○中国政府の発表する経済数値は誇張されている。
リーマンショック以降アメリカ経済の凋落とともに台頭してきたのが中国経済であるが、日本をはじめ先進諸国の熱い目は勢い中国に注がれて、世界経済立て直しの牽引役として脚光を浴びているが、マスメディアがあまり報道していない中国経済の実態を少し探ってみよう。
今や中国国家統計局が発表するGDP数値や経済成長率の数値がいい加減であることは定説になっている。
前期比のGDP伸び率は経済実態をより反映できるが、中国政府は各四半期のデータ、またはそれぞれの四半期のデータを前期と比較したものを報告しないため、人々は中国経済の実態を把握できていないでいる。
中国経済において名目GDPに対する名目輸出の割合は40%に相当し、輸出にかなり依存した経済構造であることがわかる。日本も輸出依存型経済であると言われるが、名目GDPに占める輸出の割合はせいぜい16%程度であり、中国に比べるとかなり低い。これからすると、中国は輸出依存度の高さゆえに輸出相手先である先進国の経済の影響をストレートに受ける状況にあると言える。
米国発の金融危機が始まる前に、中国においては企業が相次いで倒産しており
、中小企業司の統計によると、08年上半期において、中国全国ですでに6万7千社の中小企業が倒産した。さらに世界金融危機の発生につれ、中国企業の倒産ラッシュが加速した。
特に、珠江デルタにおける企業の倒産が深刻で、香港メディアによると、08年年末から2009年にかけて、深セン、東莞及び広州の4万5千社の企業のうち、倒産した企業はすでに約1万社で、失業者は数百万人に上ったという。
中国政府の発表によると、2009年度で約600万から700万人の大卒生が「卒業する途端に失業してしまう」との運命に直面するという。
米国のドレクセル大学の謝田・教授によると、中国共産党政権がGDPデータに関して系統的かつ持続的に、虚偽のデータを作り上げていると指摘した。中国共産党政権が国際社会を騙し、各国からの投資資金が断たれることもなく永遠に中国に流入させ、迫害政策で空っぽとなった中央財政を隠すために、うそのデータを作り上げている。
謝田教授は「中国人民大学の失業問題の専門家は最近、中国の真の失業率は20%以上で、政府の公表した5%や6%という水準のものではないと話している。同様に、世界金融危機の発生や中国輸出の急減が始まった後、外国資本は中国から撤退するだろう。こうなれば、中国政府が中国経済の実態を隠す手段が効かなくなり、間もなく、われわれはより多くのGDP急低下や失業率の急増及びインフレの急上昇などの報道を耳にするだろう」と話し、中国政府が発表したGDP伸び率が6・8%とのデータは、中国政府が目的を持って作り上げたうその経済データだ、と主張した。
2009年度で中国にある4200万社以上の中小企業のうち40%がすでに倒産、40%が倒産の危機に面している現状を紹介した。資金繰りに行き詰まり経営危機に陥るケースがほとんどであるという。
中国の中小企業は国内総生産の60%を占め、税収の50%に貢献しているから、中小企業の危機はすなわち中国経済全体の危機であると言ってよい。
○日本の後を追うバブル経済
中国では経済成長率が1%落ちると、500万人の雇用が失われると言われ、現在、政府が発表している2000万人の失業者は実体数はその倍以上の4500万人とも言われている。国内では年間9万件以上の集団抗議が行われている中国では、6%以上の経済成長率がないとデモクラシーの未熟なこの国は、直ちに社会争乱に結びつく。
社会不安を起こさないためには、高い経済成長率を達成し続けないといけない。その達成のために行った公共投資や新規貸出によってお金は、中国国内の株式市場や不動産市場に集中する形で流れ込み、局所的なバブル経済を生み出しつつある一方で、個人消費等の内需の拡大に必ずしも直結していないのが実情らしい。
そのため米国の景気悪化で落ち込んだ輸出に代わって、内需拡大の政策が取られ、金融緩和や危うい信用供与での、家電、自動車、住宅販売促進に政府補助金をつけて内需拡大の強制的一時的効果を上げたが、消費者の多くは信用供与が疑わしい所得レベルにあり、この信用供与が破裂するのは時間の問題となっている。その良い例が住宅バブルである。中国の政府系シンクタンク、中国社会科学院は2010年の「経済青書」で、「中国の不動産価格はすでに合理的な域を越えており、中国の約85%の家庭は住宅を買う能力がない」と指摘。「開発業者による不当な利益追求を容認してきた地方政府にも原因がある」と、政府系機関としては珍しく政府を批判した。
