政治は一寸先は闇と言われているが,参議院選は予想された結果に終わった。民主党の票が自民党やみんなの党に流れ、民主党への国民の期待が大きかっただけに、選挙結果は国民の民主党10か月の評価として現れた。管総理には期待はしないが、国民にとってどこに入れたらいいか迷いの多い選挙であった。国民は少なくても3年は安定政権を維持して、民主党を育てるぐらいの気概が薄れたようで、昨年8月に熱く政権交代を支持してから一年足らずで、民主党は参議院選挙で大敗した。国民にもあらゆる面で余裕がない、待ったなしの結果ともいえる。
今回の選挙を振り返ってみると、財務省の言う通りの10%をそのまんま、自民党と同じ調子で喋り、さらに消費税の還付基準まで議論を尽くさないまま、思いつきで軽くしゃべった管総理。どうも民主党総裁は2代そろって軽い印象がぬぐえない。そのため今回の選挙は消費税が争点になり、疲弊した地方から民主党離れが進んでいった。国民の多くは消費税やむなしと認識しているが、発言の仕方が悪かった。
行政改革を第一の争点にすべきところを、消費税と言うピンポイントに国民の目が向いてしまった。平成になってから今日まで16人の総理大臣が出たが、その誰もが行政改革を提唱したが、それにもかかわらず改革の成果は未だ十分には上がっていない。政治主導は官僚の抵抗から短期間に出来るものではないが、既得権益に固まった官僚から平成の大政奉還を成し遂げるのはまだ先のことだ。毎年毎年、年変わりの総理は世界から見て異様に見られ、日本の信用度はがた落ちである。
小沢一郎は「明治以来100年余りの官僚主導体制を打破する革命的改革」と言い、鳩山由紀夫は昨年10月の初の所信表明では「平成維新」「官から民への大政奉還」と述べ、菅直人は今年6月の初の所信表明で「市民自治の思想に基づいて真の国民主権を実現する」「官僚内閣制から国会内閣制へ」と語った。表現の違いはあっても、3人とも目指しているところは同じで、彼らを筆頭に民主党にこれをやらせる以外にこの国は突破口を切り拓けるのか?それとも同じ志を持ったものが大連合を組むのか?9月の民主党の首班指名選挙後に国のかたちが決まるだろう。今は革命前の混乱混迷期であるが、民主党内部のゴタゴタは国の利益にはならない。挙党一致で改革の手を休めないでほしい。
今の日本、消費税うんぬんよりもいかに財政の無駄を省くのかが先行されなければ、国民は納得しない。消費税を導入している国は現在、145カ国。財務省のホームページを見ると、日本と主要国の消費税を比較する資料があり、(日本の5%に対して、フランス19.6%、ドイツ19%、イギリス17.5%、スウェーデン25%)などとなっている。数値を見れば、日本の税率が低く見えるが、そんな単純な話ではない。主要国の多くは、食料品など生活必需品の税率を軽くしている。イギリスでは食料品、国内旅客輸送、医薬品などの税率はゼロ。フランスも新聞、医薬品の税率は2.1%。アイルランド、オーストラリアも食料品の税率がゼロ。日本のようにすべての国民を対象に、日用品も贅沢品も関係なく一律に分捕る制度ではない。
一概に比較できない数値を“喧伝”して「増税やむなし」の雰囲気をつくろうとする財務官僚の口車には乗らない方がいい。税収(国税)に占める消費税の割合を比べると、日本の36.3%に対して、イギリスは38.4%。日本の2倍の消費税(10%)のオーストラリアは26.8%だから、日本国民の消費税負担が極端に軽いワケではない。
デフレ下の日本で増税すれば、さらにモノが売れなくなり、税収も落ち込む。官僚たちの言い分を信じていいなりになるは安直な話である。5%増税したから財政がよくなるといった単純な話ではない。増税だけで財政再建した国はどこもない。合理的な歳出削減は財布の紐を握っている官僚制度の改革無くしてなしえない。
2010年7月15日木曜日
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