2013年3月14日木曜日

劣化する中国社会


中国問題評論家 石平著の「これが中国33のツボ」のなかで、歴代王朝が勃興と滅亡を繰り返すたびに、長い動乱と内戦の結果、社会規範や伝統がゼロにリセットされていく中国社会は、進化の欠如 と社会の仕組みの不変(最初の王朝秦王朝と最後の王朝清王朝まで単調な反復が続くという中国史の特徴)が指摘されている。

1966年から10年間続いた毛沢東による文化大革命において中国の伝統文化が破壊された。文化人の抹殺とマルクス主義の徹底化によって文化喪失。またマルクス主義に基づいて宗教が徹底的に否定され、教会寺院・宗教的な文化財が破壊された。特にチベットではその影響が大きく、仏像が溶かされたり僧侶が投獄・殺害されたりした。中国全土で文革によって粛清された人民は裏の数字をいれると4000万人はくだらないとも言われているが、正確な数字は未だ不明である

その後時代は移り、鄧小平による経済拡大路線によって共産主義と資本主義の折衷政策のもと、拝金主義や規範崩壊と倫理観の欠如が顕著になった。さらには 極端な格差社会が進み、人心の荒廃と人間精神の砂漠化が進んでいく。中国の官僚社会の地位と出世は金で買われているから、小役人から上へと賄賂の金が動くため、あらゆる局面で汚職が万延している。

特権階級や官僚などは、経済発展優先で環境問題は眼中にない。地方幹部はGDPが高ければ高い位置に就ける。環境や庶民の命はないがしろにされ、汚染企業が多ければ多いほど、GDPが高くなり、幹部の業績も評価され、昇進も速い。また、企業の汚染がひどければひどいほど、企業からもらう賄賂額も高くなり、ポケットが膨らみ、海外にいる子供の生活も潤う。さらに、出世が速ければ速いほど、地元から早く脱出でき、汚染地帯にいる期間も短くて済む仕組みになっているようだ。
賄賂絡みの手抜き工事の結果(マンションと高速道路)

 
●人権という概念のない国

世界一の死刑大国、中国。犯罪はもちろんキリスト教やチベット仏教を無許可で布教しただけで死刑になる。そして法輪功学習者の場合は、なんと生きたまま臓器を取り出される肝抜きの死刑が執行されているようだ。 中国で死刑が多い最大の理由は、仕入がタダで、臓器売買でボロ儲けの国家事業で、外国人から莫大な外貨を稼いでいるとも言われている。それも臓器を傷つけないために頭部銃殺の処刑が大半である。ネットではおぞましい画像が氾濫していて正視に耐えない 。倫理観の欠如したこの国民性は,インフラ工事や、一般建築においても、手抜き工事があとを絶たない。知的財産権のパクリ、個人財産の強制的な収奪は朝飯前の無法国家からはじき出された人民たちは中国共産党の最大の犠牲者でもある。
 
湖北省潜江市の水道取水口

 死刑とともに多いのが国民病の癌である。中国各地にある4百箇所以上の「がん村」(がんの発病率が異常に高い村のこと)。その村民たちはまさに水汚染の犠牲者である。1997年以来、ガンは中国人の死因の第1位となっており、毎年130万人がガンで死亡している。いずれの村も汚染された河川流域に住んでいる住民だ。汚染の深刻なのは川だけにとどまらない。

最近当局は、「全国97%の地下水が汚染され、約64%の都市地下水の汚染は非常に深刻だ」と発表したが、大紀元日本によると、環境経済学者で中国人民大学環境学院の馬中院長は、、年間160億トンの工業排水(汚水)が処理されず、地下に排出されていると明かした。予想以上に速い速度で人民の水瓶である地下水も汚染が進んでいる。
がん村の子供
 
ここにきて中国当局は初めて国民への健康被害を認め、環境汚染が原因でのがん発症率が高い「がん村」は、全国で247カ所あると発表した。専門家は、実際の数はこれよりもっと多いと指摘。また、最近では中国の9割の地下水が汚染され、うち6割は重度に汚染されているという中国地質調査局の専門家の話も話題になった。新華網が118都市の地下水を調査したところ、64%の都市の地下水がひどく汚染され、ほぼ正常なのは3%しかないとも報じている。まさに中国ではまともな飲料水にありつけるのは限られた人間しかいない状況である。
もはや回復不能の手遅れ状態で人民は悲鳴を上げている。

 

また野放図の汚染は大地にも広がり、中国の耕地の約10%が重金属に汚染されている可能性が高く、なかでも南の地域が比較的汚染が深刻だという。土壌の汚染は主に重金属、農薬、有機化合物によるものである。今の中国では、最も深刻なのはカドミウム、ヒ素、クロム、鉛などによる重金属汚染であり、その半数以上は工業廃棄物質として排出されている。汚染された土壌で作られた毒野菜,毒米は中国人も食べないから、闇に紛れて流通しているのだろう。このように天からは公害スモッグPM2.5が降り注ぎ、地からは生存に欠かせない水と恵の食物が奪われたこの大地に生息している中国人民は、自然環境からは見放され、中央政権からは見放され、包摂性のない社会で一般民衆の人身が荒廃していくのは中国の歴史の必然でもある。

中国の高度経済成長を支えてきた不動産投資と企業による設備投資、供給過剰の生産性がもたらしたこれら多くの負の代償は、あまりにも大きい。 社会保障の欠如(国民の85%以上が無保険)と中産階級の不在による内需の停滞の偏った経済発展が、不動産バブルと株のバブルを膨らませていく。一方で失業大国 として都市部で毎年1200万、農村部で余剰労働力1億2千万人を抱えている。潜在的な不満分子がおこした大小の暴動は年間9万件を越して、共産党体制の崩壊の危機は年々迫っているため、党幹部や高級官僚の資産や家族などの海外流出が絶え間なく起こっている。崩壊に備えての逃亡の段取りを図っているとも言われている。こんな国に未来はあるのだろうか?

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