2008年12月14日日曜日

イメージの誤算 


 左図 「全体を見れば間違っている」 安野光雅 1977
 右図 「バベルの塔」 ピーテル ブリューゲル  16C




人類を繁栄させてきた想像力[イマジネーション]は時として人類を裏切っていく。21世紀を生きている我々は、100年に一度の体験をすることになる。経済社会を取り巻く世界の環境は日々厳しさを増している。すでにわが国でも主要産業の人員整理や派遣切り、あるいは倒産に至る企業も増えている。まさに2009年は嵐の年になるだろう。

1990年代以降、米国の金融資本は実体経済や作為的に作られた戦争経済で稼ぐだけでなく、[金融工学]と言う名の詐欺的な商いに手を染めるようになった。いわゆるユダヤの金貸し業が古来得意とするカネがカネを増殖する仕組みを、複雑なシステムに置き換え作り上げた。その結果実体経済の何百倍ものカネが動くモンスターが世界経済を凌駕した。



他者に先んじ、利益を独り占めにする貪欲なユダヤの商法は、シェークスピアの「ベニスの商人」でもおなじみである。今後この経済危機を契機に激増する貧困層を抱えていくアメリカ資本主義は、カネが全ての価値観の収縮が加わり、少しは変わっていくかもしれない。限りある金融資本、地球上のあらゆる限りある資源を身の丈で考える叡智を駆使しないと、人類の明日は無いだろう。

経済の基本は数学であり、数学は形あるモノを量の概念として抽象化したもので、それによって複雑な構造をもった関係性を把握しようというツールであるが、これがイメージと言う質の概念に膨らんでいく過程で、金融工学が数字を抽象化しすぎて量の概念を見失い、「実体数字」という「量の概念」が全く見えなくなっていった所に、イメージの錯誤が引き起こしたアメリカの金融危機が始まった原点があった。


16世紀ルネサンス時代の画家ブリューゲルが描いたバベルの塔は余りにも高い建造物を造ったがゆえに、自らの重さを支え切れずに崩壊したという。私には今日のアメリカが築き上げた資本主義経済は、バブルの塔ではなかったかと思うことがあるが、洒落では済まされない時代である。アメリカを代表とする人類の傲慢に神の鉄鎚が下ったのだろうか?

0 件のコメント: