2014年10月15日水曜日

お知らせ


体調がよろしくないので、しばらく当ブログ休筆いたします。



なお10月14日まで鎌倉彫会館で開催中の喜彫会展は19号台風直撃のため予定より
1日早く終了いたしましたのでご了承ください。

2014年10月10日金曜日

技術立国日本

2014 ノーベル物理学賞受賞者

今年も日本からノーベル物理学賞が3名選ばれた。いずれも製作が困難とされていた青色発光ダイオード(LED)の発明に貢献した研究者たちである。青色ダイオードは色の三原色赤、緑が1960年代に開発され、続いて1989年に受賞者の中の名城大学の赤﨑教授が最後の色である青色を世界で初めて開発したことで白色化やフルカラーが可能となった。そして結果が出るまで、絶対にあきらめない研究者天野浩教授は、3000回実験に失敗した後成功。さらに大量に長時間発光させる技術や量産化技術が成功するまで、絶対にあきらめない製品開発者中村修二教授は、会社の評価の低さから訴訟を起こした当事者でもあり、三者三様の個性を持っていてすばらしいチームワークで今回の受賞となった。基礎科学に比重が高かったノーベル賞が、実用科学にも光を当て始めたことは、今後ともこの分野で日本人が活躍する舞台が開かれたことになるだろう。


LED 青色の光は他の色と混ざることで白色の光になれる特性があり、我が家でも使っているLED電球は交換時期が長く、割高ではあるが明るく効率的な製品としてすでに市場に出回っている。身近なところでは車のヘッドライト、携帯やPCのバックライト、TVディスプレイ、信号機や提示版、イルミネーション等々、我々が日常見慣れたものが多くある。LEDは長寿命、省エネ、小型、衝撃に強い、低温での発光に優れている特性からあらゆるものへ応用範囲が広く日本の先端技術のバックグラウンドを担っている。

技術立国日本を下支えしている人々は、こうした研究者のみならず、技術者、あるいは世界シェアーNO1を誇る精密部品を作る多くの町工場の職人達、はたまた伝統産業を絶え間ない革新によって伝承していく多くの職人達である。これら日本の技は時代を経て培われ、蓄積されてきたノウハウをよりどころにして、磨かれてきた技と閃きに裏打ちされた創意工夫と試行錯誤がなければ、世界を凌ぐ今日の技術レベルの高さは維持できなかった筈である。

発光ダイオードの父 ニック・ホロニアック
ただ日本の場合は、原初的な基礎科学の発明よりも、オリジナルの改良改善から進んで新しい発明に道筋をつけることが得意で、もともと発光ダイオード自体の発明はアメリカGEのエンジニアーであるニック・ホロニアックが1962年に発明したものである。

歴史をたどれば、ソニーのトランジスタラジオやウオークマン、さらに半導体主要生産国でもある我が国は、お家芸でもある縮小文化(盆栽や生け花、箱庭など)と同根の精密精緻な工作機械技術など、技術レベルの高さを支えている日本の風土や国民性も大事な要素であろう。こうした背景には外国企業がよく発する言葉「日本の消費者は世界で一番品質に厳しい」といったハイグレードな品質を好む日本人の性向があるようだ。
今回のノーベル賞受賞ニュースは、資源も少なく、国土も狭い日本が唯一世界に誇れる技術力で世界を牽引していく限り、日本の国力、経済力は盤石であることを国民に知らしめ、勇気づけられた。

2014年10月9日木曜日

アートな話「鎌倉彫喜彫会展」

鎌倉彫喜彫会展 2014


10月1日から14日まで鎌倉彫会館で、喜彫会展が開催されています。
隔年ではありますが、昨年から今年前半まで各会員が制作した作品
58点を展示中です。
詳しくは喜彫会ホームページの新着情報をご覧ください。

近年、鎌倉彫も漆の仕上げの色の多様化が進み、各会独自の色合い風合いなどさまざまであるが、色は思案のほかと言って、なかなか自分のイメージした色に近づくには紆余曲折があり、一筋縄ではいかない。色調色相が無限にあるように課題も多いが、色が作品との調和を崩し、独り歩きしないように調整するのも塗り師の仕事の一つと思っている。


鎌倉彫会館
〒248-0006 神奈川県鎌倉市小町2-15-13
JR横須賀線/江ノ島電鉄「鎌倉駅」東口徒歩5分
TEL: 0467-25-1500 / FAX: 0467-25-1501



2014年9月28日日曜日

アートな話「横浜トリエンナーレ2014」


「華氏 451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」という展覧会タイトルのもと、世界各国から65組79名のアーティストによる400点以上の作品が選定された今回の横浜トリエンナーレ2014を観た。
主催者が主眼とする2つのキーワード、すなわち華氏451(摂氏232)は紙が自然発火するとされる温度のことであり、いわゆる“焚書”がテーマとなった小説で、電波が生活の中心となり、本を持つことが禁じられた近未来の情報管理社会の世界が描かれているレイ.ブラッドベリの小説のストーリーのテーマである本を芸術に置き換えたものとみられる。

トリエンナーレでは「華氏451はいかに芸術にあらわれたか」というコーナーが設けられ、第二次大戦中に文学者や芸術家が書いた文章が資料展示してある。北原白秋や西条八十、高村光太郎、瀧口修造などが戦争礼賛を書いている。、結果としてそれらは戦意を煽り、戦争の熱狂へと国民を駆り立てていった。これらの資料展示されている文献は、戦後刊行された全集には収録されずに「忘却」されたものであることも付記してある。
  

マイケルランディー<アートビン>

もう一つのキーワードは忘却で、いずれも破棄消去への道が待っているが、思考停止の前にもう一度大事なものを取り戻そうといったメッセージが込められている。
最初のエントランスでいきなり面食らったのは、マイケルランディーのインスタレーション(展示 空間全体を使った3次元的表現)の大きなゴミ箱「アート.ビン」で、創造の影の部分として発生する事物や概念の破壊や廃棄をする場としてのゴミ箱が物として存在していた。真っ先にPC上の仮想空間におけるゴミ箱が浮かび、「さながら忘却の海か!」とつぶやいた。
現代社会は「情報の海」が世界の中心に存在し、今回のトリエンナーレでは、その裏に潜む「忘却の海」に観る者を誘い、記憶や記録から消え去った大事な「忘れ物」に思いを馳せ、これを様々な方法で気づかせてくれる作品に注目する趣旨の展覧会となっている。3年前の大震災のあった年に開かれた前回のトリエンナーレよりもコンセプトが明確であった。


大竹伸朗<網膜屋/記憶濾過小屋>

会場を見た限りでは、今という時間軸が近未来に忘却の彼方に葬り去られていく事への危惧を提示しているように思える。すなわち移ろいやすい現在は、過去に向かって溶解していくのと同時に近未来に向かって歩を進める。その際無数の忘却の海の中に我々は大事なものを忘れてはいないだろうかと立ち止まり、過去の事象を現在の時間軸の中で、いろいろな表現手段を用いて提示していく。あたかも芸術の語り部のように序章から始まり、1話から11話で完結する。
中でも印象に残った作品が11話の新港ピアの会場にあった大竹伸朗の網膜屋/記憶濾過小屋が個人的な歴史に刻まれた残存物の集積場のような見世物小屋仕立てで、絶妙の空間を楽しませてもらった。
タリン・サイモンの<死亡宣告された生者>と釜ヶ崎芸術大学<漂流する教室にであう>


今回は経時変化、人の行為の軌跡、メディア(ラジオ、テレビ、本)をモチーフとした作品がごった煮のように多かった。タリン・サイモンの《死亡宣告された生者、その他の章XVIII》のように、ウクライナの児童養護施設の入所者達との説明がなければ分からない作品も多く、中には今回トリエンナーレのアートディレクター森村泰昌とかかわりのあるNPO主催の釜ヶ崎芸術大学のコーナーもそのまんまで分かり易く対照的なものもあった。横浜発現代アートの国際展と銘打っているがトリエンナーレも一種の祭りである。


