2008年11月26日水曜日

薬物汚染列島


昨今大学生の間に大麻が流行している。大麻は薬物乱用の入り口であるという。軽い気持ちで使用し、その後覚せい剤などの薬物使用へとエスカレートするそうだ。最近では有名芸能人の大麻使用による逮捕が話題となり、大麻汚染は止まることを知らない。国を挙げて、大麻や薬物汚染を食い止める必要がありそうだ。その背景にはネット社会における密売や不法滞在の外国人による密売などがテレビで取り沙汰されている。

大麻ないしマリファナ は、アサの花・茎・葉を乾燥させ、細かく切り刻み、調理または燃やすなどして発生した煙を吸引して使用する麻薬の一種であり、嗜好品や医療薬として用いられている。
日本では大麻取締法による規制を受ける麻薬であり、大麻精神病の原因薬物とされている。日本では、殆どの場合執行猶予になるものの無許可所持は最高刑が懲役5年の犯罪であり、営利目的の栽培は最高刑が懲役10年の犯罪である。
薬物乱用は日本では、交通犯罪を除く全逮捕者の5分の1、公判を請求された者の4分の1、刑務所入所者の3分の1にみられるといわれている。

こうした麻薬であるが、その源流はアメリカにある。19世紀のアメリカ社会は、良くも悪くも自由市場。武器も麻薬も、需要のあるものなら何でも販売され、それを規制する法律はなかった。やがて1960年代には「ヒッピー」など若者の間でマリファナを吸うことが流行したが、アメリカナイズされた日本はアメリカの後を追っている。アメリカに留学した若者の中にははマリファナの洗礼を受けた者も少なからずいるようだ。これら麻薬は最初はメキシコが主な栽培地だった。1970年代に入って、麻薬の広がりを嫌ったアメリカ政府が、アメリカ・メキシコ国境の警備を強化し、メキシコ産のマリファナがアメリカに入りにくくなると、生産地はコロンビア北部に移った。
 

コロンビア産のマリファナは、カリブ海の港からアメリカ南部へと船で運ばれるようになった。カリブ海沿岸のコロンビア人たちは、急に豊かになった。だが同時に麻薬組織も作られ、彼らの間で抗争が増加する。麻薬で儲けた人々が、マネーロンダリングを目的に、地域の銀行やホテル、交通機関などを買収し、経済的な力を握りはじめた。 やがてコロンビア国家全体が麻薬組織に牛耳られるようになったのは、1970年代後半から、アメリカでマリファナに代わってコカインがブームになったことがきっかけだった。
コカインは「コカ」の葉を原料に精製して粉末にしたもの。コカはかつて、コロンビアやペルーなどに住むインディオの人々が、興奮剤として日常的に噛んでいたものだ。アメリカでは、リラックスするマリファナより、気分が昂揚するコカインが好まれるようになっていった。
現在のイラクに駐留している米軍の最前線の兵士などは,士気高揚のためこれらの薬物に 染まっているものが多いと言われている。

アメリカ国立薬物乱用研究所(NIDA)の評価は次のようになる。
   

依存薬物  依存性  禁断性  耐性  切望感  陶酔性      

ニコチン      6     4      5     3     2  

ヘロイン      5     5      6     5     5   

 コカイン      4     3      3     6     4  

 アルコール    3    6      4    4     6   

カフェイン      2     2      2    1     1     

大麻          1     1     1     2     3

こうしてみると煙草のニコチンとアルコールも負けてはいない。私の行きつけの寿司屋の親父などは、2度の心筋梗塞で手術したにもかかわらず、タバコはやめていない。依存性の高さをうかがえるデータである。

2008年11月18日火曜日

毒にも薬にもならない話




日頃「毒にも薬にもならない。」というフレーズを耳にする。人畜無害で停滞した状況や、魂を揺さぶる感動や情念を呼び覚ましてくれる要素のないものと私は解釈しているが、時には人生のスパイスとして、毒も薬も必要なものである。




昨今話題の中国の農薬や添加物など、食品衛生上使用禁止のものが公然と使われ問題になっている。メタミドホス、ジクロルボス、メラニン等々。さてその中国の揚子江では、産卵期にメフグが海から川へ溯上し、その際に捕獲する。そのふくれた様が豚の様に似ていることから、「河豚」と中国語で書く。このフグは中国で唯一食用にされるフグでもある。古来中国では 「不吃河豚不知魚味吃了河豚百無味」・・・という言葉がある。河豚を食べずして魚の味を知ることはできない。河豚の味は他にない、という意味である。写真のように日本のトラフグに似ていて体長は20~40cmほどで美味いらしい。




