2010年9月26日日曜日

国家主権が試される時

日本の領海を中国漁船が侵犯した9月7日以降の対中関係は、その後の中国政府の理不尽な、ヤクザまがいの恫喝によって、逮捕された中国人船長の拘留期間を待たずに釈放となり、一時的な手打ちに終わった。その発表は一検察官の口から我が国国民に与える影響を考慮しての判断と言わしめた菅・仙谷外交の事なかれ主義的気概のなさを国民に見せつけた。

その結果、中国のたたみ掛ける様な恫喝に屈したわが国の隷属的な外交姿勢を世界に曝け出し、尖閣を領有する日本と、それを不法に要求する中国の立場を大逆転させ、中国の領有権主張は今後もエスカレートし、東シナ海は南シナ海同様の中国の実効支配の様相を呈してきた。

ここは早急に国際世論を日本側に引き付けるために、中国漁船(=スパイ船)の犯罪現場のビデオを、日本政府は早く公開するべきだが、管政権は何を躊躇しているのだろうか?


事件当日、中国漁船「閩晋漁(ミンシンリョウ)5179」が尖閣諸島の日本領海を侵犯し、3時間にわたり逃走を試みた。日本政府は直ちに領海侵犯事件として逮捕に踏み切るべきだったが、仙谷長官らが中国との摩擦を恐れて判断が半日以上も遅れた。

その後中国外務省は「(日本の措置は)荒唐無稽で国際法、常識違反で無効」「日本が暴挙を続ければ、自ら報いを受けることになる」と激しく警告を発した。また時同じくして尖閣諸島北東の日本の排他的経済水域(EEZ)内で調査中の海上保安庁の測量船に、中国国家海洋局の海洋調査・監視船が接近、調査中止を要求し、丸2日半にわたって追跡した。
この間、中国政府は東シナ海ガス田共同開発に関する条約締結交渉開催や全国人民代表大会副委員長李建国氏の訪日を延期して圧力をかけ続けた。日本政府は圧力に屈して13日、中国船員14名の帰国と船の返還に応じ、仙谷長官は「漁船の違法操業との関係でガス田協議を中止するといわれても困る。私の予測では、14人と船がお帰りになれば、また違った状況が開かれてくる」と中国
に足元をすくわれるようなことを言っている。
尖閣諸島が日本固有の領土という確たる信念が無いから、中国の違法性を糾弾で出来ないのだろう、領海侵犯に対峙すべき国家の主権と気概はどこへ行ってしまったのか。

中国の対日強硬姿勢は、菅政権が国内問題で手一杯で外交、安保に有効な手が打てないこと、普天間問題で日米安保体制が揺らいでいることを見抜いている
中国4000年、中共60年の歴史は謀略の歴史である。背景にある中華思想は中国が世界の中心であるというしたたかな精神構造でもある。嘘をつくことなんてこれっぽっちも悪いと思っていない。騙されたほうがアホだという発想である。白を黒というのだ。南京大虐殺のように無から有を捏造する国なのである。この謀略の独裁国家は2020年頃には経済力、軍事力とも世界最大規模になろうとしている。日本が平和呆けのままに拱手傍観すれば、いずれは中国の隷属国家になり下がるであろう。



ここで社団法人「国民文化研究会」理事の 伊勢 雅臣氏のレポート「今日の南沙は明日の尖閣」を参考までに要約引用させていただく。 


尖閣諸島の歴史

国際法上、無人の土地は、ある国家がその領有の意思を持って、他国に先んじて領有することで、その国の領土と認められる。これを「無主地先占」という。尖閣諸島は沖縄とシナ大陸間の航路の標識として古くから知られていたが、無人島であった。「中国は15世紀の地図に尖閣が領土として記されていることをもって、領有権を主張しているが、地図に線を引いても領有権は与えられない」(Asian Wall Street Journal, 96.10.05) 。

明治18(1885)年、尖閣諸島を沖縄県の管轄とし、国標を建設したいとする申請が沖縄県知事から出され、政府は明治20年と25年に軍艦を派遣して調査を行い、同諸島にいかなる国の支配も及んでいないことを確認した上で、28年1月に沖縄県知事の上申通り閣議決定した。明治17年以来、尖閣の島々で漁業を営んでいた古賀辰四郎氏に対し、尖閣領有の閣議決定後、30年間の無償寄与が認可された。

明治42年には99戸248人の移民が定住して開拓事業に従事している。昭和7年には、古賀氏に対して、政府は4島を有償で払下げした。これらの住居跡や船着場は今も遺されている。
これに対して、尖閣諸島に今まで中国人が住んだ事実はなく、また昭和45年以前に尖閣領有を主張したこともない。これらの事実から、国際法上、尖閣諸島が我が国領土であることはあきらかである。


