2010年9月15日水曜日

前途多難な民主党


国民はなぜ、民主党に政権交代させたのか。官僚主導国家を変えてもらいたいからである。役人が勝手なことをやる“役害”政治を一掃して欲しい。それは我々が望むところであった。

政治とカネの問題についても、国民は検察があれだけ調べて起訴できなかった事実の重みを知るべきで、厚労省の村木元局長の事件を見てもわかるように、検察はムチャクチャをやる。事件を平気でデッチ上げてしまう。小沢一郎の秘書を逮捕し、事務所をガサ入れし、小沢本人も何度も呼んだ。しかし、事件にできなかった。いずれの案件も検察の民主党つぶしのどす黒い目論見が不発に終わり、天に唾を吐いて手前の面に唾を振りかける結果となった。
今回の民主党の代表選は管直人が大方の予想通り当選したが、現職総理としてはけして楽勝とは言えなかった。

管首相のこれまでの言動から見てリーダーシップは期待できない。夢遊病者の様な前首相の口から出まかせの政治の続きがこれだ。政権発足後3カ月間、菅政権への評価は市場が雄弁に物語っている。政治主導はガタガタになり、役人の高笑いが聞こえてくる。これでは国が滅びてしまう、と小沢が立候補を決めたのである。その小沢はこう決意表明した。

「政治主導、国民主導の政治をつくらなければならない。政権交代以来の主張と実態が少し違う。そこに国民の期待が薄れている原因がある」
これに対して、菅は「自分はまだ3カ月じゃないか」とばかりに居直った。カネカネと批判を続ける政治文化はいつまでたっても政治とカネの呪縛から抜けられず、官僚の政治家つぶしの格好のネタになリ、政治の停滞を招く。その急先鋒を担っているのがマスメディアである。どの新聞も世論誘導の同じような論調に終始している。皮肉にも政治の表舞台に立つことを極力避けてきた小沢一郎は、ここにきて代表選に立たざるを得なくなったが、結果はNOである。思えば今回の代表選は新政権3人目の総理の選出であった。鳩山も菅も出来ないことを出来ると幻影を抱かせてきたが、小沢は出来ることはやるが出来ないことは出来ないと明快に言っている点で、二人の総理と違ったいさぎ良さを感じる。

無駄を削減すれば財源は出る。これは小沢の一貫した主張で、消費税増税の前にムダの削減が必要と訴えている。衆院選マニフェストには、公務員の人件費を20%削減するとあり、その実現を目指せば、大変な反発を受けるのは目に見えて血の雨が降るかもしれない。しかし、公務員や独立行政法人の職員の給与を、中小企業まで含めた“民間並み”に引き下げれば消費税を10%に引き上げるのと同じくらいの財源は生み出せると試算されている。

米国に服従し、経済対策で二の足を踏み、公務員との軋轢(あつれき)を恐れて増税路線を選択する菅首相には、期待できない。
この3カ月間に菅政権は参院選で惨敗し、円高を放置し、財務省主導で歳出1割カットという政治主導とは程遠い予算編成方針を決めた。国家戦略室も棚上げし、民主党らしさは完全に失われた。これから政治主導を本格化させると言われても、口からデマカセにしか聞こえない。菅が財務官僚に籠絡されていることは、国民だって知っている。唐突な消費税増税発言からも明らかだ。こうした批判を意識してか、会見で菅は「財務省こそが野放図な財政を放置してきた張本人」とか力んでいたが、こういう発言も空々しい。だったら、どうやって政治主導を確立するのかお手並み拝見と行きたいところだ。

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