2010年11月27日土曜日
岡目八目
岡目八目と言う言葉がある。
事の当事者よりも、第三者のほうが情勢や利害得失などを正しく判断できること。囲碁から出た語で、碁をわきから見ていると、実際に打っている人よりも、八目も先まで手を見越すという意から。▽「岡目」は他人がしていることをわきで見ていること。「目」は碁盤の目の意。「岡」は「傍」とも書く。
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亡命中国人が対他的に中国並びに日本の状況を的確に述べているのは、まさに岡目八目である。
今年7月に出版された邦訳の『暴かれた中国の極秘戦略』(中国語『台湾大劫難』)のプローモーションのために来日した亡命中国人作家で法学者の袁紅冰(ユァン・ホンビン)氏が日本での講演会で、まもなく日本が直面する危機について警告した。その中で氏は「日本よ、魂ある国を立て直そう」とメッセージを残している。
大紀元日本にその記事が載っているので御紹介しよう。
【大紀元日本10月29日】「桜は咲き続けているが、日本の武士道精神はすでに凋落してしまった。第二世界大戦後、日本は魂のない国、経済的な機能だけの存在に堕落してしまったのだ。物欲だけにコントロールされる道をそのまま進めていくと、日本はいつの日か行き詰まり、滅びるだろう」
80年代に北京大学の法学部で教鞭を執っていた同氏は、89年の天安門学生運動を支持したため、北京から地方に放出された。2004年、貴州師範大学法学部の学部長を務めていた時、訪問中のオーストラリアで政治亡命。現在シドニーに在住し、政治や文学などの創作活動と中国の民主活動を行っている。
昨年台湾で出版された『台湾大劫難』を通して同氏は、自由が脅かされている台湾の危機を警告している。「市場一体」を経て「政治統一」を図ることで中共は戦わずして台湾に勝ち、2012年には民主体制の台湾を共産党中国の統治下に納めるという。また、中共のこの野心、台湾だけには留まらないという。日本での今回の講演の中、同氏は、近くに出版する新書『台湾大国策』の内容として、中共が画策する日本を含む世界支配の野心についても紹介した。
◆アジアへの野心:標的は台湾、インド、そして日本
講演によると、2008年、胡錦濤主席は「21世紀における中国の使命と国際地位」と題する談話を発表し、共産党中国が今世紀のうちに世界をリードし、米国に代わって国際的な行動基準を作り上げるとする国策を述べたという。この詳細については、新書『台湾大国策』で紹介しているとのこと。
同氏によると、世界支配を目指す中共の野心を実現するため、中共の軍部内では「超限戦」という新しい「戦争」の概念と戦略が呈示されているという。それは通常の武力戦のほかに、グローバリゼーション時代に特徴的な「戦争」である外交戦、諜報戦、金融戦、ネットワーク戦、文化戦、心理戦、メディア戦など様々な方法が含まれたもので、それらの新しい戦いは、軍人と非軍人を明確に区別しないとする考え方に基いている。また単に戦争手段の多様化だけではなく、それに対応する安全保障政策や戦略の研究の必要を主張しているという。
その文化戦とメディア戦の一例として同氏は、中共が世界各地に孔子学院を設立していること、中国問題の専門家や漢学者を次々に買収していることなどを紹介した。また、各国の中国語新聞のほとんどを中共がコントロールしているほか、各国の自国メディアに対しても中共の意向が浸透していると指摘する。
その拡張戦争において中共は、台湾、インドおよび日本を最優先のターゲットにしているという。同氏によると、中共政権は台湾問題とチベット問題を国家利益の重点としており、そのために必要不可欠である台湾、インド、日本との外交上の戦略を優先的に立てているとする。
しかし、その目的は領土上の利益ばかりではない。中国人は西洋の民主自由体制に適合しないという主張を常に唱えてきた中共政権は、同じ中国人でありながら民主体制を取っている台湾を、中共の独裁統治に最大の脅威として見ていると袁氏はいう。その上で同氏は、2012年秋の18期共産党大会を控えている中共政権が、台湾の自由民主制度を潰すという目標を国家戦略の最優先にしていると述べる。
◆対日戦略:日米同盟を分裂させ、尖閣諸島は譲らぬ