◆ ヨコハマトリエンナーレ 2014  横浜美術館~新港ピア

                     会期 8/1~11/3

2014年9月14日日曜日

朝日新聞の終焉

片岡正巳 著


戦後から今日に至るまでいろいろ問題の多い朝日新聞であるが、ここにきて記者会見で断末魔の雄叫びを、社長が発している。左翼偏向新聞として数々の歪曲、捏造記事に勤しんできた社風は他の報道機関の追随を許さない。評論家片岡正巳氏の著書「朝日新聞の戦後責任」には反日的プロパガンダに手を汚した、どこの国の新聞かと見間違えるような所業がつまびらかに書かれている。中でも多くの事例の中で特に問題の個所は、以下の通り。

1.南京大虐殺キャンペーン 「中国の旅」で中国共産党が用意した「証言者」の話を、何の検証なしにそのまま記事にしている朝日の記者本多勝一は本名:崔 泰英という朝鮮人で、中共工作員の疑いが濃厚な人物で、当時20万足らずの南京市民が30万人も虐殺されたなど史実を捻じ曲げ、反日のプロパガンダを満州で処刑された馬賊のグロテスクな写真まで出して垂れ流した。

慰安婦問題 慰安婦問題の元凶、吉田清治という稀代の作話者の虚偽発言から始まった。日本軍が女性たちを強制連行し慰安婦(性奴隷)にしたという事実無根の捏造を飯のタネに吹聴した吉田氏を、朝日が大きく取り上げ、16回も連載を組み、後に日本と韓国の追跡調査から創作であることが判明。1995年には本人も慰安婦狩りが創作であったことを認めたにもかかわらず、その嘘を実に32年間も意図的に放置した。嘘は韓国や中国に利用され、アメリカで慰安婦像の建造が続く中、遂に朝日は8月6日に吉田証言は虚偽だった、記事16本を取り消すと発表した。32年間の頬かぶりの末に、世論の勢いに負けて虚偽だと認めざるを得なかった。

今日に至るまで韓国側の強制という文字を入れることを、執拗に迫られた当時の政府はやむなく河野談話(1993年)を発表した経緯があるが、今日までの軍部資料には強制という事実はなく、当時の兵隊の給料より格段稼げる慰安婦(売春婦)を民間人が募集し、それに乗ってきた烏合の衆の話である。朝鮮戦争の際駐留米軍相手の慰安婦を斡旋し、場所を提供し売春を奨励したのは今の朴クネの親父の朴大統領であるのを忘れて、慰安婦問題で日本を必要以上に責め立てる朴クネは、自国の慰安婦から逆に訴訟を起こされ墓穴を掘っている有様である。今年6月、駐留米軍を相手に作られた売春街「基地村」で働かされた122人の元米軍慰安婦が「韓国政府は米兵相手の慰安婦制度を作り、自分たちを徹底的に管理し、苛酷な売春をさせた」として国を相手取り、1人1000万ウォンの賠償訴訟を起こしている。戦時における慰安婦の問題は世界中の軍隊が共通に抱える問題であり、日本だけが狙い撃ちに合う話ではない。

朝日新聞の傲慢な記者会見

上記の2点は今日の我が国を世界に辱め,国家の尊厳を蔑にした罪は大きく,国益を甚大に損なっていて、中韓を外交的優位に立たせる行為であり、我々国民は怒っている。朝日は善良な読者に謝るのではなく、全国民に向かって謝罪すべきである。法曹やマスコミの関係者が朝日に対して集団訴訟を起こそうという動きがあるようで、週刊新潮によると、慰安婦の強制連行があったかのような誤報による名誉棄損で損害賠償などを求めるというもので、10~20人の新聞購読者からなる原告団を結成し、1年後にも訴訟を起こすことを検討しているとのことだ。他にも100万人単位で補助参加人の署名を募ることも考え中で、朝日新聞に対する風当たりが強まっており、国家として直接被害を被った「言論災害」に対して、国会は社長以下幹部を招致して徹底的に問題究明をするべきという声も議員から上がっている。

第3に何の因果か知らないが、同じく最近の福島第一原発の同姓の吉田所長の調書の独断スクープ (朝刊1面トップで「所長命令に違反、原発撤退」「福島第一所員の9割」などの見出しで報じた。「11年3月15日朝、第1原発にいた所員の9割にあたる約650人が吉田氏の待機命令に違反し、10キロ南の福島第2原発へ撤退していた。)とある。
世界が賞賛した福島の原発作業員の評価を地に落とす朝日のスクープに現場は憤りを感じているようだ。吉田調書の誤報はフクシマの英雄を唾棄すべきセオル号船長なみだと世界に報じられ、命がけでフクシマを押さえ込んだ職員らの功績を無にした。そればかりか日本人の尊厳まで傷つけた。これも前述の記事と同じで、誤りを訂正し謝罪してすむ話ではない。

平成10年に出版された「朝日新聞の戦後責任」の著者は、上述した2大「誤報」は、中ソの代弁者として活動してきた朝日新聞の戦後70年の歴史のほんの一幕に過ぎない、と多くの事例を表記しており、日本と日本人非難を旨とする反日イデオロギーに凝り固まった集団は社長が何人やめてもその体質が変わらない限り、終焉はここにきて加速度的に進むことを予兆している。全国で朝日新聞の解約が続出しているのもその現象の一つであろう。この新聞に明日はない
 



2014年9月3日水曜日

災害列島日本



 それにつけても日本各地で頻繁に起こる自然災害は、近年激しさを増している。最近読んだ本で「災害列島.危険情報地図」成美堂出版は、脆弱な日本列島各地の詳細な災害マップを網羅して警鐘を鳴らしている。いつ降りかかるか分らない自然災害には一家の備えとしてお勧めしたい本である。(定価本体1100円+税)
さて、総面積約38万km2の国土を持つ日本。しかし、そのほとんどが山地などであり、日本列島の地形は、「山地」、「丘陵」、「台地」、「低地」および「内水域など」の5つに区分され、そのうち「山地」と「丘陵」の占める割合が約73%であることから、島国であると同時に山国であると言える。可住地面積33.6%のなかで、1億2000万人の人々が安心して住める場所はわずかしかない。災害と隣り合せの開発は山に向かって開発が進む。相模湾にしろ東京湾にしろ、船上から見た景色は私の周りの横浜や鎌倉など山地、丘陵に所狭しと住宅が密集している。さらに海抜が上がっていくと、国土面積に占める森林面積は約66 %で、 日本は世界第3位の森林大国である。


山にへばりつくように造成された広島の被災地域
 

これらの地形は、豪雨や地震など自然の影響により変化しており、その過程において数々の自然災害が発生している。人口増加や都市化にともなって、人為的な丘陵・台地の斜面造成などが行われ、わが国では狭い国土の有効利用として、水害や土砂災害などに対してリスクの高いところに、あえて開発が進んでいる。最近起きた広島の激甚災害などがあてはまる。
 国土交通省によると、広島県内の土砂災害の 危険箇所はおよそ3万2000箇所で、全国で最も多くなっているそうだ。 広島県砂防課によると、 被災したうちの6地区は土砂災害防止法に基づく「特別 警戒区域」「警戒区域」に指定されていなかった。これには資産価値の下落を恐れて住民や不動産業者が指定に抵抗したいきさつもあるようだ。
土砂災害防止法に基づいて特別警戒区域に指定されている箇所が、私の住んでいる横浜市でも2000箇所はあるそうな。

下は都道府県格付研究所が作成した全国の可住地面積の比率のトップ6の県である。私の住んでいる神奈川県はAランクで、Aは10位の香川県まで続きDまであり、広島県はCランクの34位で
Dランクは47位の高知県まで続く。

