2012年5月7日月曜日

狂気の沙汰



福島第一原発がいまだ放射能を撒き散らし、メルトスルーした核燃料が核分裂を続けているものと考えられ、その収束の目途は立っていない。にもかかわらず国は昨年末に福島第1原子力発電所の1~3号機の原子炉が「冷温停止状態」を達成し、事故収束に向けた工程表の「 ステップ2」を達成したと発表し、早々と収束宣言を出している。その後福島第1原子力発電所の危機的状況の告発を続けている広瀬隆氏の最近の動画は地震列島に林立する原子力発電所の危うさと、今だ国が沈黙を続けている4号機の不気味な潜在的な危機を説いている。

ジャーナリスト広瀬隆氏

地震の多発する我が国の狭い国土に54基の原発を林立させた愚と、膨大な数の使用済み燃料が各地で未処理のまま放置されている危険性を述べているが、講演を聞くほどに背筋が寒くなる想いがこみ上げてくる。
破壊された原発に冷温停止はない!と強調し、膨大な数の使用済み燃料を冷やしている4号機が崩壊したら、原発から半径250キロ(東北・関東全域)からの避難が必要となると警告している。そのような事態になったら、単純に首都東京(国の中枢)はどうなるのかという疑問、あるいは政治家はどういう行動をとるのかという疑問が湧いてくる。また他の原子力施設や使用済み燃料を保管している場所はM6の地震がきても制御不能に陥る危険性を持っていることも具体的に解説している必見の動画である。

先月、仙谷政調会長代行は、名古屋市内の講演で、「日本は電力なしに生活できない。安定した質の良い電力が供給されることが当たり前の社会でどう考えるのか。止めた場合、経済と生活がどうなるかを考えておかなければ。日本がある意味、集団自殺をするようなことになってしまう」と、再稼働慎重派を批判した。相変わらず極左の
この御仁は「集団自殺」という不穏当な言葉を恫喝のように事もなく言い放つ。電力会社から身に余る献金でも受けているかのようにしか聞こえない。

事故から現在まで炉心溶融(メルトダウン)した燃料塊は、圧力容器を突き抜け(メルトスルー)、五重の防壁と言われた五番目の防壁である格納容器の底部を突き抜け(メルトアウト)している。高温の燃料塊がどこまで地下に沈降しているか分からないという、人類未体験の現象に突き進んでいる可能性が高い。この人類的、全地球的な状況下で野田政権は、“冷温停止状態”という、“収束宣言”をしたが、現実は事故収束とは程遠い状況にあると動画は警告している。
原発プラント一カ所で、このように人類未踏の凄惨な現象を発現させているのに、その正確な事故原因も分からず。収束への目途も全く付いていない状況下で、他の53基を稼働し続けることは狂気の沙汰である。集団自爆への道を突き進むことを食い止めることに使命感を燃やしている氏は2時間以上の講演で休憩を挟み熱弁をふるっている。問題は日本一国だけではなく、北半球の壊滅に通じる重大事を引き起こす可能性がこの地震列島には点在している。地殻は活動期に入っていて、地震のみか津波の危険も併存する日本沿岸部は活断層だらけである。事故の正確な原因はまだ不明であるが、はっきりと分かっていることは、原発がいったん暴走し始めたら人間のコントロール領域を超えるという厳粛な事実である。

福島第一原子力発電所の二酸化ウラン量の計算 (福島第一原子力発電所資料)
使用
状況  済   新   原子炉内
1号機 292本、100本   400本
2号機 587本、 28本   548本
3号機 514本、 52本   548本(MOX燃料)
4号機 1331本、204本    0本
5号機 946本、 48本   548本
6号機 876本  64本   764本
合計  4546本 496本  2808本 総本数 7852本
共用プール 約6400本
福島第一内の総本数 約14252本

6基の原子炉建屋内の貯蔵プールとは別に、約6400本の使用済核燃料を
貯蔵した共用プールがある。
1号機 292本、
2号機 587本、
3号機 514本、
4号機 1331本、
5号機 946本、
6号機 876本
合計  4546本
共用プール 約6400本
総計1万950本程度
原子力発電所は稼働すると使用済み核燃料を膨大に増やし続けていく。この核のゴミは数百年以上の管理が必要である。しかし,日本では管理施設はない。今は核原子炉の何処かにしまっている。死の灰の処理もまともに処理、管理もできない国や電力会社がこれ以上原発を稼働するのは狂気の沙汰である。脱原発に可及的速やかに移行し
次世代エネルギー達成までの過渡期として当面は従来のエネルギーに頼らざるを得ないのではないか?

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