2015年6月14日日曜日

大アマゾン展



今月14日に終わるというので、11日に上野の国立科学博物館で行われている大アマゾン展を見てきた。会場は12のブースに分かれていて、アマゾンの成り立ちから各種生物のはく製や、植物、生きた魚類の展示など、日本の20倍の面積を持つ世界最大の森林の饗宴が狭い空間で繰り広げられていた。平日にもかかわらず、冒険というコンセプトに誘われて老若男女が、会場を埋め尽くした。会場では多くの映像を駆使して解説もあったが、圧巻は最後の4k画面の巨大スクリーンの臨場感あふれる画像だった。



モルフォ蝶と帝人のモルフォテックス

中でも帝人が開発したモルフォテックスの見本が会場で目を引いた。この不思議な色調は、アマゾン川流域に生息するモルフォ蝶の翅の構造を模倣することにより開発されたもので、ナノレベルの薄膜を数百層も積層したフィルムで、着色に金属や色素を用いることなく、光の干渉を利用して構造発色させることが可能で、現在の印刷技術では不可能な領域の発色を生み出している。人類の過去の技術のイノベーションは、あらゆる分野で自然から学んだものが圧倒的に多い。



大アマゾン
この世界最大の熱帯雨林には、6万種の植物、1,000種の鳥類、2500種の魚類、300種以上の哺乳類が暮らし、未だ確認されていない生きものが2万種も存在し、遺伝子資源の宝庫といわれている
しかし、南米9カ国にひろがる広大な森は、あと50年ですべて消えるだろうと予測されている。食物連鎖の頂点に立つ人類が、自然を脅かしているのだ。
近年、アマゾンの森は徐々にその姿を変えつつある。大規模な農地に姿を変え、大豆の栽培が盛んに行われ、畜産の飼料として世界中に販売されている大豆が、実はアマゾンの森を切り開かれて作られたものだったり、またバイオ燃料としてのトウモロコシやサトウキビの育成農地開拓などによる違法伐採、大規模な農地や放牧地への転換など、動植物の楽園は確実に縮小をしていくだろう。

文献によると、アマゾン川は、南アメリカ大陸の西に連なるアンデス山脈(ペルー)の標高5000メートルの氷河から融け出した水が源流となって、延長約6500キロ、流域面積705万平方キロ、支流の数約1100、川幅平均3~14キロ、河口の幅約350キロとなっている。
アマゾン川流域は、年間雨量4000ミリと雨が多く、湿地に満ちている。アマゾン川が運ぶ水と土砂は、透明な川、白い川、黒い川、褐色の川として流れ、世界中川のすべてが、この川に集まっているといわれ、肥沃な土地と豊富な生態系を創り出してきた。 近年、アマゾン川流域の開発が進み、計り知れない生物多様性の自然環境の破壊の危機に直面し、地球環境にも悪影響を及ぼしかねない状況下ではアングロサクソンの自然と対峙する手法を変換し、古来自然と共存してきた日本人の英知を組み入れる時期に来たのではないだろうか。帰宅して、わが部屋の作品「楽園シリーズ」とピラニアの彫刻を見ながらアマゾンに想いを馳せる一日であった。

2015年6月12日金曜日

厄病御三家

マーズウイルス

最近またまた<ズ>の付く怪しい感染症が韓国から発生し、距離的に近い隣国の疫病に我が国も騒然となっている。この病はマーズ(中東呼吸器症候群)と呼ばれ、、2012年に初めて確認されたウイルス性の感染症で、原因となるウイルスは、MERSコロナウイルスと呼ばれており、主に中東地域で患者が報告されている。致死率は、これまでの報告では35%の致死率で、先に中国で起きたサーズ(重症急性呼吸器症候群)の致死率15%の倍以上である。中東発のラクダからの感染症が一人の中東訪問の韓国人から発症し、国の安全性に不感症のアホなお国柄のため、初期対応のまずさから患者が増え、野放しにされた患者がまた患者を生み現在3次感染まで含めると122人で死者が9人となった。今後患者の数はネズミ算式に増えて地域拡散の様相を見せているから不気味である。朴クネ大統領もアメリカ訪問どころではなくなり、国民からの突き上げを恐れてバイオハザードさながらのマーズ対策に重い腰を上げたところだ。


