2008年11月7日金曜日

新生アメリカ



 民主党のオバマが次期大統領に選出された。100年に一度の経済恐慌と、米国民の厭戦感に後押しされ,登場してきた希望と変革の大統領として、戦後では3番目に若い大統領の誕生である。 最近見たDVDのアメリカ映画 24(トゥエンティーフォー)を彷彿とさせる黒人大統領の再現である.奇しくも劇中の黒人大統領は暗殺されたが、、、
 米国の民主党政権は、クリントンもカーターもケネディも、軍産複合体に邪魔されたり暗殺されたりしたが、オバマも例外ではないだろう。ブッシュの残した膨大な負の遺産を受け継いだオバマは、いみじくも福田首相が言った、”貧乏くじを引き当てた”大統領から”米国再生の大統領”になるように幸運を祈るばかりだ。
今やアメリカの金融危機の闇は底なしに深い。もはやアメリカが栄華を極めた錬金術はことごとく崩壊し、金融機関はほとんど破産状態にあって莫大な公的資金が投入されつつある。GMを初め自動車産業は破産寸前にある。金融収縮による貸し渋り、貸しはがしが中小企業の倒産を加速させ失業者が急増している。ローンの貸出し条件が厳格になったことで住宅や自動車の売れ行きが大きくダウンした。消費マインドも大きく減退している。
 当面そのようなアメリカ経済を受け継いだオバマは通商政策で1929年世界大恐慌時のフーバー米大統領と同じく「保護貿易主義」に傾き、これまで米国への輸出で食べていた中国、韓国、東南アジア、EUそして日本の輸出は大きく落ち込むだろう。これらの国々では過剰設備を廃棄し、大幅な人員削減で生き残りを模索することになる。失業者が街にあふれ、ものを作っても売れないから、「縮小再生産」のデフレスパイラルに陥る。経済の歴史では好況不況の波動が規模にかかわらず交互に起きているのが資本主義の宿命である。しかし今回のような非常に大きなうねりの中では、金融にしろ、実体経済にしろ一企業で解決できる問題でなく、銀行や自動車産業などでも国が管理下に組み込む社会主義的な色調の強い資本主義に形を変えて行かざるをえなくなっている。

これまでの膨大な貿易赤字を外国からの投資(借金)で賄ってきた米国は、借金による優雅な生活から収入に見合った耐乏生活を余儀なくされ、輸入を大きく減らし輸出を拡大する政策に転換せざるをえない。結果、米国の消費は大きく落ち込み景気はますます悪くなる。
低金利政策による米国債離れと双子の赤字(貿易赤字・財政赤字)を解消する唯一の方法は、FRBが無制限に国債を買う以外の手段しか考えられない。その結果ドル紙幣を大量に印刷してドルの暴落とハイパーインフレ」を呼び込む。ドルが1$80円になる時期もそう遠くないのが大方の見方である。

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