2010年10月27日水曜日

地獄の釜

                                                          中国 武漢市

最近、欧米の主要各紙が、中国資産のバブル化についての分析記事を相次いで発表している。その中で、2010年には中国経済の成長ペースが急減し、経済破たん へと進む恐れがあると述べ、その根拠として、「4兆元(52兆円)景気刺激政策による2009年の驚異的な中国景気の回復は、資産バブルの上に立つ蜃気楼に過ぎないからだ」と、述べている。

また、このところ中国各地の地方都市で住民とテナントのいない新しい町、ゴーストタウン出現の話などが大紀元日本社で取りざたされ始めている 。
大紀元(だいきげん、)は、ニューヨークの中国語 新聞,で華僑が作った新聞で、。日本では東京都台東区に事務所を置き、中国語版を2001年、日本語版を2005年から発行。東京都の秋葉原駅周辺の路上で紙面の無料配布などの宣伝活動をしている。

同紙は中国政府のいかなる検閲をも受けていないことを強みとしており、中国共産党政府による中国国民や気功集団「法輪功」やチベット、ウイグル等の少数民族の人権弾圧に関する問題、中国国民の中国共産党からの脱党支援活動、中国共産党のスパイ活動、中国の民主化について盛んに報じるなど、反中国共産党政府の報道姿勢に立っている。

それによると、人のいないゴーストタウンが全国で数万に達するのではないかという情報もあるが、これもまた、何が何でも8%成長を続けるのだという中国政府の焦りの気持ちがもたらした結果ではないかと思われる。現在の中国の国民総生産(GDP)の50~60%を占めているのは建設業で、中国政府は、これからも高層マンションや巨大なタワービルの建設計画を進めようとしてい
るようなので、まだしばらくは、作り物の好景気は続き、バブルはさらに膨張することになるのかもしれないが、遠からず破綻がやって来ることは歴史を見ての通り。


【大紀元日本3月5日】 今年に入ってから、著名投資家が相次いで中国不動産のバブルが崩壊すると警告している。1月に「逆張り」で有名な投資家のジェームス・チャノス氏が、「中国の不動産バブルの危険度はドバイ信用危機の1000倍」と発言。2月には、米国の不良債権化した不動産ローンの処理を専門とするジャック・ロッドマン(Jack Rodman)氏が、北京の商業用不動産ビルの空室
率は50%に達しており、中国不動産市場のバブル崩壊が近づいていることを指摘。不動産バブルは対外輸出と並んで中国の成長エンジンであり、忍び寄るバブル崩壊に、成長失速から共産党政権崩壊へという恐怖のシナリオが垣間見える。


最近の記事では、元共産党高級幹部の退役高官23名がネット上で公開状を出し、言論や出版の自由を訴えた、ことの発端は、最近中国の温華宝首相がCNNのインタビューに答え、「憲法で保障された言論の自由はいかなる国にとっても不可欠で民主自由を望む人々の心は拒めない。」と発言したことを中国のメディアに削除された点を非難している。最近ではノーベル平和賞を貰った反体制作家、劉暁波氏のニュース報道の各国の映像が一時的に遮断され真黒の画面が印象的だった。

公開状にはメディアの独立 記者への締め付けの禁止 ネット内容の勝手な削除の禁止、ネット閲覧の制限の解除などが述べられている。また最近の中国共産党内の軍部の発言力は強大になり、戦時中のわが国の軍部主導の政治体制に似た危険性をはらんでいる。今回の尖閣諸島の一件も軍部の突き上げが想像されるところだ。
今や中国軍は、情報戦争の専任部隊を設置し、敵のコンピューターシステムを攻撃するためにウイルスや、自らのネットワークの防御策の開発を担う。『戦闘活動の実施に不可欠な情報に敵がアクセスできないようにする』ことを目的とし、サイバー攻撃能力の確保に日々勤しんでいる。「米国など軍事力が上回る敵に対して、相手の弱みをついた非対称戦争で対抗するという中国の大局的な目標に沿ったものだ」ということも述べられている。



◆ 危うい中国の経済成長

世界同時不況で対外輸出が大きく落ち込むと(2009年通年でマイナス19%)、中国政府は世紀の大ばくちに打って出た。世に言う「金融緩和策」を打ち出したのだ。その結果、2009年通年の国内新規融資額は前年比96%増の9兆6千億元(約126兆円)に膨らんだ。

この新規融資の多くが不動産投機に流れて、今度は史上最大幅の不動産価格の暴騰を招いた一方、実態経済とかけ離れた大量の貨幣発行はインフレを招き、ギリギリの線で生活をしている膨大な貧困層を追い詰めている。暴動の嵐はその時を待っている。
 中国のバブルは2007年秋から崩壊の兆しが見えていたのに、その後の中国政府の「世紀の大ばくち」によってさらに人為的に膨らまされたわけである。バブルとはもともと「泡」の意味であるが、大きく膨らむほど、破裂した時の衝撃が大きい。中国経済はより大きなバブル崩壊への道を走り続けている。かつて我々が経験したバブル崩壊から20年、未だその尾を引きずっている日本。
我々日本人は、バブルは必ず崩壊することを知っている。上海万博での国費による入場者数「底上げ」のようなバブルの「底上げ」は経済世界では通用しない。見たくはないが地獄の釜はフタを開けて待っている。

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