1大阪府69.4%100%100%1,317.53km21,898.47km271.9S
2千葉県68.5%99%99%3,531.83km25,156.70km271.3S
3埼玉県67.8%98%98%2,574.12km23,798.13km270.8S
4茨城県65.3%94%94%3,981.73km26,095.72km269.2A
5東京都63.6%92%92%1,390.97km22,187.50km268.0A
6神奈川県60.7%88%88%1,467.18km22,415.86km266.0A

地球温暖化の影響などで、今回のような豪雨は増える傾向にあり、日本の気候の亜熱帯化が進むと言われているが、日本は夏は暑く、冬はかなり冷え込む特徴をもっており、季節変化が大きい国なので、年間を通して亜熱帯になる可能性はないと思うが、今後とも激甚災害が増えるほど異常気象は日本のみならず世界中で起きている。最近見たNHKスペシャルでは、地球規模の異常気象のメカニズムを解説していたが、偏西風を基軸に海水温や気流の変化に基づく地球を取り巻く大気のバランスの崩れが指摘されていた。
気象庁による定義では、異常気象とは、「三十年に一回起こる程度の珍しい気象」のことで、昔からたまに起こっていたが、近年はそれが頻繁に起こるようになってきたので、日本の場合、土砂災害だけでなく河川の氾濫などにも警戒を要するため、国の国土防災対策は待ったなしである。


2014年8月25日月曜日

狂気と正気のはざま

少女Aが描いた自画像

人間は偶然に生まれ落ち,周りの環境に影響されながら生きていくが、死は必然的にだれにでも訪れる。それはすべての人間に課せられた不条理である。日本人に生まれようが、西洋人に生まれようが、金持ちの環境に生まれようが、貧乏人の環境に生まれようが、本人はたまたまそこに存在していただけで、本人からはなぜ自分はここにいるのかの説明はつかない。そのため自己のレゾンデートル「存在理由」「存在意義」「生き甲斐」を求め人は、自らの人生を歩んでいく。

最近起こった佐世保の特異な事件は、昔、学生の頃に読んだフランスの不条理の作家アルベール.カミュの「異邦人」とは対照的な事件だ。主人公ムルソーが友人のいざこざに巻き込まれて偶然アラブ人を撃ち殺し、殺人の動機を問われると「太陽がまぶしかったからだ。」と言い放ち、無感情な人間性とかさなって、法廷は騒然となった。結局ムルソーは一般社会通念から逸脱した人間として処刑されることになる。

長崎・佐世保事件では、高校1年の女子生徒が同級生を殺害した動機について問われると、女子生徒は、「人を殺して解体してみたかった」などと供述していた。警察は、女子生徒の精神鑑定も視野に慎重に捜査を進めている。
女子生徒を診察した精神科医が、相談窓口がある佐世保こども・女性・障害者支援センターに連絡。精神状態の不安定さを懸念し「小学生の時に薬物混入事件を起こした。中学生になって父を殴打した。このまま行けば人を殺しかねない」と相談。小動物を解剖した例も挙げ対策を求めたが、守秘義務に触れる恐れがあるため匿名にしたため対応は困難とされたようだ。
この場合少女Aには殺意の必然性が明確に見て取れる。実際人間1人を何の迷いもなく明晰に解体してしまった。自己の感情の趣くまま卒直に、他者への感情も想像力もが欠落したまま。


一般的に狂気の概念は複雑で曖昧で、一見普通に見える様相を呈しているが、その基準は平均値から逸脱した量的なものと、多数正常の原則の社会的規範から外れた異質の質的なものに分けることが出来る。

ウイキペディアによると狂気の根源である精神病質(せいしんびょうしつ、英: psychopathy、サイコパシー)とは、反社会的人格の一種を意味する心理学用語であり、主に異常心理学や生物学的精神医学などの分野で使われている。その精神病質者を英語でサイコパス (psychopath) と呼ぶ。
サイコパスは、極端な冷酷さ、無慈悲、エゴイズム、感情の欠如、結果至上主義が主な特徴で、良心や他人に対する思いやりに全く欠けており、罪悪感も後悔の念もなく、社会の規範を犯し、人の期待を裏切り、自分勝手に欲しいものを取り、好きなように振る舞う。その大部分は殺人を犯す凶悪犯ではなく、身近にひそむ異常人格者である。北米には少なくとも200万人、ニューヨークだけでも10万人のサイコパスがいると、犯罪心理学者のロバート・D・ヘアは統計的に見積っている。

先天的な原因があるとされ殆どが男性に多いとされているこの病、脳の働きを計測すると、共感性を司る部分の働きが弱い場合が多いという。これが前述した量的な基準に基づく狂気の指針であろう。加害者が女子であるにもかかわらず僕と言っている点では符合する。日本の法律「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の第5条では精神障害者と定義している。

私の近所には一見して狂っているが、人に危害を与えそうもない人間が3人ほどいる。彼らからしてみれば我々一般人が異常で自分が正常と思っているかもしれない。

上の絵を見ていただきたい。以前にもアートな話で述べたが、デッサンは、絵画や彫刻における対象物の把握、認識にいたる手段であるが、それは描いた人の技量だけでなく、ものの見方や考え方がむき出しになるもので、ある意味で怖い絵でもある。

2014年8月23日土曜日

政治の劣化


公費乱用で説明責任を果たせず、韓国の泣き女も顔負けの号泣議員から始まり、各地で取りざたされている地方議員(痴呆議員)の公費乱用の発覚が広がっている。年間195回のカラ出張は異常としても、大なり小なり甘い汁を吸っている議員が多いことは最近の報道で見て取れる。政調費と称してまともな政務もせずにお手盛りの公費乱用は目に余るものがある。

国会議員が衆参合わせて720人余りなのに対して、地方議員は全国に35000人余りもいる有様だ。議員総数がけた違いに多い地方議会には、少数だと信じたいが、玉石混交なかにはおかしな人物も紛れ込んでいるのだろう。不祥事を起こす不心得者がいても不思議ではない。今でも全国41都道府県議選挙が実施された際、2011年度では無投票当選者は410人に達した、投票率が低下の一途をたどる背景には組織票の比重が高まり、特定の組織や団体の後ろ盾を持った連中だけが当選する傾向が強まっている。この時も総定数から換算した無効票当選率は17.6%と伝えられている。なんと県議のほぼ5人に1人が選挙なしの当選確実組である。無意味で下品ななヤジ、公費乱用、LINEに絡んだ幼稚な議員、薬物使用、銃刀法違反など数え上げればきりがないが、政治は足元から劣化している様相を呈している。

社会学者宮台真司が問題にしている感情の劣化について、氏はこう述べている。
「昔、日本人の多くが持っていた心の働きが劣化してしまったので、その一方で政治の劣化をもたらし、性愛の劣化をもたらし、一方で犯罪の劣化をもたらしています。犯罪がどんどんずさん化している。それは社会の劣化も示している。」
「人々は鬱屈する。鬱屈した人々は、感情的に劣化しているので、感情の釣りで炎上させれば、社会を手当てしなくとも、政治は回る。ポピュリズムは回る。そして感情の劣化現象に適応した政治的メッセージを発しないと当選できなくなる」


政治は言葉だというが、自分の意図や、主義主張を発信する手立てはコミニケーションであるが、感情に偏重しすぎると、言葉の論理的な整合性が損なわれる。なおかつ民主主義を感情統治でコントロールし、国民のコンセンサスを得ようとするならばそこには不協和音が聞こえてくる。
民主党に失望し再び自民党に回帰した国民の多くは今何を思うのだろうか?

