2012年1月23日月曜日

日々雑感

現在の我が国の平均寿命は、女性は86・39歳で世界一、男性は79・64歳で世界第4位である。第4位と言っても、上を行くのは香港、スイス、イスラエルといった人口数百万人規模の小国・地域ばかりなので、人口1千万以上の中・大規模の国の中では男女とも堂々の1位である。
我が国の高齢化は、史上、例がないスピードで進んでいて、昭和25(1950)年に高齢化率(総人口に占める65歳以上の人の割合)5%だったのが、平成17(2005)年には20%を超えて、世界最高となった。少子高齢化が進むと50年後の平成65(2055)年には高齢化率40%超という未曾有の事態となるようだ。
日本では現在、65歳以上を高齢者とするという定義付けが一般になされており、医療制度改革の便宜上、65~74歳は「前期高齢者」、75歳以上は「後期高齢者」と呼ばれている。そういう私も年金をいただく前期高齢者に近づいた。
これから戦後ベビーブームに乗って出てきた数多くの団塊の世代が、年金の支給を受ける時代が目前に迫っている。

最近近所に普通の民家が介護サービスをやる施設に早変わりし、日がな年寄り連中が車椅子で、そこに働く若者に支えられて散歩に行く姿が見受けられる。家で介護に手を焼いた家庭が、ここに年寄りたちをあずけるわけだが、あるとき散歩をしていると、一人の老婆が施設の垣根を超えて、隣家に脱走を企て連れ戻される所を見たが、行き場のない老人の孤独を垣間見たような気がした。

また昔からやっている近所の酒屋では、裏口にカウンターを設けて客を集めており、聞けば生活保護を受けている高齢者が昼間から酒を飲んでいる光景も見受けられる。生活保護と言っても少なくとも13万円以上は支給されており、≪生活扶助≫ 衣食住などを扶助。食費・光熱費など。現金支給。≪教育扶助≫ 学級費や修学旅行費など。現金支給。≪住宅扶助≫ 家賃や修繕費、リフォーム代など。現金支給。≪医療扶助≫ 医療費。現物支給。健康保険料の負担はなし。窓口負担も原則なし。≪介護扶助≫ 介護保険を使った介護の費用。現物支給。介護保険料の負担があるが、保険料相当の現金が上乗せ支給される。≪出産扶助≫ 出産費。医療扶助の範囲外の部分も扶助。現金支給。≪生業扶助≫ 就労に必要な資金、技能取得費用、就業の為の準備金など。現金支給。義務教育修了後の学校の学費もカバー。≪葬祭扶助≫ 葬祭費。現金支給。と至れり尽くせりで、ワーキングプアーの労働者よりも割がいいので、まともに働くのがアホらしいのか、まだ働けそうなオヤジが無気力な眼差しで酒を飲んでいるのを見ると、これが財政破綻をした国のやっていることかと疑問が湧いてくる。
今や経済格差の広がりは若年から中高年まで非正規、正規雇用の格差と同時に高齢者の経済格差まで広がっており、厚生年金と国民年金の格差も目立つ、実際国民年金の月額約6万5千円だけでは老後は暮らせない。生活保護者以下である。セーフティーネットの生活保護者が200万人を超えた今、貧困層に落ちていく高齢者の増加がこの数字を押し上げていきそうだ。少子化と高齢化は連動しており、若年貧困層の増加は未婚化につながり、少子化は否が応にも進行していく。国は若年労働者のスキルアップに投資をするなどして、日本経済の底抜け状態から底上げを考えないと、やがて日本は衰退国家に突き進むことになるだろう。

経済協力開発機構(OECD)の調査では、2000年代半ばの相対的貧困率は、日本はメキシコ、トルコ、米国に次ぐ4番目の高さだった。
ここでいう貧困率とは、再配分後所得を家族の人数で調整したうえで、可処分所得の中央値の50%未満の所得しか得ていない人々を「貧困者」として定義し、その「貧困者」が、全体に占める比率のことである。貧困率が高いということは、その国が貧困である、ということではなく、その国内で、上記で定義した「貧困者」が多数いる、ということを示しており、それだけ、貧富の差が大きいということでもある。
トルストイ

一方、デフレが蔓延している世の中で、富裕層の金離れが悪いため消費が伸びない現状もある。いわゆる金を溜め込み使わないから経済が活性化しない。我が国では欧米のように生きているうちに使い切ってしまう国民性ではない。ラテン系のようなノーテンクマにはなれない。漠然とした将来への不安が働いて財布の紐を締めているのが現状ではなかろうか、、?
かのトルストイ曰く「金は糞尿と同じである。貯めれば貯めるほど悪臭を放ち、ばら蒔けばばら蒔くほど土を肥やし新たな芽を生む。」

2012年1月14日土曜日

ババ抜きゲームから戦争へ



デリバティブ、証券化、レバレッジの3つの金融技術は、 アメリカ発の3大金融革命であり、ハイリスク・ハイリターンのアメリカ型投資ビジネスのバックボーンだ。
アメリカ金融界は90年代に入るや、この新金融技術を組み込んだ投資ビジネスをフル展開して、 瞬く間に世界を席巻した。米政府は製造業の復権を断念した代わりに、 新しい基幹産業として金融界の育成に全力投入するが、やがてこのババ抜きゲームも2008年のリーマンショックが金融危機の口火を切った。

泡銭にまみれた世界経済はやがてユーロー圏にも飛び火し、今日に至っている。サブプライムローン破綻後全米で800万人の雇用が失われ、ユーロー圏の国債の惨状は周知のとおりだが、借金で成り立っている世界経済の中でユーロー圏では借金の棒引きが始まっている。身の丈を超えた経済成長を続けた世界に対して、奇しくも世界の借金合計はGDP1000年分!世界は既に破綻している!と過激なカナダ人ジャーナリストベンジャミン・フルフォードは吠えている。

歴史を振り返ればアメリカ発の経済危機で1929年に始まった大恐慌からアメリカはいかに脱却したか。アメリカ経済は、<第二次世界大戦の>戦争景気によって、大恐慌以来継続していた産業の停滞や失業を解消することができた。32年に大統領に就任したフランクリン・ルーズヴェルトによって「ニューディール政策」も実施されたが、実際に大恐慌を乗り越えたのはニューディール策ではなく第二次世界大戦の「戦争景気」だった。

今日のアメリカ支配層も、21世紀不況を戦争景気によって乗り切ろうとする誘惑にかられることは想像される。その理由は第一に、戦争自体がIT産業に莫大な市場を提供することや、広範な産業に特需をもたらすことである。アメリカの主要企業は、今日いずれも国防総省との軍需品契約に依存する比率を高めてきた 。その結果生じる戦後の「復興」でもアメリカのゼネコンやインフラ関連企業に巨利をもたらす。現時点でイラクの「復興」事業は、軍隊を駐留させているアメリカの企業が独占している。、アフガンにしてもイラクにしても、それまでの独立国家を勝手にうち倒してアメリカの傀儡政権を樹立することで、石油等の利権を思うままにすることができるというのが本意であるということが後に政府関係者から暴露されている。


ITバブルがはじけた直後にアフガンを攻め、その戦争が終わる前にイラク戦争をはじめた。悪の枢軸と呼んだイラク、イラン、北朝鮮の中で、今度はイランが浮上してきた。
核開発疑惑の中で、日本も含め各国にイランに対して経済制裁を呼びかけているアメリカ。
オバマが、ルーズベルトの歴史を知っているのなら、最大の公共事業である戦争による景気浮揚を考えても不思議ではないだろう。かつて日本を戦争に誘導した手法で、イランを挑発し、仮にイランがホルムズ海峡を封鎖したら、世界に対して大義名分が立つことで、間違いなくアメリカはイランに宣戦布告するだろう。

2012年1月6日金曜日

動乱の年2012

日本列島のプレートを海底地図から俯瞰する

新年幕開け早々グラッと来た。震度4だったがあの大震災の時の揺れが頭をよぎったがすぐに揺れは収まった。地震大国日本の宿命だが、一度大きな地震を体験すると次に大地震の2波が真近に迫っていると言われても否定はできない。
地震予知の研究家は3つの首都圏を襲う大地震、「房総沖地震」「首都圏直下型地震」「東海地震」を警告する。1100年前の9世紀には貞観(じょうがん)地震が起き、富士山が大噴火して、その後に東海地震が起きた。30年くらいの間に天変地異が数多く起きたことを引き合いに出してもいる。今まさに、「大地動乱の時代」に突入したことを警告している様があらゆるメディアで発信されている。また富士山の西南麓ふもとの富士宮市の住宅街で、異常湧水が続いているのも気になるところだ。

地殻だけではなく、世界の国の変動が予測される今年は各国の指導者の入れ替わりが進む。1月には台湾総統選、3月にロシア大統領選、5月にフランス大統領選、10月に中共の総書記(国家主席)交代、11月に米国大統領選、12月に韓国大統領選がある。3代目が世襲を果たした北朝鮮の動向も気になるところだ。
我が国も野田総理の年内解散総選挙がささやかれ、今年の後半には政界再編成も視野に入ってくるだろう。
独メルケル首相、仏サルコジ大統領,伊モンティ首相

そして世界経済の大変動も待ったなしだ。ギリシャに始まったユーロー危機は世界を巻き込んで世界経済に侵攻していく。ギリシャ財政破綻は、全く救いようが無く、同国はユーロ圏離脱によって国民を守らざるを得ないだろう。
一方でイタリアの財政崩壊がこの所急に話題となっている。同国の債務負債残高は、約2兆ユーロ(=200兆円)。これが返済不能となれば、フランス、ドイツの民間銀行が破綻し、米国の巨大銀行にもその影響は波及する。日本の民間セクターも、ユーロ圏に約70兆円の債権を持つと言うから、影響は甚大であろう。
そして、イタリア財政も行き詰まり、ユーロ圏全体が存亡の危機に直面するのではないかと危惧されている。現にイタリアが発行した6カ月物国債の利回りは危険ラインの7%近くに跳ね上がった。
昨年11月25日(ブルームバーグ)でドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領は、イタリアが欧州債務危機の犠牲になれば域内単一通貨ユーロの終えんにつながるとの見解で、イタリアのモンティ首相と一致した。そのためイタリアの財政破綻は何としても避けなければならないことが至上命題で、ユーロ崩壊の鍵を握っている。今年はその正念場であり、ユーロー崩壊に続く世界大恐慌の悪夢が起きないことを願うばかりである。