2016年2月8日月曜日

政局探訪「政治とカネ」



昨今の“政治とカネ”をめぐる問題は、与党の閣僚から安倍首相、民主党の岡田代表にまで飛び火し、政界全体のモラルが問われる事態にまで発展した。
つい最近の甘利経済再生相の辞任など100万単位で職を辞する日本のシビアーさと100億単位の賄賂で身を亡ぼす中国の多くの公務員とを比較するわけではないが、国民性の落差を感じる。ましてや日本経済のかじ取りを任された重要閣僚である。証拠を握られ出口なしの政治劇場に落ち込んで野垂れ死にだ。第二次阿部内閣以降死屍累々と散った閣僚は以下の通り。

【第2次内閣】
  14年 小渕優子経産相 自らの政治団体による不明朗な政治資金問題
      松島みどり法相 自らの選挙区内でうちわ配布
【第3次内閣】
  15年 西川公也農水相 国の補助金を受けた企業からの献金問題
  16年 甘利明経済再生担当相 建設会社からの金銭授受

このように政治という臭いにおいのする世界では、時によって臭いものに蓋をして手仕舞いをしていく。

この結果、「政治とカネ」問題の追及のため、本来、国会で議論すべき問題の議論が進まない。「政治とカネ」をめぐる問題は日本政治の「弱点」と言われ、単に国民の政治不信を助長するだけでなく、過去にあったロッキード事件やリクルート事件のように政治を混乱に陥れてきた。昨今の一連の政治とカネをめぐるスキャンダルへの対応を誤れば、やがて政権転覆の可能性も出てくる話だ。だが多くの場合、政治家が法的責任を問われ、罰せられるケースは意外なほど少ない。「道義的責任」という名の下で当該の政治家が大臣などの役職を辞することで事態を収拾するケースがほとんどである。




政治にカネがかかるのは言うまでもないが、議員になるための選挙活動費から始まり、所属派閥の運営など献金という名のお金の出入りがこれを支えている。ちなみに議員一人にかかる歳費は図の通り。

議員1人の歳費諸々
これらの政治資金は、過去に何度も改正されてきた政治資金規正法によってカネの出入りを透明化する方向に向かって改善されてきた。 しかし現在の制度では、政治家は政治団体を多数設立することが可能なため、政治資金の全体像が把握しにくい仕組みとなっていて、玉虫色の好きな日本人が作ったこの法律はザル法となっている。政治家は抜け道を作るのが上手であるが、その手で自分の首を絞めていることに気が付いているのかいないのか摩訶不思議である。?

(注) 政治資金規正法
政治資金の流れを透明化するために1948年に制定された法律。数々の金脈問題をへて、1994年、選挙制度改革・政党助成制度の導入と併せて大幅な改正が行われ、企業・団体からの寄付の対象は政党(政党支部)、政治資金団体、資金管理団体に限定された。1999年政治家個人への企業団体献金禁止。

総務省の資料によると、政治資金には、大きく分けて①寄付(献金)、②政治資金パーティー、③政党交付金の3種類からなっている。
3の政党交付金は、税金で政党の活動を支援し、政党の独立性を保とうという仕組みである。この政党交付金は、国民一人あたり250円のお金を選挙の結果によって政党に分配される。
現在、総務省のサイトでは、総務大臣届出分の政治団体の政治資金収支報告書及び政党交付金使途等報告書が掲載されており、誰でもインターネットで閲覧することができる。

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