2012年9月6日木曜日

アートな話「指物」

2段重「渓流」吉川創雲 右は一杯に広げたところ


今月10日まで開かれている鎌倉彫喜彫会展で出品している私の最新作は2段重「渓流」。指物で木地制作を行い彫りを入れ漆を塗って仕上げた作品であるが、上下2段の料理箱が蝶番によって交差して広がる仕掛けになっている。
指物とはその歴史は古く平安時代から貴族から需要のあった家具、調度品、などを専門の職人によって作られたものであるが、室町時代に入って本格的に普及し、京都では京指物、江戸時代の江戸では江戸指物として盛んに作られた技法や製品の総称である。
厳選された材料と、それを仕上げる数々の道具と職人の腕に支えられて今日までその伝統は受け継がれている。

指物作品
私の場合正式に師匠に師事した事もなく独学で覚えたものであるが、指物で最低限必要な道具は下の写真のように作業台に乗っているものである。これらの道具をざっと列記してみると、上から鋸2種、ハタガネ2種、仕上げ砥石、溝鉋、際鉋,荒シコ、中シコ、上シコ、削り台、金槌、ノミ2種、留定規 ノギス、直角定規、指金、定規、万力である。
指物の難しいところは箱物の45度の合わせ目がコンマ何ミリの誤差で、ぴたりと合わなくなるので面作りが一番神経を使うところで、作品の出来具合を左右する。
仕事場の作業台

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