2010年10月17日日曜日

通貨安戦争の裏側


円高が止まらない。記録を更新しそうな勢いである。これは円やドルだけの問題でなく、中国元が絡んだ話である。
輸出依存度という指標があって、輸出額が対GDP比で何パーセントになるかを表した数字であるが、 日本の高度経済成長期、この輸出依存度は、10%前後で、いまだかつて18%を超えたことがない。その経済発展の形態は国民が少しずつ豊かになる形で、「内需」の成長に合わせてGDPを増やしてきたことにある。したがって日本は外需依存型の経済ではないことはあきらかである。

これに対して中国は、36.6%。日本の高度成長期の3倍以上の輸出依存度である。 日本が国民の富を増やす形で豊かになったのに対し、中国は国民の賃金を抑えることで輸出を増やすというモデルであって、そこには中国政府による中国元の安い為替レート維持政策によって成り立っている姿が浮かび上がる。

実際、中国の平均月収は過去5年間、2万円から上がっていない。 低価格で勝負している手前、従業員の給料を上げられず、結果的に内需も大して成長していない。GDPの5割が投資という成長モデルが中国の8%の経済成長率のカラクリである。中国はいまや日本を追い越して、世界第二の経済大国となった。また世界一の外貨保有高を背景に中国は異様なほどの軍拡を続けている。中国の軍拡の主要部分である海軍の拡大は日本に明らかに脅威を与えている。



 ◆中国に貢ぎ続ける日本

こんな状況の下で、日本政府はなお中国に経済援助ODAを与え続けている。さらには日本国民の資金は日本の財務官僚によってアジア開発銀行という奇怪な組織を通じ、中国への湯水のように支援資金となっている不思議。


最近の中国への援助はODAとか援助という用語を使わず、「日中省エネ環境基金」「日中21世紀交流」「新日中友好21世紀委員会」などという公的機関のプロジェクトの形で「基金」や「協力」という呼称で出されるようになってきた。さらに日本の対中援助は2国間は減っても、アジア開発銀行経由ではむしろ拡大している。アジアの貧しい国の経済開発が目的のこの国際機関では日本は最大の出資国であり、昨年末までに100億ドル以上を提供してきた。
その一方、アジア開銀は中国への支援を重点政策とし総額230億ドルを供与してきた。この供与は有償だが普通の融資より条件のよい「公的援助」である。平たくいえば、日本の納税者の支出がアジア開銀を通じて中国への支援となっている。

とくに問題なのは、中国への巨額の資金が鉄道、高速道路、空港など大型インフラ建設に投入されることである。この種のインフラ建設こそまさに日本政府が軍事的寄与への懸念から援助を停止した対象なのだ。日本はもう中国への援助は一切、やめるべきである。中国自身が多数の諸国に援助を与えている現状をみても、結論は明白だろう。

大紀元日本によると人民元の為替レートが過小評価されているとの国際社会からの批判に対して、中国の温家宝首相は先週、ベルギーで開催された欧州連合(EU)首脳とのビジネス会合において、「人民元変動相場制を採れば、中国経済だけではなく、世界経済にも災難をもたらす」と述べた。また、温首相は「多くの中国輸出企業の収益率は2%~3%しかないため、高くても5%に止まる。もし、人民元が一気に20%~40%切り上げられると、中国輸出企業の多くが倒産し、労働者が失業し、社会も安定し難くなる」と指摘した。

◆ 中国の人民元政策、世界通貨安戦争の災いのもと


10月8日~9日に、米国ワシントンで開催された世界銀行及び国際通貨基金(IMF)の年次総会や先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)において、中国の人民元問題が主要議題となり、各国金融当局の首脳は今後引き続き中国に対して人民元切り上げを促すことで一致した。しかし、今なお中国政府は依然として大幅な切り上げを拒んでいる。


 現在、世界各国は通貨安を通じて輸出を拡大させることで自国の経済景気を回復させようとしている。9月、日本政府および日本銀行は急激な円高の進行を阻止するため、為替市場で円売り・ドル買いの為替介入を行った。また、ブラジルや韓国はそれぞれ自国通貨の引き下げ政策を発表した。

米国サウスカロライナ大学の謝田教授は「人民元の過小評価が世界貿易に不均衡をもたらした。現在、世界各国の間でまもなく世界的な通貨安戦争がぼっ発することに気付き始めている。しかしその原因は中国政府が極端に人民元を押し下げていることにある。
各国は中国を倣って自国通貨を操作するようになった」と述べた。10月8日付ロイター通信によると、IMFのストロスカーン専務理事はフランスのルモンド紙で、「人民元の過小評価は世界経済における緊張の源となっており、脅威になりつつある。新たな危機的状況を避けるため、中国が人民元上昇のプロセスを加速させる必要がある」と語っている。


中国の人民元政策はこれまで主に固定相場制、通貨バスケット制(※)を採ってきた。2005年7月から現在までは、管理フロート制(管理変動相場制※)および通貨バスケット制を採用してきた。また、人民元は国際為替市場で自由に売買されておらず、中国人民銀行および国家外貨管理局の傘下の上海外国為替市場で、ドル/元、香港ドル/元、日本円/元、ユーロ/元の4種ペアで取引されている。もし人民元が変動相場制度に移ることになると、元が国際外国為替市場で需要と供給に応じて自由にレートを決められることを意味する。

通貨バスケット制とは、自国通貨を複数の外貨に連動したレートにする固定相場制度のこと。



中国は米国や欧州から膨大な貿易黒字と元安を批判されている昨今、米国は20%以上の大幅切り上げを要求している。現在の中国にとって最も必要なことは、米国や欧州を納得させるような10%以上の通貨切り上げを行うことである。











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