2012年1月14日土曜日
ババ抜きゲームから戦争へ
デリバティブ、証券化、レバレッジの3つの金融技術は、 アメリカ発の3大金融革命であり、ハイリスク・ハイリターンのアメリカ型投資ビジネスのバックボーンだ。
アメリカ金融界は90年代に入るや、この新金融技術を組み込んだ投資ビジネスをフル展開して、 瞬く間に世界を席巻した。米政府は製造業の復権を断念した代わりに、 新しい基幹産業として金融界の育成に全力投入するが、やがてこのババ抜きゲームも2008年のリーマンショックが金融危機の口火を切った。
泡銭にまみれた世界経済はやがてユーロー圏にも飛び火し、今日に至っている。サブプライムローン破綻後全米で800万人の雇用が失われ、ユーロー圏の国債の惨状は周知のとおりだが、借金で成り立っている世界経済の中でユーロー圏では借金の棒引きが始まっている。身の丈を超えた経済成長を続けた世界に対して、奇しくも世界の借金合計はGDP1000年分!世界は既に破綻している!と過激なカナダ人ジャーナリストベンジャミン・フルフォードは吠えている。
歴史を振り返ればアメリカ発の経済危機で1929年に始まった大恐慌からアメリカはいかに脱却したか。アメリカ経済は、<第二次世界大戦の>戦争景気によって、大恐慌以来継続していた産業の停滞や失業を解消することができた。32年に大統領に就任したフランクリン・ルーズヴェルトによって「ニューディール政策」も実施されたが、実際に大恐慌を乗り越えたのはニューディール策ではなく第二次世界大戦の「戦争景気」だった。
今日のアメリカ支配層も、21世紀不況を戦争景気によって乗り切ろうとする誘惑にかられることは想像される。その理由は第一に、戦争自体がIT産業に莫大な市場を提供することや、広範な産業に特需をもたらすことである。アメリカの主要企業は、今日いずれも国防総省との軍需品契約に依存する比率を高めてきた 。その結果生じる戦後の「復興」でもアメリカのゼネコンやインフラ関連企業に巨利をもたらす。現時点でイラクの「復興」事業は、軍隊を駐留させているアメリカの企業が独占している。、アフガンにしてもイラクにしても、それまでの独立国家を勝手にうち倒してアメリカの傀儡政権を樹立することで、石油等の利権を思うままにすることができるというのが本意であるということが後に政府関係者から暴露されている。
ITバブルがはじけた直後にアフガンを攻め、その戦争が終わる前にイラク戦争をはじめた。悪の枢軸と呼んだイラク、イラン、北朝鮮の中で、今度はイランが浮上してきた。
核開発疑惑の中で、日本も含め各国にイランに対して経済制裁を呼びかけているアメリカ。
オバマが、ルーズベルトの歴史を知っているのなら、最大の公共事業である戦争による景気浮揚を考えても不思議ではないだろう。かつて日本を戦争に誘導した手法で、イランを挑発し、仮にイランがホルムズ海峡を封鎖したら、世界に対して大義名分が立つことで、間違いなくアメリカはイランに宣戦布告するだろう。
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