食品中毒のうちで、ふぐ中毒がもっとも死亡率が高く、80%にも達すると報告されている。フグ毒は一種のシテガラ毒であり、神経毒のテトラドトキシンと言われるものを指している。これは猛毒であり、青酸カリの1000倍の致死能力があって、部位によって毒の強弱があるものの、幸いフグの身と白子には毒が無いので、我々釣り師はこれを頂く。
また雌の卵巣には猛毒があり、オスの白子は無毒と言うのもオスの悲しい性を象徴しているようだ。またフグは魚類で唯一人間並みに瞼を持っている。寝るときはまぶたを閉じるのだろうか?




また釣魚の対象のショウサイフグなどは身に弱毒があるので、食べ過ぎるとヤバイことになる。フグ釣りを始めたころ、少し食べ過ぎて、しびれは無かったが、血圧が急に下がって気分が悪くなったことがあった。それ以来食べる量は控えている。このフグは別名ナゴヤフグと言って、(尾張名古屋)で終わりと呼ばれ。キタマクラと称するフグは。食べたら北枕になるところから、それぞれ有難くない名前を頂戴している。過去に私が釣ったフグに味のランクを付けると、
1.トラフグ2.アカメフグ 3.マフグ4.ショウサイフグとくる。
 高浜虚子の句に次のようなものがある。  ”河豚くうて 尚生きてゐる 汝かな” 
 どっこいオイラは生きている。同時に素人の慢心は命取りとの天の声も聞こえてくる。



さてもう一つ毒のあるものと言えば、私にとって毒のある音楽はJAZZである。昔サラリーマン時代、会社のある新橋から10分くらいの所の銀座8丁目にあったジャズスポットJUNKは昼夜足繁く通った店で、今はすでに無い。昼間は喫茶店で夜はライブをやっていて、この店は中国人が経営していて、当時銀座にしては安い店だった。この店はコンボジャズからビッグバンドまで当代の名プレイヤーたちが綺羅星のごとく演奏をしていた。ナベサダ、日野皓正、日野元彦、八城一夫、世良譲、北村英治、またビッグバンドでは原信夫とシャープアンドフラッツ、など。又客の1人に今は亡き俳優の藤岡琢也が入り浸っていた。ある時にはピアノのアールハインズ(ジャズピアノの父と言われた)も来たり、ある時はウイントンケリーが来る予定だったところ、彼の訃報が飛び込み実現しなかったことなど。時に演奏者が客の参加を求め、非常にコンパクトな打楽器を配り、リズムをとって演奏に参加した楽しい思い出がある。
ジャズは、リズムと即興演奏(インプロビゼーション)が生命だが、生きる喜び、内面深く静かに燃える情熱や、魂の叫びみたいなものが、理屈抜きで心の琴線に触れる点で私のお気に入りの音楽である。特にビルエバンスのピアノが好きだ。


最後に忘れてはならない毒が酒である。これは飲み方次第で上質の薬にもなる。かつて作家の開高健がいい酒は水に戻ると言っていたが、言い得て妙だ。学生時代に通った渋谷の飲んべい横丁の仲間たちは、今は故郷に戻って女房子供に手を焼いているのだろうか?これじゃあまるでかまやつひろしの歌じゃないか。(笑)
酒は飲み方でその人の人間性が現れるものだ。いい酒、悪い酒、みんな飲み手次第で変わっていく。ある意味で酒が人間の毒を出してくれる。どうせ飲むなら楽しくおおらかに飲みたいものである。

2008年11月13日木曜日

戦後日本のジレンマ




私を含め今問題の田母神前空幕長は戦争を知らない世代である。よって戦争の真の痛みや恐怖は知らない団塊の世代でもある。唯一親から聞いた戦争体験だけが想像力の中での戦争である。
今回、現職自衛官のトップの人間が文民統制を無視した行動に出たことは近代国家の原則を覆すものであって、穏やかな話ではない。
 
