2011年10月8日土曜日

米国デモの意味

We are the 99%.(われわれ普通の人間こそ、この社会の99%の成員だ)

今世界金融の中心地、米ニューヨーク・マンハッタンのウォール街周辺で経済格差の拡大に抗議する若者らのデモは700人以上が逮捕された翌日の2日も続き、1500人以上が集会に参加した。行き過ぎた市場主義に異を唱える運動はボストンやシカゴ、西海岸ロサンゼルスなど全米各地に拡大中で、海外に飛び火する可能性も浮上している。
抗議運動はインターネットの会員制交流サイト・フェイスブックや簡易ブログ・ツイッターなどを通じて賛同者を増やしている。
ボストンでは、バンク・オブ・アメリカ前で約1000人が抗議、24人が逮捕された。共同通信によると、ロサンゼルスでは数百人が市庁舎近くに集まり、経済政策の恩恵を受けているのは人口の1%にすぎないとして「我々が99%だ」と書かれたポスターを手に大通りを練り歩いた。サンフランシスコ、シアトルなどでも抗議運動が行われたという。
デモを展開する抗議団体のウェブサイトによると、デモ計画は全米50州のうち44州の計115都市で進行中。抗議団体はフェイスブックなどを通じて、東京やロンドンなど海外でも同様の抗議行動を繰り広げるよう呼びかけている。

かつて日本に帰化したビル.トッテンが著した「アングロサクソンは人間を不幸にする」に言及していた資本主義の極みアメリカ。すなわちひとにぎりの金融やそれに関連した支配層の富めるものは益々富み、持たざる者はますます貧乏になる資本主義というシステムは、中間層さえ貧困に追いやった。
周知のように資本主義はイギリスから生まれ、産業革命を経て弱肉強食の色合いを深めて、やがてアメリカが世界に浸透させていったものであるが。その体制を作り出したルーツは、トッテンも言っているように北方のバイキングだったゲルマン人が、イギリスを征服したことに端を発している。いわゆるのちに世界を凌駕するアングロサクソンの始祖である。このゲルマン人が大移動をした後に、彼らの収奪の歴史がヨーロッパを形成していった。

デモの原動力は貧困の中にいる若者たちや没落した中間層である。今アメリカで起こっていることは、アメリカの体制に追随している明日の日本の姿かもしれない。今年になって多発している世界的な独裁国家転覆のデモとは様子が違うが、基本的には高い失業率と生活困窮を訴える構造は同じで、特に多いのが借金まみれの自己破産者である。
アメリカは産業の空洞化後金融立国を掲げて金融帝国の推進が戦略であったが、リーマンショックでそれは頓挫した。様々な金融商品の欠陥が明らかになり、政府がその尻拭いに追われた。その為に今度はドルや米国債の信用にも問題が起きてきた。
米国政府が国債発行などできる債務上限額は法律で14.3兆ドルと定めら、それを超える勢いからいよいよアメリカ経済は火の車となり、日本にTPPをせっついてきた。
ドル安が進行する限り円高は止められない。またアメリカ型の市場原理主義は日本にはそぐわない。ビル.トッテンの言葉を借りれば日本人を不幸にするシステムでもある。
オール・オア・ナッシングの資本主義の行動原理から、今やアメリカは金持ちと貧乏人の2極分化が深く進行している。貧乏人にも夢を持たせたサブプライムローンは所詮金融機関に踊らされた政府と米国民のあだ花に終わった。
今回の運動は、いわば金融界が米政界を支配する米国の「金融界独裁体制」をやめさせようとする真の意味での「民主化運動」である。米国は、金融界や軍産複合体による談合体制である2大政党制(2党独裁体制)で縛られ、真の民主化がかなり難しい国だ。
米国が標榜し、世界に広めようとする民主主義とは一部特権支配階級の利益を追求し、それを実現させるための方便であり、その欺瞞性が米国民の手で世界に明らかにされたのが今回のデモである。

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