2010年4月5日月曜日

 この国はヤバい

左の画像は1923年、ドイツで物価が1億倍にもなってしまい、子供が札束をおもちゃ代わりにして遊んでいる風景。
財政破綻すると日本もこうなる。右の画像は2010年度予算の成立の画像。


● 国家破産の歴史

周知のように鳩山内閣では、一般会計総額が92兆2992億円になった2010年度予算は、3月24日参院本会議で民主、社民、国民新の与党などの賛成多数で可決、成立した。数十年来で最悪といわれる不況のなかで経済活性化に臨むらしいが、その一方で、新規国債の発行額も、税収を上回る過去最高の44兆3030億円にふくらみ、戦後初の事態となっており、今後の財政運営が懸念される。


国債のバロメーター

国家の債務がGDP比60%を越すと危機状態とされるが、その意味ではアメリカも55%に迫っている。日本の債務はGDP比170%だから超危機状態ということになるが、国家の負債はほぼ100%国民が持っていて海外の債権者はいないという、歴史上例の無い超国民犠牲(経済的国民奴隷制度)だから日本の国債の信用度はGDP比170%という最悪でも最高クラスなのである。ちなみに国債保有高を日本銀行資金循環統計から引用参照してみると、以下の通りになる。

日本国債の所有者別内訳(平成19年9月末現在)

郵便貯金・・・22.0%・・・148兆3510億円
銀行等・・・・17.9%・・・120兆2691億円
公的年金・・・10.5%・・・ 70兆7318億円
日本銀行・・・ 9.8%・・・ 65兆7599億円
簡易生命保険・ 9.2%・・・ 62兆0844億円
生損保等・・・ 9.1%・・・ 61兆3858億円
海外・・・・・ 6.6%・・・ 44兆3215億円
家計・・・・・ 5.3%・・・ 35兆3674億円
年金基金・・・ 4.2%・・・ 28兆1175億円
財政投融資・・ 3.0%・・・ 20兆0571億円
(その他・・・・ 2.6%) 


かつて日本は明治維新以降、既に2回破産している。1回目は1904年(明治37年)から1916年(大正5年=第一次世界大戦中)にかけて。2回目は1931年(昭和6年=満州事変勃発)から1945年(昭和20年=終戦)までの14年間。過去二回の破産は戦争がらみで、ハイパーインフレと大増税という荒波を受けた。国債が紙切れになったのは、私が生まれた終戦の翌年にあたる1947年のことである。
当時第二次大戦直後のインフレ進行を阻止するために、政府は突然、「金融緊急措置令」および「日本銀行券預入令」を公布し、5円以上の日本銀行券を預金、あるいは貯金、金銭信託として強制的に金融機関に預入させ、「既存の預金とともに封鎖のうえ、生活費や事業費などに限って新銀行券による払出しを認める」という非常措置を実施した。これが、いわゆる「新円切り替え」と呼ばれているものであった。

また、このときに総国民の資産調査が行われ、10万円を超える資産に対し25~90%の高額な財産税がかけられ、さらに、郵便貯金は10年間の払い戻し拒否が実施され、払い戻せるようになったときには、貯金は一律3分の1をカットされたのである。10年間で物価は300倍に上がったので、ほとんどの人たちの貯金は実質的には900分の2しか戻ってこなかったことになる。

古典派経済学の始祖アダム・スミスは「公債は、税金を担保とする借金で、非生産的であり、国を亡ぼす」と指摘している。公債に頼った財政は、最終的には、国民の生活が犠牲になるのである。

国立社会保障・人口問題研究所によると、2025年の総人口は1億1927万人と2005年より850万人も減る見通しだ。そして、そのうち65歳以上の高齢者が占める割合は31%と、同じく20年間に10%も上昇するという。つまり、日本は、経済や財政を支える現役世代が層として厚みを失うにもかかわらず、全体としての負担が激増し続けるという苦難に直面しているのである。


国家破産の方程式

このままでは日本が 財政破綻を避けることは難しい状況であるが、近代経済学の祖ジョン・メイナード・ケインズは『貨幣改革論』の中で国家破産の方式には3通りあると主張している。

1.債務帳消し型

債務帳消し型には2つの方法がある。ひとつは「デフォルト」。つまり借金をチャラにする。この場合、国債の保有者は9割近くが金融機関なので、ほとんどの銀行は倒産してしまい、国民の預貯金はほとんど引き出せなくなる。また、国際的な信用もなくなり、日本円の暴落も予想される。

もうひとつは、いわゆる「預金封鎖」。預金を新旧に分け、当分の間、旧の預金勘定を一定額しか引き出せないようにする。これをやる理由は、政府が大量に発行した国債を旧勘定にして凍結する狙いがある。前述のように日本が2回目に破産したとき、この手法が採用された。


2.債務所有者に対する資本課税型

日本の債務所有者は直接的には金融機関であるが、間接的には国民である。政府には課税権があるので、大増税をして国民から税金をできるだけしぼり取ることができる。戦後の破産時にも10万円を超える資産に対し25~90%の高額な財産税がかけられた。

3.財政暴力出動型

貨幣価値の大幅下落を指すハイパーインフレ。原理的には通貨供給量を10倍にすると貨幣価値は10分の1になり、通貨供給量を100倍にすると貨幣価値は100分の1程度になる。貨幣価値が100分の1になると1000兆円の借金は、実質的には10兆円となる。これは日本銀行がお札(日銀券)をどんどん印刷することで可能だが、預貯金の価値も同じように減る。1000万円の預貯金は100分の1になると10万円の価値となってしまい、国民が何十年もかけて貯めてきた資産がアッという間に消えてしまうことになる。

上記のような方法は、いずれも大不況を招くことになってしまうが、このままではいずれかの方法、もしくはこれらをミックスした方法を取らざるを得ないというのが、多くのエコノミストの指摘するところである。一方民主党現政権からは、財政の危機意識が感じられず、バラマキ予算に終始し、デフレギャップを埋める経済戦略もなく、下野した自民党は足元から溶解が始まり、泥船から抜け出す議員が後を絶たずに、少数政党を目指して浮き足立っている。混沌の中から何が生まれるのか、我々には知る由もない。

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