2008年11月13日木曜日

戦後日本のジレンマ




私を含め今問題の田母神前空幕長は戦争を知らない世代である。よって戦争の真の痛みや恐怖は知らない団塊の世代でもある。唯一親から聞いた戦争体験だけが想像力の中での戦争である。
今回、現職自衛官のトップの人間が文民統制を無視した行動に出たことは近代国家の原則を覆すものであって、穏やかな話ではない。
 
第二次世界大戦までの世界は、米英独仏蘭、ソビエト、日本が世界分割を巡って競い合う弱肉強食の帝国主義時代であったことは歴史の事実として否定できない。
当時は大国が弱小国家を武力で制圧し植民地や保護領とする時代であった。大英帝国は世界中の国家・民族を武力で支配し、保護領や植民地とした。インド、ビルマ、シンガポール、マレーシア、中国・香港ほかを領有又は租借した。平たく言えばわが国を含め当時の列強はすべて侵略国家である。人類の歴史は侵略の歴史でもあった。その観点から言うと、中国に侵攻した日本の行為だけを取って先発侵略国家から侵略国家と言われ、そのレッテルを貼られるのは不合理な話であるが、だからと言って日本が侵略国家ではないとは言い切れない。歴史にはいろいろな侵略の形がある。古くはローマがつぶしたカルタゴがあり、どうしても今のアメリカと日本とのイメージが重なる。



広島に続き長崎と2回も人道を標榜するアメリカによって原爆を投下され、そして人道に対する罪として勝者の論理で、戦争指導者の東京裁判における処刑で幕が引かれた。人道に対する罪で核兵器使用による犯罪ほど大きなものはない。 原爆の前ではナチスのユダヤ人抹殺の歴史も色あせる。
戦後我が国は罪深きアメリカの従属国になり、日米軍事同盟が結ばれた。今日、ただテロとの戦いに名を借りた現在の米国の危うい泥沼の戦争に、首までつからずにいられるのは、憲法9条の存在だけではなく、この軍事同盟の趣旨すなわち、「米国は日本を防衛する義務がある」 が 「日本は米国を防衛する義務はない」と言う片務的な性格も足枷になって、辛うじてアメリカの戦争に巻き込まれずに済んでいる。いわゆる集団的自衛権という言葉の危うさも、幸いにして軍事的後方支援で終わっている。いずれにせよ日本を抑え込む日米同盟は今も続いている。
そんな中、文民統制(シビリアンコントロール)を揺るがす航空自衛隊トップの静かなるクーデターは、民主主義国家の根幹を揺るがす動きであり、大東亜戦争に突入した当時の文民統制が利かなくなった軍部の暴走を想像するに難くない。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

『見つかった!南京の記述!、翰林版にも!』

「Voice of America」などによると
南京の記述が無い無いと騒いでいた(2007年2月頃)、
翰林版の教科書にも、最後の付録の大時紀(大年表)に
"日軍入城大肆殺戮、是為南京大屠殺"
と書いてあるそうです。

http://www.voafanti.com/gate/big5/www.voanews.com/chinese/archive/2007-02/w2007-02-13-voa42.cfm
 臺教科書淡化南京屠殺國民黨不滿 記者: 張永泰
 台北
 Feb 13, 2007

 台灣新版高中歴史教科書當中,出現了淡化處理南京大屠殺事件的情形。
 在野黨的國民黨對此相當不滿,並提出了批評。

 有關1937年的南京大屠殺事件,台灣今年許多不同版本的高中歴史課本都出現了淡化處理的情形。
 以翰林版為例,課文沒有提到南京大屠殺,只在最後附録的大事紀當中提到“日軍入城大肆殺戮,
 是為南京大屠殺”15個字。

 Voice of America