2014年1月3日金曜日

午年に因んで

6代目三遊亭圓生

午年に因んで古典落語の「らくだ」という名作を思い出す。なかでも6代目三遊亭圓生の噺が、キレがあって好きである。
 図体が大きく、大酒のみで乱暴者で、らくだ、とあだ名されている長屋中の嫌われ者の馬太郎が、河豚を食って死んでしまうところから噺は始まる。

らくだをたずねてきた兄貴分と名乗るヤクザな男が、河豚にあたって死んだらくだを見つけ、前日、季節はずれの虎河豚を自分で捌いて死にやがった弟分の弔いの真似事でもしてやろうと思いたった。
そこへ通りかかったのが、屑屋の久。兄弟分の男に呼びとめられ、家財を買い取れといわれる。しかしまともな家財なんてまるでない。心ばかりの香典を差し出して帰ろうとするが、仕事道具を取り上げられて、脅しに屈して使い走りをやらされるはめになる。

さんざん無理難題を持ちかけられ、最後に大家から通夜用に酒と煮〆と飯を届けさせろと言う。家主はもちろん、「一度も店賃を払ったことのないらくだのために酒なんてとんでもない」と断る。
それを聞いた兄貴分は「身寄りのない屍骸の置き場に困っている。もし酒、肴をもってこないなら、死人しびとを連れてきてかんかんのうを踊らせる」と伝えさせる。家主は「死人がかんかんのうを踊るところはこの歳まで見たことがない。冥土の土産に是非見たいものだ」と捨て台詞を吐く。それを聞いて兄貴分は、らくだの屍骸を久に背負わせ、家主のところに乗り込み、久にかんかんのうを唄わせる。驚いた家主は、酒と煮〆と飯を届ける約束をする。この調子で、八百屋からも、棺桶がわりの菜漬けの四斗樽をまきあげる。香典、酒、煮〆が届いたので久は帰ろうとするが、兄貴分は久を引きとめてむりやり酒の相手をさせた。

ここからがこの噺の山場になる。一杯だけと言うことで飲んだが。一杯では縁起が悪いのでと二杯目を、そして駆けつけ3杯目だと、酒を強要され3杯目をやった。根が酒好きの久、酒で失敗して、しがない屑屋になった身の上話を始め、その頃から様子がおかしくなり、「おい!もう一杯つげよ!」と兄貴分を睨みつける。酔いが回り始めたクズ屋の久は、気が大きくなって兄貴分を怒鳴りつけて、手足のように使い始めた。馬の頭を丸め、樽に強引に詰め込んだ。落合の火屋(火葬場)に知り合いがいるので、そこに持って行く下りになっている。
靖国参拝

この噺、なんだか最近の安倍首相と重なってくる。久は、自制していた酒を強要され、兄貴分(アメリカ)の無理難題をこなしつつ、酒とは言わないが勢いでくすぶり続けていた靖国参拝の思いを遂げた久さん、秋の例大祭も自粛した反動もあってか居丈高に吠えている。少なくとも国の長としての意地を見せてくれたわけだ。中国や韓国の雑音や、伏し目がちなアメリカに屈することなく筋を通してくれた。

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