2009年2月13日金曜日

免疫の話


毎年2月に入ると花粉症の季節になる。20代後半からの長い付き合いであるが、年とともに感受性が鈍くなって、昔のような激しい発作は無いが、それでも薬は欠かせない。花芽吹く季節で好きな季節ではあるがこいつのために心が晴れないのである。進化する人間の宿命である花粉症やぜんそくなどのアレルギーは20世紀後半、先進国で激増。花粉症だけで3800万人もの日本人が患う国民病となった。急増の原因は花粉・ダニの増加、大気汚染と考えられてきたが、「病の起源」によると意外な原因があることがわかってきた。    

アレルギーを引き起こす原因として、花粉・ダニの増加、大気汚染だけでは、説明できないデータとして、日本では昭和30年以降に生まれた世代に、急激に花粉症・ぜんそくが増えている事が上げられていた。その原因は、何と牛や馬などの家畜の糞から発する成分である「エンドトキシン」という細菌に触れていない事がその要因の一つとしてあげられるそうだ。人類の起源である、ほ乳類がもつ免疫細胞IgEによって細菌やウイルスから体を守ってきた。そして、その免疫を正常に働かせるには、生後1年ぐらいまでに、「エンドトキシン」に触れる必要がある事が最近、わかってきたとの事である。つまり、清潔な社会で人が育つと、「エンドトキシン」に触れないため、免疫システムが花粉などを細菌と誤って判断して、過剰に反応し、アレルギーが起きるという訳である。急激に発達した文明に、皮肉にも、免疫システムは、ついていけず、人類は病を起こす宿命にあると言うのだ。


最近見た NHKスペシャルでは~2億年目の免疫異変~としてこのことが報じられていた。 ヒトの免疫システムが完成したのは2億年前。ほ乳類にはは虫類のようなウロコや固い皮膚がなく、外敵の攻撃を受けやすかった。しかし新しい免疫システムを獲得したほ乳類は、IgEと呼ばれる免疫物質によって外敵を撃退できるようになっていた。細菌やウイルスなどに対する強力な武器、免疫システム。今何故ヒトに襲いかかるようになったのか、ほ哺乳類誕生時に起源をさかのぼり、アレルギー急増の謎に迫る。免疫学専門の韓啓司先生によるとアオカビからペニシリンが発見されて以来、人類は飛躍的に寿命を延ばしたが、抗生物質は身体に入ってきた異物(ウィルス)を殺すものであって、病気を治すものではない。病原菌を抗生物質が殺し、病原菌の悪い作用が無くなった後、人体を正常に戻すのはその人の力。つまり、免疫力なのだそうな。自分以外の異種物質や細胞などに対して戦うわけである。

ガン細胞はすべての動物に平等に一日に三千個程度発生する。ガン細胞とはDNAのコピー異常で、間違ったコピーはNK細胞と言う免疫細胞と溶け合い排除される。免疫が正常な人のNK細胞は一億以上あるので、十分に異常コピーをすべて退治できるのだが、何らかの理由で免疫力が落ちていると対応できずに、それが育ち、ガンとなって発症する。ガン細胞はとても強い細胞で、他の人体を構成する正常細胞よりも強い。抗癌剤はその生命力の強いガン細胞をも殺すような薬なので、正常細胞などひとたまりも無くやっつけられてしまう。ガン治療をしている人が死ぬのは、ガンそのものと言うよりも、正常な細胞が薬のせいで持たなくなって死を迎えると言う場合が多い。
ガン治療に限らず、現代医学は対症療法。これは、痛ければ痛み止め、痒ければ痒み止め、咳が出れば咳止め、などといったように症状を緩和させるだけの働きしかない代替療法。真に病を治すのは、自分の免疫力と再生力であると締めくくる。

人類は長い間飢餓に苦しんでいた。その間に出来上がった倹約遺伝子が、今の飽食の時代に適応できないために発病するのが糖尿病。そして私もその予備軍にいる。ゆめゆめ食い過ぎないように務める日々である。

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