サーズウイルス

さて韓国の宗主国であるお隣の中国は、先にサーズ(重症急性呼吸器症候群)で先鞭をつけた。2002~03年に中国広東省に端を発し世界的流行になったこの疫病は、、香港経由で世界各地に拡大し、世界を震撼させた。次々と感染者が増え、多くの中国人が死亡した。 野生動物を多く食していた広東省では、中でもハクビシンによるコロナウイルスから人間に波及したとみられる。そのためはハクビシンの養殖所を閉鎖したりしたが、一向に収まらず2003年時点で世界中で★感染者:8,456人 ★死亡者:809人 となった。
いずれにしてもマーズにしろサーズにしろ、その該当動物が保有するウイルスが、突然変異を起こし人に感染する新型のコロナウイルスとなり、そして高温多湿、過密な人口密集地域、野生動物を好んで食べる習慣などとあわせて衛生状態の悪いお国柄と相まって、ウイルスの好む環境と深く関係することは疑いの余地はない。いずれもこの二つの病のおもな症状は、38度以上の発熱、せき、呼吸困難などを起こし、重篤な肺炎に至る。

エイズウイルスと侵された白血球

さて最後に登場する<ズ>はよく知られた厄介な厄病エイズ(後天性免疫不全症候群)である。ウイッキペディアによると、現在全世界でのヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者は5千万人に達すると言われている。その拡大のほとんどがアジア、アフリカ地域の開発途上国において見られる。サハラ以南のアフリカには全世界の60%近くのエイズ患者がいると言われ増加傾向にある。また一部の開発途上国では上昇していた平均寿命が低下しているという現状がある。近年では中国(エイズ村)、インド、インドネシアにおいて急速に感染の拡大が生じて社会問題化している。エイズの流行が始まって以来およそ7500万人がHIVに感染し3600万人がエイズ関連の疾病で死亡したと考えられる。世界中で感染者が3500万人を超え、年間230万人の新規感染者と160万人のAIDSによる死亡者が発生している事実から考えると、いまだ人類が直面する最も深刻な感染症の一つとして恐れられている。
もっとも、劣悪な輸血や、やばい性交渉、注射器の回し打ちなどをしない限りは縁のない厄病であるが、油断は禁物である。現に上記の2つの<ズ>は幸い日本人の感染者は今のところいないがエイズは別だ。 日本でもHIV感染者数・エイズ患者数は増加しており、統計によると新たに報告される感染者数・患者数は年間1,500人を上回っている。また、HIVに感染していたことを知らずに、エイズを発症して初めて気づいたというケースが、約3割を超える高い水準で推移しているようだ。先進国の中では唯一若年層を中心に患者数が増えている我が国の現状は気にかかる。


この病、起源は中部アフリカ、カメルーンのチンパンジーという説が有力であり 、そこから人に感染して世界中に広まっていったと考えられている。1981年にアメリカのロサンゼルスに住む同性愛男性(ゲイ)に初めて発見され症例報告された。ただし、これはエイズと正式に認定できる初めての例で、疑わしき症例は1950年代から報告されており、「やせ病」という疾患群が中部アフリカ各地で報告されていた。1981年の症例報告後、わずか10年程度で感染者は世界中に100万人にまで広がっていった。元々はサルなどが持っていたウイルスだったものが突然変異を起こし今の形態になったので、ここでも野生動物が起源とされている。
このろくでもない<ズ>のつく厄病が今後とも新たに出ないことを願うばかりだ。

2015年6月2日火曜日

アートな話「指物事始め」

卓上ドレッサー(桂材)


退院後3か月を過ぎ、体力と筋力も回復してきたので、テニスを始めたり釣りをやったりで、体重も5キロ近く増えてきたので、これ以上体重が増えないよう食事の節制をしている今日この頃であるが、仕事も元のペースに戻ってきたところで、会員の師範が弟子から卓上のドレッサー2台の制作依頼があったことを受けて、久しぶりに指物の制作に取り掛かった。
最初に本人が描いた図面を見たが、デザインが野暮ったいので、私のほうでデザインを新たに練り直して引き出し付の試作品を作ったのが上の写真である。

当初鏡が可動式になるような設計だったが、思うような金具が見つからず、やむなく固定式になった。そのため前にPCスタンドなどの制作をしていたので、その基本構造を利用して指物による制作過程の仕事は順調に進み、思ったより早くイメージ通りの作品が出来た。
鋸を使ったり、鉋をかけたりして少々手と肩が張ったが、徐々に以前の感が戻り、仕事としては楽しくできたことが何よりだった。
正面と側面に彫りを入れるため、彫り部分の板が外れるようにテープで仮留めしているが、彫り上がって塗る段階で接着することになっているので、どのような彫りを入れてくるか楽しみである。