2014年8月10日日曜日

高齢化社会到来

横浜市発行の介護サービスガイドブック

1か月半前から区の福祉課に親父の介護認定の申請をして、その後2回に分けて自宅に市の担当者とケアプラザの担当者が来て本人から聞き取り調査した結果、介護に当たらない要支援2ということで話が落ち着いた。週2回リハビリが出来て、周りのお年寄りとの交流ができるところを何件か紹介されて、連日の暑さの中、本人を連れて見学に行ってきた。

区の福祉課から渡された横浜市の冊子を見ると、近所にある該当施設が相当数ある。中には昔病院だったところが介護施設になっていたり、医療法人が運営する大規模な施設などもあり、こういったところは1日いなくてはならず、通院入院のお年寄りも多く、初日は規模の大きい施設2件を見学したが、様子を見て本人も週2日で一日は居られないようで、そこは断らして頂いた。高齢社会の縮図のようなところを見学して、私もいずれこのようなところにご厄介なるのかと思うと気が重くなると同時に、そこで働く若い人たちの健気な姿が印象に残った。
私の周りでも顔見知りの若くない女性が4人と若い女性が2人この介護の仕事をやっている。町ではあちこちの介護センターの送迎車が走っていて、高齢化社会の到来をひしひしと感じるこの頃である。<年は取りたくネー!>と思っていてもいずれ通る道と諦めはつくが、人生なんてあっという間だ、御同輩。

さて2日目は週二日で半日過ごせるところで定員10名のこじんまりしたところを紹介されて行ってみた。室内には何種類かの運動器具があり、マッサージ師が、一人15分ほど順番でお年寄りをマッサージしていた。ちょうど見学の時間は頭のトレーニングをやっていたが、最年長の親父も参加を促されやっていたが全員反応がよくボケっぽい年寄もいないので、安心したようだった。ちょうど定員が一人空いていたので昼まで居させてもらい私とカミさんはその場を後にし、のちほど迎えに行くことにした。
結果は本人が気に入ったようなので後日契約を結ぶことにした。思えば自宅でご主人の介護をしているご近所からの早めに手続きを取るように進言されたこともあり、今回の手続きをしたわけであるが、人間一人を介護をするということは大変なことだと思った。

2014年7月28日月曜日

煙 考


私は30後半まで喫煙していたが、医者の勧めもあって以後今日まで禁煙している。その間たまにそのアロマ(芳香)を思い出し時々忘れたころに吸ったこともあった。そのアロマと瞑想の誘惑に駆られる煙草も、タバコのみにとっては至福の嗜好なのであろう。健康問題が取りざたされている昨今では、嫌煙権も拡大して禁煙ゾーンが増え喫煙人口も減少している。煙の出すアロマはなぜか精神性を醸しだし、人々はその魅力に取りつかれる。これものカテゴリーに入るのだろう。

古今東西、にまつわる歴史は多くあり、 日本では香をたく習慣は飛鳥時代の仏教伝来と共に始まり、をたくことで、身の穢れを取り除き、仏の功徳を受けられるという思想から盛んに行われた。そして宗教儀式に用いられた香は、平安時代になると、 仏教行事以外でも、貴族達が生活を楽しむために愛用されるようになり、香を衣服・頭髪・部屋などにたきこめる「空薫物」(そらたきもの)の風習が生まれ、やがて、衣服に独特の香りをたきこめることで、自分の存在を示すようになる。 貴族は日常的に自分の着物に香をたきしめ、また香合わせという遊びもあった。
  

鎌倉彫香合 吉川喜久次
室町時代には、仏教上の行事であった香を茶道にも取り入れ、書院の床の正面に香炉を飾って香をたくようになった。この頃は周囲の環境をよくする為の香炉の脇役として香を入れる容器として香合は存在した。香合は鎌倉彫でもよく作られるもので、仏具のほか茶道具としても利用されている。左は私の親父の作品である。
 草庵の茶道が流行するにつれて、香合は侘び茶を盛り立て、茶道と香の関係は深い。炭点前の際に香をたき、部屋と精神を清める役割を持つお香は。点前に欠かせない重要なものとなっていった。




脱法ハーブと原材料
さて、がらみの話になるが、報道によると最近問題になっている脱法ドラッグを販売している店舗が、今年3月現在少なくとも全国252カ所に上っていることが厚生労働省の調べで分かった。背景には「脱法ドラッグ」を使ったことがある人が全国で約40万人に上ると、厚生労働省研究班が初の全国調査で推計した。 またこれらの供給元である店頭やインターネットで脱法ドラッグを販売している業者は、全国で240件(平成25年9月現在都道府県報告)あるそうだ。
脱法ドラッグを使用した後に体調不良を訴え、全国60カ所の医療施設に救急搬送された患者が平成24年に469人となり、前年の48人から約10倍増した.脱法ドラッグは、安く簡単に入手できることや、「合法ハーブ」「合法アロマ」などと呼んで抵抗感をなくしていることなどから、軽い気持ちで手を出す人が少なくない。

脱法ドラッグは、覚醒剤などの規制薬物と似た作用をもつ化学物質が含まれていて、法律による規制の網の目をかいくぐる新たな物質が次々と登場しているようだ。覚醒剤などの規制薬物はこれまでの研究から、心身に及ぼす悪影響などが分かっているが、脱法ドラッグは原料に何が含まれているのか、また、身体にどのような悪影響を及ぼすかよく分からないため、より危険な薬物であるとして危険ドラッグと改名された。

ウイキペディアによると、2004年には、ドイツ、イギリス、スイスで「スパイス」という製品が流通し、合法の大麻(偽大麻とも呼ばれている)とされ以来ヨーロッパで流通した。2008年末までにハーブ製品に配合されていた合成カンナビノイドが、法的管理下に置かれると、こういった化合物のファミリーである似たような化合物が配合された製品が流通した。最初ヨーロッパで発見された「スパイス」は、生産者が迅速に法律の変化に対応し、先進国における問題とされている。ドイツではじめてスパイス製品が違法化される以前は、好奇心で試す人が多かったが、以降は、大麻の代用品とする層が増え、軍人や患者、以前に薬物による運転事故によって受刑した人といった薬物検査が定期的に行われる人に需要がある。使用がドーピングテストでは検出できないので、カナダではアスリートと軍人に需要があるという。
現在のところ、脱法ハーブとは、危険ドラッグの一種で、合成カンナビノイドを含有する化合品であるとされている。毒性に関するデータは不明で、大麻よりも中毒性が高い可能性や、深刻な毒性がある可能性がある。合成カンナビノイドは、大麻よりも過剰摂取しやすい可能性がある。成分は一定せず、厳密なルールによる臨床治験を通していないので購入者が人体実験をしているようなものである。症状として多い順からあげると、頻脈  興奮 嘔吐 精神錯乱 悪心 幻覚・妄想 めまい などで事故を起こす前に救急搬送されるケースをが多い。


脱法ハーブ絡みの交通事故
脱法ハーブは、乾燥させたお茶などの食物の葉っぱに、幻覚作用を引き起こす人工的に合成された薬物を混ぜたもので、繁華街で、だれでも買える手軽さから専門店としてその数は増えている。またそこには、我が国では若者を中心にここ2~3年で使用者が増えている背景がある。ハーブとかお香と表示し、違法ではないと称して売られており、インターネットでも手に入れることが出来るようだ。その多くは煙草のように喫煙から始まり、やがてもっと刺激の強いものに走る薬の罠にかかっていくのだ。
現在全国的にこのハーブが元で悲惨な交通事故が多発しており、警察も脱法ドラッグから危険ドラッグに名称を変え、取り締まりを強化しているが,取り締まりの網からこぼれていく危険ドラッグの数は化学式の形を変えては増え続けているので、煙草好きな人はご用心。!