第二次世界大戦までの世界は、米英独仏蘭、ソビエト、日本が世界分割を巡って競い合う弱肉強食の帝国主義時代であったことは歴史の事実として否定できない。
当時は大国が弱小国家を武力で制圧し植民地や保護領とする時代であった。大英帝国は世界中の国家・民族を武力で支配し、保護領や植民地とした。インド、ビルマ、シンガポール、マレーシア、中国・香港ほかを領有又は租借した。平たく言えばわが国を含め当時の列強はすべて侵略国家である。人類の歴史は侵略の歴史でもあった。その観点から言うと、中国に侵攻した日本の行為だけを取って先発侵略国家から侵略国家と言われ、そのレッテルを貼られるのは不合理な話であるが、だからと言って日本が侵略国家ではないとは言い切れない。歴史にはいろいろな侵略の形がある。古くはローマがつぶしたカルタゴがあり、どうしても今のアメリカと日本とのイメージが重なる。



広島に続き長崎と2回も人道を標榜するアメリカによって原爆を投下され、そして人道に対する罪として勝者の論理で、戦争指導者の東京裁判における処刑で幕が引かれた。人道に対する罪で核兵器使用による犯罪ほど大きなものはない。 原爆の前ではナチスのユダヤ人抹殺の歴史も色あせる。
戦後我が国は罪深きアメリカの従属国になり、日米軍事同盟が結ばれた。今日、ただテロとの戦いに名を借りた現在の米国の危うい泥沼の戦争に、首までつからずにいられるのは、憲法9条の存在だけではなく、この軍事同盟の趣旨すなわち、「米国は日本を防衛する義務がある」 が 「日本は米国を防衛する義務はない」と言う片務的な性格も足枷になって、辛うじてアメリカの戦争に巻き込まれずに済んでいる。いわゆる集団的自衛権という言葉の危うさも、幸いにして軍事的後方支援で終わっている。いずれにせよ日本を抑え込む日米同盟は今も続いている。
そんな中、文民統制(シビリアンコントロール)を揺るがす航空自衛隊トップの静かなるクーデターは、民主主義国家の根幹を揺るがす動きであり、大東亜戦争に突入した当時の文民統制が利かなくなった軍部の暴走を想像するに難くない。

2008年11月10日月曜日

首相の奢り


麻生首相が追加経済対策を発表した。今、日本にとって必要なことは、国民が安心できる社会保障制度の構築と、経済の土台である。家計や中小企業を元気にすることで、選挙色の濃い大衆迎合や、バラマキでは経済社会は強くならないことは、賢明な国民ならわかるはず。今回の経済対策の規模は、26.9兆円と言われていてその概要は

◇定額給付…家族4人で64、000円、単純計算で1人当たり約16、000円。  市町村の窓口で現金かクーポン券を配布する仕組みだそうだ。 これも所得制限でもめている。金持ちには配らない、貧乏人に配れとばかりに。
高額所得者は遠慮してくれといったところで、金持ちほど金に汚いことは世の常。貰うものは10円でも貰いたいのが人情だ。自己申告なんてする奇特な人間は少ない。

◇住宅ローン減税…過去最大の600万円に。これも住宅が買える人の話。 住宅ローン破産(日本版サブプライムローン)が増え続けている現況ではあまり意味が無い。

◇高速道路割引…土日1000円で走り放題。休日に地方に遠出して高速道路の大渋滞も想像せずに、政府の言っているCO2の制限とは矛盾したやり方で、カネを使えとばかりの手法でETC装着車と言う条件までついている。当然運送業界は猛反発、一番困っているのはこの業界であるはご承知のとおり。

◇最後に消費税の3年後の改定で話は終わる。

このような金持ち首相の貧乏人(国民)に対する奢りのようなバラマキには、野党も一斉に反発している。  麻生首相のニコニコした顔の一言が目に浮かびそうだ。
「俺のおごりだ。みんなやってくれ。勘定はそっち持ちだ。」 やがてツケはみんな国民に回ってくる。

