今月14日に終わるというので、11日に上野の国立科学博物館で行われている大アマゾン展を見てきた。会場は12のブースに分かれていて、アマゾンの成り立ちから各種生物のはく製や、植物、生きた魚類の展示など、日本の20倍の面積を持つ世界最大の森林の饗宴が狭い空間で繰り広げられていた。平日にもかかわらず、冒険というコンセプトに誘われて老若男女が、会場を埋め尽くした。会場では多くの映像を駆使して解説もあったが、圧巻は最後の4k画面の巨大スクリーンの臨場感あふれる画像だった。
モルフォ蝶と帝人のモルフォテックス |
中でも帝人が開発したモルフォテックスの見本が会場で目を引いた。この不思議な色調は、アマゾン川流域に生息するモルフォ蝶の翅の構造を模倣することにより開発されたもので、ナノレベルの薄膜を数百層も積層したフィルムで、着色に金属や色素を用いることなく、光の干渉を利用して構造発色させることが可能で、現在の印刷技術では不可能な領域の発色を生み出している。人類の過去の技術のイノベーションは、あらゆる分野で自然から学んだものが圧倒的に多い。
大アマゾン |
しかし、南米9カ国にひろがる広大な森は、あと50年ですべて消えるだろうと予測されている。食物連鎖の頂点に立つ人類が、自然を脅かしているのだ。
近年、アマゾンの森は徐々にその姿を変えつつある。大規模な農地に姿を変え、大豆の栽培が盛んに行われ、畜産の飼料として世界中に販売されている大豆が、実はアマゾンの森を切り開かれて作られたものだったり、またバイオ燃料としてのトウモロコシやサトウキビの育成農地開拓などによる違法伐採、大規模な農地や放牧地への転換など、動植物の楽園は確実に縮小をしていくだろう。
文献によると、アマゾン川は、南アメリカ大陸の西に連なるアンデス山脈(ペルー)の標高5000メートルの氷河から融け出した水が源流となって、延長約6500キロ、流域面積705万平方キロ、支流の数約1100、川幅平均3~14キロ、河口の幅約350キロとなっている。
アマゾン川流域は、年間雨量4000ミリと雨が多く、湿地に満ちている。アマゾン川が運ぶ水と土砂は、透明な川、白い川、黒い川、褐色の川として流れ、世界中川のすべてが、この川に集まっているといわれ、肥沃な土地と豊富な生態系を創り出してきた。 近年、アマゾン川流域の開発が進み、計り知れない生物多様性の自然環境の破壊の危機に直面し、地球環境にも悪影響を及ぼしかねない状況下ではアングロサクソンの自然と対峙する手法を変換し、古来自然と共存してきた日本人の英知を組み入れる時期に来たのではないだろうか。帰宅して、わが部屋の作品「楽園シリーズ」とピラニアの彫刻を見ながらアマゾンに想いを馳せる一日であった。
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