製造業者が海外(主に中国)からネットで原料を購入する際、薬物規制にかからないものを発注するので規制がかかるとまた少し違った化学式のものが製造されその数は数千となり、法の規制といたちごっこが止まらない
中には覚せい剤と非常によく似た化学式の成分や混合されたものも販売されており、毒性の強い非常に危険なものも出回って憂慮すべき状況になっている。
首都圏にある多くの販売店は、お香として売っており、吸引使用は禁止の注意書きは店内に見受けられるものの、使用方法はお香としてでなく大半は紙巻きタバコのように火をつけ吸引するので、買い手が後を絶たない。このため以前は指定薬物を製造したり販売をしたりすることだけが禁止されていたが、この4月から購入したり持つたり使ったりすることも禁止された。政策で国民を煙に巻いてきた政府も、ここにきて国が有害な煙に巻き込まれないよう動き出した。

2014年7月17日木曜日

アートな話「伝統産業」

伝統工芸品マーク

右は、ご存知の経済産業大臣が指定する伝統的工芸品マークであり、鎌倉彫もこの指定を受けている。国は「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」1974年公布に基づき、全国の伝統工芸品210品目を指定しており、経済産業大臣が伝統的工芸品を指定する要件は、以下の5項目になっている。

1.主として日常生活の用に供されるものであること。
2.製造過程の主要部分が手工業的であること。
3.伝統的技術または技法によって製造されるものであること。
4 伝統的に使用されてきた原材料であること。
5.一定の地域で産地を形成していること。

さて、戦後高度経済成長を経て、伝統産業も経済成長とともに成長してきたが、バブルの崩壊から長期的な経済不況が始まり、現在まで一定の経済回復はあるものの、本格的な回復はしていない現況がある。このことは経済社会において、単なる経済不況に留まらないトレンド、すなわち経済のグローバル化、生活者のニーズの変化、新たな流通の仕組み、さらにITの発達などによって、経済の構造変化が進んでいることが、複合的にこの業界に影を落としている。
このような時代の流れのなかで、日本人の暮らしの価値観、精神性といったものが忘れ去られていきつつある今日において、「和」の暮らし、考え方、センスを今一度見直すためには、その担い手である伝統産業の持つ意味は大きい。
しかし、高度成長期が終わったころから、全国の伝統産業の規模の拡大が止まり、今日まで縮小の一途をたどっている。業種によっては絶滅危惧種のような地方の地場産業もあるが、後継者も育たない状況は大なり小なり各業界が抱えている問題である。

私が仕事をしている鎌倉彫業界は、お稽古産業という特殊な形態が鎌倉彫総生産の80%以上を占めていたため、急激な需要の落ち込みはなかったものの、年々会員数の減少化は進み、会員の高齢化なども影響し最盛期の半数を大幅に下回り、下げ止まりが見えない状況である。一方で伝統産業の宿命でもある生産性の低さと高い技術力とは裏腹に、大量生産された紛い物(市場で鎌倉彫風と称して流通している安価な臭い製品)も製造業としての鎌倉彫のイメージを悪くしている。良い作品を見て消費者が眼力を肥やすのは望ましいことだが、生産者も消費者のニーズに答えるよう、常に創造力を磨く努力は怠ってはいけないと思う。

ここにきて生産基盤である原材料の減衰や,経営者死去に伴う廃業などで、唯一残っていた鎌倉市内の木地製造業者もいなくなり、今後は鎌倉市以外の地域で、限られた業者に材料の調達と木地加工製造を委託することになるようだ。これも時代の趨勢かもしれないが、組合も手の打ちようがないのだから情けないかぎりである。
鎌倉市も地場産業の鎌倉彫に対する思い入れも厚いとは言えず、市の助成金も雀の涙ほどで、このまま伝統産業の看板が廃れていくのは関係者としては忍びない。唯一の地場産業である鎌倉彫を守り、その活性化を促すのが鎌倉市の使命だと思うのだが。果たして市にその気概があるのかどうか疑問である。

2014年7月5日土曜日

玉虫色が好きな日本人



玉虫(見方によってはいろいろな色に変化する)
これまで歴代の政府は、憲法9条のもとで「武力の行使」が許容されるのは、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られると考えてきた。しかし、米国の弱体化にともなう中国の台頭などによるパワーバランスの変化や、技術革新による武器の急速な広がりや、大量破壊兵器などの脅威等により我が国を取り巻く安全保障環境が根本的に変容し、一国平和主義が立ち行かなくなった。

変化し続けている世界状況を踏まえれば、今後他国に対して発生する武力攻撃であったとしても、その目的、規模、状況によっては、我が国の存立を脅かすことも現実に起こり得るとの認識から、安倍内閣は1日の閣議で、日本国憲法第9条の一定の要件を満たしている場合、集団的自衛権を行使することができるという内容の閣議決定をした。新たに憲法9条を憲法改正で明文化することを避け、憲法解釈という日本人好みの玉虫色の政治手段を選択したわけである。

現況では憲法改正の実現の可能性が低いことと、非常に時間がかかることから、ある意味これは日米同盟強化の便法になった。集団的自衛権行使容認に米国、欧州、オーストラリアなどは賛同しているが、中国は猛反発している。愚かにも同盟国韓国はこれに同調している。日本が玉虫ならば、韓国はイソップに出てくるコウモリであろう。朝鮮半島有事の際に誰が手を差し伸べるのか、このアホな国は同盟という意味が分かってないようだ。

米国発の憲法9条を保持することに、同盟国米国は異論を挿めない。日本にとっても、安倍首相が「閣議決定は日本と関係の深い国が攻撃を受け、日本に危険が及ぶと政府が判断すれば、必要最小限の集団的自衛権の行使が可能となる」と述べている。あくまで「日本に危険が及ぶ」ケースでしか行使はあり得ないとし、「外国の防衛それ自体を目的とする武力行使は今後とも行われない」と明言している。
現在、極東の安保情勢は中国の海洋進出と北朝鮮の核ミサイル開発でがらりと様変わりし、一国平和主義が通用する環境にないことを考えると、平和ボケから目覚めた国民の意識の根幹にあるのは戦争抑止である。そのためにも集団的自衛権行使は普通の国の大きな抑止力になりうる。
国内では賛否両論分かれているが、反対派は「日本が他国の戦争に巻き込まれる」と主張するが、国家主権がある以上、NOと言える局面は訪れる、それも玉虫色に変貌しながら。
なお、この閣議決定で、ただちに集団的自衛権が行使できるようになるわけではなく、国内法の整備と、国会の審議などを経て、実際の行使に当たっても、個別的自衛権の場合と同様、国会承認が待っているので少なくとも来年以降の話である。




 さて、憲法解釈とは対照的なのが、憲法に明文化される移民法改正案の成立である。現在ヨーロッパ各国では、多文化共生を謳い文句に大量移民を受け入れてきた結果、社会基盤や文化を崩壊させかねない勢いに危機感を募らせ、ドイツのメルケル首相が「移民政策は完全に失敗だった」、そして英国キャメロン首相が「移民受け入れという慈善は止めた」、さらにサルコジ・フランス前大統領が「移民の流入をこのままにして置く訳には行かない」と告白した経緯を見ると、移民政策の失敗が浮き彫りになってくる。唯一成功したのは歴史の浅いゼロベースの移民で成り立った米国と言えるだろう。

そんな折、国会議員は6月11日国会で「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律」を成立させた。、内閣提出法案として5月29日たった1日の審議で、衆議院法務委員会全会一致で採決、31日衆議院、6月11日参議院で可決し、国民への周知もなく成立した。いうまでもなく少子高齢化対策としての禁じ手の切り札で、年間20万人を呼び込む目論見である。
主な改訂部分は、政府指定の「高度人材外国人」が、3年間の日本滞在で、無期限の永住が可能となり、欧州の失策を敢えて踏襲している。「永住許可取得後に両親や家事使用人の帯同が認められ」、「子供の養育名目で帯同出来る両親と子供が、本当の両親や子供では無くとも良い」という。1人の高度人材外国人が日本移住認可を得ると、本人が招聘する家族以外の、例えば家政婦、両親名目で誰でも移民出来るのだ。一応高度人材の確保としながらも、低賃金の移民を安易に受け入れ、労働力不足を解消する手立てであることは明らかである。報道も法案の経緯や成立についてもほとんど解説していないのが不思議である。
日本を取り囲む特に中国や韓国などは、自国から逃げ出したい輩が国民の半数以上いる中で、安易な審査で、世界各国で問題を起こしているこれらの国の移民は永住権を得た途端、当然の権利として地方参政権を要求し、本国の分子となって反日の日本を蝕む芽となりうる。同一性の強い日本人社会ではヨーロッパの国難よりも深刻になる公算大である。災いの芽は増やしてはならない。

