2009年3月1日日曜日

天国と地獄


絵はエッシャーの「天使と悪魔」
白い部分が天使黒い部分が悪魔
宇宙を天使で満たすことはできない。天使の隙間には、必ず悪魔が存在する。宇宙を悪魔で満たすこともできない。悪魔の隙間には、必ず天使が存在する。
天国と地獄は表裏一体のものであり、天国を見ようとすれば天国だけが見えるし、地獄を見ようとすれば地獄だけが見えてくる。天国と地獄は、そこに同時に存在しているのである。[エッシャー]


財務省の発表によると国と地方を合わせた長期債務残高は09年度末で804兆円を超え、その数字は我が国のGDP500兆円の1.6倍である。国民1人当たりの借金は500万とも600万とも言われて、日々増加の一途をたどっている。一部専門家からは、「債務発行残高600兆円というのが日本経済破綻のボーダーラインだ」という声が上がったこともある。1990年にバブル景気が崩壊して以来、税収の不足分を補填するために巨額の国債を増発し続けた結果がこれである。今や、主要国の債務残高の比較では先進国中最悪の状態となっている。ましてや米国債の買い増しなどは何をかいわんやである。
他国を例にとるとカナダは、1995年にGDPと同額の額まで膨らんだことがあり、イタリアは1996年にGDPの1.35倍に、英国病と揶揄された1970年代のイギリスでさえ、長期債務はGDPとほぼ同額程度の額でしかなかった。
国家経済が破綻した場合、国民の生活はどうなってしまうのか?外国の例ではロシアの場合、1998年に経済が破綻した。モスクワ中央銀行がルーブルの買い支え中止と対米ドルの切り下げに踏み切り、金融危機が突然勃発した。この日国内大手銀行の営業停止による預金封鎖、さらにハイパーインフレーションという危機が一気にロシア国民を襲い、ロシア国内の大手銀行は、顧客から預かった預金をほとんどを国債に回していたため、そのほとんどが倒産に追い込まれ、人々は預金を引き出すことができなくなったのだ。そして、物価は約3倍にまで高騰…。 アルゼンチンでも2001年に預金封鎖が断行された。当時のアルゼンチンは、失業率が20%に達し、公務員の給与や年金が支払えなくなるまでに税収が落ち込んだ。その結果、全国民約4000万人の4割にあたる1400万人が貧困層となり、明日の食べ物にも困る人々が巷に溢れかえる状態となった。


さてその日本国債を買い支えている最大の功労者は、「日本郵政公社」である。「日本郵政公社」は、国民の資産を集めまくり、発行残高の約23%を占める126兆円分の国債に投資してきた。「日本郵政公社」の分だけで、我々国民は一人当たり約100万円分の借金を背負わされている計算になるようだ。
どの国でも、政府が借金の支払いや年金の支払いが不可能になったとき、その解決策として採られる方法が「増税」と「ハイパーインフレーション」である。増税の柱は自民党が目論んでいる消費税しかない。一説によれば、今の日本の経済を立て直すためには、「消費税率 90%」という大増税が必要だとも言われている。一方の「ハイパーインフレーション」はお金の価値を急激に減らすことで、実質的な国の借金返済額や年金負担額を減少させることを目的に行われる。


国が破産するときはまず国債を扱う債券市場に予兆が現れる。国家破産に伴う大不況は、やがて国民生活を直撃するハイパーインフレーションとなって襲い掛かってくる。国債が暴落すると長期金利が暴騰し利息の支払いだけで膨大な現金が必要となるのだが、財務省の試算では長期金利の利率が8%となったとき、利息の支払いだけで年間90兆円超の現金が必要になる。日本の歳入50兆円をはるかに超える恐ろしい数字である。
さて国は苦し紛れに増税[消費税アップ]をやる前に以下の問題点を解決したうえで増税を図るべきで、この国の病根(メタボな政府)をスリム化し大幅な歳出カットをした上で増税を言うべきである。

1.行政コスト
国と地方を合わせた公務員給与の支給総額は32兆円 国家公務員46万人に、地方公務員312万人を合わせた357万人 30歳の国家公務員の平均年収は628万円で地方公務員のそれは全国で最下位の鳥取県(668万円)でさえ、国家公務員の平均年収を上回っている。

2.天下り
天下りがいかに広く実施され、深く日本社会を蝕んできたかについては、2007年の衆議院調査局の調査結果を見ると分かる。そのすさまじい実態は、天下り先の法人数は06年度で約4,600、天下った役人は約2万8,000。4,600法人のなかには、役割を終えた公益法人や独立行政法人が掃いて捨てるほどある。それら数多くの無意味な組織に注入された12兆6,000億円の税はすべて、天下り役人を養うために使われた。
独立行政法人の理事長および理事の給与は驚くほど高い。旧特殊法人から横滑りする場合、彼らはまず退職金を得る。平均は5236万円余だ。新ポストの年収は、バラつきはあるが、2000万円前後である。2年間で退職し、別法人に行く際は、新たに約1000万円の退職金を受け取る。加えて、独立行政法人通則法によって兼職を原則禁止とされているにもかかわらず、現実には、彼らの約42%が兼職である。民間企業に較べると、官僚が手にする特権の大きさと、収入の高さがわかる。しかも、これら独立行政法人はほとんど独自財源を持たず、特別会計の運営費交付金という名の税金で支えられている。 他人(国民)のおカネだから、痛みもなく潤沢に使えるのである。旨みの多いポストであるから、決して手放そうとしない。彼らは国民をだましてでも、大臣を騙してでも死守しようとする。

3.無駄な道路行政と箱物行政
道路特定財源の一般財源化と暫定税率の廃止にかかわる議論が活発になっている。本当に必要な道路かを精査し、費用対効果にもとづいて適正にコストを見つめれば、必要で国益にかなった道路をつくることはできる。だが明らかに無駄と思われる道路はつくるべきではない。ランディングコストを無視した箱物行政もしかり。
我々国民は肥大化した官僚国家を野放しにしてはいけない。今後とも役人のための国ではなく国民のための小さな政府であるべきで、リストラされるべきは国民ではなく無駄なカネを使っている役人であるべきだ。

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