない方がいい。税収(国税)に占める消費税の割合を比べると、日本の36.3%に対して、イギリスは38.4%。日本の2倍の消費税(10%)のオーストラリアは26.8%だから、日本国民の消費税負担が極端に軽いワケではない。

デフレ下の日本で増税すれば、さらにモノが売れなくなり、税収も落ち込む。官僚たちの言い分を信じていいなりになるは安直な話である。5%増税したから財政がよくなるといった単純な話ではない。増税だけで財政再建した国はどこもない。合理的な歳出削減は財布の紐を握っている官僚制度の改革無くしてなしえない。

2010年7月10日土曜日

酒にまつわる話


酒は百薬の長である。その量と飲み方を誤らなければ、成人してから死ぬまで、長くつきあえる素晴らしい友となるであろう。


酒と釣りは付き物で、古来、海中より杯中に溺死する者多し(海でおぼれるより酒におぼれる者のほうが多いたとえ)と言った諺や(飢つえて死ぬは一人、飲んで死ぬは千人(飢えて死ぬ人より酒で死ぬ人の方が多いこと)など酒にまつわる諺は多い。

この酒を、薬にするか、毒にするかは、飲む人の心がけ次第であるのは言うまでもない。毒の部分をみて、これを遠ざけるのは良くないし、かといって過ぎればこれ又言うに及ばず。酒の飲み方で人間性が出るというものだ

       吉川創雲 酒器 「宴」

ほどほどを心がけ、「ほろ酔い」が最高と知る人は、「達人」であろうが、筆者も若い頃は腰が抜けるほど飲み、給料をすられたこともあり、ひどい二日酔いに苛まれたこともあった。しかし振り返ってみると、酒に関しては苦い思い出はなく大抵はいつも楽しい酒である。
上の写真は私の作品で杯とぐい飲み、下は懇意にしている熊野古道に寺を構える酒飲みの住職の依頼で作った酒器で酒が4合入る。作品名は「宴」で2つ作った。彫りは海の魚と波である。

最近釣友の一人が、大工仕事の手休めに現場近くの道志川で、ヤマメを15匹ほど釣ってきてくれた。くだんの居酒屋で一杯やることになったが、そこで店の女将にこのヤマメを焼いてもらい、骨酒を飲んだところ、これがすこぶる美味く辛口の酒がほんのり甘く香ばしかったので、5匹入れた酒器を6合ほど4人で飲んでしまった。
昔岩魚でやったことがあるが、ヤマメのほうが格段に旨かった。川魚ではカジカ酒というものがあり、このカジカとは清流に住むハゼみたいな魚で、四国や金沢ではゴリと呼ばれる小さな高級魚だ。これも絶品らしいがまだ飲んだことはない。

ショウサイフグとマフグの骨そしてアユとゴリ。
私がよく飲むのはショウサイフグの骨酒で、これも釣り人の特権でふんだんに貯蔵している。3枚におろした後のフグのひれ付きの身のついた骨を、干して乾燥させた後に焼いて保管し、飲むときにもう一度火にあぶり酒に浸す飲み方であるが、これもすこぶる旨い。右の写真はアユとゴリ

日本酒はカロリーがあるし、ビールは痛風に悪いので20年来の焼酎党であるが、焼酎の良いところは、蒸留酒で後くさりの無いところであろうか。以前長野の親戚が裏山でマムシをとってきて焼酎につけた3年物のマムシ酒を頂いたが、ハブ酒と同じでやけに血が騒ぐ酒だったことを思い出す。

そんな焼酎も行きつくところは沖縄の泡盛に落ち着いている。泡盛は米(タイ米)を原料にしているので、芋や麦の臭みがなく飲みやすい。ネットで取り寄せれば何でも手に入るこのご時世に、人気が高く芳醇な白残波の一升瓶を定期的に購入しているが、いろいろ飲み比べた結果値段も手ごろで気に入っている。

泡盛の歴史をみると、琉球国(沖縄)から徳川幕府への献上品として、または薩摩島津家の藩主、藩士たちを通して、江戸の有力者たちへかなりの量が運ばれ、その名も知れ渡っていたようだ。ちなみに、「泡盛」という名称が初めて登場したのは1671年のこと。江戸幕府へ献上された数々のお品書きの中に、その名が初お目見えしている。