2014年6月25日水曜日

先細る海洋資源

昨年東京湾で見つかったナガスクジラ

日本人になじみの深いクジラ、ウナギ、本マグロの三種は、いずれも高級食材であるが、これらを取り巻く世界の自然保護の目は年々厳しくなっている。
自然保護の立場からワシントン条約は、野生動植物の国際取引の規制を輸出国と輸入国とが協力して実施することにより、採取・捕獲を抑制して絶滅のおそれのある野生動植物の保護をはかることを目的に適用されている。日本は、同条約規制対象種中6種(クジラ6種)については、持続的利用が可能なだけの資源量があるという客観的判断から留保している。

今年、国際司法裁判所が判決を下したのは、南極海で日本が行っている調査捕鯨が商業捕鯨に限りなく近いといった判定である。日本は南緯60度以南の南極海で、およそ30年にわたって鯨の生態を調べるための調査捕鯨をおこなってきた。対象はミンククジラ、ザトウクジラ、ナガスクジラなど3種。捕鯨反対国に対する配慮や、環境保護団体シーシェパートの妨害などで、実際に取っている数は100頭あまりであるが、毎年1000頭以上の捕獲を目標としている。捕獲量の問題と思想的なギャップからオーストラリアは4年前、日本が南極海で行っている調査捕鯨は、実態は商業的な目的を持った捕鯨であり、国際捕鯨取り締まり条約に違反しているとして、国際司法裁判所に訴えそれが認められた格好になった。今後この貴重なクジラが食べれなくなると憂いていた矢先に、ラジオショッピングで鯨肉の宣伝をしていたので、忘れていたクジラが食いたくなって思わず冷凍ブロックになったナガスクジラを購入してみた。加熱した味は昔懐かしい小学校給食で食べたクジラであるが、刺身は赤身だったので期待したほどではなかった。尾の身などのうまい部分は一般消費者には回ってこないとは思うが。


日本うなぎ
土用の丑の日を前に、うなぎの需要のピークを翌月に控え、うなぎ業界に衝撃が走った。6月12日、世界の科学者で組織する国際自然保護連合(IUCN、スイス)が、絶滅の恐れがある野生動物を指定する「レッドリスト」にニホンウナギを加えた。IUCNのレッドリストには法的拘束力はなく、うなぎが禁漁になるなどただちに業界に大きな影響が及ぶものではない。だが、ワシントン条約はこのレッドリストを保護対象の野生動物を決める際に参考としており、今後、ニホンウナギが規制の対象になる可能性がでてきた。
ワシントン条約では絶滅の可能性がある野生動植物(絶滅危惧種)を保護するため、対象となる動植物の輸出入を規制している。国産うなぎは99%以上が養殖だ。明治時代から100年以上の歴史があり技術も確立しているが、卵を孵化させて成魚まで育てる完全養殖はまだ量産化されていない。そのため、シラスウナギと呼ぶ、ニホンウナギの天然の稚魚を6カ月から1年半、育てて出荷するようだ。

このシラスウナギは近年、日本近海での漁獲高が減少し、半数以上が中国や台湾など海外からの輸入に頼っている。シラスウナギが海外からの輸入であっても、日本国内で養殖すれば「国産」をうたえる。もはやシラスウナギの輸入は国産うなぎにとって不可欠になっている。そのため、ワシントン条約でニホンウナギの取引が規制されれば、シラスウナギを輸入できなくなり、養殖業者に打撃となる可能性がある。個体数が減少して、絶滅危惧種に指定されたニホンウナギの稚魚シラスウナギではあるが、昨年12月からはじまった漁でも各地で不漁が深刻化しているようで、台湾からの輸入シラスウナギも1キロあたり200万円台と高値で推移。今年の夏もウナギの価格高騰は必至といった状況で、中国産ウナギを除いて国内養殖のウナギは庶民の手の届かない魚となりつつある。店によっては廃業するところも出てきているらしい。


筑地のマグロのセリ
 
マグロの王様クロマグロの状況も厳しい。「大西洋マグロ類保存国際委員会(ICCAT)」において、大西洋東部(地中海も含む)のクロマグロ漁獲量を2割減らす事が決まった。この海域は世界でも有数のクロマグロの漁場である。日本は北太平洋海域で揚がるクロマグロの大半を消費。大西洋では禁止されている未成魚が匹数ベースで漁獲のほぼ全量を占める。成魚の市場価格が1キロ数千円以上なのに対し、「メジマグロ」の名称で流通する未成魚は千円前後。最高級のクロマグロの幼魚としてブランド価値があり割安なため、スーパーや鮮魚店から重宝がられている。夏から秋にかけて相模湾で釣れる通称メジと呼ばれている3~5キロのクロマグロの幼魚で、これが最近流行りの蓄養マグロ(近大マグロ)の元になる。
昨今中国などがマグロを大量消費するために、マグロの需要が増え、台湾漁船などによる乱獲などで天然マグロの減少が続いている。天然マグロの減少は地球上の天然資源の減少でもあるので、環境の問題と重なり大きな論争を巻き起こしている。TVなどで築地市場の画面が出てくるが、国産マグロは非常に少なく、ほとんどが各地からの輸入ものか、遠洋のマグロ船から日本の港に揚げられたものである。
限りある海の資源を考えると、天然マグロに現在起きていることは、そのまま地球が現在抱えている問題にもつながっている。つまり地球環境よりも人間の欲求を優先してきたため、人間を取り巻く生態系が急速に変化し始めているのだ。世界中で飽くなき食欲に裏打ちされた人類の胃袋が肥大化する中で始まったマグロの畜養は、いくら鮪の需要が高いからと言って天然マグロをむやみにとり、それを本来とはあまりにかけ離れた環境で成育し続けると、近い将来必ず生態系に何らかの影響を及ぼすはずだと指摘する専門家は多い。わたしも近大マグロを食べたことがあるが、全身トロ の魚体でうまいが身にしまりがなくぶよぶよした印象だった。

乱獲により、日本近海を含む北太平洋海域で親魚の資源量は過去最低水準まで減少している。いわば、安さと引き換えに将来の資源を先食いしている状態でもある。そのような状況下で、資源枯渇を防ぐため、規制が強化される。WCPFC会合で北太平洋海域の未成魚(3歳以下)の漁獲枠を2014年に02~04年の各国の実績に比べ15%削減することが正式に決まる見通しだ
クロマグロの世界全体の漁獲量(11年)は約3.3万トンで、うち大西洋は3分の1強を占めている。日本は世界のクロマグロの7~8割を消費しているとされる。ここらで日本の食文化も過食の呪縛から解かれる時期に来ているとは言えないだろうか。

2014年6月10日火曜日

アートな話「線について」

線と面が一体の作品
作者不詳

図案を起こすとき、そのよりどころになるのは1本の線である。何本もの錯綜した線がイメージの器から湧き出ては消え、新たな線を生み出す。事物の観察は数多くのデッサン、スケッチによってイメージとして蓄積されていくものだが、目に見える「形」に表現する要素の最小の単位は、「点」である。ある点が別な所へ移動したその軌跡が「線」を作り出す。また、点を集結させることによって「面」が出来る。点・線・面は表現の基本要素であり、それを用いて、構図、配置を決めていくまでに葛藤があり、やがてひとつひとつ決断をしていかなければならない。点・線・面の中で、最小でかつ簡単に、「形」を認識することのできる表現が可能なのは「線」である。

