2012年8月7日火曜日

食物連鎖の果て



ブリューゲルの「大きな魚は小さな魚を食う」と題したこの版画は、、当時のフランドル地方でよく知られていたことわざををテーマにした大作で、人間社会の弱肉強食を投影したものだ。
この絵の中心には、巨大な魚が大きな口をあけて、小さな魚を吐き出している。また鎧兜をまとった人物がナイフで大魚の腹を裂くと、中からやはりたくさんの小魚が踊りだしてくる。これは、驕れるものはいつかは自分が迫害される立場に立つということを、図像学的にアピールしているもので
、同じオランダの大画家ヒエロニムス.ボスなどが好んで描いているモチーフの一部でもある。
ところで食物連鎖の頂点に立っている人間が今や、魚にしっぺ返しを食らう状況になっているのが今の日本でもあり、この絵とは真逆のイメージが浮かんでくる。

この6月には神奈川県川崎市川崎区殿町先の多摩川河川敷の土壌から1キログラム当たり約2万7000~2万1000ベクレルの高濃度の放射性セシウムが検出されていたことが分かった。
また京都大学防災研究所のグループは、福島第一原発の事故で関東に降った放射性物質などの調査データを使い、東京湾に流れ込んで海底にたまる放射性セシウムを、事故の10年後まで予測するシミュレーションを行った。
その結果、放射性セシウムの濃度は再来年(2014年)の3月に最も高くなり、荒川の河口付近では、局地的に泥1キログラム当たり4000ベクレルに達すると推定されるようだ。これは、ことし1月に福島第一原発から南に16キロの海底で検出された値とほぼ同じで。再来年の4月以降は、周囲の河川から流れ込む放射性物質が減る一方で、拡散が進むため、濃度は徐々に下がるとしている。

比較的濃度が高くなるとみられる東京湾の北部では、平均すると海底の泥1キログラム当たり300ベクレルから500ベクレル程度と計算されたということだが、根魚はもとより小魚を食すヒラメや川を登るスズキや大型の回遊魚なども影響は出るだろう。江戸前の魚が安心して食えるように、今後2年間は偽りのない検体検査の結果を国や漁業組合に頼ることなく、中立公正なな検査機関が公表してもらいたいものである。

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