泡盛は刀傷の消毒にも欠かせない薬だったという記録もあり、ほかにも痰を切る、回虫を殺す、利尿作用があるなど、さまざまな効能があると、泡盛は薬として珍重されていた。徳川家康は、娘の嫁入り道具に泡盛壷を持たせたという話もある。また泡盛は薬として利用されており、地元沖縄でもちょっと昔までは、切り傷や擦り傷に泡盛、あせもができたときも泡盛、やけどをしたときは泡盛とキダチアロエの葉肉を塗るという民間療法があった。やけどには淫水が効くとは、本土の遊び人が言った戯言ではあるが。地元沖縄では酒と言えば泡盛である。

2010年7月3日土曜日

中国経済の屋台骨


中国はこれまで、「安い労働力を求める外資」により「世界の工場」として成長してきた。そんな中国で今、賃金引き上げを求める工場労働者の“反乱”が全土に広がっている。台湾系EMS(エレクトロニクス製品の受託製造会社)大手の富士康で起きた生産ライン労働者の連続自殺がきっかけだが、底流には急激な経済成長にもかかわらず低賃金と劣悪な環境にとめ置かれてきた中国の最底辺労働者の蓄積した不満がある。富士康や、同じくストライキが起きた広州ホンダは賃金引き上げに応じたが、この勢いで中国全土の工場労働者の賃金が急上昇することが予想される。



富士康は世界最大のEMSである台湾の鴻海精密工業が中国に工場展開する際に設立したグループ会社で、鴻海が受託する製品の8割以上は、富士康が中国全土に展開する工場で生産されている。ノキア、アップル、デル、ヒューレット・パッカード、ソニー・エリクソン、任天堂、モトローラなど世界の大手エレクトロニクスメーカーでは、鴻海に生産を委託しているが、中国では沿海部はもちろん、内陸部にも工場を広く展開、82万人もの中国人を雇用している。中国に進出している外資企業のなかで売上高、輸出額ともに2005年以降、7兆円前後の売り上げでトップを維持している。この富士康の労働争議が5月以降、ホンダの部品工場や日産、トヨタ系列の工場に波及し、賃上げで労使合意するなどしている。



 1978年にトウ小平氏が開始した改革開放政策によって中国は「世界の工場」にのし上がったが、その根幹は低コストの労働力を提供し、世界から生産拠点を集め、つくった製品をグローバル市場に輸出するモデルだった。その成長モデルを最も忠実かつ大規模に実現したのが富士康(鴻海)である。そのため富士康の賃金が、中国全土の工場労働者の基準モデルになっているので,今回の争議が中国の労働市場に与える影響はきわめて大きい。


中国全体の生活水準が急激に向上し、生活コストの上昇で出稼ぎの実質可処分所得が減った現在、多くの労働者は境遇に耐えられなくなっている。
中国は今後労働集約型の軽工業品などの低コストを売り物にした組み立て中心の製造業では立ち行かなくなることになるだろう。
低コストの組み立て工場を必要とする外資や中国企業は今後、ベトナムやインドネシア、ミャンマーあるいはインド、バングラデシュなど、中国よりはるかに人件費が安く、労働力も豊富な国に生産を急速に移転していくだろう。かつて日本が高度経済成長期に演じた世界の工場が、80年代に中国にシフトしたように、それは近い将来にやってくるだろう。


他方、米欧が強く求めている人民元の切り上げは、じわじわと内陸部にも容赦なく襲いかかり、それはドルや円での「賃金水準が上がる」ことを意味しており、輸出競争力を削ぐことになる。そのため胡錦濤国家主席-温家宝首相の中国指導部は、経済成長に伴って起きた米欧との貿易摩擦を回避し、人民元切り上げ圧力を押し返すために、内需拡大の道を選択しているが、労働者や農民の所得引き上げはその目的に沿ったものであり、国内の経済格差を縮める目的にも適った。また2011年からスタートする第12次5カ年計画で所得倍増を目指す方針も打ち出そうとしている。

 そのため今のところ労働争議に対する規制の動きはなく、むしろ政府は労働者の待遇改善要求を支持している。とりわけ改革・開放開始後の約30年間、中国産業や都市建設を支え、外資の誘致と加工貿易の発展に貢献してきた出稼ぎ農民(農民工)の待遇改善が、社会の安定にとって急務になっているためだ。

