2015年9月5日土曜日

ネット社会の裏側

アマゾンの配送センター


ここ3~4年でアマゾンで日用品から書籍並び食品、家電、など多岐にわたり利用することが多くなった。家電品でもヤマダ電機より安いものが手に入ることもあり、配達の速さと日用品などの定期購入の便利さから利用頻度がますます広がり,無くてはならないものになってきた。本家アメリカでは、アマゾンにとっぷり浸かった消費者を称してアマゾン中毒といっているようだ。私もそのカテゴリーに入るかもしれない。

実際アマゾンのマーケット上で売り手としても店を持っているが、登録までには手続きなどで手間取った。PRさせていただくが、 鎌倉彫工房<創>を参照されたし。ネットショップがひしめく中、ランディングコストは、楽天などに比べかなり安く営業しやすい。周知のとおりアマゾンは、米国の最大手通販業者であり、日本でも楽天やヤフー、その他通販業者をおさえて売上高トップの座を占めている。
アマゾンは、市場の拡大、成熟、縮小の状況に関係なく、顧客を自社の通販サイトに誘導するための、新規投資や改革を常に行っているので、大手小売業者にとっても、その存在は脅威である。インターネットの普及により情報の垣根が崩れ、場所の垣根も崩れ、どこにいようと好きなものが手に入る今の時代、アマゾンの強みは、Webサイトの見やすさ・使いやすさ、扱い製品群の多さと、高効率且つ廉価若しくは、一部業者を除いて無料の宅配サービスが売りになっている。今後ネット通販は、アマゾンに限らずスマホの高速普及や高齢者のネット活用比率の向上などから、更に成長が見込まれるだろう。


さてそのアマゾンであるが、秘密のベールに閉ざされたアマゾンの内側をえぐった潜入ルポ「アマゾン、ドットコムの光と影」横田増生著を読むと、アマゾンの心臓部分の巨大な配送センターの正確無比なシステムと、多くのアルバイトと非正規社員に支えられた実体が浮かび上がる。著者自身がアルバイトとして配送センターで実際に働いた体験が生々しく語られている。そこにあるのは働く希望も喜びもない時給ノルマに縛られた、無機的な職場環境の格差社会で働く大量の労働者の縮図があぶりだされていた。それはあのチャップリンのモダンタイムスのシーンを彷彿させるものだ。

アマゾンに限らず、どの産業も企業の草創期から成長期そして成熟期を経て、低迷衰退期に至るサイクルが約30年というのが定説となっている。そして最後を迎えるも迎えないも企業努力にかかっているのだが。経済環境の激変期(戦後高度成長時代から成熟期に至り、そして衰退期を迎える現在) に日本経済を支えてきた年功序列と定年までの身分保障をされたあの時代は通り過ぎ、各企業は正規社員を多数抱え込む余力はなくなり、企業存続のためには、正社員さえもリストラの憂き目にあう。そして賃金の安い非正規社員、派遣、アルバイトと労働形態はシフトして行き、労働環境は年を追うごとに厳しくなっている。今話題のブラック企業や過労死、ワーキングプアーなどおなじみのフレーズが巷にあふれている。

グローバル経済の下、単純労働は途上国に流れ、国内では労働の2極化、すなわち特別なスキルのある専門職と誰でもできる一般職に分化してゆく。この一般職の分野も、多くの職種が近未来にはコンピュータや機械にとって代わっていくことが予測されている昨今。そしてそれらの経済環境の中で未来を絶たれた者たちは、希望を持てない労働者として社会の底辺をさまよい、少子高齢化に拍車をかける。このトレンドは止められない。日経新聞によると、2014年のニート総数は56万人、雇用者のうち非正規社員やアルバイトは全体で2000万人を突破した。今や正社員だった人が転職の時に非正規になる流れも強まっている。



この情報化時代に起きた事件が、オリンピックエンブレム使用中止の佐野騒動である。とざされた世界の審査につきものの、なれ合い、お手盛りもさることながら、大量情報消費の中には、便所の落とし紙のごとくコピーされては捨てられていくものも多い。特にデザインの世界では珍しくないようだ。似たようなデザインがネットでは氾濫している。またそれに対して多くのギャラリーが匿名性を武器にして誹謗中傷や、安っぽい正義感を振りかざして、個人のプライバシーを暴き、特定の個人を攻撃する。身から出た錆とはいえ、国民のつるし上げにあったあのデザイナーの末路は気の毒としか言いようがない。

ご承知のように情報の中には虚偽、だまし、誇大、偏見も多く混在し、利用者に取捨選択や読解力と言う見識とレベルも必要であることは言うまでもないことだが、不特定多数、匿名、非対面と言うメリットは、同時に無責任、虚偽、ナリスマシや憑依や荒らしやフィシングのリスクを含んでいることは忘れてはならない。そういう時代に我々は生きているのだから。

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