2013年11月3日日曜日

数字のマジック

あべチャン頼むよ!

2014年4月から消費税は8%に引き上がり、2015年以降に法人税減税が待っている。
アベノミクスの影響で、2013年10月から我々の生活と密接な関係にある保険料や食品価格その他も大きく変わってきた。例えば、年金は10月分から1%の減額、厚生年金保険料は17.12%に引き上げ、食品価格は小麦や乳製品などで1~4%の値上げとなり、年金減額に連動し、児童扶養手当も0.7%に引き下げ。他にも自動車保険料の一部値上げなどが続く。

勤労者の所得が減っていて消費が冷え込んでいるところに消費税アップだ。首相は消費税増税に伴う家計への8・1兆円の負担増からくる消費需要の減退とデフレ圧力の高まりを懸念し、5兆円の経済対策を打ち出した。経済対策の目玉にあの復興特別法人税の来年度廃止など法人関連の減税を餌にして企業の賃上げを誘い、内需の拡大につなぐシナリオを描いているが、イメージどおりことが進めば誰も苦労はしない。
国税庁『会社標本調査』(2011年度分)によれば、72.3%の法人が欠損法人、つまり赤字となっている。法人税の減税と言っても7割以上の企業は法人税を払っていない赤字企業である。経営の苦しい中小企業にとっては何のメリットもない。恩恵を受けるのは一部の黒字企業だけだ。
もとより、中小企業は日本経済を支え、全企業421万社の99・7%、全従業員数4297万人の66%を占めている(21年時点、総務省)。法人税を払っている企業 30% 残りの70%は赤字決算でまぬがれているこの現状。 法人税の減額は海外からの投資を招くというが、大半は金融投資であり、工場や支店を出すことにつながらない。法人税の減税分は企業の内部留保に回す。企業は利益を出しているのだが、それを内部留保という形で貯め込んでしまい、設備投資にも回さないし、賃金にも回さない。利益が設備投資や賃金に回れば、経済の好循環が始まるというものだ。全雇用の3分の2を占める中小企業による賃上げのための経済環境は悪化し、法人関連税の減税で挽回できるはずがない。





菊池英博著「消費税は0%にできる」(ダイヤモンド社刊)によると、主要国の国税収入に占める消費税の割合 は以下のとおり。

国 名   国税の標準税率      国税にしめる消費税の割合  
イギリス      17.5%                 22.5%     
ドイツ       18.0%                  27.0%       
イタリア     20.0% 27.5%             同上
スウェーデン 25.0% 22.1%              同上
日本      4%(5%の内1%は地方税)    22.1%      
アメリカ    消費税は州税で州により違い、国税は法人税と所得税

自公政府とマスコミ、御用学者は国民に次のように宣伝する。
「日本の消費税は5%で主要国と比較して非常に低い。これでは社会保障の財源が出ない。少なくとも10%以上に引き上げなくてはならない。」日本の消費税は主要国の1/4~1/5の税率なのに、国税収入全体に占める割合は既にイギリス、スウェーデン並みの22%になっている。その理由は次のとおり。

日本では消費税の非課税項目がきわめて少なく、税率が低くとも税収金額が多いこと。主要国の消費税(付加価値税)は、教育、医療、住宅取得と関連金融および不動産で非課税であり、また、生活必需品(食料品、医薬品、新聞、書籍の一部)も軽減税率または非課税であり、アメリカでもこの傾向があり、生活必需品はほとんど非課税である。
この点公明党が食品などの生活必需品の軽減税率を主張していることは理解できる。

日本の場合は法人税と所得税の比率が低すぎること。特に1990年度から2006年度までに構造改革で法人税は40%から30%に下がり、所得税は累進税率を緩和し最高税率が07年度には40%までに引き下げられた。そのために、法人税と金持ちの所得税が大幅に減税され、その結果として消費税が国税に占める割合が高くなった。
 このために、日本は低額所得者の税金が主要国で一番高い国になっており、貧乏人は悲惨な状況である。高額所得者に減税する一方で低額所得者に増税し、消費税が3%から5%に増額され、1999年に導入された定率減税も廃止され、2002年度には課税最低限度額が360万円から325万に引き上げられた。

消費税をなくせとは言わないまでも、我々納税者は数字のマジックを理解したほうがよさそうだ。

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