それに関連して、アジアの民主勢力のなかで最大の存在である日本には、台湾問題に干渉させないことを第一として対日戦略を立てているという。その主な内容は、日米関係を分裂させること、日本にとって「有利」である戦略的互恵関係を結ぶことの2点。
北京大学で勤めた際、陳昊蘇氏(60年代に中国の外相を勤めた陳毅将軍の息子)と会談したことがあり、その際に陳氏から直接聞いた話として、鄧小平氏の対日外交戦略の目的は日米同盟を分裂させることであったと述べた。それを実現するカードは、広島と長崎への原子爆弾投下の歴史を使って米国に対する日本国民の恨みを煽ること、および中国大陸の資源とマーケットに依存する日本の経済状況を利用することであるという。
さらに、日本と戦略的互恵関係を結び、北方領土問題において中国が日露間の仲介役を果たし日本に味方する立場を取る、東シナ海ガス田問題に関して日本に譲歩する姿勢を見せる、日本の国連安保理入りを支持する、という3点について日本支持のスタンスを見せかける。
一方、尖閣諸島問題は、決して譲らない姿勢を取る。その真の目的は、国家の領土への関心ではなく、尖閣諸島の領有権を主張する台湾に対して外交上の連帯感をアピールし、台湾の国民党政権を丸呑みすることにあると袁氏は主張する。先日起きた尖閣諸島沖の漁船衝突問題について、中共内部における闘争が外交上の不一致を起こさせたものとする見方もあるが、同氏の見解によれば、台湾の馬英九政権に見せかけるための戦略の一環であるという。
◆中共に対抗し、日本精神を立て直せ
民主自由の台湾を潰し、中国本土での独裁政権を固めながら、世界支配を実現していく。そうした中共の野望の前に、台湾の自由が奪われる危機を傍観するだけの日本と世界には、遠からず自分自身に危機が迫ると袁紅冰氏は警告する。
哲学者の洞察力と法学者の理智をもつ同氏は、作家で詩人でもある独特な語りのスタイルで、日本の武士道精神に対する憧れについても触れた。
「日本国の精神である武士道から、私は孔子の教え、孟子の英雄の気概、墨子の天下衆生を普く愛する侠気を思い出す」
しかし、このような「豊富な精神内包がある日本国の魂」は、第二次世界大戦では間違った方向へ利用されてしまったと袁氏はため息をつく。「人々を苦難から救うのではなく、他国への侵略で多くの人に苦難を与えてしまった」
「第二次世界大戦後、日本は魂のない国に化してしまった。歴代の日本の首相や政治家はすでに、中国を含めた各国に、先の大戦で犯した罪について謝罪と懺悔(ざんげ)を幾たびも行って来た。中国共産党の強権主義と膨張的野心が世界に災難をもたらそうとしている今こそ、日本は自由民主と人権を守る人々を支持し、自国の武士道精神を立て直すことが本当に意味のある懺悔になると私は思う。しかし、今の日本は、明確かつ堅実な国家の意思と政策に欠けているように見える。日本は自国の前途、世界の前途に対して全貌的な認知に欠けていると思う。今のまま目先の経済的利益に振り回され、中共にコントロールされてしまうとすれば、日本はますます恥を重ねる道に陥ってしまうからだ」
中国人として自国を愛し祖国の文化を立て直したいとの本音を語りながら、袁氏は日本に、中共の強権政権と対抗する中で、自国の伝統的精神を立て直していくことを願うという。「日本は武士道精神を立て直し、自由と真理の味方になるよう切に願う」と、詩人の熱い口調で同氏は語った。
以上大紀元より
さてわが国は、どこに進むのか?共産党一党独裁の中国の属国になり下がるのか、
それとも戦後骨抜きにされた米国との同盟関係をあらゆる意味で立て直し、将来脅威になる中国と対峙するのか、この国のかじ取りはまさに綱渡りである。
2010年11月20日土曜日
薬の効用
漢方は体全体のバランス療法で西洋医学は対症療法という認識が私にはある。
最近カミさんと娘が韓国済州島へ行ってきて、私のお土産に2万円以上もする冬虫夏草なるものをもらった。大きな容器に入っており、1日10粒飲んで半年分だそうだ。かねがね噂は聞いていたが、まさかこのような高価な物を買ってくるとは思いもしなかった。
効能を読むと、冬虫夏草は、18種類のアミノ酸をはじめ、ビタミン、ミネラル類多糖体、ステロール類、マンニトールなどの有効成分が含まれており、滋養強壮や免疫力の向上、エネルギーの代謝を高め、生活習慣病の改善や,前立腺機能の向上、癌予防など色々書いてある。俺の前立腺を向上させてどうするんだあ~。(笑い)
