2009年3月3日火曜日

ネット社会の功罪



今や我が国のインターネット利用者は8000万人を超え、私たち一人一人が「ネット社会」の住人となる時代がきた。ビジネスや公共サービスに欠かせないものとなり、今後は誰もが当たり前に利用する社会的なインフラになると考えられている。しかし、インターネットの歴史はわずか15年足らずである。技術の急速な進歩で便利になってきた一方で、インターネットを悪用した犯罪が多発するなど新たな社会問題も発生している。



どうすれば安心してインターネットを利用できるのか、誰がどのようにして安全を守っていくべきなのか。世界のインターネット人口は約12億人(2006年、国際電気通信連合調べ)に上り、この10年で15倍に拡大した。国境を越えて情報が飛び交う「ボーダーレス」化が進む中、ネット社会のひずみは海外でも顕在化している。 なかでも多いのが誹謗中傷で、ネットの匿名化された発信システムがこれらの行為を助長している。各国とも風評や悪意ある書き込みなどに対してプロバイダーの協力を得て、捜査当局と連携して発信元を突き止める作業を進めているが、今後ネット犯罪防止のためネットの匿名性を排斥する動きが出ている。匿名と言う鎧を着て無防備な相手に、無責任な発信をする輩は糾弾されるべきで、その罪は軽くはない。同じように増え続けていくコンピューターウイルスとワクチンの追いかけっこは、日増しに激しくなっていく。






またネットの中の闇市と呼ばれるオークションも詐欺犯罪が多い。筆者も1回その詐欺にあったことがある。ネットオークションの取引は成立後代金前払いが慣例であるが、高額な品物が無いのに注文だけ大量に受けて、入金後姿をくらます連中がいる。ヤフーなども1回だけの保証制度があるが、警察に被害届を出す手続きが必要だが警察もこの手の犯罪の件数が多く、日数ばかりが過ぎヤフーも本腰が入っていないから時間切れでうやむやになってしまうことが多いと推測できる。被害者は泣き寝入りである。






日々無料であらゆる情報を垂れ流しているネットでは、情報の信憑性の判断は受け手に委ねられている。今後ますますユビキタス社会に向かっていく社会では、今まで体験してきた時間、空間、思考、価値観の制約からの解放が始まっていくだろうが、同時に不確定な危険性もはらんでいる。
 
総務省では、平成16年3月からユビキタスネット社会の実現に向けた政策懇談会を開催している。同懇談会では、本格的なユビキタスネットワーク社会の実現に向けて、
[1]ユビキタスネットワーク社会の概略設計図とその実現方策 
[2]新たなビジネスの創出、人材育成等の環境整備の推進方策
[3]ユビキタスネットワーク社会の影の部分への対応方策等、幅広い見地から検討を行っている。また、総務省では、ユビキタスネットワーク社会の実現のための多岐にわたる研究開発課題に、産学官の連携により取り組むなど、ユビキタスネットワーク社会の実現に向けた政策を総合的に推進している。現在、我が国では、ブロードバンドインフラの着実な普及とあいまって、携帯インターネット、非接触型ICカード、電子タグ等の利活用が世界に先駆け進展しており、今後、情報通信ネットワークのブロードバンド化、多様な利用の進展が進み、「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」ネットワークに簡単につながるユビキタスネットワーク社会が実現することが期待されている。 
ユビキタスネットワーク社会という言葉は、日本発の新IT社会の一形態であるとも言えるものの、世界で統一されたイメージはまだ必ずしも存在していない。しかしながら、ブロードバンド化、モバイル化、ネットワークに接続する情報端末の多様化等、我が国が世界を先導している個別の情報通信ネットワークの進化については、世界的にも関心が持たれており、情報通信ネットワーク環境の整備に向けた取組が各国で始められている。利便性の追求は我々の生活を快適にするかもしれないが、同時に近未来それが我々にとって殺伐とした風景にならないことを願いたい。

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