いまさら食の安全を問うたところで、食糧需給率の低い我が国では、多くの食料を米国や中国、カナダなどの諸外国からの輸入に頼っているので、国の安全基準の元、グレーゾーンの範疇に入る食品(冷凍加工食品、肉、魚)などの流通量を数え上げればきりがない。そして大量の食料を日本は戦後から現在に至るまで何十年と輸入しながら豊かな食文化を築いてきた。
大震災以降、日本の食料を支える福島や東北並びに東日本近県が,日本発の被爆食料を抱え込むことになった。放射能汚染は、福島県から北へ宮城県、南へ栃木県、群馬県、山梨県、長野県、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県にまで拡大し、ヨーロッパのEUを含む43ヶ国と地域がこれら12都県などからの農産物輸入を禁止または規制している。
これだけ海外が放射能に過敏になっている一方、我が国は被災地を応援しようと北は北海道から南は沖縄までこれら安全基準値のゆるい食品が流通している。産地を表示しているものなら選択肢はあるだろうが、非表示や偽装表示、ブレンドされた食品などは一般消費者には分別できないし、多くの国民が大なり小なりこれらの食品を口にしている。また太平洋に拡散した放射能に汚染された沿岸域や遠洋の魚類も、体内凝縮が始まり油断ができない。かといって魚食大国日本で魚を食うことをやめることはできない。
市民グループの「放射能防御プロジェクト」が首都圏の土壌汚染を実際に調査した結果をインターネット上で公開している。植え込みや庭、公園などにおける土壌の放射性セシウムの沈着量が出ている東京都内に絞ってみると、東部では足立区・江戸川区・葛飾区の一部で、その一つ上の「10,000~30,000ベクレル/㎡」のレンジに、奥多摩の一部ではさらにその上の「30,000~60,000ベクレル/㎡」のレンジの汚染が存在している。東京都心部および神奈川、千葉、埼玉の多くの部分の土壌の汚染度は10,000ベクレル/65=約154ベクレル/kg以下となる。
この数値によると、東京の平均でさえ、チェルノブイリ原発事故の後に当時のソ連政府が汚染区域の第4区として指定した危険地帯とほとんど変らないのである。第4区とは住民を強制避難はさせないが、厳重に健康管理をおこないながら危険地域に放置してきた場所にあたり、放射性セシウムが1平方メートルあたり3万7000~18万5000ベクレルである。
政府もメディアも東京が深刻な汚染に見舞われているとは、口が裂けても言えないだろう、なぜなら土地本位制資本主義の日本で、国がそれを認めてしまえば、もちろんオリンピックどころか、汚染された土地は無価値になり、経済の土台が崩れ、地価の大暴落が始まり、経済崩壊に至るだろう。我々は今回の大震災の放射能の影響と被害を、チェルノブイリを引き合いに出して推測した場合、人体に影響が顕著に出るのが被爆後4~5年たってからで、その時、東日本の若年層を中心に見た状況はどのようなことになっているのか、漠然とした不安がよぎるのは私だけではないだろう。
我々高齢者はいまさら何を食おうが知る由はないが。
0 件のコメント:
コメントを投稿