2011年6月7日火曜日

魑魅魍魎の政界

やっと国民の手で政権交代を実現したと思っていたら、内部の主導権争いの果てに菅・仙谷グループが、不毛な小沢切りに暴走した事から民主党はおかしくなった。今回の大震災後の無為無策と情報操作により、国民からも民主党内部と野党からも内閣不信任をたたきつけられた管内閣。いまや民主党は政権奪取からわずか2年で崩壊の憂き目にあっている。


すでに衆院議員16人が会派からの離脱を表明し、1人が正式に離党を宣言しており、統一地方選を控えた県議、市議は雪崩を打って公認を返上しはじめている事は周知の事実である。民主党は参院選、衆院補欠選に続いて地方選でも連戦連敗。地方首長選では候補者を擁立できず不戦敗が増えた。

誰もが菅内閣に見切りをつけ、民主党の崩壊を覚悟しはじめている状況である。小沢という柱を失ったら、民主党が機能不全に陥ることは最初から分かっていたことだが、結局、不毛な「小沢排除」は党内に亀裂を走らせ、弱体化させただけで、自民党や霞が関、財界といった旧勢力を喜ばせただけである。

民主党政権が短期間で危機に陥った背景は、鳩山の巨談症的錯雑の失政と金権腐敗の小沢の驕り、そして彼らの政治的・道義的責任を隠蔽する民主党の体質に対する国民の嫌悪感、外交音痴の無謀な政権運営によって国益が大きく毀損されたことや、「予算の裏づけがない美辞麗句を連ねただけのマニュフェスト詐欺」の化けの皮がはがれたことである。


今回の反主流派から出された内閣不信任案も、大勢は可決の方向に向いていたが、間際になって支持母体の連合の古賀会長からの要請で、民主党をつぶすなとの一声で、鳩山が管に猫の鈴をつける役に回ったことが知られている。
その結果、鳩山は「菅首相から辞任の約束を取り付けた」と言って、急遽不信任案に反対する側に回ったため、不信任案が否決されることになった。

その時小沢は鳩山に口約束だけで担保は取ったかと質したら、代議士会で確認をとると言い、その場で役者が一枚上の管の辞任表明を聞かされ気持ちが萎えてしまい、どんでん返しが起きてしまった。その約束は以下の通り

、(1)民主党を壊さない(2)自民党政権に逆戻りさせない(3)復興基本法案の成立と2次補正の早期編成のめどをつける。

菅と鳩山が取り交わした誓約書においては「原発事故と震災復興に目処が立ったとき」という抽象的表現であるから、解釈をめぐって言った言わないの押し問答の揚句に、希代のペテン師(オバマをしてトラストミーと大見栄を切ってペテン師と呟いたそうな)にペテン師と呼ばれている漫画の様な光景が広がり、我々は唖然として見ているだけだった。
菅直人と鳩山由紀夫が誓約書以外にいかなる口頭約束したのかは不明であるが、勝手読みと妄想癖が顕著な鳩山であるから、本人の陳述要旨が事実か否かは不明である。しかし、鳩山由紀夫が小沢軍団の謀反を抑えこみ、「菅総理が夏のはるか前に総辞職する」と公表したことは万人が知っている。

いっぽう奇妙なセレモニーも報道を通じて流れている。ここ3年ほど仇敵関係にあった小沢一郎と渡部恒三が「合同誕生会」で手を握り合って両者薄笑いを浮かべている。誕生会を企画したのは、これまで反小沢の筆頭で凌雲会会長前原誠司前外相と小沢組若頭山岡賢次民主党副代表である。誕生会に参加したのは鳩山由紀夫ら民主党国会議員160人。

誕生会に出席したのは小沢軍団や鳩山派・羽田派らの保守だけでなく中間派も多数いたという。今回、前原誠司は「渡部・小沢合同誕生会」を企画・立案し成功させた。反小沢の旗を投げ捨て「菅内閣打倒の軍旗」の下にはせ参じたのである

仙石由人代表代行(官房副長官)は自民党副総裁と連携して「菅降ろし」を画策しているとみられている。彼らの一致した見解は「菅政権は持たない」ということであるが、目下、菅内閣総辞職後の主導権をどちらが握るかという点が最大の争点となっている。

主流派も反主流派も相互に雪崩打ってゴジャゴジャのちゃんこ鍋状態だ。さりとて管直人はしぶとくいつまでも鍋に残る灰汁のようにつまみだせない。

去り際を潔く幕を引くのが高潔な政治家の美学であろうに、品性は顔に出る。

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