2015年7月18日土曜日

政局探訪


集団的自衛権行使容認を柱とする安全保障関連法案は,15日の衆院特別委員会で、自民・公明両党の賛成多数で可決された。
浜田靖一委員長が質疑の終局を宣言すると、民主党の議員らが委員長席を取り囲み抗議する中、採決が行われ、法案が可決された。そして維新提出の対案は否決された。
国会周辺は法案採決に反対する人で埋め尽くされ、深夜まで抗議が続いた。
安倍総理は採決に先立つ質疑の中で「まだ国民の理解が進んでいないのも事実だ」と認めていたが、採決後、「国会での審議はさらに続く。国民に丁寧に分かりやすく説明していきたい」とも語った。

法案が衆院を通過すれば、9月中旬には参院で議決されなくても、衆院の2/3以上の賛成で再議決すれば、法案を成立させることができる「60日ルール」の適用が可能になると言われている。
ほとんどの憲法学者が違憲とする今回の騒動であるが、そもそも 憲法9条は日本がアメリカの支配から独立し、主権を回復した1952年に本来改正されるべきであったのに出来なかったのだから、今日政治の場で憲法9条を盾に議論するのは過去の議論であって現実的でなく、米国の衰退と裏腹に増長を続け、アジアの覇権を画策する中国の台頭が進む国際状況のなかで、安全情勢を鑑みれば、金科玉条のごとく死守する憲法のための憲法議論に費やすることより、国家と国民の生命と財産を守るために「必要最大限度」の防衛政策を構築するのが「政治の責任」であることは阿部首相が言うまでもないことである。

戦後70年日米安保体制のもと、平和と繁栄ををむさぼり続けてきた我々国民にとって有難い憲法9条。その長くて甘い夢から目覚める時期が来たことは、大なり小なり国民は感じている。世界のどの国もその時代にそぐわない憲法は順次改正をしてきた歴史がある。我が国も例外ではない。ただ国民の大多数の民意が憲法改正に向かうのは、5年いや10年先まで時間がかかると、時の為政者は思っているのだろう。集団的自衛権という国際的でグローバルスタンダードが、憲法解釈によって法制化の道筋をつけたことは、性急すぎる感は否めないが、待ったなしのアジア情勢の中、これも我が国が主権国家として、世界にアピールする一つの政治的な英断であろう。

尖閣諸島の領海侵犯や小笠原周辺に押し寄せた赤サンゴ密漁魚船に有効に対処できていないことや、知らないうちに南沙諸島の強奪に似たようなことが、南シナ海に目を奪われているすきに,
東シナ海の共同開発油田基地の軍事転用化が疑われている昨今、中国は、19世紀型の帝国主義の時代に逆戻りしつつある。その欺瞞に満ちた拡張主義と狡猾な国民性に気付いた世界は、中国に対して警戒感を強めるようになった。あの弱腰のオバマさえ対中国政策を見直し始めた。わが国も国力を強めて国益を守らなければならなくなっている。憲法のための憲法といった机上の空論を続けても国は守れない。

        ●  脱皮できない蛇は滅びる 。 (ニーチェ)

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