お言葉に甘えて健康のために1日10粒寝る前に飲むことにしている。冬虫夏草の効果については、中国では清の時代から生薬として珍重されてきて、高価な漢方薬として古来生産されてきて、韓国では国を挙げてこの生産地である済州島の民俗村を保護している。
左の写真は済州島にある民俗村の1民家。この屋根は茅葺きで、この茅は毎年重ねていくそうだ。7年経ったら全とっかえ。
この茅の中から冬虫夏草が取れる。
冬虫夏草は、昆虫に寄生して生育したキノコであるが、厳密には、コウモリガの幼虫に寄生したキノコを指す。人工栽培も行われているが、なかなか難しいようだ。自然の冬虫夏草は、四川省、青海省、雲南省、チベットなど海抜3000~5000mの地帯で採取され、価格ももちろん高く、とくにSARS(新型肺炎)が流行して以来、値上がりが続き、安いものでも1kg=60万以上、高価なものは1kg=1000万以上もするらしい。。
過去に1993年の8月、ドイツのシュッツガルトで開催された世界陸上選手権で、馬俊仁コーチの率いる中国選手たちが世界の強豪を相手に1500メートルで金メダル、3000メートルで金銀銅を独占、1万メートルでも金銀を獲得した。また、同年のスペインで開かれた第5回ワールドカップ大会の女子マラソン競技では、トップから4位まではすべて馬コーチが指導した中国選手が独占した。
当時、「馬軍団」として有名になった中国選手たちの強いパワーは秘密のスタミナ・ドリンクにあることが世界にも報じられ、そのドリンクのなかには冬虫夏草が入っていて、それで冬虫夏草も馬軍団という呼び名とともに一挙に世間で脚光を浴びて有名となってきた。
そんな快挙に夢馳せて、飲んで半年後の結果は、乞うご期待となるか.....?
2010年11月9日火曜日
弱り目に祟り目
最近の報道によると、中国に続いてロシアも不穏な動きを現わしてきた。中国の尖閣諸島への領海侵犯に対する日本の情けない対応ぶりを見て、期に乗じて、おれたちも北方4島の実効支配をアピールする時とばかり、メドベージェフ大統領がわが国の反対を押し切って国後島を視察した。
思えば9月末に、メドベージェフ大統領が中国を訪問し、胡錦濤国家主席との間で終戦65年に関する共同声明に署名。対日戦で共闘したとの歴史認識を中国は尖閣諸島、ロシアは北方領土の領有権主張につなげる伏線があった。
大東亜戦争末期、日本の敗戦が色濃くなった時、両国間で有効であった日ソ中立条約を一方的に破棄してソ連は参戦してきた。
そして日本は8月14日に中立国を通して降伏を声明したが、その降伏後に日本の領土である北方4島を力ずくでソ連は占領した。
またソ連は武装解除した日本兵の帰還を保証したポツダム宣言に背いて、65万人に上る将兵を極寒のシベリアへ抑留した。そのような極悪非道な国が当時のソ連でありその末裔が今、自国領土だと言い張って臆面もなく国後へやってきた。
北方四島は戦争で失った領土ではなく、裏切り者が火事場泥棒で力ずくで奪った我が国の領土であることは明確である。
そのような過去の経緯をみると、ハイエナのように虎視眈眈とわが国の弱体化した政治と米国とのギクシャクした関係を見てとってロシアが行動を起こしてきたことは想像するに難くない。
過去に日本が北方領土の一部(具体的には歯舞・色丹)を取り戻すことは、可能だった。1956年日ソ共同宣言の最重要内容は、「日ソ両国は引き続き平和条約締結交渉を行い、条約締結後にソ連は日本へ歯舞群島と色丹島を引き渡す」という部分であり、プーチン前大統領(現首相)もこの宣言の有効性を認めているので、「2島」を取り戻すことはできた。しかし、対立点は「残りの大きな2島(択捉島・国後島)」はどうするの?」ということ。ロシア側は、「2島返還で決着する」(つまり残りの2島は返さない)としている。
これは日本にとって受け入れがたく、交渉は一向に進展しないままその後、日本は日ロ平和条約の締結条件として一貫して北方四島の返還を求めてきた。
2000年に就任したプーチン大統領は04年、平和条約の締結を条件にして歯舞諸島と色丹諸島の返還意向を示したが、日本側に拒否されたのが過去の経緯である。
9月の中国漁船と日本海上保安庁の巡視船の衝突事故騒ぎがあったタイミングで国後島を視察したことはロシア側には、日本政府の対応を見て、北方領土を訪問しても、日本政府は何もできないだろうという目論見があったが、そのとおりになった。せいぜい駐露大使を4~5日帰還させただけである。
