2009年2月17日火曜日

中国のお家事情


金融危機以降世界経済の流れは予想通り1929年の大恐慌当時のように保護貿易主義の流れに進んできている。ロシアの自動車関税の引き上げや、アメリカの議会提出中のバイアメリカン条項など、世界経済の歯車は逆回転しだし、貿易立国の受難の時代となってきた。中国は殖産興業・輸出大国をめざし、めざましい躍進を遂げたが、保護貿易が拡大していくと、今後中国では数千万から数億人の失業者が出ることが予想されている。「09年という年は中国で大変動が起こる年」と言われている。辛亥革命、共産革命、天安門事件などすべて「09」の年である。中国では不穏な空気が立ちこめている。

世界経済は今、大恐慌の入口に入ったばかりの初期段階にある。今後各国の保護貿易政策がさらに拡大すると、恐慌を大恐慌に向かわせる可能性が出てくる。各国とも倒産が激増し失業者は10%を大きく超える。特に「世界の工場」といわれ貿易依存度が飛びぬけて高い中国経済の打撃が大きい。中国では輸出関連企業の倒産が相次いでいる。加えて不動産バブルの崩壊で住宅・建設関連企業の倒産が続出し、国営企業も膨大な負債を抱え事実上の倒産状態である。中国の国営メガバンクは貸付け資金の大半を回収出来ずにいる。いま中国の経済を支えているのは外国の資本と技術であり、貿易黒字の半分以上は中国に進出した外国企業によるものである。いずれも中国の過剰で安い労働力を求めてやってきた企業体である。

我が国でも企業倒産が加速し、人員整理が正社員にも拡大する。春闘でも雇用確保が最重要課題となり「賃上げどころではない」という空気が支配する。操業短縮やワークシェアリングがニュースにならないほど一般化するであろう。中国に限らず、日本も貿易立国であるが、アメリカと言う消費大国の急激な消費の収縮が世界のトヨタをも崩していく様は予想を超えている。アメリカ人の圧倒的な消費性向の強さは、アメリカ人の自己破産率が日本人の3倍以上という数字にも表れているいるように、自分の収入以上の消費をかりそめの信用力で凌いでいた連中に支えられてきた経済の構図が見えてくるのだ。

このアメリカが戦争を仕掛ける裏には民主主義を守ると言った大義の裏に、損得を秤にかけ絶対に損はしないことを念頭に入れた国家戦略がある。テロとの戦いとぶち上げ、アフガン侵攻により膨大な石油資源を有するカスピ海からインド洋岸のパキスタンのカラチまで、石油パイプラインを引く計画が可能になり、この利権はアメリカとイギリスが握ることになった。一方でイラク侵攻により、フランス、中国、ロシアが利権を持っていた世界第2位の石油資源の利権をも手中にした。言うまでもなくその後方支援を行っているのは我が国である。ドルの防衛と不安定な原油の確保を至上命題にアメリカは動いている。

話を中国に戻すと、この国では今麻薬問題が影を落としている。タイ、ラオス、ミャンマーの国境にあるゴールデントライアングルに近接している中国は、世界の麻薬取引の一大中継国になっていて、国内にはおびただしい数の薬物常用者を抱えており、国家禁毒委員会によると彼らは500万人前後おり年々増加の一途である。また中国には行き場を失った北朝鮮からの覚せい剤も大量に流れている。世界の年間麻薬取引額は世界中の自動車取引を上回る約3000億ドルと言われており、ほぼ原油の取引高に匹敵する金額である。この裏経済の膨張は中国を拠点に無気味に広がっている.

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