事物の形態は線で縁取りされているわけではないが、面として実在する事物は点の集積でもあり線の集積でもある。面と面を分けるエッジは線で表現される。1つの点の移動した跡、つまり軌跡によって生じる線は形を表現するベースの要素と言える。日常で我々は少なからず線的思考を重ねている。世界が分子、粒子のような点であっても、それらが動きつつあるもの、動勢、軌跡、過程、それら自然の造形を線として表現することにも慣れている。
私が図案を起こすときは、下絵をラフに不定形な線で趣くままに描き、仕上げはトレーシングペーパーで、下絵の中の無数の線から一本ずつ選び修正していく手法をとっている。
線には、見る者に何らかの感覚や感情を生じさせる「線の力」や「線の表情」といった風合いがある。平面における絵画空間あるいはデザインにおけるラフスケッチなど、線によって様々な表現がなされる。
絵画においては輪郭線のはっきりしたものや,曖昧なものまでいろいろな絵があるが、輪郭線は、現実には存在しない非存在の線である。現実の物や人体が、線で囲まれているわけではないが、しかし、絵画における様々な輪郭線を見てみると、 形が確定したことによって意味が生じ、平面的な感じが表現される。また形に動きや量感がでて、形が背景に溶け込み広さや深さと結びつき、共有する輪郭線によって異なる空間が現れる。絵画において直線が少ないのは、直線は、どこまでも幾何学上の線で無機的なものであるからだろう。

左はスイス出身の彫刻家アルベルト・ジャコメッティ(1901~1966)の人物デッサンで重なり合う輪郭線が特徴的で、線の集合は量感を生み出し男の存在感を際立たせている。浮世絵や日本画は線を基調にした表現が多いが、線が生み出す空間意識や構図のとらえ方は、特に浮世絵で顕著にみられ、西欧の画家たちに多大な影響を与えたことは周知のとおりである。

2014年6月3日火曜日

身辺雑記


顎関節症の部位
4月頃に材料の鉋掛けから、トリマーまで使い木地づくりを10個ばかりやってみたが、そのころから例年になく肩こりがひどく、首から顎にかけての痛みもひどくなり、家にあるマッサージ器でもみほぐしてみたものの、なかなか治らず、口腔外科で見てもらったら、右頬の痛みが顎関節症という診断だった。その後痛み止めを飲んだり、近所の鍼灸院で針を打ってもらったりして1週間ほどで痛みのピークは過ぎたので、そのうち治るだろうとたかをくくっていたが 6月に入ってもまだ痛みは残っている。

顎関節症というのは、あごを動かす筋肉に痛みや違和感を感じるもので、首筋や肩の筋肉に連動していて、肩こりもひどくなるのが特徴である。特に若い女性に多い病気らしいが、最近ではこんなおっさんでも増えているらしい。一番つらいのは口を開けるのが痛く、最初は指1本口にやっと入る程度しか入らなかったものが、最近では大口も開けられるようになったので食事も普通にできるようになった。5月半ばごろに情けなかったのは、すし屋で握りを食べる時まともに口が開かないので、ネタを最初に押し込み、シャリを小分けにして口に入れていたら寿司屋の親父に怪訝そうな顔で見られたことだ。痛みで渋い顔をしながらまずそうに食ってる印象だったのだろう。それにしても2か月以上たった今でもまだ完治せず、痛みは残っている厄介な病である。同じ姿勢で長時間仕事をしている人や、歯を食いしばって作業をしているご同輩は要注意。肩の力を抜いてリラックスして根を詰めないことが肝要である。


西洋鉋と西洋鋸

わたしの工房には木地づくりのための電動工具が何種類かあるが、これらは木取りと言って材料を切ったり、削ったり、穴をあけたりするのに効率よく楽に作業ができる道具である。しかし最終的な仕上げは、すべて一般的な大工道具を使っての手作業である。代表的な道具である鋸や鉋などはもともとヨーロッパから来たもので、日本のものとは使い方が真逆で押して使う。日本の道具は引いて使うことから西洋よりも緻密な作業が出来て使いやすい。実際に使ってみて鋸にしろ鉋にしろ引くほうが楽である。西洋人の身体構造と日本人の身体構造の違いとも言えるが、感覚的なものもあって、能動的で荒削りな押す文化と受動的で繊細な引く文化とも言えるだろう。

愛用の仕上げ用の鉋と鋸

あえて西欧の道具を使う日本人は少ないが、日本の道具を愛用している西洋人は多いと聞く。とにかく力加減の自在性に優れ、細かい仕事ができるのである。刃物も日本には優れたものが多く、日本に来る外人でも知る人は日本の包丁を土産にするらしい。特に和包丁は洋包丁と違って片刃仕上げになっており、洋包丁が肉を叩き切る食文化の上に形作られてきた部分があるのに対し、和包丁は魚を引き切る食文化の上に発達してきた違いがある。西洋料理人がTVで調理をしているのを見ていると包丁さばきも押し切りである。いずれにせよ切れ味を左右するのは、ふだんの道具の手入れと調整であることには変わりがない。

2014年5月23日金曜日

サイバーテロ

PC遠隔操作実行犯

2012年(平成24年)に、犯人がインターネットの電子掲示板を介して、他人のパソコン(PC)を遠隔操作し、これを踏み台として襲撃や殺人などの犯罪予告を行ったサイバー犯罪がおこり、各地で4人の被害者が、書き込み時のIPアドレスを手掛かりに誤認逮捕された。その後真犯人から犯行声明があり、翌13年に被疑者として逮捕されたIT企業の社員の片山被告は犯行の否認と冤罪を訴えていたが、保釈中に自作自演の真犯人メールで墓穴を掘り、再逮捕された。

遠隔操作ウイルスに感染したPCによって引き起こされたこの事件は、サイバー犯罪の脅威を浮き彫りにしたが、ウイルス感染の危険性、そして、原因究明の難しさと、一般人の誰もがサイバー犯罪の被害者になる可能性があることも、この事件は示唆している。
自分のIPアドレスを隠ぺいするソフトを使って犯行に及んだ片山被告は、われわれがよく耳にするトロイの木馬というプログラムを使って仕掛けられたサイトのリンクを遠隔操作被害者に踏ませる形で実行されたのが今回の事件である。

(注) IPアドレス
インターネットやイントラネットなどのIPネットワークに接続されたコンピュータや通信機器1台1台に割り振られた識別番号。インターネット上ではこの数値に重複があってはならないため、IPアドレスの割り当てなどの管理は各国のNIC(ネットワークインフォメーションセンター)が行っている。

(注)トロイの木馬
正体を偽ってコンピュータへ侵入し、データ消去やファイルの外部流出、他のコンピュータ攻撃などの破壊活動を行うプログラム。ウイルスのように他のファイルに寄生したりはせず、自分自身での増殖活動も行わない。
トロイの木馬は自らを有益なソフトウェアだとユーザに信じ込ませ、実行するよう仕向ける。これにひっかかって実行してしまうとコンピュータに侵入し、破壊活動を行う。実行したとたん破壊活動を始めるものもあるが、システムの一部として潜伏し、時間が経ってから「発症」するものや、他のユーザがそのコンピュータを乗っ取るための「窓口」として機能するものなどもある。

PC WEB ZINEでは、以下のように注意を促しているので参考までに。

「遠隔操作を可能にするウイルス自体は、決して珍しいものではなく、1990年代から現在のようなリモートで感染PCをコントロールできるバックドア型のウイルスは存在している。バックドア型とは、その名の通り、他人のPCに出入りできる裏口を作って、そのPCを遠隔操作する手法で、乗っ取られたPCを使って不正な行為を行う“なりすまし”によく使われている。
 シマンテックの分析では、2011年には約4億300万個のウイルスが生み出されている。1秒間に11〜12個という驚異的なペースだ。そして、その約7割にバックドアの機能が付いていると考えられている。よって大体2〜3億個のウイルスにバックドアの機能が付いている。これは、バックドア自体がかなり枯れた技術となっており、新しくウイルスを作ろうとした場合、既存のコードが存在するために簡単に作成しやすいという実情がある。

