2014年7月5日土曜日

玉虫色が好きな日本人



玉虫(見方によってはいろいろな色に変化する)
これまで歴代の政府は、憲法9条のもとで「武力の行使」が許容されるのは、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られると考えてきた。しかし、米国の弱体化にともなう中国の台頭などによるパワーバランスの変化や、技術革新による武器の急速な広がりや、大量破壊兵器などの脅威等により我が国を取り巻く安全保障環境が根本的に変容し、一国平和主義が立ち行かなくなった。

変化し続けている世界状況を踏まえれば、今後他国に対して発生する武力攻撃であったとしても、その目的、規模、状況によっては、我が国の存立を脅かすことも現実に起こり得るとの認識から、安倍内閣は1日の閣議で、日本国憲法第9条の一定の要件を満たしている場合、集団的自衛権を行使することができるという内容の閣議決定をした。新たに憲法9条を憲法改正で明文化することを避け、憲法解釈という日本人好みの玉虫色の政治手段を選択したわけである。

現況では憲法改正の実現の可能性が低いことと、非常に時間がかかることから、ある意味これは日米同盟強化の便法になった。集団的自衛権行使容認に米国、欧州、オーストラリアなどは賛同しているが、中国は猛反発している。愚かにも同盟国韓国はこれに同調している。日本が玉虫ならば、韓国はイソップに出てくるコウモリであろう。朝鮮半島有事の際に誰が手を差し伸べるのか、このアホな国は同盟という意味が分かってないようだ。

米国発の憲法9条を保持することに、同盟国米国は異論を挿めない。日本にとっても、安倍首相が「閣議決定は日本と関係の深い国が攻撃を受け、日本に危険が及ぶと政府が判断すれば、必要最小限の集団的自衛権の行使が可能となる」と述べている。あくまで「日本に危険が及ぶ」ケースでしか行使はあり得ないとし、「外国の防衛それ自体を目的とする武力行使は今後とも行われない」と明言している。
現在、極東の安保情勢は中国の海洋進出と北朝鮮の核ミサイル開発でがらりと様変わりし、一国平和主義が通用する環境にないことを考えると、平和ボケから目覚めた国民の意識の根幹にあるのは戦争抑止である。そのためにも集団的自衛権行使は普通の国の大きな抑止力になりうる。
国内では賛否両論分かれているが、反対派は「日本が他国の戦争に巻き込まれる」と主張するが、国家主権がある以上、NOと言える局面は訪れる、それも玉虫色に変貌しながら。
なお、この閣議決定で、ただちに集団的自衛権が行使できるようになるわけではなく、国内法の整備と、国会の審議などを経て、実際の行使に当たっても、個別的自衛権の場合と同様、国会承認が待っているので少なくとも来年以降の話である。




 さて、憲法解釈とは対照的なのが、憲法に明文化される移民法改正案の成立である。現在ヨーロッパ各国では、多文化共生を謳い文句に大量移民を受け入れてきた結果、社会基盤や文化を崩壊させかねない勢いに危機感を募らせ、ドイツのメルケル首相が「移民政策は完全に失敗だった」、そして英国キャメロン首相が「移民受け入れという慈善は止めた」、さらにサルコジ・フランス前大統領が「移民の流入をこのままにして置く訳には行かない」と告白した経緯を見ると、移民政策の失敗が浮き彫りになってくる。唯一成功したのは歴史の浅いゼロベースの移民で成り立った米国と言えるだろう。

そんな折、国会議員は6月11日国会で「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律」を成立させた。、内閣提出法案として5月29日たった1日の審議で、衆議院法務委員会全会一致で採決、31日衆議院、6月11日参議院で可決し、国民への周知もなく成立した。いうまでもなく少子高齢化対策としての禁じ手の切り札で、年間20万人を呼び込む目論見である。
主な改訂部分は、政府指定の「高度人材外国人」が、3年間の日本滞在で、無期限の永住が可能となり、欧州の失策を敢えて踏襲している。「永住許可取得後に両親や家事使用人の帯同が認められ」、「子供の養育名目で帯同出来る両親と子供が、本当の両親や子供では無くとも良い」という。1人の高度人材外国人が日本移住認可を得ると、本人が招聘する家族以外の、例えば家政婦、両親名目で誰でも移民出来るのだ。一応高度人材の確保としながらも、低賃金の移民を安易に受け入れ、労働力不足を解消する手立てであることは明らかである。報道も法案の経緯や成立についてもほとんど解説していないのが不思議である。
日本を取り囲む特に中国や韓国などは、自国から逃げ出したい輩が国民の半数以上いる中で、安易な審査で、世界各国で問題を起こしているこれらの国の移民は永住権を得た途端、当然の権利として地方参政権を要求し、本国の分子となって反日の日本を蝕む芽となりうる。同一性の強い日本人社会ではヨーロッパの国難よりも深刻になる公算大である。災いの芽は増やしてはならない。

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