西に中国、北にロシア、東に米国に取り囲まれたわが国の地政学上の位置は非常にきわどいところにある。
2010年11月4日木曜日
アートな話「芸術探訪」
東京都現代美術館
久しぶりに東京に出た。首都圏の片田舎に住んでいるものとしては、娘に会いに行くか、特別な用がない限りめったに東京には出かけない。
今、気になる展覧会とイベントを見に行ったので、ここで2つほど紹介してみよう。
◆東京都現代美術館 「東京アートミーティング トラスフォーメーション」
『対称性人類学』などで知られる人類学者 中沢新一とキュレーター長谷川裕子の共同企画で始まった内外のアーチスト、映像作家による企画展が来年の1月30日までの日程で開催されている。場所は地下鉄半蔵門線白河清澄駅から徒歩8分。
展覧会の概要は次のように述べられている。
「生きることは変わること。細胞や知識の更新、時代、環境との出会い、また想像力によって、日々私たちは変わっていきます。
この展覧会は、「変身-変容」をテーマに人間とそうでないものとの境界を探るものです。古今東西、変身をテーマにしたイメージや芸術は多くつくられてきました。
特に日本においては、昔話から現代の漫画やアニメのキャラクターに至るまで、豊かなイメージが溢れています。では今、なぜ「変身-変容」なのか?インターネットやグローバル経済、テクノロジーの発達によって、従来の社会に属する「人間」という形がぶれはじめ、その存在には、かつてないほどの多様性が生まれつつあります。本展では、動物や機械、想像上の生き物、異なる遺伝子組成をもつ体など、人とそうでないものの間を横断する多様なイメージが、絵画、彫刻、映像、アーカイヴ、
シンポジウムなどを通して展開されます。そこで表現される「変身-変容」する形は、私たちの夢や希望、おそれをひとつの予兆として映し出します。1980年代から現在にわたり15カ国21組のアーティストたちによってつくられた作品を通して、今、変わることの可能性と意味を伝えます。」
東京アートミーティングとは
現代アートを中心に、デザイン、建築などの異なる表現ジャンル、およびその他の専門領域が出会うことで、新しいアートの可能性を提示します。第一回目は、「トランスフォーメーション」のテーマのもと、アートと人類学が出会います。東京藝術大学とも連携し、「東京藝大トランスWEEKS」として、将来世代の育成を図るための展示、パフォーマンス、シンポジウムなどを開催します。
アクリル絵画もさることながら、展示の半数以上を占める映像作品は、プレゼンの方法が多種多様で、CG,アニメ、音響、造形のイリュージョンありで、特にAES+Fというロシアのグループ制作で<最後の暴動2>という作品は、部屋いっぱいに屏風のように置かれた3つの巨大スクリーンから迫ってくる映像は圧巻だった.
またスイスの映像作家のピピロッティーリストの作品は天井と床に映し出された映像を寝ころんでみたり、床下をのぞき込んだりして見せる空間のイリュージョンも印象に残った。
各会場ともカーテンの入り口で仕切られ、一つのアートな世界を繰り広げている。
一部日本の浮世絵に見られる歌川国芳のだまし絵の様なアニメーション シャジアシカンダーの<ネメシス>なども印象に残った作品である。また立体彫刻も数は無かったが、変容をテーマにした興味深いものが見られた。
一方、常設展では戦後の美術会を引っ張ってきた読売アンデパンダンの過去に見覚えのある作品が多く出品されていた。合わせて見ると現代アートは、今やタブローから抜け出た映像と音響の総合アートに変容していく様を目の当たりにし、隔世の感があった。
◆東京芸大 アートプロジェクト
次に回ったのは、東京下町の下谷神社会館で行われた、東京芸大企画のギャラリートーク「噺家と彫刻家のトーク」と題して、現役の芸大生が、寄席発祥の地、下谷を舞台に若手落語家をモデルにいろいろな素材でその人を彫刻してもらおうという企画で、会場では彫刻作品を前にモデルの噺家と像を造った作者との制作談義が繰り広げられた。この企画、彫刻アートプロジェクトは、台東区と東京芸大の彫刻科が連携を組んで大学から町に飛び出して、大学授業と地域交流を主眼とする試みであり今年で4回目を迎えるそうだ。
現代アートがタブローから映像に変容していくように、彫刻も密室の制作から街に出て制作するのも、ある種変容ではなかろうか?
