2011年4月9日土曜日

2011年

日産自動車 いわき市
東日本大震災によってその地域に生産拠点を置く企業体の生産設備や社会資本などが破壊され損傷し、多くの企業の生産力が予想以上に落ち込んでいる。他方では放射線物質による汚染
を懸念しての風評被害が、生き残った農業や漁業にも甚大な影を落としている。


東北地方の生産の停滞で深刻と考えられているのは、電子部品や情報関連、自動車などの中間財の生産である。電子部品や情報関連については、東北地方は近年、工場を積極的に誘致することで、生産シェアを高めてきた。

電子機器の統計によると電子部品・デバイス・電子回路の東北6県の出荷額のシェアは12.3%、情報通信機械の東北6県の出荷額のシェアは14.4%を占めている(2009年)。東北6県のうち、岩手、宮城、福島の被害は甚大で生産がストップし、これらの県の工場からの部品供給によって生産している他地域の工場の生産も止めざるを得ない状態となっている。自動車部品に関しては、供給が途絶えたことによりアメリカや多くの海外メーカーも減産を余儀なくされている。

鹿島コンビナート

当面、こうした状態が続くと考えられるが、メーカーの間では、復旧を急ぐとともに東北の工場で生産していた部品の生産を他地域に移管するなど、着実に対応を進めており、おそらく数か月以内にはかなり態勢が整っていくと思われる。半導体や電子部品のメーカーが過去に九州地区に偏在したために東北地方に工場を分散させた経緯があったものの、今回の被害が鹿島コンビナートまで及んでいる状況下では、石油化学製品や紙、インキの供給不足も続いている。
計画停電の打撃なども重なってモノの供給不足は幅広い業種に広がっているのが現状で、電力制約が長期にわたって続く事も考えればこの状況は少なくとも震災後1年程度は続くだろう。

我々個人の生活においても今回の計画停電には辟易としたが、利便性の上に成り立っている電力依存型社会のもろさと危うさを再認識した次第である。


一方で震災後の復興のための投資は、企業の設備投資、住宅投資、社会資本に対する投資やインフラ整備で生じる需要の増加は、低迷する経済にとってプラスの材料になるが、これも余震や原発問題が収束すれば、復興に取り組むことができる環境が徐々に整って可能になる話であるが、復興までの道のりは険しく長い。それだけ今回の地震の被害はおおきかった。

阪神大震災時は復興資金は10年間で総額16兆円が投入されたが、今回の復興資金は最低その2倍は必要とされている。

政治のリーダー無き多様性の時代2011年は、わが国にとって試練の年であり、また社会の価値観が変わる分岐点でもあるだろう。

0 件のコメント: