2009年7月14日火曜日

中国問題




中国問題 その1



 中国で治療を受けるには「前金を収めることが日常茶飯事になっている」という。地獄の沙汰も金次第で、貧乏人は治療を受けられない。今年5月に重慶で起きた兵士の死亡は、数時間で1万人超の市民の抗議運動に発展した。彼ら市民は元兵士の運命が「明日は我が身」と感じ自分達の問題として立ち上がった。人民解放軍兵士として四川大地震の救援活動に従事した元兵士(23歳)は、5月13日、建物の5階で清掃作業中、誤って転落した。重傷を負った元兵士は、重慶市内の解放軍324病院に搬送されたが病院側は前金の30万円を要求し、放置されたまま親族が金の工面に走りまわているうちにその兵士が死亡した事件である。

中国は92%の漢民族と残りの少数民族[チベット族、ウイグル族]で成り立っており、今回イタリアサミット直前にドタキャンした胡錦涛国家主席の行動は、中国の抱えている民族問題の根深さを現している。今回のウイグル族の暴動とは別に、中国の民衆による暴動は小さいものを含めると年間8万件を下らないと言われている。農民の暴動は「地方政府が耕作地を二束三文で強制収用し、収用した農地を宅地等に造成して民間企業等に転売、莫大な差益をふところに入れている」ことが原因であるという。共産党官僚の悪政に対する農民の「生きるか死ぬか」の切羽詰まった抵抗運動である。都市住民の大規模な抗議行動は、地方政府、公安警察など共産党官僚(公務員)の問題行動で被害を被った個人の抗議で始まる。これに同情し、共鳴する群衆が短時間のうちに結集し、数千人から数万人規模の抗議行動に発展する。大規模な抗議行動を鎮圧すべく出動した武装・公安警察の暴力的対応が「火に油をそそぎ」地方政府や公安庁舎を焼き打ちにしたこともあるほど民衆の怒りは過激だ。品性正しく節度のある日本人とは対照的である。逆にいえばそれほど民衆の怒りが沸点に達していないのか、切迫感が無いのか、ぬるい日本の政治状況がうかがえる。
  



中国問題その2
 



 中国のGDP(国民総生産)は世界2位の日本を追い抜く勢いである。しかし国民1人当たりのGDPは日本の343万円に対して、中国のそれは30万円と低い。 対米輸出や加工貿易による経済成長で潤った中国共産党北京政府は、過去十数年、年率2桁の軍事費増額を行ってきた。さらに空母建造を計画している。軍事費は増え、国民生活を支えるべき教育費や福祉予算は増えないか又は削減される。輸出と為替操作で稼いだ2兆ドルの外貨は、米国債の購入や金融商品への投資並びに、豪州・ロシア・ブラジル・アフリカ諸国等の資源を確保するための企業買収・投融資に充てている。医療や教育など国民の福祉には金が回ってこない。稼いだ金は軍事費と海外への資金流出で消える。

「国は栄え、民は滅びる」という王朝末期の症状が現れている。特に最近のアフリカへの投資はすさまじい勢いで増えている。中国は、外貨準備の約3割を国内資金需要に当てているが、ドル・元為替レートの維持のためドル買いは避けられない宿命になっており、アメリカに求められるまでもなく中国のドル買いは慢性化している。いわば働き虫の中国が溜め込んだ外貨はことごとくアメリカに吸い上げられ、ドル資産を増やし続けざるを得ず、そこにはまったく中国の選択の余地は無いのだ。中国もまたアメリカの経済奴隷でもある。
  






 中国問題その3




 「中国の知的財産権の侵害は際立っている。中国は関連法を改正し、外国企業の権利の剥奪と、中国企業の保護を一層強め、昨年の特許法改正などを成立させた。世界の知的財産権の侵害の8割は中国による。中国は他人の技術やアイデアの盗みやパクリは日常茶飯事。音楽も映画も、文学も小説も、その価値を認めたにも拘らず、それを生み出した元々の個人、組織、国家に著作権料などを支払う考えはない。知的財産権の侵害は、過去何十年にもわたる中国の常套手段である。その侵害の凄まじさは、個々の企業体の存続の危機を越えて国家の運命をも脅やかす。中国人の狡猾さを物語るエピソードがある。上海のレストランで食事をしていた日本人が数人いたところで、客の多くは中国人であったが、店内が急に停電になったところ、多くの中国人が停電になった暗闇にまぎれて雲散霧消してしまい、店の従業員が追っかけていったが、2~3分後電気がついたら、後に残っていたのは日本人のグループだけだったと言う笑い話もある。

また中国政府による強制認証制度と言うものがある。これはIT製品について、中国政府が審査、認証したものに限って、国内への輸入・出荷・販売を認める制度である。07年8月に導入方針を明らかにしたときは、日米欧が強く反対し、中国政府は一旦、導入を延期したがいま、再び同じ要求を突きつけている。これに対し、日米欧の産業界は、中国側への技術情報の流出を懸念して 「中国以外では例がない制度だ」と強く反発、再考を求めていたため中国政府は 実施を来年5月1日に1年延期し、適用範囲を政府調達に絞ると発表した。
中国のこの強気の姿勢は、今やアメリカに代わって台頭してきた巨大市場を有する国の傲慢さでもある。現段階では全容は明らかではないが、従来の主張から中国政府がICカードやコンピューターウイルスの侵入を防ぐソフトなどの設計図「ソースコード」の強制開示を狙っているのは容易に想像出来る。「ソースコード」とは、プログラミング言語で書いたソフトウエアの設計図のことで、知的財産の最も重要な部分だ。これを中国側に握られることは、知的財産の素である頭脳を乗っとられるようなものだ。中国はいとも簡単に、日本商品のコピーを作り始めるだろう。
厚顔無恥のこの種の要求を、しかし、日本が拒否した場合、家電製品をはじめとするさまざまな製品の対中出荷停止も予想される。影響は1兆円規模に及ぶとも見られている。金融危機以降の不況下、日本企業のみならず世界の企業は、中国市場への輸出に頼らざるを得ない状況がある。その点を見越しての狡猾な要求に対して、企業が個別に対処出来ることは少ない。中国の国家戦略に対抗するには、こちらも国家の総力をあげて臨まなくてはならない。だが、果たして、日本政府はまともにしたたかな中国政府とわたり合えるのか?東シナ海ガス田開発の問題も適当に、連中のペースに乗せられ、我が国もなめられたものだ。胡錦涛国家主席は、中国の軍事力は「平和」のためであると述べたが、それは、中国の意向を世界に受け入れさせる圧力としての軍事力に他ならないことを、アメリカから学んでいる。
戦後、軍事力を蔑ろにし、経済だけを考えてきた結果、すべての面で衰退しつつある日本。明らかにわが国には根本的な方向転換が求められているのではないだろうか?

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