2011年1月2日日曜日

笑いの滴


             「笑いのしずく」 鳥獣戯画のウサギだけ編集

2011年 卯年の始まりである。裏日本に比べ関東の太平洋岸は穏やかな晴れの正月だが、なにやら今年も政局は一波乱もふた波乱もありそうな気配である。

卯年と言えば、鳥獣戯画のうさぎの絵を思い浮かべる方々も多いだろう。またこれより古くは古事記に出てくる神話「因幡の白ウサギ」で擬人化されたウサギがたびたび出てくる。

鳥獣人物戯画(ちょうじゅうじんぶつぎが)は、京都市右京区の高山寺に伝わる紙本墨画の絵巻物の国宝で鳥獣戯画とも呼ばれる。現在の構成は、甲・乙・丙・丁と呼ばれる全4巻からなる。内容は当時の世相を反映して動物や人物を戯画的に描いたもので、特にウサギ・カエル・サルなどが擬人化して描かれた甲巻が非常に有名である。一部の場面には現在の漫画に用いられている効果に類似した手法が見られることもあって、「日本最古の漫画」とも称される。1巻の巻物の長さは11mにも及び、原本は東京国立博物館で所蔵されている。


成立については、各巻の間に明確なつながりがなく、筆致・画風も違うため、12世紀 - 13世紀(平安時代末期 - 鎌倉時代初期)の幅のある年代に複数の作者によって別個の作品として制作背景も異にして描かれたが、高山寺に伝来した結果、鳥獣人物戯画として集成したものとされる。全体を通して見えてくるのは、動物を通じて俗世の人間模様を卓越した筆致(線描)で描いている風刺画の様な仕上がりもみせている。そこには鋭い観察眼に裏打ちされた笑いも、時折のぞかせる。いわば当時のサブカルチャーとでも言うべき絵巻物である。

鳥獣戯画には、擬人化された様々な動物が登場してくるが、中でも兎と蛙は多く登場する。兎はお調子者でおっちょこちょい、反対に蛙は真面目な熱血漢として描かれており、その他にも馬や牛、犬、鶏など身近な動物に始まり麒麟〔きりん〕や竜、獏などの空想的な動物を含めて70匹近い鳥獣が描かれている。主に擬人化された動物達が人まねをして遊ぶ様子などを描いている。この笑いの滴と対照的なものが現代の笑いの洪水である。

                          「笑いの洪水」 吉本の芸人たち
正月になると相変わらず吉本の芸人が娯楽番組を独占している。TVに顔を出している連中はまだいい方で、800人相当の芸人を抱えている吉本興行では、そのうちの1割弱の連中がしのぎを削っている。あとの連中は先輩のアホな芸を研究し、自分のお笑い芸の肥やしにしているらしい。これらの芸人と吉本の間には雇用契約が無く、上から下まですべて歩合制で、過酷な生き残りをかけて、本人にとっては笑えない、そして食えないサバイバル競争を繰り広げているようだ。
このお笑いの総合商社から発信されたお笑いは、日本国中を駆け巡り均質化されたお笑いのスタンダードを国民に提供している。

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