それにつけても日本各地で頻繁に起こる自然災害は、近年激しさを増している。最近読んだ本で「災害列島.危険情報地図」成美堂出版は、脆弱な日本列島各地の詳細な災害マップを網羅して警鐘を鳴らしている。いつ降りかかるか分らない自然災害には一家の備えとしてお勧めしたい本である。(定価本体1100円+税)
さて、総面積約38万km2の国土を持つ日本。しかし、そのほとんどが山地などであり、日本列島の地形は、「山地」、「丘陵」、「台地」、「低地」および「内水域など」の5つに区分され、そのうち「山地」と「丘陵」の占める割合が約73%であることから、島国であると同時に山国であると言える。可住地面積33.6%のなかで、1億2000万人の人々が安心して住める場所はわずかしかない。災害と隣り合せの開発は山に向かって開発が進む。相模湾にしろ東京湾にしろ、船上から見た景色は私の周りの横浜や鎌倉など山地、丘陵に所狭しと住宅が密集している。さらに海抜が上がっていくと、国土面積に占める森林面積は約66 %で、 日本は世界第3位の森林大国である。
山にへばりつくように造成された広島の被災地域 |
これらの地形は、豪雨や地震など自然の影響により変化しており、その過程において数々の自然災害が発生している。人口増加や都市化にともなって、人為的な丘陵・台地の斜面造成などが行われ、わが国では狭い国土の有効利用として、水害や土砂災害などに対してリスクの高いところに、あえて開発が進んでいる。最近起きた広島の激甚災害などがあてはまる。
国土交通省によると、広島県内の土砂災害の 危険箇所はおよそ3万2000箇所で、全国で最も多くなっているそうだ。 広島県砂防課によると、 被災したうちの6地区は土砂災害防止法に基づく「特別 警戒区域」「警戒区域」に指定されていなかった。これには資産価値の下落を恐れて住民や不動産業者が指定に抵抗したいきさつもあるようだ。
土砂災害防止法に基づいて特別警戒区域に指定されている箇所が、私の住んでいる横浜市でも2000箇所はあるそうな。
下は都道府県格付研究所が作成した全国の可住地面積の比率のトップ6の県である。私の住んでいる神奈川県はAランクで、Aは10位の香川県まで続きDまであり、広島県はCランクの34位で
Dランクは47位の高知県まで続く。
順位 | 都道府県 | 可住地面積の割合 | 可住地面積 | 総面積 | 偏差値 | 格付 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
【出典】 都道府県格付研究所 | |||||||
1 | 大阪府 | 69.4% | 1,317.53km2 | 1,898.47km2 | 71.9 | S | |
2 | 千葉県 | 68.5% | 3,531.83km2 | 5,156.70km2 | 71.3 | S | |
3 | 埼玉県 | 67.8% | 2,574.12km2 | 3,798.13km2 | 70.8 | S | |
4 | 茨城県 | 65.3% | 3,981.73km2 | 6,095.72km2 | 69.2 | A | |
5 | 東京都 | 63.6% | 1,390.97km2 | 2,187.50km2 | 68.0 | A | |
6 | 神奈川県 | 60.7% | 1,467.18km2 | 2,415.86km2 | 66.0 | A |
地球温暖化の影響などで、今回のような豪雨は増える傾向にあり、日本の気候の亜熱帯化が進むと言われているが、日本は夏は暑く、冬はかなり冷え込む特徴をもっており、季節変化が大きい国なので、年間を通して亜熱帯になる可能性はないと思うが、今後とも激甚災害が増えるほど異常気象は日本のみならず世界中で起きている。最近見たNHKスペシャルでは、地球規模の異常気象のメカニズムを解説していたが、偏西風を基軸に海水温や気流の変化に基づく地球を取り巻く大気のバランスの崩れが指摘されていた。
気象庁による定義では、異常気象とは、「三十年に一回起こる程度の珍しい気象」のことで、昔からたまに起こっていたが、近年はそれが頻繁に起こるようになってきたので、日本の場合、土砂災害だけでなく河川の氾濫などにも警戒を要するため、国の国土防災対策は待ったなしである。
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