中国が尖閣領有を主張し始めた背景

昭和45年以前、中国が尖閣諸島を自国領土として主張したことは一度もなかった。昭和43年秋に尖閣付近の大陸棚に膨大な海底油田が埋蔵している可能性が判明し、米国の統治下にあった沖縄が本土復帰する直前の昭和46年12月に尖閣諸島の領有権を主張し始めたのである。
実は尖閣諸島の一部は、昭和31年から昭和54年まで米軍の射撃練習場として使用されていた。尖閣が中国領土なら、米軍の射撃練習は中国領土内で行われたことになる。なぜそれを国際問題にしなかったのか?これも自分より強い相手には、いっさい手も口も出さない、という中国流外交術なのである。
射撃練習の事実に関わらず、米国はこれまで「尖閣諸島の主権はどの国にも認めない」という立場をとってきたが、このあいまいさが中国の侵入を招いた。
米軍が退き、日本政府の弱腰を見透かして、冒頭のように調査船の侵入を繰り返し、ついには軍艦まで現れたのである。



  ◇東シナ海 石油資源の宝庫


東シナ海には一説にはペルシア湾に匹敵するほどの豊富な石油資源が眠っていると考えられている。そして日中中間線を挟んだ海域がもっとも資源量が豊富であり、特に日本側海域の方が有望視されている。
中国は本年2月に、中間線の数キロ中国寄りの海域で試掘に成功し、天然ガス日量143万立方m、原油88万立方mが確認されている。これだけで九州、沖縄地方の家庭用燃料を十分に賄える量である。すでに95年12月には中間線の日本側海域に520m入った地点で、わが国政府の中止勧告を無視して試掘を行い、翌年2月中旬、石油・ガスの自噴を確認している。中国政府は尖閣列島を自国領土とする立場から、この日中中間線を認めていないので、この日本側海域でいつ正規の採掘施設の建造に着手しても不思議ではない。

わが国政府は中国との面倒な政治問題に関わりたくない石油は中東で十分との考えのようで、日本の4企業が鉱区を設定し、先願権を持っているが、日本政府が許可を与えていないので、日本側海域での試掘はもとより探査すら行われていない。
さらに尖閣は、台湾と沖縄の中間地点にある。万一、ここに軍事基地を作られたら、台湾は東西から中国の軍事基地に挟まれた形となる。また我が国へのエネルギー、物資輸送の大動脈がここでも中国に牛耳られることになる。



  ◇南シナ海 世界で最重要のシーレーン


中国は1992年2月に領海法を制定し、南沙諸島海域は同国の領海であり、軍に「(同諸島周辺の)領海侵犯者を実力で退去させる権限」を与え、外国艦船が同海域を通過するさいに中国の許可を必要とすると一方的に宣言している。

マラッカ海峡から南シナ海の南沙諸島海域にかけては世界で最も重要なシーレーンといわれ、世界の貿易の15%がこの海域を通過している。
特に日本の場合、全貿易量の5割が同航路に頼っている。中近東からの石油タンカーはこの海域を通過するので、それが中国の内海となれば、我が国のエネルギー供給は中国に首根っこを押さえつけられた格好となる。
アメリカとしても、同海域での中国の膨張を傍観していられない、という意思を持ち始めたようだ。米海軍戦略センターは米国船の通過も多く、「海峡の自由航行は米国にとっても戦略上、最重要である」と指摘している。

中国最南端、海南島の南南東に、計34の小島や岩礁などからなるパラセル(西沙)諸島がある。73年にベトナムからアメリカ軍が引き揚げた後をついて、翌年、中国は駐留していたベトナム軍を武力で排除して実効支配した。
現在は、旧式戦闘機が離着陸できる約2600mの滑走路に、衛星通信ステーションなどの通信施設まで備え、部隊が常駐する軍事基地となっている。

南シナ海の中ほどに浮かぶスプラトリー(南沙)諸島は、中国、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾が領有権を主張している。そのうちのジョンソン(赤瓜)環礁など6カ所を中国は1987年から88年にかけて占拠し、軍事施設を構築した。

米国がフィリピンのスービック海軍、クラーク空軍の両基地から撤退した92年以降、進出に拍車がかかる。93年には、ペンシルベニア・ノース(陽明)環礁など6カ所に中国の建造物があることが判明した。95年2月には、ミスチーフ環礁で中国が高床式の兵舎を建てて占拠態勢に入っていることをフィリピン政府が確認して抗議をしたが、無視された。以上のことから、スプラトリー諸島に中国が半永久的な軍事施設を設けた結果、海域のほぼ全体が中国監視網内に入ることになった。

今年2月には、フィリピン軍と米軍約5千人が参加する合同軍事演習が約4年ぶりに再開された。演習はクラーク旧米軍基地などルソン島を中心に行われるが、南沙諸島に近いパラワン島も含まれている。中国への警告メッセージが含まれていることは明らかである。   (以上)



まとめ

東シナ海で、これから何が起きるかは、南シナ海を見れば予想出来る。そこでは中国が全てを自国の領土領海だと宣言し、軍事力を行使して実効支配を続けている現状がある。
日本もアメリカもこのまま中国の横暴を見過ごすわけにはいかないだろう。今回の件で図に乗った中国はわが国に謝罪と損害賠償を求めて来たが、外務省の拒絶の対応は一応評価できるし当然の話である。

我々は人間社会の常として、脅し、たかりに屈すれば相手は益々要求をエスカレートさせ、揺さ振りを掛けてくることを知っている。国の弱腰外交は先島諸島(与那国島、西表島、石垣島、宮古島)などの領有権さえも主張しかねない事態を招きかねないことを念頭に入れなければならない。努々事なかれ主義が通じる世界でないことを菅、仙石コンビは肝に銘じてもらいたい。

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