久しぶりに東京に出た。首都圏の片田舎に住んでいるものとしては、娘に会いに行くか、特別な用がない限りめったに東京には出かけない。
今、気になる展覧会とイベントを見に行ったので、ここで2つほど紹介してみよう。
◆東京都現代美術館 「東京アートミーティング トラスフォーメーション」
『対称性人類学』などで知られる人類学者 中沢新一とキュレーター長谷川裕子の共同企画で始まった内外のアーチスト、映像作家による企画展が来年の1月30日までの日程で開催されている。場所は地下鉄半蔵門線白河清澄駅から徒歩8分。
展覧会の概要は次のように述べられている。
「生きることは変わること。細胞や知識の更新、時代、環境との出会い、また想像力によって、日々私たちは変わっていきます。
この展覧会は、「変身-変容」をテーマに人間とそうでないものとの境界を探るものです。古今東西、変身をテーマにしたイメージや芸術は多くつくられてきました。
特に日本においては、昔話から現代の漫画やアニメのキャラクターに至るまで、豊かなイメージが溢れています。では今、なぜ「変身-変容」なのか?インターネットやグローバル経済、テクノロジーの発達によって、従来の社会に属する「人間」という形がぶれはじめ、その存在には、かつてないほどの多様性が生まれつつあります。本展では、動物や機械、想像上の生き物、異なる遺伝子組成をもつ体など、人とそうでないものの間を横断する多様なイメージが、絵画、彫刻、映像、アーカイヴ、
シンポジウムなどを通して展開されます。そこで表現される「変身-変容」する形は、私たちの夢や希望、おそれをひとつの予兆として映し出します。1980年代から現在にわたり15カ国21組のアーティストたちによってつくられた作品を通して、今、変わることの可能性と意味を伝えます。」
東京アートミーティングとは
現代アートを中心に、デザイン、建築などの異なる表現ジャンル、およびその他の専門領域が出会うことで、新しいアートの可能性を提示します。第一回目は、「トランスフォーメーション」のテーマのもと、アートと人類学が出会います。東京藝術大学とも連携し、「東京藝大トランスWEEKS」として、将来世代の育成を図るための展示、パフォーマンス、シンポジウムなどを開催します。
アクリル絵画もさることながら、展示の半数以上を占める映像作品は、プレゼンの方法が多種多様で、CG,アニメ、音響、造形のイリュージョンありで、特にAES+Fというロシアのグループ制作で<最後の暴動2>という作品は、部屋いっぱいに屏風のように置かれた3つの巨大スクリーンから迫ってくる映像は圧巻だった.
またスイスの映像作家のピピロッティーリストの作品は天井と床に映し出された映像を寝ころんでみたり、床下をのぞき込んだりして見せる空間のイリュージョンも印象に残った。
各会場ともカーテンの入り口で仕切られ、一つのアートな世界を繰り広げている。
一部日本の浮世絵に見られる歌川国芳のだまし絵の様なアニメーション シャジアシカンダーの<ネメシス>なども印象に残った作品である。また立体彫刻も数は無かったが、変容をテーマにした興味深いものが見られた。
一方、常設展では戦後の美術会を引っ張ってきた読売アンデパンダンの過去に見覚えのある作品が多く出品されていた。合わせて見ると現代アートは、今やタブローから抜け出た映像と音響の総合アートに変容していく様を目の当たりにし、隔世の感があった。
◆東京芸大 アートプロジェクト
次に回ったのは、東京下町の下谷神社会館で行われた、東京芸大企画のギャラリートーク「噺家と彫刻家のトーク」と題して、現役の芸大生が、寄席発祥の地、下谷を舞台に若手落語家をモデルにいろいろな素材でその人を彫刻してもらおうという企画で、会場では彫刻作品を前にモデルの噺家と像を造った作者との制作談義が繰り広げられた。この企画、彫刻アートプロジェクトは、台東区と東京芸大の彫刻科が連携を組んで大学から町に飛び出して、大学授業と地域交流を主眼とする試みであり今年で4回目を迎えるそうだ。
現代アートがタブローから映像に変容していくように、彫刻も密室の制作から街に出て制作するのも、ある種変容ではなかろうか?
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