それによると、国際基準では住宅価格は家庭年収の3倍から6倍が一般的とされるが、中国の住宅価格はすでに都市部住民家庭の平均年収の8倍を超えている。農民工(出稼ぎ労働者)の場合は、20倍を超えるとし、「高い不動産価格は、農民の都市部への進出を制限し、中国の都市化を遅らせる原因になっている」という。
北京や上海などの大都市では、今年夏以後、面積100平方メートル前後の住宅が500万元(約6500万円)以上で取引されるケースも多くあるが、購入する人のほとんどは値上がり後の転売を目的にしており、入居者のいない空室が目立っている。まるでドバイの住宅バブルを連想させる状況だ。
米国の投資家であるジェームズ・シャノス氏が中国経済のバブル崩壊を予測している。巨大な不動産バブルが存在すること、公式統計の数字が疑わしいこと、解消されない生産設備の余剰などが列挙されている。上海万博は2010年5月1日―10月31日に開催されるが、多くの人々が万博後に高度成長の反動が起きることを予想している。だとすれば、バブルが崩壊するのは恐らく万博の後ではなく前になるだろうとも言われている。また中国バブルの崩壊はドバイをはるかにしのぐ大規模なものになることが予測されている。
バブルが崩壊した後の中国は、これまで以上に輸出(外需)に頼ろうとする。米国は、中国が米国債を買い支える限りは中国の輸出を受け入れるだろうが、中国経済の今後は先進国の経済次第でもある。とくにアメリカは先にわが国に行った円切り上げの圧力(プラザ合意)をかけたように、中国にも元の切り上げを迫っていくことは時間の問題である。まさに日本に追いついた中国は世界経済における位置からハンデを与えられようとしている。
*ちなみに2009年12月末の米国債権保有の国別ランキングは以下の通り。
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1)日本 7686億ドル
2)中国 7554
3)イギリス 3025
4)産油国 1868
5)カリブ海 1847
6)ブラジル 1606
7)香港 1529
8)ロシア 1185億ドル
(注)プラザ合意
1985年、貿易赤字に苦しむ米国はニューヨークのプラザホテルでG5を開催し、各国がドル安へ協調することになった。この「プラザ合意」は急激な円高につながり、230円台だったドル・円相場は120円台までのドルの暴落となり、「円高不況」につながった。ここで日本の実力に見合ったゴルフのようにハンデがつけられた。
89年のバブルのピーク時に日本からの海外旅行者が戦後初めて1千万人の大台に乗せたことがあったが、最近、中国が日本への観光ビザを解禁して中国からの観光客が急増している。最近のTV放送で、家電のラオックスが中国企業に買収され、中国からの買い物ツアー客を観光バスで秋葉原のラオックスに送り込んでいるのを見たが、これなどは今の中国を現わしている映像でもある。また、中国の上半期の自動車販売台数が610万台で世界一になったこともバブルの気配が漂っている。
日本のバブル経済のピークは1988年から89年の2年間で、その間に日経平均はほぼ2倍になっており、。 中国の上海A株は2006年初めからの1年半足らずの間に、すでに3倍以上になった。
中国経済の立役者、トウ小平は、「黒いネコでも白いネコでも、ネズミを捕まえるネコがいいネコだ」と、経済成長をイデオロギーの純粋性の上に位置づけた。
中国の指導者たちはトウの言葉を盾に、統制的な資本主義で経済を成長させる代わりに共産党が絶対的な政治権力を維持するという現在の体制を維持しようとしている。民主化をしていたら、豊かになるどころか世界的な景気後退も生き抜けなかっただろう、というのが彼らの主張である。
2010年3月13日土曜日
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