ちなみに農民工が主体の輸出型企業の平均賃金は、一般労働者の3分の1程度らしい。農民工が2億人を超え一大労働勢力になった今日、彼らの待遇を改善しなければ不満がいつ爆発するか分からない。彼らは既に農民ではなく、都市住民と同等の権利を主張し始め、その労働争議は中国全土に広がる気配を見せている。

そんな状況下、中国は過去の日本の急激な円の切り上げによる経済の打撃を見て、同じ轍を踏まないよう、非常にゆっくりと元の為替変動をコントロールし、急激な元の切り上げが起こらないよう国を挙げて為替操作をおこなっている。


中国に関する報告によると、中国金融資産の70%を占めているのは、官僚と僅かの利益集団だけが70%の富を所有している。国民の9割以上が残りの30%の富を分け合っている状況である。

世界で最多の人口を有する中国では、大まかに言うと7億人は食べる以外の消費能力はほとんどなく、6億人の労働者は僅かの収入で毎日十数時間、働いて大量の商品を生産している。しかし、彼らの生産した商品は欧米諸国や日本に輸出され、自分たちの消費は限られている。
この30年間の経済改革は、毎年10%以上の派手な成長を見せてきたが、一般の中国人たちはその成長の恩恵にあずかっていないのが実情である。

こうした極端の貧富の差と社会の富の分配の歪みが内需不足の根本的な原因だが、中共政権はあらゆる手段で官僚や利益集集団の利益を保護し、全体の社会利益の略奪に便宜を与えている。その結果、利益集団の富はさらに膨張する一方大半の国民は貧しくなっていき、中国経済の内需不足は慢性化していく。



ネット社会が蔓延している世界で、現在中国のネットユーザーは、中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)のデータによると、アメリカより1億5000万人多く、3億8400万人いるそうだ。世界のネットユーザー数10億の実に38%もいる計算になる。ちなみに日本は約9000万人である。

中国の指導者は方針を決める際、この層の多数意見を無視できない。 民主主義のシステムを持たない国であるからネット上の言論統制は捨てられない。自由な世論調査を許さない以上、グーグルと衝突したのも推し量れる。
今後あらゆる情報が底辺労働者に行きわたれば、ひどい格差に目覚めた彼らは欲望の渦となって搾取を続ける外資や中央政府に襲いかかり、暴動の嵐となることもこの国では考えられないことはない。

2010年7月1日木曜日

旅のつれづれに


先月の終わりにカミさんと山陰、山陽の観光と美術館巡りをしてきた。

飛行機とバスの3日間の旅であるが、その間観るところも多く、ツアーを企画した旅行会社も欲張りな企画を立てたものだと思った。

                                 
天橋立の運河沿いの店で昼食?酒のつまみに生ハムサラダ


初日は伊丹空港からバスで日本海若狭湾の伊根の船屋から天橋立、鳥取砂丘へ行ったが、砂丘は思っていたほどの広さではなかった。この砂丘は安部公房原作の映画「砂の女」のロケ地になった所で、毎日砂を掻き出さなくては家が埋まる状況下での男と女の行動は、アルベールカミュのシジフォスの神話に通じる実存の不条理を現わした物語である。
      鳥取砂丘


2日目の足立美術館は日本一の庭園で内外とも知られているところであるが、島根県安来市に位置し、近代日本画や陶芸、漆芸などが多く展示されており、見たことのある作品にも接することが出来た。
          足立美術館の庭園



特に横山大観の所蔵数は日本一で、他の多くの近代日本画家の作品を合わせて見ると、近代日本画の系譜が分かるようになっている。それにもましてここの日本庭園の景観は見る者を飽きさせないスケールで迫ってくる。



3日目の大原美術館までは山陰から山陽の倉敷まで約2時間かかった。倉敷は歴史ある街で、町を流れる運河を挟んで多くの店が軒を並べていた。ここは自由時間が3時間ほどあったので、奥の小道にあるままかり亭で瀬戸内の魚で一杯やり、美術館を探訪した。
       倉敷の町を流れる運河
                                                                                                       

この美術館は現代美術のそうそうたる作家たちの作品が並んでおり、世界、日本の洋画から工芸、彫刻まで所蔵作品の数と種類の多さは一見に値するだろう。

駆け足で回った3日間もあっと過ぎ、心に残る山陰山陽の静かな日々であった。

 大原美術館