 

バックドア型のウイルスでは、実際には複数の機能が利用できるようになっていることが多く、ファイルのダウンロードやキーストロークとマウスのクリックの記録、指定サーバーとの交信などが行われる。今回の事件のように、掲示板への書き込みやメールの送信を行うだけでなく、PC上の情報を抜き取ったり、PCの利用履歴を記録したりと、様々な情報が窃取されることになる。
 こうしたバックドア型ウイルスの仕組みは、近年注目されている標的型攻撃で利用される仕組みと同じである。標的型攻撃でもメールの添付ファイルなどからウイルスをダウンロードさせて感染させる。そして感染PC内でバックドアを開き、情報を搾取するためのプログラムをダウンロードしたり、そこから情報を攻撃者に送信する。どちらもウイルスの入口は、不正なプログラムのダウンロードとなる。不正なプログラムをダウンロードすることは、簡単に防げそうだが、そうはいかない。攻撃者はソーシャルエンジニアリングと呼ばれる狡猾な手法を採用しているからだ。

 ソーシャルエンジニアリングとは、人間の心理を悪用する心理的手法である。例えば、不正なプログラムをダウンロードさせるために、一般ユーザーに対して魅力的な文言を付加して、どうしてもダンロードしたくなるような状況に導いたり、メールの添付ファイルを開かせるために、攻撃対象が気を許しそうな人間の名前を騙ったりする。ユーザーの心理的な隙を突いて、不正なプログラムが配置されたURLや添付ファイルを怪しいと思わせないのが特長である。そのため、不正なプログラムをダンロードしてウイルスに侵入された後も、遠隔操作をされていたり、情報が窃取されていることに気づかないままPCを利用し続けるケースが多い。標的型攻撃などでは、大半が金銭目的の情報収集が行われるのに対し、今回の遠隔操作ウイルス事件では、事件を起こすことそのものが目的であったため、PCの遠隔操作の実態がすぐに明るみになったことが特徴的な部分でもある。実際には、遠隔操作などの痕跡を消すことも可能で、そうなると、事後解析がさらに難しくなる。こうした被害に遭わないためにも、企業や個人では、サイバー犯罪の実態を正確に把握することと、そうした状況に応じた適切な対策や対応が求められることになる。」     以上

メールに限っても、日々やってくる着信を覗くと、数多くの迷惑メールの中には怪しげなもの、あるいは妙に気をそそられるもの、明らかにこいつはヤバいと思われるものが入り混じっているが、不審なものは絶対開かないことだ。
米国発のコンピュータ及びインターネットは、もともと軍事目的で開発されたもので大型であった。今日のような小型化されたPCは、アメリカ・カリフォルニアにあるゼロックス社・パロアルト研究所の研究員だったアラン・ケイが、コンピューターを人々が創造的思考を生み出すための道具として位置づけ、コンピューターの小型化、高機能化を進めようとした。そして、その構想を記した論文の中に出てくる理想のコンピューターを、彼は「ダイナブック」と名付け、現在私が使っている東芝ノートパソコンのdynabookの名前の由来でもある。
2000年以来東芝を愛用しているが、サポート体制も充実していて、PC初心者のころはよくお世話になった。特に分からないときは相談窓口のIPアドレスを打ち込み遠隔操作で自分のPCを見られている実感があったので、今回の遠隔操作事件は気味が悪い。

4月の終わり頃から、Microsoft 社の Internet Explorer に、悪意のある細工がされたコンテンツを開くことで任意のコードが実行される脆弱性が存在しており、この脆弱性が悪用された場合、アプリケーションプログラムが異常終了したり、攻撃者によってパソコンを制御され、様々な被害が発生する可能性があるとして、世界中にセキュリティー対策プログラムの更新する旨の発表があった。
しかしコンピューターの情報管理という大前提の軍事目的から出発したPCの歴史を考えると,先のスノーデンではないが、すべて世界はアメリカのお見通しMicrosoftにせよGoogleにせよ米政府に加担してしていることが指摘されている以上、泥棒にちゃんと戸締りをしろと言われているようなものではあるまいか?
一方で今月15日の米紙ニューヨーク・タイムズでは、米国家安全保障局(National Security Agency、NSA)が、無線信号を通じてコンピューターを遠隔監視する秘密技術を開発し、標的のコンピューターがインターネットに接続されていないときにも情報を収集していた、と報じた。サイバーテロを誹謗している国が、サイバーテロの新兵器を駆使してるこの世界、何やら別の軍拡競争が始まっているようだ。

2014年5月18日日曜日

食の安全




いまさら食の安全を問うたところで、食糧需給率の低い我が国では、多くの食料を米国や中国、カナダなどの諸外国からの輸入に頼っているので、国の安全基準の元、グレーゾーンの範疇に入る食品(冷凍加工食品、肉、魚)などの流通量を数え上げればきりがない。そして大量の食料を日本は戦後から現在に至るまで何十年と輸入しながら豊かな食文化を築いてきた。

大震災以降、日本の食料を支える福島や東北並びに東日本近県が,日本発の被爆食料を抱え込むことになった。放射能汚染は、福島県から北へ宮城県、南へ栃木県、群馬県、山梨県、長野県、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県にまで拡大し、ヨーロッパのEUを含む43ヶ国と地域がこれら12都県などからの農産物輸入を禁止または規制している。

これだけ海外が放射能に過敏になっている一方、我が国は被災地を応援しようと北は北海道から南は沖縄までこれら安全基準値のゆるい食品が流通している。産地を表示しているものなら選択肢はあるだろうが、非表示や偽装表示、ブレンドされた食品などは一般消費者には分別できないし、多くの国民が大なり小なりこれらの食品を口にしている。また太平洋に拡散した放射能に汚染された沿岸域や遠洋の魚類も、体内凝縮が始まり油断ができない。かといって魚食大国日本で魚を食うことをやめることはできない。


市民グループの「放射能防御プロジェクト」が首都圏の土壌汚染を実際に調査した結果をインターネット上で公開している。植え込みや庭、公園などにおける土壌の放射性セシウムの沈着量が出ている東京都内に絞ってみると、東部では足立区・江戸川区・葛飾区の一部で、その一つ上の「10,000~30,000ベクレル/㎡」のレンジに、奥多摩の一部ではさらにその上の「30,000~60,000ベクレル/㎡」のレンジの汚染が存在している。東京都心部および神奈川、千葉、埼玉の多くの部分の土壌の汚染度は10,000ベクレル/65=約154ベクレル/kg以下となる。
この数値によると、東京の平均でさえ、チェルノブイリ原発事故の後に当時のソ連政府が汚染区域の第4区として指定した危険地帯とほとんど変らないのである。第4区とは住民を強制避難はさせないが、厳重に健康管理をおこないながら危険地域に放置してきた場所にあたり、放射性セシウムが1平方メートルあたり3万7000~18万5000ベクレルである。


政府もメディアも東京が深刻な汚染に見舞われているとは、口が裂けても言えないだろう、なぜなら土地本位制資本主義の日本で、国がそれを認めてしまえば、もちろんオリンピックどころか、汚染された土地は無価値になり、経済の土台が崩れ、地価の大暴落が始まり、経済崩壊に至るだろう。我々は今回の大震災の放射能の影響と被害を、チェルノブイリを引き合いに出して推測した場合、人体に影響が顕著に出るのが被爆後4~5年たってからで、その時、東日本の若年層を中心に見た状況はどのようなことになっているのか、漠然とした不安がよぎるのは私だけではないだろう。
我々高齢者はいまさら何を食おうが知る由はないが。