2015年10月24日土曜日

ミクロな話


最近ミクロの世界で2人のノーベル賞受賞者が出た。物理学賞の 東京大学宇宙線研究所所長の梶田隆章教授と、片や生理学・医学賞 の北里生命科学研究所の大村智教授のお二人である。

物理学の世界では、物質のもとになる分子を分解した原子を、さらに分解していくと、これ以上分解できない限界物質といわれるのが素粒子で、宇宙から飛んでくる無数の素粒子がニュートリノといわれている物質だ。この物質に質量があることを実験で証明した。これが物理学の定説を覆した発見となったのである。2002年ノーベル賞受賞の小柴昌俊教授から始まったカミオカンデの実験装置から始まったニュートリノの研究がここで帰結したわけだ。

熱帯で寄生虫が引き起こす「河川盲目症」や「リンパ管フィラリア症」の特効薬となる抗生物質「イベルメクチン」の開発と、数々の抗生物質を発見した大村智教授によるイベルメクチンは、教授が様々な場所から土を拾いつづけ、2000~3000サンプルの中の伊東市のゴルフ場の土から抽出した放線菌を譲り受けた、同時受賞のキャンベル博士の薬開発によって牛や犬などに対する駆虫薬として発売され、世界のベストセラーとなった。
このおかげで犬のフィラリアなどを駆除でき、犬の寿命が大幅に伸びたことは愛犬家にとっては有り難いことである。また河川盲目症や象皮症で苦しむ多くの人々を救ったこの薬は熱帯地方の風土病を封じた画期的な薬でもあった。




我々人類の歴史は細菌やウイルスとの闘いの歴史でもあった。細菌もウイルスも、はたまた多細胞生物である人間の体も肉眼では見えない細胞の集合体である。細胞一つ一つの大きさはわずか1マイクロメートル(100万分の1m)にすぎず、細胞を1000個並べてようやく1cmという微小な世界で成り立っている。
その細胞が1人の人間の体の中に約100兆個あるといわれている。毎日、何千万の数の細胞が新陳代謝して、死んでは生まれ替わっているが、生体を構成している分子や原子は絶えず入れ替わり、数か月もたつと体の多くの部分の原子が新しいものと入れ替わり、1,2年のうちにはほとんどの原子が変わってしまうといわれている。(生命を捉えなおす●清水 博著)

さて、私も罹った癌であるが、癌はその中のたった1個の正常細胞が癌化することから始まるようだ。その1個の癌細胞が分裂を繰り返し、増殖していく。人間はそこに癌が発生しないで生きられるのが奇跡である、と医学は言う。
今、日本人の2人に1人が癌になり、3人に1人が癌で死んでいるといわれているが、なぜ急に増えているのだろうか。現代医学は、これを世界中の誰も、どうする事も出来ない。早期治療早期発見しか手立てはないようだ。
抗がん剤は増殖の速い枝分かれした若いガン細胞を狙い撃ちにするが、同時に正常な細胞まで傷つけるため副作用が多く、親元になる幹細胞ガンまで完全に駆逐できないのが現状で、この幹細胞ガンを壊滅してくれる薬は現在開発中で、治験の中でも有望な薬の開発の可能性は広がっているようだ。これが開発されればノーベル賞ものだろう。厄介者のたとえにされるガン、治癒して共存している人々も多い。酒を殺しながら飲む人はあまりいないが,ガンを殺しながら生きている人は多い。

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