2008年8月17日日曜日

中国はどこへ。(巨象ー虚像)の辿る道





北京オリンピックが派手に行われている。開会式の花火がCGで作られていたり、人海戦術によるパフォーマンスに国の威信をかけて国民一致団結している姿は、今の全体主義の中国を現わしている。
世界の人口の約5分の一の人口を抱えるこの国は、鄧小平の改革開放路線を突っ走り13億人の民衆の、溢れんばかりの経済成長への欲望を抑えることは誰にもできない。日本の25倍もの大陸の欲望に必要なものは資本と技術で、わが国の(政府開発援助)ODAもこの国の発展に大いに貢献してきた。

湾岸部の経済特区から始まった経済発展は中国経済を押し上げ、GDPの伸びはすざまじい勢いである。その結果10億以上の人口を抱える農村地帯との経済格差は5倍に上るという。農村で食えない民は都市部へ流れ、世界の工場の労働者になる。ユニクロなどは1980円のジャンバーの、中国の工場での出荷価格(裸原価)は、およそ200円(13元)で製造部分は10%に過ぎない。これが中国のGDPである。製造原価が売価の10%の国のおかげで、100円ショップも成り立つわけで、スタブレーションの続く現在、インフレ抑制に一役買っているわけである。

我々の業界も使用している漆は、国内需要の大半を漆の木が多い山間部の人件費の安い中国産の漆に頼っている現状である。
その中国も昨今のインフレにより世界の工場の地位がベトナムなどに移行中である。また中国政府は、将来国策としてIT産業で世界ナンバーワン、世界制覇を目指している。

途上国は先進国経済と消費の型を後追いするが、昭和30年代の日本を思い起こせば、今の中国がある。オリンピックを契機に大気汚染、環境汚染が際立っているが、中国では向こう16年間に石炭消費量は倍増し、穀物消費量は40%増加すると予想されている。大気や水の汚染物質の排出量はさらに急速に増加しつづけている。中国のジレンマは人口の巨大さに対して保有する資源が少ないことであり、工業化を進めながら食糧をはじめとするエネルギー資源の自給自足がなかなか容易でないことである。穀物、原油などの需要増大に伴い、世界の穀物、原油相場を吊り上げている一因にもなっている。

核保有国として外交にしたたかさを併せ持つ中国と対照的な隣の小国北朝鮮は、核を背景にもっとしたたかな国で、まさに海千、山千、北朝鮮だ。日本を囲む東アジアのこの2国は今後とも自前の核抑止力のない我が国にとって注意しなければならない国だ。

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