2008年11月7日金曜日

新生アメリカ



 民主党のオバマが次期大統領に選出された。100年に一度の経済恐慌と、米国民の厭戦感に後押しされ,登場してきた希望と変革の大統領として、戦後では3番目に若い大統領の誕生である。 最近見たDVDのアメリカ映画 24(トゥエンティーフォー)を彷彿とさせる黒人大統領の再現である.奇しくも劇中の黒人大統領は暗殺されたが、、、
 米国の民主党政権は、クリントンもカーターもケネディも、軍産複合体に邪魔されたり暗殺されたりしたが、オバマも例外ではないだろう。ブッシュの残した膨大な負の遺産を受け継いだオバマは、いみじくも福田首相が言った、”貧乏くじを引き当てた”大統領から”米国再生の大統領”になるように幸運を祈るばかりだ。
今やアメリカの金融危機の闇は底なしに深い。もはやアメリカが栄華を極めた錬金術はことごとく崩壊し、金融機関はほとんど破産状態にあって莫大な公的資金が投入されつつある。GMを初め自動車産業は破産寸前にある。金融収縮による貸し渋り、貸しはがしが中小企業の倒産を加速させ失業者が急増している。ローンの貸出し条件が厳格になったことで住宅や自動車の売れ行きが大きくダウンした。消費マインドも大きく減退している。
 当面そのようなアメリカ経済を受け継いだオバマは通商政策で1929年世界大恐慌時のフーバー米大統領と同じく「保護貿易主義」に傾き、これまで米国への輸出で食べていた中国、韓国、東南アジア、EUそして日本の輸出は大きく落ち込むだろう。これらの国々では過剰設備を廃棄し、大幅な人員削減で生き残りを模索することになる。失業者が街にあふれ、ものを作っても売れないから、「縮小再生産」のデフレスパイラルに陥る。経済の歴史では好況不況の波動が規模にかかわらず交互に起きているのが資本主義の宿命である。しかし今回のような非常に大きなうねりの中では、金融にしろ、実体経済にしろ一企業で解決できる問題でなく、銀行や自動車産業などでも国が管理下に組み込む社会主義的な色調の強い資本主義に形を変えて行かざるをえなくなっている。

これまでの膨大な貿易赤字を外国からの投資(借金)で賄ってきた米国は、借金による優雅な生活から収入に見合った耐乏生活を余儀なくされ、輸入を大きく減らし輸出を拡大する政策に転換せざるをえない。結果、米国の消費は大きく落ち込み景気はますます悪くなる。
低金利政策による米国債離れと双子の赤字(貿易赤字・財政赤字)を解消する唯一の方法は、FRBが無制限に国債を買う以外の手段しか考えられない。その結果ドル紙幣を大量に印刷してドルの暴落とハイパーインフレ」を呼び込む。ドルが1$80円になる時期もそう遠くないのが大方の見方である。

2008年11月3日月曜日

お手軽テレビ



テレビ業界においては視聴率がすべてである。民放テレビは広告収入で食っているので当然のことなのであるが、視聴率は「民意」をよく現す指標でもある。視聴率が高いということは多くの国民の関心を引いたということである。


昨今、民放各局を牛耳って独占状態にある吉本興業のタレントたちによってバラエティー番組ばかりか、ドラマ、スポーツ番組、ニュース番組までもそのタレントを食い込ませ、タレントが書いた自分の本の宣伝までその番組を私物化して利用しお金にしようとしているこれらのタレントたちが、TV局が発注する仕出し屋のようにあっちこっちに顔を出す。




人を謗る、けなす、揚げ足を取ったり叩く。こんなことが俗に言うバラエティー番組の中で、日常茶飯に繰り返されている。これらはドラマや映画とは異なり、そこに一貫した思想もなければ、教義的な意味合いもない。ただ人が人を責め苛むという本能的快楽のみを剥き出しにし、演技を通り越した極めて醜悪な姿が強調されているだけである。そこにあるのは薄っぺらい笑いの残骸だけである。 




そもそも人一人一人の趣味嗜好などはさまざまである。テレビの目的というのは(特に広告収入に依存している民放の場合は)高視聴率を上げること、すなわちできるだけ多くの人に番組を見てもらうことであるから、どうしてもテレビ番組は最大公約数的な誰もが見そうなものが題材となるのはやむを得ない。そこには時間を切り売りしている限界産業としての放送業界がある。


私が大学生のころアルバイトで1年間在籍した某民間TV局では、美術制作部にADの仕事をしていた折、各番組の製作担当者が予算をいかに抑えて番組作りに腐心していたかを目の当たりにした。番組に出るその他大勢の人間[タレントではなく仕出しと呼んでいた]やギャラの安いタレントを多く使い、コストを抑えて利潤を出す、これは一般企業でも同じである。 


テレビというものが出現した当時、かの大宅壮一氏はこれを”一億総白痴化”と称したが、 テレビ番組が広告収入をもとに作られているという構造がある限り大衆に迎合するような 番組が出来るのは必然だが日本国民全体の文化レベルの指標が低俗番組に浸食されないことを望む。